「私の記憶が正しければ、人間とは、か弱き存在です…」
「おやおや、ルパンブルーさんとルパンイエローさんではないですか。あなた達の事は詳しく研究させて貰ってます。
あっ、申し遅れました。私、ジュゴーン・マナッティと申します。以後お見知り置きを」
「人間は弱い。故に私は暴れます」
データ
身長/183cm(巨大金庫身長/45.8m)
体重/211kg(巨大金庫体重/527.5t)
犯罪歴/心配増幅詐欺
犯罪技/心配の呪言
ルパンコレクション/「水の上の煙~La fumée sur l’eau~」
概要
人間を極度の心配性にさせる事が出来る知識家のギャングラー怪人。
ジュゴンもしくはマナティーに似た姿で、船の帆先を模した鎧や脛当て等を身に付けており、その姿はさながら航海士の様である。
目から放つ光線を浴びせた相手を極度の心配性にしてしまう犯罪技『心配の呪言』が最大の特徴で、浴びた対象は些細な事から悲観的な未来を勝手に考え出して塞ぎ込み、しまいには心配の余り行動ができなくなってしまうというシュールだが地味に厄介な技を持ち、それを使ってルパンレンジャーを戦えなくなる程の心配性にして倒そうとしていた。
戦闘では左手の『ジュゴカッター』と右手の『マナカッター』を武器に戦い、カッターからは斬撃を放てる。しかしそれ以上に強みとしているのが敵を熱心に研究・予習した事で得た知識であり、それを用いて冷静に立ち回る戦いを得意とする。意外と身体能力も高く、エックスエンペラーの必殺技を咄嗟でかわす芸当も見せた。
また、スピアヘッドのルパンコレクション「水の上の煙~La fumée sur l’eau~」の力により霧を発生させる能力を獲得。霧で敵の視界を封じての不意討ち戦法も使える様になった。
ルパンコレクションを納める金庫は腹部にあり、暗証番号は「105」。
知識家であるからか誰にでも敬語で話す物腰の低い態度を見せる。しかし研究の末に人間を取るに足らない脆弱な存在と判断、躊躇無く襲い掛かったり破壊活動を実行したりする等完全に下に見ており、結局その本質は他のギャングラー怪人と同じく冷酷で傲慢。
まさしく「慇懃無礼」という四字熟語を端的に表したようなその性格やそれを裏打ちする知識家ぶりは、絵に描いたような悪党である他のギャングラ-怪人よりもむしろたちが悪いと言える。
活躍
人間界で釣り人を追いかけ回していた所、最近サボり気味で様子がおかしい魁利の尾行をしていた透真が変身したルパンブルーと初美花が変身したルパンイエローと遭遇。
深々と頭を下げつつ自己紹介した後、攻撃を仕掛けようとした2人に向かってルパンコレクションの力で霧を発生させて視界を奪い、ジュゴカッターとマナカッターから繰り出した斬撃で攻撃。更に建物内に避難した2人に犯罪技を浴びせると悠々と立ち去った。
特に何も無いと思った2人だが、犯罪技の効果で極度の心配性になってしまい、最初は「ガスの元栓を閉めて来たか」、「ジュレの鍵を閉めて来たか」と些細な事だったが、時間が経つにつれて不安感が膨れ上がっていく。
翌日ノエルも同行しての尾行でも、魁利がコンビニの店員の女性と立ち話していた所を見た初美花は、
「立ち話のはずがその女性と意気投合してスピード結婚、しかし鬼嫁と化したその女性と離婚し、財産も親権も全て奪われて孤独な老後生活を送るのでは」と心配。
更にレストランで1人食事していた魁利を見た透真は、
「レストランのハンバーグが美味しすぎて何度もおかわりし、全部のメニューを平らげて満腹で動けなくなったところ、なぜか飛んできたキツツキが激突して爆死するのでは」と心配。
終いには本を探していた魁利を見た2人は、
「本屋で手が触れ合って、ふと見ると離婚した元嫁で、しかも彼女は悪の組織のスナイパーで魁利を抹殺しようと襲撃。逃走した先のレストランで安心感から大量に食べ過ぎて動けなくなり、なぜか飛んできたキツツキが激突して爆死するのでは」
と、流石にここまで来ると本当に心配性の人でもそこまでは考えないだろう有らぬ事まで考えてしまい、ノエルも少し呆れ気味だった。
最終的に3人は魁利を見失ってしまうが、大慌てで飛んで来たグッドストライカーを見て2人はキツツキと勘違いしてVSチェンジャーを向けようとして来た為、ノエルが2人を落ち着かせ、ジュゴーンが暴れているとグッティから聞かされると直ぐに現場へと向かう。
その頃、ジュゴーンは何処かの工業地帯で建物を破壊し回っていたが、快盗の姿になった3人が現れ、遅れて魁利も駆けつける。何事も無いことに透真と初美花は安堵していたが、ノエルやジュゴーンの発言から昨日受けた犯罪技のせいで心配性になった真実を知り、2人はそのままへたり込んでしまう。
ノエルから今までの魁利の様子から犯罪技に掛けられた身でも魁利の事を心配してくれていた事を聞かされると、魁利は2人に感謝を述べつつルパンレッドに快盗チェンジ。ノエルもルパンエックスに変身し、ジュゴーンと交戦する。
ジュゴーンは犯罪技を放つが全て避けられてしまい、レッドの放った銃撃を受けて倒れ込んでしまった隙にレッドに手を借りてもらいつつルパンエックスはスーパールパンエックスにパワーアップ。立ち上がったジュゴーンはルパンエックスのキャノンから放つエネルギー弾を浴びて怯んでしまい、ならばとコレクションの力で霧を発生させるも今度はスーパールパンレッドにパワーアップしたレッドに霧を払われ、不利を悟ったジュゴーンは逃走を図るも近未来予測ですぐさまレッドに攻撃されてしまう。
レッドがコレクションを盗ろうと迫り、抵抗するも一瞬の隙に金庫をダイヤルファイターで解錠されてコレクションを盗られてしまい、最期はスーパールパンレッドがルパンマグナムとVSチェンジャーを合体させて発動した『イタダキ・ド・ド・ドストライク』とスーパールパンエックスの『スーパースペリオルストライク』の同時攻撃を受けて金庫が抜け出て身体に風穴が開きそのまま撃ち込まれて敗北。彼が倒された事で透真と初美花は元に戻った。
その後、ゴーシュ・ル・メドゥに巨大金庫を施され、「二度と遅れは取りませんよ!」と叫びつつ復活。対してルパンエックスはレッドに手を借りてエックストレインを全発進、エックスエンペラースラッシュに合体させ、レッドの方もルパンマグナムをダイヤライズ、ロボモードに変形させる。
ジュゴーンは2大ロボと戦い、エックスエンペラーが放った「エックスエンペラースラッシュストライク」を素早く回避しドロップキックをかまして反撃していると犯罪技から立ち直ったブルーとイエローを加えたルパンレンジャーもルパンカイザーマジックに搭乗して参戦。
人を惑わせたお返しに『ルパンカイザーオールスターズ』と称してルパンカイザー、ルパンカイザーマジック、ルパンカイザースプラッシュマジック、サイレンルパンカイザー、ビクトリールパンカイザーの5体のルパンカイザーに分身した。
イエロー「この中にいつもと違うルパンカイザーがいます。さてどれでしょう?」
すると、イエローが問題を出題して来たのでジュゴーンは観察し始めると(本編では律儀にCMを挟んだ)、サイレンルパンカイザーの右腕がトリガーマシンスプラッシュではなくトリガーマシンクレーンになっている事に気付いて見事に正解。
「当然です。勉強しましたからねぇ」と誇らしげに語っていると、ルパンカイザー5体が集まってサイレンルパンカイザーに変身し賞品代わりの『グッドストライカー撃ち砕いちまえキャノン』を発射してジュゴーンを迎撃。
更にレッドがビクトリーストライカーを召喚して換装、ビクトリールパンカイザーを完成させるとそのまま『グッドストライカー 蹴散らしちまえキック』をジュゴーンに叩き込み、喰らったジュゴーンは「せっかくクイズに正解したのに~!!」と叫んで爆散した。
因みに魁利がサボり続けていたのは捨てられていた子犬の様子を見に行っていた為であり、引き取り主を探していた結果、2丁目のレストランの店長が飼ってくれる事になった。
余談
名前はそのままジュゴンとマナティーのもじり。両方とも同じカイギュウ科へ属するため見た目の違いが一目で分からない両種だが、実際は尾びれの形で区別されており、それが両手の武器の形状に反映されている。
船や船乗りの帽子がモチーフに組み込まれているのは、ジュゴンが人魚と誤認されたという説から。
彼の能力は対象を心配性にしてしまうと言う物だったが、マナティーとジュゴンに近縁のステラーカイギュウは仲間が傷つけられると心配して近寄ってくると言う習性があり、これが由来になっている物と思われる。(これがきっかけでステラーカイギュウが狩り尽くされて絶滅してしまうのである。)
デザイン担当の久正人氏曰く、ジュゴンとマナティが飼育されている鳥羽水族館の近くに美味しいエビフライを提供する居酒屋・大阪屋があることから、マナッティとイセロブ・スターフライドはデザインや発想の段階でセットだと思う、と述懐している。
暗証番号は「10(じゅう)5(ご)→ジュゴン」の語呂合わせであると思われる。
ギャングラー共通の骨の意匠は両腿で、船が下ろす錨を表現している。
以前にも複数の動物がモチーフのギャングラー怪人はいたが、モチーフが2種類あると明言されている初のギャングラー怪人となる。
マナティーモチーフの特撮怪人は恐らくこれが初。一方のジュゴンは単純な動物モチーフとしては戦隊怪人初なのだが、それ以前では天装戦隊ゴセイジャーへ登場した人魚のジョ言に『人魚(UMA)の正体候補』という形でモチーフとして取り入れられた経歴がある。
ルパンコレクションのモチーフは動物戦隊ジュウオウジャーのカイオースピア。
名前の由来はディープ・パープルの曲『Smoke On The Water』から。
今回はパトレンジャー側が変身しなかった回であった。
声を演じた室園氏は獣電戦隊キョウリュウジャーのデーボ・アキダモンネ以来、5年ぶりの戦隊出演となる。(その他の特撮作品ではテツワン探偵ロボタックのカバドスで出演していた。)
透真が時折呟いた「なぜか飛んできたキツツキが激突!」は多くの視聴者の印象に残ったらしく、Twitterでトレンド入りしている。 詳しい詳細はリンク先を参照。
ちなみに本話以前に「爆発」に関連するキツツキに似たギャングラー怪人が登場しており、こちらもギャングラー怪人らしかぬ知的な性格の持ち主であった。
なお、ドグラニオの洋館にてジュゴーンが両戦隊についての予習を行うシーンでは、彼が見ていた資料の写真という形でルパントリコロールが本編初登場を果たしている。
関連項目
快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー 異世界犯罪者集団ギャングラー ギャングラー怪人
ピョードル:脚本家繋がり。魁利を尾行している途中、初美花が「もしかしたら、レオタード着て踊ってるかもしれないよ?」と透真の古傷を抉った。
貝社員:超心配性なヒ貝がいる。