「このピョードル様に、攻撃が当てれるかのぉ~?」
「みんな、よく来てくれたの。わしはこの道場、『武突参流古武術』の創始者… やぁっ! 小紫庄右衛門じゃ。よろしゅう頼むぞい!」
人間態の演者∶兼任
データ
身長/185cm(巨大金庫身長/46.3m)
体重/206kg(巨大金庫体重/515.0t)
犯罪歴/洗脳支配詐欺
犯罪技/武突参流古武術、ヒヨッ光弾
ルパンコレクション/「操作する~Le contrôle~」
概要
踊る様な動きの格闘術を得意とするギャングラー怪人。
ヒヨコに似た外見で、複数の毛玉が纏わり付いた大きな頭部が目立つ。更に頭部には赤いトサカが複数付いており、顔の真上にある嘴の様な部位も加えるとまるで雄鶏を背負っている様な外見でもある。
モチーフに因んで「ひよっひよっ」という笑い方をし、年寄りじみた古風な話し方をする。ルパンレッド曰く「ヒヨコのクセにおっさんみたいに喋りやがって」。
『武突参流古武術(ぷっさんりゅうこぶじゅつ)』なる犯罪技を独自に編み出しており、踊っているかの様な動きで敵の攻撃をいなして反撃する格闘戦が得意。
更に頭部の毛玉より光弾を撃つ『ヒヨッ光弾』も使える。
それに加えて、リコーダーのルパンコレクション「操作する~Le contrôle~」の力で他者を自身の言った通りに操作する洗脳能力を獲得。この能力は後述の潜伏時で役立つ他、戦闘でも敵が自身を追うのを止めさせる、勝手な動きをさせて相手の連携を崩す等して翻弄出来る為、汎用性が非常に高い。
これらの能力で両戦隊を翻弄しており、見かけはヒヨコなのに意外な難敵である。
ルパンコレクションを納める金庫は腹部にあり、暗証番号は「145」。
人間界では太鼓腹の中年男の皮を被って、武突参流古武術の創始者「小紫庄右衛門(おししょうえもん)」なる人物を名乗る。そして目を付けた人物を洗脳能力で強引に勧誘、自身のアジトである屋敷の道場に集めて武突参流古武術を学ばせる名目で高額な月謝を巻き上げていた。
しかし当然、目的はあくまでも月謝のみである為、真面目に武術を教えるつもりは無く、修行内容はレオタード姿でエアロビクスをすると言う何ともふざけた内容。勿論これに反発して退会しようとする者もいるが、そうした者へは再度洗脳が掛け直されるため、結局半永久的に金を搾り取られ続ける羽目となる(単に「金を持ってこい」とだけ命令すればいいのでは?とよく言われているが、単なる愉快犯要素でエアロビを足したのか、その真意は不明)。
活躍
経緯は不明だが冒頭でルパンレンジャーと交戦するも、得意の犯罪技で相手の連携を掻い潜り、「こう見えてわしゃ忙しいのでな、そろそろお暇させてもらうぞい」と余裕を見せたまま帰ろうとする。
それでも自身を追って来る透真/ルパンブルーにはルパンコレクションの力で「青いの。わしは帰るが、絶対についてくるではないぞい?」と命令して、その場で棒立ちになったブルーを尻目に、悠々と立ち去る。
その後は庄右衛門の姿で新たな弟子を勧誘していたが、嫌がる通りすがりのヲタ風の青年と揉めていた様を見かけて止めに入った透真を気に入り、「わしの道場に入門するがよい!」と洗脳してアジトである屋敷の道場へ連れ込んだ。
しかも道場では、何故か師範代になっていた咲也が現れ(褒められると調子に乗ってやる気を出す性格をまんまと利用された模様)、透真は訳のわからないまま、咲也と共に武突参流古武術の特訓と称したレオタード姿でのエアロビクスに励むことになる。
透「どう見てもエアロビクスだ!」
小「ちがう、これはエアロビクスではない、紛れもなく武突参流古武術なのだ」
透「はい。わかりました」
このシュール過ぎる状況、というより先輩風を吹かす咲也の態度に内心でイライラを募らせた透真は庄右衛門に退会届を出すが、再び洗脳を掛けられ元の木阿弥に。
そんなある日、誰かより電話を貰った庄右衛門は、咲也が国際警察の一員である事を知る(デストラかザミーゴあたりか?それとも言ってはいけないあの人か……? ちなみに庄右衛門が「陽川?……あぁ、咲也のことか」と反応しているため、電話の相手は咲也のことをフルネームでも下の名前でもなく名字で呼んだようだ)。
そして国際警察を壊滅させる計略を思い付いた庄右衛門は、咲也を呼び出し時限爆弾を仕込んだ重箱を「おはぎが入っている」と洗脳して持たせ(「この爆…いやおはぎが〜」と何回か口を滑らせかけており、危うく重さと時計の音で気付かれかけた)、国際警察に差し入れとして届けさせようとする。
だがその一部始終を覗き見ていた透真は、会話の途中で庄右衛門の腹部が金庫の形に光るのを目撃、庄右衛門の正体が先日戦ったギャングラー怪人だと気づいた。
すると背後から「で、どうするんだ?」と声が聞こえ、そこにはニヤニヤ笑う魁利・初美花・ノエルの姿が。最近の透真の様子に違和感を感じた3人はコッソリ道場に赴いて様子を窺っており、エアロビの訓練も、レオタード姿もしっかり見物していたのであった。
この上ない恥辱に顔を覆い、「殺せ……俺を殺してくれ…!」と口走る透真。
かと言ってこのままにしておけば、国際警察が爆弾で壊滅するのは必定。ノエルに「咲也くんを放っておいていいのかい?」と問われた透真は逡巡するも、脳裏に咲也の数々のウザい顔や台詞が浮かび、思わず「いいんじゃないか…」と言ってしまった。今回の透真にとっては庄右衛門に受けた屈辱<<<咲也から与えられたストレスなのであった。
結局見捨てるわけにもいかず、快盗姿になった透真は、咲也の前に現れ重箱をワイヤーで取り上げる。そして咲也をおびき寄せながら庄右衛門の屋敷へ戻り、「この重箱の中身が何なのか、自分の目で確かめろ」と屋敷へ重箱を投擲。直後に時限爆弾が大爆発して屋敷は火に包まれ、焼け出されて逃げてきた庄右衛門は、熱さに耐えかねて咲也の目の前で化けの皮を脱ぎ、ピョードルの正体をバラしてしまう。ここまで来て、ようやく咲也も自分が騙されていた事に気付いた。
咲「お師匠がギャングラー!?」
ピ「お主、よくもわしの家を燃やしおったな!」
咲「いや、僕じゃないです!」
直後、ノエルからの連絡でパトレン1号とパトレン3号が駆け付け、咲也もパトレン2号に変身して戦闘開始。しかしピョードルは怯まず攻撃をいなし切りヒヨッ光弾で反撃、更にはルパンコレクションの力で「お前たち!回れ、右」と命令してパトレンジャーの動きを妨害、そのまま巻き返し圧倒する。
しかし、この「言葉で相手を操る能力」を一通り観察したノエル/パトレンエックスは、ピョードルの口へXロッドソード十手モードを投げつけて口を閉じさせ、相手が言葉を発するのを封じる。その隙を逃さず透真が接近、押さえ込まれた上でダイヤルファイターを金庫に当てられ解錠、ルパンコレクションを盗られてしまう。
そしてその勢いでルパンエックスも含めたルパンレンジャーは快盗チェンジ。
月謝を巻き上げられ、レオタード姿で恥をかかされ、咲也のウザさでイライラが頂点に達していた透真は怒りを爆発させる。「お前だけは絶対に許さない…!」
「ルパンレッド!」
「ルパンブルー……‼」
「ルパンイエロー!」
「ルパンエックス!」
「快盗戦隊!ルパンレンジャー!」
いつもより一際低く凄みのある声で名乗りを上げ、怒りと屈辱を溜めに溜めたブルーを中心とした四人の連携に追い込まれ、さるぐつわ状態でボコボコにされた挙句、サイクロンダイヤルファイターとエックストレインファイヤー・サンダーをVSチェンジャーに装填して放った怪盗ブーストとルパンエックスの『スペリオルショット』が合わさって生まれたエネルギー円盤を喰らい敗北する。
その後、ゴーシュより巨大金庫を施され復活。これに対し同じくピョードルに騙されていた咲也の思いを汲んだ透真=ブルーは「行ってやれ、次はあいつが借りを返す番だ」と、ルパンエックスの取り出したグッドストライカーをパトレンジャーに託す。
1号「快盗、一体どういうつもりだ!」
グ「そうゆうこと言ってる場合じゃないんじゃない?」
1号「わかってる!」
それを受け取ったパトレンジャーはパトカイザーを完成させ巨大ピョードルと対峙。ここまでのいきさつを知らないパトレン1号はパトレン2号に「咲也!お前の武術修行の成果を見せてみろ!」と指示。2号は言われた通りに行動をおこすも、突如コクピット内でエアロビクスを踊り出し、何故かそれに連動してパトカイザーも踊り出す(グッドストライカーも「イェーイ!」とノリノリだったためグッドストライカーがパトカイザーを動かしていたのかもしれない)。
2号「どうだ?参ったか!」
3号「それが……古武術……」
1号「咲也、お前……何を習ってたんだ!?」
だがこれが攻撃になる訳も無く、むしろ無防備で隙だらけになってしまい、「ダメダメ、この足がなっちょらん!」と反撃されて転ばされる結果に。見かねたルパンエックスはエックスエンペラースラッシュを繰り出してピョードルを突き飛ばし、間髪入れずパトレンエックスにチェンジして、エックスエンペラーもガンナーになりガトリング砲で追撃を加える。
その間に「そんな……あの高額な月謝が無駄だったのか?」と、一体いくら巻き上げられたのかは知らないが、とにかくその被害額を思い起こして愕然としていた2号……だったが、
「…………ああーっ!! 師匠ォ―――!!」
即座にゴーグルに炎を燃やし、雄叫びをあげて立ち上がり、コクピットの1号にズカズカと詰め寄る。
2号「ううーーーっっっ!!!」
1号「何? 何!?」
2号「クレーンとバイク!!!」
1号「あっ、はい…わかりました」
たじたじとなってクレーンとバイクを差し出した1号からそれらを奪い取り、
2号「ウワアアアアア!!」
『クレーン! 位置について!よーい! 出動ーン! 伸・縮・自・在!』
2号「ウウウウウ‼ ウワアー‼」
『バイカー! 位置について!よーい! 出動ーン! 縦・横・無・尽!』
グ「パトカイザー ストロングバイカーに変わります!」
2号「絶っ対に許さない! 行くぞおおお!!」
1、3号「お、おー……」
たじろぐ1号と3号を尻目に、コクピットのセンターに陣取った2号は猛攻を開始。咲也の怒りが宿ったパトカイザーストロングバイカーによる両腕のクレーンとヨーヨー、クレーンから分離させたドリルも使ったエアロビの動きを応用した怒涛の連続攻撃(この際、巨大な咲也の幻影が現れた)の前には、さしものピョードルも防戦一方で青息吐息になる。
エ「凄まじいね」
最後はその勢いのまま『パトカイザーリフトアップストライク』を叩き込まれ「カンカンツイストケットント~ン!」と叫びながら爆散した。
(補足:「カンカン」「ツイスト」「ケットントン」はすべてエアロビクスの用語である)
結果的に透真を再洗脳したために正体を暴かれてコレクションを回収され、咲也に嘘の武術を教えたためにそれを応用したパトカイザーにボコボコにされるという、ギャングラーはおろか戦隊怪人でもトップクラスの自業自得な最期を迎えた。
戦闘後、落ち込む咲也に「気にすんな。いい感じでちょっと痩せた気がするぜ」とグッティがフォロー、それに圭一郎とつかさも乗った事で、咲也は少し怒りを晴らした。
その戦闘を見届け、「借りは返せたな、先輩」と咲也の心情を慮った透真だったが、魁利と初美花にエアロビクスを踊る形でからかわれ、あまりの恥ずかしさから「お前ら!……今日のことは忘れろ!頼む!忘れてくれ!」と必死に訴えるのだった。
余談
名前は格闘家のエメリヤーエンコ・ヒョードルにヒヨコの鳴き声と『踊る』を組み合わせた物。『en film』のウィルソンに続き、ファーストネームのみのギャングラー怪人である。
暗証番号も「1(ヒ)4(ヨ)5(コ)=ヒヨコ」の語呂合わせと思われる。
ギャングラー共通の骨の意匠は嘴。設定画では黄色から白色に変色する様なグラーデーションになっていたが、スーツは全部黄色に塗られている。
「小紫庄右衛門」「武突参流古武術」の由来はそれぞれ「お師匠」「プッサン(フランス語でヒヨコ・雛の意味)」だろう。
クラッシュブラザーズに次いで、工藤遙氏の怪人モチーフリクエストから誕生した怪人だが、最初はゾニック・リーのスーツが作られ、後にそれをリペイントする形でのお目見得となった。造形は当初無数のヒヨコが群がってニワトリに見えるようなデザインだったが、不気味に見えるということで個々のヒヨコの顔パーツをオミットしての決定稿となった。
前回のグリスト・ロイドに続く演者が人間態と声を兼任するギャングラー怪人で、累計では8人目となる。
なお、演じる深沢敦氏は東映の長寿シリーズとなった刑事ドラマ『相棒』のゲストキャラの一人てあるオカマバーのママ・ヒロコ役で出演していた経歴(そのため、同作のレギュラーキャラである伊丹憲一を演じた川原和久氏が『仮面ライダーディケイド』におけるアポロガイストでもあったため「アポロガイストVSピョードル」などと楽屋ネタに発展する事も)がある。…もうこの時点で嫌な予感がした視聴者もいるかもしれない。
特撮関連だと『仮面ライダー555』にも準レギュラー出演している。
ルパンコレクションの元ネタは、『恐竜戦隊ジュウレンジャー』の獣奏剣。説明文では「無頼」漢と言う言葉に元ネタのヒントが隠れている。
名前の由来はローラ・ブラニガンの楽曲「セルフ・コントロール」と思われる。
スーツは『警察戦隊パトレンジャー Feat. 快盗戦隊ルパンレンジャー ~もう一人のパトレン2号~』に登場したゾニック・リーの改造で、頭部が変更され上半身と両足は黄色くリペイントされている。このギャングラー怪人はパトレンジャーと因縁浅からぬ関係の為、劇中では「こいつ、ゾニック・リーに似ている!」「同族か?」と圭一郎とつかさに言及されるシーンがある。
初美花が思わず、(放送時間的な意味で)「見てはいけないものを見てしまっている」と呟いた程の、上述のレオタードの修業シーンは透真演じる濱氏と咲也演じる横山氏にとっても衝撃的だったようで、以前女装させられる羽目になった横山氏をもってして「女装よりヤバい衣装着ると思わなかった。」と言わしめ、濱氏に至ってはTwitterの自己紹介欄が「最近は宵町やってます。」から「レオタード俳優です。」に様変わりしており、レオタード同盟なるハッシュタグをつくってしまうなどかなり印象的だった様子。
また、Vシネクスト『ルパンレンジャーVSパトレンジャーVSキュウレンジャー』でも一瞬だが、レオタード姿が写っていたりする。
尚1時間前の番組では主人公の担任教師に第一子が誕生し、30分前の番組では物語が佳境に入り、心火を燃やすドルオタのロボットライダーが死亡するという生と死に深く関わる展開の直後に第11話を越えるカオス回が放送され、腹筋崩壊の地獄絵図と化したため、Twitterを始めネット各所では「温度差(落差)がすごい」「全部すっ飛んでいった」「涙腺返せ」「ある意味不謹慎」「テレ朝と東映に悪意を感じる」等、この日のニチアサが短時間での雰囲気の変容ぶりに驚愕する声が多発した。
一方で本作から関西地区では戦隊シリーズも高校野球の影響を受けるようになったためか、平成ライダー第1期で見られた「夏のギャグ回が戦隊で復活した」という意見もあった。
ストーリー内においてもこの話はルパンレンジャーの面々の心に深く刻まれたらしく、透真本人にとっても「黒歴史だ…。」と語るほどのトラウマと化している。しかし、透真本人の願いもむなしく後の話で様子がおかしい魁利を透真と共に尾行していた初美花が「もしかして、レオタード着て踊ってるかもしれないよ!」と発言したり、モノマネと称して魁利にネタにされるなど度々このエピソードが蒸し返されてしまっている。一方で、咲也の方は修行自体はノリノリで受けており、修行の内容よりも高額の月謝を騙し取られていた方にショックを受けていた。他のメンバーも落ち込んだ咲也を気遣ってこのエピソードを蒸し返すような事はしなかった。
ちなみに、最終回では警察に永久に監禁室に拘束されたギャングラー親分も、無力なまま生き延びることの屈辱から「出せ!さもなくば殺せ…!」と発言している。
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公式が病気※脚本が大和屋暁なのである意味しょうがない