パイルドライバー
ぱいるどらいばー
親記事のページ始めでも言っている事ですが、プロレス技と言うモノは素人が軽い気持ちで行うと、命すら奪いかねない非常に危険な技だらけです。絶対にマネしない事!!
日本語名称としては、脳天杭打ちと呼ばれる。
基本的には相手の頭を下にして抱え上げ、(腕と太ももで体を挟んで固定し、)垂直に投げ下ろす技。
派生技もいくつかの種類があり、それぞれに名前がついている。
元祖には複数の説があるが、ルー・テーズが開発した「テーズ式パイルドライバー」を「元祖パイルドライバー」とする説が有力である(が、テーズのパイルドライバーはパワーボムの原型となったものである。ついでに言うとテーズはパイルドライバーを嫌っていたが、理由は不明)。
総合格闘技では、美濃輪育久がパンクラスの試合で「ドリル・ア・ホール・パイルドライバー」のように抱え上げて、「ツームストーン」のように前に落とす形で使用したことがある。
俗に言うまんぐり返しは (夜の)プロレスなだけに パイルドライバーが由来なのでは?という声もあるが真偽はもちろん不明。
ドリル・ア・ホール・パイルドライバー
もっともポピュラーな形で、単に「パイルドライバー」や「脳天打ち」と言えば大体この技を指す。
相手に正対して立ち、前に屈ませた相手の頭部を両方の太ももではさみこみ、相手の胴を抱え込むようにクラッチして持ち上げ、そのまま脳天から垂直にマットに叩き付ける。
ほとんどのレスラーは痛め技として使っているが、バディ・オースチンやバディ・ロジャースなど50~70年代初頭で活躍したレスラーはフィニッシュホールドとしているほか、最近では曙太郎がフィニッシュホールドにしている。
仕掛ける際に跳び上がり、落下の勢いを加えて叩き落す強化版は「ジャンピングパイルドライバー」とも呼ばれる。
後述するテーズ式を除く全てのパイルドライバー系の技の元となった技。
最初期のパイルドライバーであるオースチン式は、相手の胴を抱えず、相手のパンツを引っ張り自らは後ろに倒れ込むというスタイルだった。
使い手で名前の由来でもあるバディ・オースチンは、1958年に、この技で若手レスラーを2人死なせて「Killer(殺し屋)」の異名を得たという伝説がある。
もっとも、これは箔付けのために創作された「ギミック」、いわゆる触れ込みというのが真相で、実際に彼のパイルドライバーで人死にが出るリング禍が起きた記録は無い。オースチンが活躍していた時代はまだ情報メディアも未発達で、恐怖と共にその名を轟かせる宣伝目的で、こうした大げさな逸話が考え出されたようだ。
パイルドライバーの受け身の取りづらい姿勢に固めて、体重を乗せ、頭から叩き付けるという見た目のインパクトは強烈で、イメージ上でも現実でも、強力かつ危険を伴うプロレス技の一つに挙げられる。
ただし多くのプロレス技がそうであるように、適切なかけ方をすることである程度の安全性を保ちながら派手な技として魅せることができるよう工夫されている。
パイルドライバーの場合、相手の首や頭がマットに直撃しないよう投げる側の脚で衝撃を緩和できるような構成になっていて、ダイナミックでありながら技巧を要する技でもある。この点でも、そうした技術を持たない素人が軽々に真似てよいものではない。
ツームストン・パイルドライバー
ボディスラムの要領で相手を逆さまに抱え上げて頭部を膝の間に挟みこみ、そのまま両膝を曲げた状態で落下、膝をつくと同時に相手の脳天をマットにたたきつけるパイルドライバー。相手の体の向きがドリル・ア・ホールとは相手の体の向きが逆(互いの腹が向き合う)。現在は抱え上げてから一度、持ち方を変えて相手の胴を抱く形にし、ジャンプして叩き付けるタイプになっている。
その形から別名「墓石落とし(はかいしおとし)」の他、歴代のブラック・タイガーも使用していたことから「暗闇脳天落とし」とも呼ばれる。
イギリス発祥といわれビル・ロビンソン、ダイナマイト・キッドなどの欧州系レスラーはもちろん、初代タイガーマスクやアンダーテイカーなどが得意技もしくはフィニッシュホールドとしている。
日本勢だとオカダ・カズチカがフィニッシュホールド『レインメーカー』のつなぎとして使用している。
メキシコのCMLLやアメリカのWWEなど、海外ではこの技を禁止にしている団体も多い。海外では日本よりリングのマットが固いこと、有名どころのレスラーにも負傷者が出ていること、メキシコでは素人相手にレスラーが使用して病院送りになった事件が起きたことなどが影響しているようだ。WWEではアンダーテイカーやケインのみ使用が許されているため、「禁じられた大技を放つ」という雰囲気作りの一環にもなっている。
「大巨人」として知られたアンドレ・ザ・ジャイアントも、「モンスター・ロシモフ」と名乗っていた時期にはこの技をフィニッシュホールドとして使用していた。しかし、1972年にカナダ・モントリオールで行われた試合でこの技を使い、「密林王」ことターザン・タイラーの首を折ったのを切っ掛けに封印している。実際の負傷は頸椎の損傷で、それでも医者から『プロレスラーとしては再起不能』と申告された程の重傷であった。翌1973年にタイラーは奇跡的に復活を遂げたものの、この出来事が切っ掛けで往年の勢いは失われ、プロレスラーとしての寿命が縮んだと言われている。
アンドレが新日本プロレスに戦場を移した頃にも、試合でエキサイトした余り、前述のドリル・ア・ホール・パイルドライバー、それもオースチン式の方をアントニオ猪木やキラー・カーンに見舞った事がある。
ゴッチ式パイルドライバー
ゴッチ式と付いているがカール・ゴッチ自身は使っていない。
掛け方はドリル・ア・ホールと同じだが、相手の足の付け根で両手をクラッチしている点で異なる。ゴッチ曰く「相手の足の付け根に両腕を回すことによって、体勢が崩れずに相手の脳天を垂直に打ちつけることができる」とのこと。これは胴に手を回して持ち上げ体勢が崩れた場合、無理に技を続けると相手の首が前に突っ込むように落ちてしまい頸椎を損傷しやすいことを防ぐ意味もあるのだという。
この技を最も得意技としている鈴木みのるは、アマレスの「がぶり」を切るクラッチの一種で「テコの原理」をもちい、重い相手でも持ち上げやすいからこの形を使い始めたと解説している。実戦では日本人レスラー最重量の浜亮太【公称182kg】にも鮮やかに決めてみせた。
リバース・パイルドライバー
相手の頭を前にしたうつぶせ状態にして肩に担ぎあげたあと、頭を下に向けて胴体を両腕で抱え込んで、尻餅をつくようにしながら落とすパイルドライバー。分かりやすく言えば相手の身体の向きはツームストーン・パイルドライバーと同じで、落とし方はドリル・ア・ホール・パイルドライバーと同じになる。
この技はその形そのものからして受け手の首に与えるダメージを逃がすことが出来ないため、同じ体勢から放つツームストン・パイルドライバーと比べ、それ程見栄えもしない割に危険性だけはやたら高く、WCWに遠征していた蝶野正洋が同型の技を期使用していたスティーブ・オースチンから(蝶野いわく「変なパイルドライバー」)喰らって頸椎を痛めたほか、後年オースチン自身もオーエン・ハート(ブレット・ハートの弟)に同じ技を喰らって頸椎に重傷を負った。
スタイナー・スクリュー・ドライバー
略して「SSD」。相手をブレーンバスターの要領で抱え上げてからリバースの様に落とす。
スコット・スタイナーが元祖であり名称もそれに由来するが、現在はスコット本人は使用しなくなっている。
「最も危険なパイルドライバー」と恐れられており、危険度はリバースを軽く超え、スコットが使えば死人が出てもおかしくないレベルとまで言われる。日本では石井智宏が「イシイ・ドリラー」の名前でまれに使う。また獣神サンダー・ライガーも一度だけ使用しており「ライガードライバー」と呼ばれた。
みちのくドライバーⅡ
TAKAみちのくのオリジナル技。ボディスラムの要領で逆さまに持ち上げた相手を、自身が尻餅をつくように開脚ジャンプした勢いで垂直、もしくは前方向に叩きつける。
通常のパイルドライバーのようなタメを必要としないスピード感あふれるスタイリッシュなムーブと、相手の技量に合わせて落とす角度をコントロールできる柔軟さから人気を博し、派生技も含めて多くの選手が愛用するようになり、北尾光司も「キタオドリラー」の名称で使用していた。開発者本人が主催するJust Tap Out出身レスラーにも複数名使用者がいるが、正式名称での使用はTAKAからの直伝を受けた者にのみ許される特権となっている。
技名がみちのくドライバー「Ⅱ」となっているのは、過去に使用していたみちのくドライバー(こちらはクロスアーム式のジャンピングボム)が女子プロレスラー堀田祐美子の得意技であるピラミッドドライバーと偶然形が被ってしまったため、他選手と同じ技をフィニッシュホールドにすることを嫌ったTAKAが技を封印し、第二の技として新たに開発したという経緯から。
TAKAの国外マットでの活躍により非常に高い知名度を誇る技で、海外でも「Michinoku driver」の名称で通用するほど。
カナディアンデストロイヤー
通常のドリル・ア・ホール・パイルドライバーの体勢から逆に前方にジャンプし、相手がショルダースルーで返そうとする勢いも加えて一回転、そのまま相手の脳天をマットに突き刺す。回転エビ固めの状態から入る、コーナー最上段から飛びつくなどのバリエーションがある。ピーティー・ウィリアムズが公開して以来急速に広がっている。日本人の使い手は高橋ヒロムやBUSHIなど。
男色ドライバー
相手の顔面を重ね着した自身のタイツに突っ込ませ、完全に首から上を埋めさせた状態でドリル・ア・ホール・パイルドライバーを仕掛けるという技。見た目からも分かる通り、肉体と精神に同時にダメージを与えることを狙った技である。技そのものは悪ふざけが過ぎたような格好だが、かけられる側からすれば視界を全く奪われているため受け身のタイミングが把握しづらく、その凶悪さは上記の技たちにまったく引けを取らない。
本邦初のゲイレスラーにしてDDTプロレスリングの絶対的アイコンの一人、男色ディーノのメインフィニッシャー。派生技として、タイツを一枚しか履いていない状態、つまり相手の後頭部に◯◯◯がモロに当たる形で仕掛ける「真・男色ドライバー」や、持ち上げたのちに手のクラッチを相手の股にかけ直す「ゴッチ式男色ドライバー」等を開発しており、数多のレスラーが餌食となってきた。
実は学生プロレス発祥の技であり、使用経験があるだけならば意外と該当者がいる技でもある。
スクリューパイルドライバー
ストリートファイターシリーズに登場するザンギエフの必殺技にして代名詞的存在。基本形はドリル・ア・ホール・パイルドライバーと同様だが、相手を捕らえたまま大きく飛び上がり、錐揉み回転を加えながら脳天を地面に叩きつける。
身長を超えるほどの大跳躍に加えて、空中でドリルのごとく何回転もするためどう見ても現実的に不可能な技だが、DDT時代のケニー・オメガがヨシヒコ(人形)相手にファイナル・アトミック・バスターの連携の一環として疑似的に繰り出したことがある。
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