概要
廻しを取って強く引き付け、上からのしかかるようにして相手の膝を土俵に付かせる技である。
「鯖折り」の名称は、技を掛けられた力士が「活け締めにされるサバの、首を折られた時の姿」に似ているところからついた。
サバは「生き腐れ」の異名を取る程鮮度の落ちが早い魚であり、冷蔵技術の未発達だった時代には鮮度を保つ目的で、釣り上げたその場で首を折って血抜きし、活け締めにされる事が多かった。
(鹿児島県の屋久島で水揚げされる、首を折り一瞬で血抜きを行い氷水で冷やしたゴマサバを『首折れサバ』として売り出している。)
この技をかけられた場合、腰や膝に大きな負担がかかる為、小中学生等の大会では禁止される傾向が強い。
事実大相撲昭和61年(1986年)5月場所8日目、当時大関昇進を目指していた小錦が対戦相手の北尾に取り直しの末この決まり手で敗れたが、その際に両者合わせて400kg以上の体重が右膝にかかり複雑骨折してしまった。翌日から休場を余儀なくされたばかりか、その後の相撲人生に大きく影を落とすこととなった。
ベアハッグとの相違
ベアハッグとの混同が多く見られるが、ダメージを与える意味合いが違う。
鯖折りは腰をそらすことによって相手の抵抗を削ぎ、そのまま下に落とすことにより膝をつかせるのが目的。相手が膝をつくことを拒んで立った状態を維持すると、相手が覆いかぶさって腰に相手の体重がかかる。
ベアハッグは腰を強く引き付けることにより腰にダメージを与えるのが目的になる。
つまり、ハグした状態でたかだかと吊り上げる状態はベアハッグではあるが、鯖折りではないのである。
そのため、鯖折りは技の掛け手の体重を、ベアハッグは掛けられる側の体重で負荷がかかるため、仕組みが異なる。
Pixivでも鯖折りタグが付けられているイラストはほとんどがこのベアハッグである。
このような混同が発生したのは、相撲の鯖折りが珍しい決まり手なので認知度が低いのに加えて、エドモンド本田の鯖折りが原因であろう。
なお、ベアハッグは「熊式鯖折り」と言う別名があるとされるが、非常にマイナーな上にどこから来たのか不明である。
「熊式鯖折り」で検索して表示されるのは、ほとんどがwikipediaの引用と思しき記述であり、実際の所本当に呼ばれていたのかは定かではない。
wikipediaでは2006年に「ベアハッグ」の記事が作成された後、2009年になってこの記述が記載されているが、同編集では「ベアハッグはサバ折りの応用技」というこれまた胡散臭い記述も記載されており(こちらは現在では削除されている)、でっち上げという可能性もある。