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ここが甲子園の世界か…

ここがこうしえんのせかいか

甲子園の世界とは、関西圏に住む小さな子供たちの、細やかな夏休みの時間とお茶の間を破壊する世界。そしてクライマックスに向けて劇場版とともに加速していく仮面ライダーたちの戦いに立ち塞がる強大な『甲子園の魔物』だ。
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概要編集

朝日放送テレビ(ABCテレビ)が、毎年8月に阪神甲子園球場で開催される「全国高校野球選手権大会」(夏の甲子園)のテレビ中継を最優先させるため、ニチアサキッズタイムの放送をキー局のテレビ朝日より数日~最大2週間程度遅らせていることである。


始まりは90年代から編集

関西準キー局の朝日放送テレビは、夏休みが始まると、夏の甲子園が始まるまでの場繋ぎとして、2時間ほどアニメの再放送を行うのが恒例だ。しかし、夏の甲子園が始まれば無用の存在として雨天中止時の補欠(雨傘)にして、ことごとく子供の楽しみを奪った。


皮肉なことに、その子供たちのやりきれぬ思いの受け皿になったのは、同じく関西準キー局であるMBS毎日放送が当時まだ放映権(放送権ではない)を保有していた『仮面ライダー』であった。決まって放送されるのは一文字隼人が主役の旧2号編からで、90年代中期から旧1号も放送するようになった。


90年代末期は毎日放送が持っていた『仮面ライダー』(昭和ライダー)シリーズの放映権が順次石森プロに移管される時期になり、既にTBSの放映権が切れていた『ウルトラマン』が放送された。


昭和世代は甲子園世界はど真ん中ストライク世代だろう。

ライダーの放送が終われば学校のプールへ行くか友達とファミコンで遊ぶか自転車サイクロン号に見立て、脳内BGMに「レッツゴーライダーキック」を流しご町内を走り回った。

関西では夏の甲子園が終わるとどこからともなく井上陽水の「少年時代」が聴こえ少し早くなった夕暮れと飛び始めた赤とんぼに夏の終わりを感じるのであった・・・


2000年以降は編集

少子化によりMBSやABCに限らず朝の子供時間枠は順次ローカル情報番組やドラマ再放送に移行していった。

そんな中、2000年より平成ライダーがスタートし、ファン達と夏の甲子園との戦いが始まった。昭和ライダーの放映権が全て石森プロに移管され、放送局はTBS系からテレビ朝日系に復帰。しかし運命の悪戯により、大阪のテレ朝系はかつて昭和ライダーが駆け抜けた毎日放送ではなく、朝日放送になっていたのだ(この辺はややこしいので「MBS 腸捻転」で検索)。


また以前と違ってネットでの情報交換が発達したので関西人だけ内容についていけない、ネタバレを見せられるという苦行・基本的人権の侵害を受けることに。


幾多のライダーが時間枠変更の憂き目に遭う中で戦わなかったのは『電王』『ゼロワン』のみ。


平成一期編集

平成一期の作品は1月開始・1月終了だったため、夏の甲子園の時期はまだ中盤であった。

また当時は夏に本編があまり進まないギャグ回を挟むことも多かった。

これについて、『仮面ライダー龍騎』放送当時のスタッフコメントによると「夏の甲子園で見られない人や夏休みの帰省での見逃しを想定してこの時期は1話完結の話としているが、きちんと見てくれた人へのサービス回として美味しいネタを注入している」とのこと(参考リンク)。


仮面ライダーディケイド』では、『仮面ライダーBLACKRX』・『仮面ライダーBLACK(通称てつを回)の直後でストーリーも終盤にさしかかり、劇場版も公開されている最も展開が熱い時期に甲子園と戦わなくてはならなかった(余談だが、最初に時間変更のあった回門矢士は野球のユニフォームを着て登場していたため、何か意図的なものを感じると一部でネタになった)。


平成二期編集

仮面ライダーディケイド』は8月終了、そして平成二期以降の作品は9月開始・8月終了となったため、夏の甲子園の時期はストーリーも終盤でギャグ回が入れられることも無くなったことで事情が変わってしまった。

仮面ライダーW』、『仮面ライダーオーズ』、『仮面ライダーフォーゼ』は終盤かつ劇場版公開とほぼ同タイミングという同条件での戦いを強いられた。『仮面ライダーウィザード』から『仮面ライダーゴースト』までは9月終了・10月新作開始となり、終盤ではあるものの最終回からは少し遠くなった。『仮面ライダーエグゼイド』以降は再び8月終了・9月新作開始となり、『ディケイド』の時と同様の状況となった。


夏の甲子園が第100回の記念大会となる2018年夏季では、開会式が行われた8月5日に限り、関西を含めた全国において『HUGっと!プリキュア』が編成上の都合で休止になり、開会式の時間と重なる『仮面ライダービルド』(9:00〜9:30枠に移動済)も休止になった。虚々実々な下克上戦が続いた末に大阪桐蔭が優勝し金足農業が準優勝した2018年は、いろんな意味で伝説になった「第100回・記念大会」になった。

今週は仮面ライダーお休みセンシティブな作品

なお、この甲子園の魔物との戦いを長年の間免れていたスーパー戦隊シリーズも、9:30〜10:00枠への移動に伴い、2018年放送の『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』より関西地区限定で時間枠変更の憂き目に遭うハメになった(※前述の8月5日も休止・移動。ただその煽りで、翌週の前座2枠での衝撃展開の後にルパパトの最強エアロビ回同時放送される事態はある意味回避された)。


2019年夏季、『仮面ライダージオウ』では台風10号による試合スケジュールの変更から、関西以外では最終回放送日である2019年8月25日に「最終回の1つ前の回」を放送、翌日の26日に「最終回」を放送することになった。仮面ライダークウガ』から始まる平成ライダーの最終回にもかかわらず、それを関西では平日に放送するとはこれいかに。


令和シリーズ編集

  • 令和ライダー最初の作品である『仮面ライダーゼロワン』と放送時期が重なる2020年夏季では、東京オリンピックの開催スケジュールと調整することになり、高校野球は8月10日開幕を予定していた。ただし、この年はCOVID-19の感染流行を受け、オリンピックは1年延期、高校野球は甲子園で行われる全国大会のみが中止(地方大会は各自で実施)。その代わり春の選抜高校野球大会の代替試合(各チーム1試合ずつの交流試合)を同時期に甲子園で開催・朝日放送で中継する事になったが、第1試合が10時開始となったため8月16日の時間枠変更はギリギリ回避された。

  • 雨天順延が連発した2021年夏季では、『仮面ライダーセイバー』が8月15日の第46章を放送延期。この日の第1試合も雨の影響で試合開始時間が遅れたが、なぜかニチアサを放送せず11時までグラウンド整備の映像又は前回(2019年)の決勝戦を流すという前代未聞の暴挙に。関西のニチアサファンを涙目にさせるのであった…。第46章・最終章の放送は平日の8月27日午後に振り替え。

豪雨 in 関西

    • ちなみに『機界戦隊ゼンカイジャー』のほうは、試合日程繰り下げの煽りを受けまくった結果、8月15日の23話は平日の8月27日午前に振り替え、22日・29日の24・25話はそれぞれ1週遅れ、9月5日の26話は玉突きで30分遅れて開始となり、この結果9月をまたいでも遅れが解消されない事態になってしまった。

  • 2022年夏季の『仮面ライダーリバイス』では例年通り「2週遅れ」となったが、8月21日は休養日で試合が組まれていなかったため、『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』共々「日曜日に2話一挙放送」の放送スケジュールが組まれた(その放送スケジュールというのも9時からリバイス47話、9時30分からドンブラ23、24話、10時30分からリバイス48話を放送するという謎スケジュールであった)。残るリバイス49話とドンブラ25話は平日の8月23日午前に振り替え。

毎年恒例の


  • 2023年夏季は後述の2018年の時と同様「記念大会」となる第105回大会。『仮面ライダーギーツ』は8月6日が開会式の時間と重なるため、関西を含めた全国で放送休止になった。

今週の仮面ライダーギーツはお休み。


  • 2024年夏季『仮面ライダーガッチャード』では「1週遅れ」となったが、最終回が8月26日月曜日に放送される事態となった。8月11日の48話は休止、18日に48話、25日に49話、翌26日に最終回が10時25分から放送となった。


配信での先行視聴編集

2023年3月5日の『仮面ライダーギーツ』第25話以降および同日放送開始の『キングオージャー』をもって、スーパーヒーロータイムがABEMA・TVerでの見逃し配信に対応。

本放送より30分の遅れはあるものの該当地域ではテレビ放送よりも先行して視聴でき、甲子園期間中もほぼリアルタイムで追いかけることができるようになった。

『仮面ライダーガッチャード』以降は全話ABEMA・TVerでの見逃し配信に対応している。


このほか編集

それ以前からおジャ魔女どれみシリーズなどの8:30〜9:00枠のアニメも戦っており、2004年以降はプリキュアシリーズの面々が戦列を担当する事になる。→製作局が遅れ放送という怪奇現象


メタルヒーローシリーズがニチアサで放送されていた1990年代は、テレビ朝日制作だった本シリーズは振り替え放送が無く、休止された回はそのまま飛ばされていた。


長らく金曜夜に放送されていたドラえもんクレヨンしんちゃんも、2019年10月改編から土曜夕方への移動が決定し、試合日程や番組編成次第だが2020年より関西限定で長年無縁だった甲子園の餌食になった。移動初年度である2020年は両番組共移動、休止を免れるも、2021年以降は…。


なぜこのようなことになるのか編集

全国高等学校野球選手大会、いわゆる夏の甲子園は朝日新聞社が主催のため、甲子園球場のある兵庫県を含めた近畿広域圏を放送対象地域とし、朝日新聞社(会社登記上の本社は大阪府)が筆頭株主となっている朝日放送が1回戦から決勝まで生中継を実施している。全部NHKでよいじゃないか、という話もあるが、そこは年寄り(大人)の都合だ。朝日新聞社主家の村山家が神戸にあるため、テレビ朝日で中継を終えても朝日放送では終えられないという噂もある(村山家の先々代当主が第一回の始球式を投げた)。

なお、かつてはテレビ朝日でも中継を行っていたのだが、現在はTOKYO MXなど各独立UHF局による中継となっている。というか関西でも各独立U局が一部試合を放送している上に、テレビ和歌山に至っては完全中継をしている。

NHKではCM無しで生中継が見られるため、ABCもCMを右隅に流す。


実は、毎日新聞が主催する選抜高等学校野球大会(春のセンバツ)の試合開始は朝9時ごろだったりする。とはいえその間、毎日放送ラジオは通常放送を止めて試合中継を行っていたりする。

出場校は夏の甲子園は基本的に49校、春のセンバツは記念大会でも最大36校と、春のセンバツの方が出場校が少ない(=試合数が少ない)のもある。


実は編集

実のところサンテレビのプロ野球阪神戦のリレー中継利権を保持するため、高校野球で同局とのリレー中継体制を維持しているという説も存在するが真相は不明である。なお、この時期に甲子園球場を占拠されるのは、サンテレビの放送の生命線とまで言われる阪神タイガースが長期に渡って本拠地を使用できない通称「死のロード」を味わうことで不調に陥ることが多く、案外迷惑な話である。

しかし近年は移動手段の高速化、宿泊施設の快適化と大阪ドームの準本拠地化により死のロードとは言われなくなった

斎藤佑樹田中将大の投手戦で近年の名勝負と言われた2006年の第88回大会決勝再試合の早稲田実業対駒大苫小牧の視聴率についてであるが、関西地区での視聴率はNHKとABCでそれぞれ15%強と拮抗している。関東や名古屋地区では大きくNHKが視聴率で勝っていることを考えれば未だにABCの力は強いとも見れるが、平時においてはNHKがABCを上回る年が増加している。


2015年には決勝戦中継においてテレビ朝日が中継を降りるという事態になった。ここに深く関わっているのがスポンサー関係でおり、ここがローカルセールス枠になったことで枠の維持が困難になったといえる。

逆に言えばこれは今まで高校野球中継を支えてきたスポンサーの力も弱まっているということである。NHKの視聴率が例年に比べて落ちているというものでもないことを考えると、長らく民放で放送してきた体制に歪みが生じているとも言える。

元々ABCの甲子園中継を支える最大のスポンサーは住友グループが担ってきたのであるが、近年は三井住友銀行日本製鉄(旧:新日鐵住金)を筆頭に、他グループとの合併を行う企業が増加し、財閥以来の結束力が歪むばかりか、合併を機に東京に本社を移す企業も続発している。

このような状況下で住友グループが一体となって支えてきた甲子園のスポンサー業務も1995年に撤退し、以降は関西基盤の企業を中心に複数社が支えてきたものの、元々関西以外に大きな営業拠点を有さない地銀や、大手企業の関西支局などが中心のため、次第に全国規模のCMを提供し続けるメリットが減衰しつつあった。ローカルセールス枠へのチェンジにより、ABC以外でのこれらの会社のCMが地元の別のCMに差し替えになる事態も相次いでいる。


地方局での再放送と高校野球の予選編集

地方局の再放送に関しては、平日夕方やゴールデンタイム枠と言う事もあり、高校野球の予選と時間が大きく被ることはない。唯一のネックは、試合結果のダイジェスト番組位であり、これによって放送時間がずれる一例もわずかに存在する。深夜アニメUHF局でも放送される前は、ダメージと呼べるような物はなかったのだ。

(ダメージと言う意味では、JRAの競馬中継。地方局ローカル枠が予選中継で中止となる為、スカパー!等に加入していない場合は民放で放送されるメインレースしか視聴できない事になる)


関連イラスト編集

甲子園デザトリアン甲子園の世界2011

甲子園の世界2012センシティブな作品


関連項目編集

甲子園

ニチアサキッズタイム スーパーヒーロータイム

仮面ライダー 平成ライダー 令和ライダー

プリキュア 令和プリキュア

毎日放送(MBS) 朝日放送(ABC)


おじゃる丸 忍たま乱太郎:NHK教育の10分アニメ。2021年度までは連続で放送され、2022年度からはそれぞれ枠移動したが、後者だけ枠移動前、移動後も高校野球で潰される事が多かった。


ラブライブ!スーパースター!!:上記の2作品同様NHK教育で放送されていたラブライブ!のシリーズ。第1期は第4話が雨天の影響で高校野球の試合開始が遅れてしまったため放送休止になるのではないかと騒がれたが3時間以上遅れて無事放送された。また、ネット上では一時期ラブライブが急上昇ワードになった(参考リンク)。


全米オープンゴルフここがゴルフの世界か…

全日本大学駅伝ここが駅伝の世界か…

世界卓球:こちらはテレビ東京の類似事例。

大相撲:NHKでの類似事例。中途半端な采配である番組の最終回録画を台無しにされた人が相次いだ他、1993年度は開催期間中において、ポコニャン!が放送休止となった。


テレ玉プロ野球(主に西武ライオンズ)試合日に夕方のアニメ時間帯と被った際に「マルチチャンネル機能」で当該番組を潰すことなく試合中継を行っている。高校野球にもこれを導入すれば本記事の事例は解決出来るのだが・・・と思われた中、別の球場で行われている試合を放送するという逆の発想でマルチチャンネルを採用している。

直通特急:三次元での高校野球による実害が存在し、人によっては本記事の事例と両方喰らった人もいる。こちらも解決策はあるが、実現に至っていない。

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