概要
現在は年に6場所(奇数月に15日間)が行われている。東京での常設の競技施設として両国国技館(國技館:東京都墨田区)が設けられており、1月・5月・9月の3場所行われる他、3月は大阪府立体育会館、7月は愛知県体育館、11月は福岡国際センターにて行われる(大阪府立体育会館と愛知県体育館は、施設命名権が付与されているが、大相撲中継がNHKで行われる関係上、命名権行使が法令違反となる為、一時的に正式名称に戻される。
歴史
プロ格闘技団体としては前身含め300年以上の歴史を誇り、非常に伝統のある競技であるが、伝統が有りすぎる故に極めて保守的、閉鎖的と指摘されてきた。
興行、伝統、格闘技等様々な面から問題点が指摘されるが、近代的な格闘技・スポーツ団体と比べると「無差別階級のみ」「セカンドキャリア支援の不足」が指摘され、伝統・宗教的な点からは「土俵女人禁制」「住み込み部屋制度」等がしばしば問題に上がる。2010年の野球賭博問題、2011年の八百長問題が発覚し、存続の危機まで持ち上がってきた。特に大相撲八百長問題からしばらくは「後楽園ホールで十分」と揶揄されるほどの客入り不足にあえいでいた。
しかし、ライト層へのファンサービスの充実、若手の台頭もあって、相撲人気がプロ野球を上回るほど完全復活。2017年の稀勢の里の昇進で17年振り4横綱になると前売りが即日完売になった。
稀勢の里・日馬富士が引退した2020年以降、残りの白鵬・鶴竜も休場しがちとなり、翌年鶴竜が引退。照ノ富士が横綱昇進するも、怪我で休みがちになっているので、誰が幕内優勝するのかわからない面白い展開となっている。
角界の体質の変遷
かつて大相撲は「勉強をしない子や不良、貧乏な家庭の子が入門するところ」と相場が決まっており、どこか蔑視の目で見られることがあった。また、昭和時代には暴力団との交際や不倫、賭博や八百長は当然というレベルで蔓延していた。
しかし大相撲八百長問題を乗り越えた相撲ファンは多少の不祥事では動じないほど達観した心で相撲界を愛するようになり、大抵の相撲ファンは大相撲の醜い部分を知った上で大相撲を愛していると言っても過言ではない。
もっとも、近年では上記の問題点も幾分か改善されており、特に八百長に関しては2020年代になると大関昇進パーティーや結婚披露宴の祝儀に勝ち越しを手配する人情相撲すら許されなくなり、御嶽海に至っては昇進パーティを待たず大関から陥落しているぐらいの「ガチンコ全盛時代」になっている(参考1、参考2)。
また、現代においてはアマチュア相撲から下積みをしている入門者は、子供のころから並外れた量かつ栄養を考えた良質な食事を摂取しているため、寧ろ有望な入門者の家庭は必然とお金持ちの家庭の子が多い傾向にある。
昭和期までは「学歴不要論」が根強い世界で中卒での入門が当たり前で、長年「角界入りは大卒より高卒、高卒より中卒が有利」と信じられてきた。中には中学生で力士になり、中学の勉強をしていると兄弟子に小突かれる新弟子まで普通にいた。
しかし現在では、中卒者が入門するとき通信制高校に入学させる相撲部屋もある他、入門後力士を半年間教育する『相撲教習所』はNHK学園高校のスクーリング会場や自立就職支援相談室の窓口となっている。
かつて相撲部屋の弟子は部屋の師匠の所有物に近い扱いで、極論を言えば師匠が自由に弟子を強制引退させることができた。このことから弟子の強制引退を巡るトラブルが角界で続出し、後に協会が師匠による強制引退のガイドラインに相当する、全力士が協会への提出を求められる誓約書にある条項を明記したことが、2017年12月に報道された。