「今更来た所で、このペッカー・ツエッペリンの完璧な計画は止められない!」
「私の完璧な作戦に気付くとは、褒めてやろう。しかし、私が爆弾の場所を話す訳が無いだろう?」
人間態の演者∶兼任
データ
身長/190cm(巨大金庫身長/47.5m)
体重/205kg(巨大金庫体重/512.5t)
犯罪歴/怒りの爆弾魔
犯罪技/うっかりクチバシュート
ルパンコレクション/「賢者~L’homme sage~」
概要
『ギャングラー一頭がいい』とも称される科学者のギャングラー怪人。
横を向いたキツツキが縦に並んだ様な姿で、全体的にメカニカルなディテールを持つ。頭の右側と右肩、右腰から出た赤いクチバシとそれに貫かれた木を思わせる穴開きプレートが特徴的。
右半身にあるクチバシを「つんつくつん!」と発射する犯罪技『うっかりクチバシュート』を喰らった者は無意識に『うっかり』を起こして周りの足を引っ張ってしまう。また弾道計算により跳弾としても放てる。
剣先が曲がった形状の危剣『キツツキケン』で武装している他、上半身の翼から高速で羽を放つ攻撃手段を持つも知性派の宿命か戦闘能力は大した事はない。
しかし、当たらなかった犯罪技を違う方向から発射して錯乱させて来たり、ルパンイエローのVSチェンジャーをキツツキケンで引っ掛けてイエローごと引っ張ったり、VSチェンジャーの銃撃をキツツキケンで跳ね返す等戦いで十分活かせるテクニックを備えて低い戦闘力をカバーしており、甘く見てると痛い目に遭う。
一方頭脳の高さは通り名どおりで、それを計算機のルパンコレクション「賢者~L’homme sage~」で底上げ、その状態で人知れず研究を続けた末に怒りの感情を熱エネルギーに変える技術を開発。それを用いた爆弾を製造して月夜タワーに設置し、大規模破壊を計画していた。
この爆弾のメカニズムは、身に付けた人間の怒りを受信・吸収する装置から爆弾本体へエネルギーを送り込み、それが一定量に達すると爆弾が起動すると言う仕組み。そしてエネルギー供給を効率良く行うべく端末をアクセサリー状にし、「怒りが収まるネックレス」と偽って町中で多数の人間達に配布し身に着けさせた。なお装置は一度身に着けると絶対に外れなくなってしまう。
端末を配布する際はアクセサリーショップの社長の化けの皮を被っていた。
ルパンコレクションを納める金庫は胸部にあり、暗証番号は「014」。
知性派らしく典型的な自信家で、自身の頭脳とそれから編み出した計画に絶対の自信を持っている。しかし計画途中の妨害に対しての対抗策は考えていなかったり、爆弾の設計図を別の端末に移して保存するなり見つかる前に証拠隠滅もせずにそのまま放置してしまったりと脇や詰めが甘い『うっかり』な所がある。
活躍
自身のアジトである廃墟にて爆弾を製造していた所、ペッカーの居場所を突き止めていたパトレンジャーの3人とノエルがアジトへと踏み込み、警察チェンジした4人と交戦。
犯罪技を全て弾かれてしまうが、冷静に周りを分析して計算して犯罪技をロッカーの方に発射すると勢い良く室内を跳ね回って咲也/パトレン2号に命中する。
「当たった当たった!ハハッ!“うっかり”には気をつけるんだなぁ?」と犯罪技が当たった事に喜びつつ、2号を嘲笑するとそのまま立ち去ろうとする。パトレンエックスは先程のペッカーの言葉に引っかかっていたが、2号は気にせずペッカーの後を追おうとするも犯罪技の効果で足元に転がっていたパイプに足を滑らせ転倒し、転んだ拍子に誤射したVSチェンジャーの銃弾が跳ねまわり、圭一郎/パトレン1号に当たってしまい、相手が混乱している隙に意気揚々とその場を後にした。
しかし、設計図はそのまま残されていた為、それを見つけたノエルはそれを持ち帰ってジム・カーターと分析することに。
その後、化けの皮を被って「怒りが収まるネックレス」と偽り、七つ星広場で装置を配り歩いていた所、先述の一件で圭一郎から説教を食らって落ち込む咲也を見つけるとネックレスのサンプルと偽って装置を手渡し、咲也は圭一郎とつかさの分も貰って国際警察へ戻り、「疲れが取れるネックレス」と嘘をついてそれを手渡す。
つかさがそれをすぐ遠慮する一方圭一郎は何の疑いもなくそれを着け、試しに咲也が「先輩が大事に取っておいたモナカ、あれ実は… 食べたの僕なんです!」と自白する(圭一郎の発言によるとヒルトップ管理官が食べたと咲也から聞かされていた模様)と圭一郎は「何っ!? 食べた事は百歩譲っても、誰かに罪をなすりつける根性が許せん!!」と背後に鬼の形相を浮かべた炎を燃やして咲也に迫るが、装置が反応して怒りの感情を吸収するとさっきまであんなに怒っていた圭一郎は一瞬で穏やかに。
驚くべき効果に咲也も早速装着したが、よくよく考えると自分はそんなに怒らない性格だから着けても意味が無いと装置を外そうとするが、全く外れない。力任せに外そうとするとまた犯罪技の効果でうっかり勢いで手を滑らせ、右手が圭一郎に命中。顔を机にぶつけた圭一郎はまた烈火の如く怒るが、装置の効果でまた穏やかになった。
その後、設計図の分析を終えたノエルとジム・カーターが怒りの感情を集めて爆発する爆弾とそれをエネルギーとして送信する装置の事をパトレンジャー3人に報告するが、咲也と圭一郎がつけたネックレスがその装置であることが判明。
緊急事態にノエルはジム・カーターと共にエネルギーを解析してペッカーの作った爆弾を捜索し、つかさは怒りやすい圭一郎とペッカーの犯罪技の効果でより足を引っ張りやすい咲也を待機させ、七つ星広場を中心にペッカーを探して爆弾の在り処を聞き出すことに。
何か役に立ちたいと咲也は近くにあったお茶で圭一郎を落ち着かせようとするが、椅子で足を滑らせて熱々のお茶を圭一郎にぶっかけてしまう。その様子見て何かに気付いたジムは、ペッカーが装置を渡している地区周辺を調べると温度上昇が確認され、怒りのエネルギーが送信の途中に熱エネルギーに変換されていると判明。
範囲は広いが確かな証拠を得たノエル達に圭一郎は爆弾捜索を任せ、咲也と共に自分たちも爆弾を捜索しようと七つ星広場へ向かう。
その頃、化けの皮を被って装置を人間たちに手渡していたペッカーだったが、コグレの情報を元にルパンレンジャーがそれを見つけ、魁利が投げたカードで化けの皮が破れてしまい正体が露見してしまう。
そのまま快盗チェンジした3人と交戦し、キツツキケンを使った剣術で対抗するが、ルパンレッドの放ったワイヤーが右足に巻きついて思い切り背中から転んだ隙を突かれてルパンイエローにダイヤルファイターを当てられて解錠、ルパンコレクションを盗られてしまう。
取り返そうとキツツキケンを振りかざすが、ルパンブルーにあれよあれよと追い込まれて、胸部に至近距離のVSチェンジャーの銃撃を浴びてダメージを受け、そのまま3人がVSビークルを使い快盗ブースト(レッド:スプラッシュバスター、ブルー:マジックアロー、イエロー:シザーシールド&ブレードブーメラン)、そのままトドメの一撃を叩き込もうとすると、ペッカーを探し回っていたパトレン3号がそれを阻止し、ルパンレンジャーにこの地区周辺の何処かに爆弾が仕込まれていると伝えていた隙に、ペッカーは羽を飛ばして反撃する。
一方、七つ星広場へ辿り着いた圭一郎達だが、安全な方法で済ませようと咲也が広場に人々に爆弾か仕掛けられているとうっかり呼びかけてしまい、案の定、聞いた人々は逃げ惑い、逃げる拍子にぶつかった人達が喧嘩し始めて逆に怒りを増幅させてしまう事態に陥ってしまう。
ペッカーは爆弾のメカニズムを解明した事を称賛するが、もちろん彼が爆弾の在り処を言うはずもない。
ふとレッドが「まあ、そりゃそうか。余程うっかりじゃなきゃな」と呟いた瞬間、何か思いついた3号が特攻を仕掛ける。ペッカーは咄嗟に羽を飛ばしてキツツキケンで応戦したあと、3号に向かって犯罪技を放つが、3号はシザーシールドを装備したイエローの後ろへ行くとイエローの左肘を勢い良く押して犯罪技を弾き返し、その一発が自身に命中してしまう。
「まさか、攻撃を跳ね返すとは…! これぞ……共鳴の法則? いや、エネルギーの法則? カルマの法?」と自身が受けた犯罪技の効果でうっかり何の法則か考えている隙に3号にVSチェンジャーを突きつけられ、「さぁ、爆弾を設置した場所を教えろ‼︎」と3号が場所を吐かせようとする。
それでも余裕綽々なペッカーは「教える訳が無いだろう。“月夜タワーに爆弾を設置した”など、この私が言うはずも無い」と流れるように爆弾の設置場所を言ってしまい、“うっかり”では済まされない大失態を犯す。
3号がペッカーに蹴りを入れた後、3号の連絡を受けた圭一郎と咲也は直ちに月夜タワーへと向かう。
「しまった! うっかり喋ってしまったぁぁっ!」と激しく後悔・混乱し、腹いせとばかりに3号に向かって猛攻を仕掛けてVSチェンジャーをキツツキケンで弾き飛ばし、蹴りを入れて壁へと打ち付ける。しかし3号の意志を受け取ったルパンレンジャーがペッカーを取り囲んで、そのまま快盗ブーストの一斉攻撃を放ち、逃げ場なく食らったペッカーは「この私があぁぁぁー!!」と叫んで敗北。
一方の咲也も、圭一郎の激励を受けて調子を取り戻したことで2号に変身。バイカー撃退砲も、発射寸前でペッカーが倒されたため、タワーに設置された爆弾の受信アンテナに狂いなく見事命中し、爆発まであと少しという所で未曾有の大事故は防がれた。
その直後、現れたゴーシュ・ル・メドゥに「怒りエネルギー爆弾の破壊力を見たかったのに…」と爆破が見られなかった事を残念がられつつ巨大金庫を施され、「うぉぉ…。これは素晴らしい化学反応だ!」と科学者の自身でも驚きつつ復活。
これにルパンレンジャーはグッドストライカーが来ない代わりにルパンマグナムをダイヤライズ、ロボモードに変形させたと同時にブルーダイヤルファイター、イエローダイヤルファイターと合体させ、ルパンマグナムスペリオルを完成。ペッカーはキツツキケン片手に戦うが、高い攻撃力を持つ相手に太刀打ち出来ず、ならばと犯罪技を放って反撃するが、ガトリング砲を喰らってしまってキツツキケンも手放してしまう。
そうしている間にペッカーの爆弾を手に持ったパトカイザーが到着、それ見たレッドはルパンマグナムに金庫を当てるよう指示、ルパンマグナムでペッカーの金庫を解錠し、ペッカーの金庫を叩いて体を回転させ、パトカイザーは咄嗟に爆弾を金庫へ押し込んだ。
状況が理解できないペッカーはヤケを起こしてそのままパトカイザーの元へと向かうが、「うっかりの恨み、宇宙まで届けっ!」と2号の掛け声と共に、パトカイザーの右腕のトリガーロッドで思い切り宇宙まで吹っ飛ばされ、最期はマグナムモードに変形したルパンマグナムの放った強力なエネルギー弾を撃ち込まれて爆散し、そのまま宇宙の塵と化した。
余談
仮に爆弾と装置が完成して配り終えたところで撤退していれば作戦は成功しており、爆発を見届けようとしたのが敗因と言える。
また、科学者でありゴーシュとは違う分野で組織に貢献していたと思われるペッカーの敗北は、結果的にかなりの打撃をギャングラーに与えたと言える。
名前はキツツキの英訳woodpecker(ウッドペッカー)と、ツェッペリン飛行船(※生みの親のフェルディナント・フォン・ツェッペリン伯爵の名から付けられた)から。このタイプの飛行船(ヒンデンブルク号)はかつて爆発事故を起こしており、それが爆弾を犯罪へ用いた事に掛けられている模様。
ギャングラー共通の骨の意匠は右手。
暗証番号は#36の放送日である「10月14日」、攻撃時の口癖は『Dr.スランプ』の則巻アラレの台詞がそれぞれ由来だと思われる。
演者の大堀氏は過去に『特捜ロボジャンパーソン』や『仮面ライダーディケイド』にゲスト出演しており、純粋な怪人は本作が初めてである。
キツツキモチーフの戦隊怪人はマイティ・モーフィン・パワーレンジャー(恐竜戦隊ジュウレンジャー)にてペックスターが登場していたが本家スーパー戦隊シリーズではこのペッカーが初となる。因みに、『烈車戦隊トッキュウジャー』に登場したビリヤードシャドーの武器のキツツキ系キューはその名の通りキツツキの意匠を持つ。
一方、仮面ライダーシリーズでは『仮面ライダー剣』のペッカーアンデッドと『仮面ライダーキバ』のシケーダファンガイアしかおらず、メジャーな鳥だが怪人のモチーフに採用されるのは意外と少なかったりする。
武器のキツツキケンは獣電戦隊キョウリュウジャーのデーボ・タンゴセックの喧嘩両成刃(ケンカリョウセイバー)をリペイントした物。
スーツはネロー・キルナーの改造。頭部・肩部以外のパーツはほぼそのままの形で流用されているが、リペイントでカラーリングが大きく変更された為一見すると分かりにくい。
以前のベルトが巻き付いた左腕と両足は金色、右腕は銀色に塗られたことでコードや機器が巻き付いたようなメカニカルな印象に変わり、遠目から見るとキツツキの足を表現していることが分かる。
また、クチバシ部分から出ている赤いコードはモチーフのキツツキの長い舌を表現しており、コード先端のボルトはエサの幼虫をイメージして盛り込まれたものである。
ルパンコレクションのモチーフは電磁戦隊メガレンジャーのデジタイザー。名前の由来はFrank Oceanの楽曲「Wise Man」を和訳したものと思われる。
彼が再登場した訳では無いが、彼のモチーフのキツツキが後に意外な登場で多くの視聴者の印象に残り、Twitterにトレンド入りすると言う珍事が発生した。
関連項目
快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー 異世界犯罪者集団ギャングラー ギャングラー怪人 みんなのトラウマ
イカリヅノー:数作前に登場する怪人で怒りのエネルギーを使い大爆発を起こす点において共通項を持つ。但し、ペッカーは爆弾にエネルギーを収束させてネックレスに仕込んだが、こちらは自身単体が爆弾となって暴れまわった。
バイタルのアドボルテG:8年前において、怒ると恐ろしい事が起こる仕掛けの装身具を一般人に配っていた怪人繋がり。
怒りの戦騎ドゴルド:怒りの感情をエネルギーに変えられる戦隊幹部怪人。上述のデーボ・タンゴセックの上司でもある。
ドーギュン:前作に登場した「組織一の科学者」と称される宇宙人。メカニカルなデザインで単眼、自身の能力や装置を使って大規模爆破を行おうしたなど共通点が多い。