概要
「熊(Bear)のハグ(Hug)」の意。熊式鯖折りとも呼ばれる。
格闘技などで使用される技の一つ。
相手の胴体を捕まえて力任せに締め上げるという技で、相手の背骨・肋骨や腰等にダメージを与える。
怪力をアピールする、エスケープを難しくしより多くのダメージを与える目的でそのまま相手を腰の上に乗せるように持ち上げて揺さぶる場合もある。
弱点としては相手の両腕がフリーになるためにチョップ等の打撃技(悪役レスラーの場合は目潰しなどの反則技で反撃する事もある)、身長差によっては頭突き等で頭部や首に反撃が可能な事。
これを防ぐため、相手の腋の下に頭を通すような形や相手の胴体側面に顔が付くような格好に変形する場合もある。
見た目が似ているため、相撲の鯖折りと混同される事が多いが、鯖折りが上から体重をかけて土俵に膝を付かせるのが目的の技なのに対し、ベアハッグの方はベアハッグからテイクダウンする事はあっても、押しつぶすように力をかけるという事はあまり無いため厳密には別の技である。
プロレスにおけるベアハッグ
力任せに締め上げるという単純な技故に、かなり古い時代の格闘技・レスリング系競技で使われており、発祥は定かではない。
近代プロレスにおいては(加えて、「ベアハッグ」という名称を使用したのは)ジョージ・ハッケンシュミットが元祖と言われている。
1800年代末~1900年代初頭に活躍した選手のため技をかけている写真や試合の映像等は残っていないが、あまりの怪力に一度かけられると脱出不能だった。1時間でも2時間でも相手がギブアップするまで締め上げるスタミナの持ち主だったというエピソードが残っている。
ハッケンシュミットはエストニア出身で、その地方では挨拶のハグをかなり力強く行うという風習があり、その事から熊の抱擁=ベアハッグと名付けられたようである。
ベアハッグという名称でプロレス技として定着してからは、怪力レスラーや巨漢レスラーが得意技として使用している。
前者としては無尽蔵のパワーとタフネスで「人間発電所」と称されたブルーノ・サンマルチノ、後者としては「人間山脈」「大巨人」と称されたアンドレ・ザ・ジャイアント等が有名。
昭和プロレスの時代にはこの技をかけられてどう逃れるか?または逃げられずにそのままギブアップするか?という所が見どころになっていたが、時代が下って派手で見栄えのする技や複雑な技がレスラー・観客双方に好まれるようになっていくと徐々にこの技で時間が使われる事が減った。
アイアンクロー、キーロック、ボディシザース等と並んで「昭和の時代にはフィニッシュホールドになり得たが、現在はほぼつなぎ技としてしか使われない古典技」扱いされるようになった。
創作におけるベアハッグ
上述のような流れで定着した技である事から、プロレスラーもしくは大男、大女系のキャラクターが使う事が多い。もちろんクマなら大得意である。
格闘ゲームでもプロレスラーキャラの基本的な投げ(つかみ)技として使われるが、大抵の場合レバガチャで少しダメージが増やせる程度で性能的には地味な傾向が強い(ごく初期の格闘ゲームの場合、CPUレベルに連動してCPUが仕掛けてくるレバガチャ技のダメージが激増してしまうという事は無くはないが)。
また、ロボットものでは『鋼鉄ジーグ』が必殺技「ジーグブリーカー」として使用している。ジーグの持つ「マグネットパワー」を全開にして相手を吸引し、ベアハッグのような姿勢で相手の胴体を捉え、そのまま粉砕してしまう。
ロボットものでは非常に珍しいタイプの必殺技で、スパロボシリーズ等でも度々ジーグの必殺技扱いで登場する。パロディ技として、「〇〇ブリーカー」という名称で使用するキャラクターもいる。
こうしたことから、ベアハッグ状態のイラストにジーグブリーカーのタグが付いている場合もある。
また、相手を腕で締め上げて動けなくするという技である事から、pixiv上ではリョナ関連のイラストで使用されている事も多い。