予兆~Are you ready?~
その兆候は前々からあった。一海は第40話で高濃度のネビュラガスを注入され、ハザードレベルは大きく上がったものの敗北して変身解除に追い込まれれば即死してしまう身体になってしまう。ジーニアスの力ならその影響を打ち消す事も可能なのだが、せっかくのパワーアップを活かすために、敢えて戦兎の申し出を断る。「危なくなったらお願いする」という発言は、死亡フラグではないかと予感する視聴者も少なくなかった。
また一海は推しであるみーたん=石動美空に「カズミン」と愛称で呼んでもらいたがっていたが、彼女からの呼称はずっと「グリス」のまま。「カズミン」と呼ばれる時が、彼の最期なのではないか……そう考えた人もいたことだろう。
もっとも、劇場版に一海が登場することは決まっていたから、少なくとも本編中に死ぬことはないだろう、と楽観視するファンも一定数存在した。
しかし、劇場版は本編の後日譚ではなく、本編中の第45話と46話の間の出来事であると判明。いよいよ状況は予断を許さなくなったのである。
そして第46話の予告ではストレートに「グリス、最後の変身」と表示された。第46話といえば、過去作で演者の武田航平が演じていた人物が息を引き取った話数と同じであり、一海もまたこの回で終わりなのではないか?という声も挙がっていた。
同話のニセ三羽ガラスとの戦いにおいて、一海は戦兎から変身には絶対に使うなと釘を刺されていたブリザードナックルを使用し、禁断のグリスブリザードに変身。もはや後戻りはできなくなってしまい、次回に続くという展開になる。
どうにか第46話は生き延びたが……
なんという皮肉か、次週は高校野球全国大会のため放送休止であり、視聴者は一海の身を案じながら2週間(関西在住者であれば3週間)待たされることになる。
そして衝撃
翌47話、戦いを見守る美空の制止にもかかわらず、グリスはもはや助からぬ身と戦闘を続行。
「みーたんが最後の大舞台を見てくれるんだ。全力でカッコつけねえとなア!!」
子分の偽物を一掃し、その身体はついに限界を迎える。
消滅を目前にして、泣きつく美空の呼びかけは「グリス」のままであった。「最後まで、グリスかよ…」と落胆しかける一海に、彼女はついに真意を打ち明ける。
「当たり前でしょ!名前を呼んだらいなくなっちゃう気がして……だから呼べなかった 」
生きて欲しいという美空の必死の願いをよそに、「推しに看取ってもらえるなんて、幸せ者だな……あいつらに、あいつらに自慢してやんねえとな」と言い残し、とうとう消滅。
その後に美空が初めて「カズミン!」と呼んだのを、彼がこの世で耳にすることはなかった。
一つのエピソードが締め括られる際、いつもならフルボトルをシェイクするSEと共に、そのエピソード中で活躍したアイテムが表示されるのだが、この回では「無音でロボットスクラッシュゼリーが表示された後、背景ともどもモノクロになる」という演出がなされ、さながら一海への追悼であった。
展開上それなりの覚悟はできていた視聴者も少なくはなかっただろうが、それでもこの衝撃はすさまじいものであった。
ちなみに30分前の番組では主人公の担任教師に第一子が誕生するお話だったため、わずか30分で生と死に深く関わる正反対のエピソードが展開された。
しかし…
このような物悲しい展開の直後、次の番組では腹筋崩壊待った無しのチョケ回が放送され、ツッコミどころ満載のカオスぶりと先程までの温度差によって、それまでの悲しい雰囲気や余韻がさっぱりぶっ飛んでしまう視聴者が続出。
ただでさえ大きなショックが別のベクトルでそれを上回る新たなショックによってかき消されてしまうという別の意味での「ショック」も走る事態となった……
関連項目
内海成彰:こちらも47話での犠牲者。
幻徳ショック:元々はネタだったが、このショックの次週にガチのショックが起こってしまった。