概要
プロレスラーとしては30年以上にわたるキャリアを持ち、全日本プロレスでは3冠王者にもなった。
1988年、飯塚孝之戦でデビュー。
新日本プロレス→UWF→藤原組→PANCRACEを経て現在はパンクラスMissionに所属(ただしパンクラスと契約関係はない。)しながら他団体に参戦。
後述する「鈴木軍」の主戦場は新日本だったが、末期には数々の海外団体を巡った末に解散を決定しており、以降はまた団体を選ばず活動範囲を広げている。
一方でサンミュージックプロダクションにも所属、グッズ販売やイベント企画・運営を手掛ける「株式会社パイルドライバー」代表取締役も務める。
中村あゆみの大ファンであり、入場テーマ曲は中村に直接製作を依頼したオリジナル曲『風になれ』である。
初公開より四半世紀以上にわたって使用され続けており、入場時はサビの最後で鈴木がリングインすると同時に「かっぜっになれ〜!」の大合唱が起こるのがお約束の流れとして、国内外問わず定着している。
悪の軍団・鈴木軍
2011年に小島聡を襲撃すると、TAKAみちのくやタイチと結託して彼の軍団を乗っ取り、自身の軍団である鈴木軍として再編成した。
かつてデビュー戦を争ったCHAOSの飯塚高史や、後述するプロレスリング・ノアのザック・セイバーJr.などを引き抜き勢力を拡大すると、「新日本の宝を根こそぎ奪う」と宣言し数々のベルトをかっさらっていった。
しかし令和初期に自身が日本を離れる機会が増えたこと、更に軍団内での各々が目指す方向性が変わってきたことを受け、2022年をもって軍を解散。
新日本との不和や個人的不祥事により遠ざかった者はいたものの、鈴木個人を裏切った者は最後まで現れなかった。
ノアが事実上の新日傘下の団体になっていた頃には、こちらのリングに遠征していたこともある。
鈴木軍として、当時苦境に陥っていたノアマットを活気づけようといろいろ手を尽くしたが、なぜかノアの観客からは不評であり、ペットボトルを投げ込む客までいた。これについては、単純にノアのファンの治安が悪い、鈴木軍というヒールユニットの毛色がノアに合わなかった、ブッカーが悪い、など様々な見解があるが、丸藤正道は著書で、鈴木軍という劇薬を使いこなせなかったことに責任があるとしている。
客だけでなく、ノア側のレスラーもあまり鈴木軍との関係を使った盛り上げに積極的でない様子も見られ、まさに八方塞がり(選手の中には、ノアの立て直しよりも新日に対する自身の売り込み、ノアからの脱出の画策のほうに積極的な人物がいたとまで言われており、関連は不明だが実際に石森太二はノアを退団後新日に参戦している)。
果ては、「時限爆弾」との触れ込みで仕掛けていた何がしかの仕掛けも、当時のノアの倒産騒ぎでうやむやにさせられる始末。鈴木みのる、散々な経験であった。
得意技
鈴木の信条としてあまり凝った派手な技は使わず、ごく基本的な技で試合を組み立てる。
相手の体を壊さんばかりの関節技を得意とするが、ここぞという時には強烈な攻撃を繰り出すなどしており、決して体力のないレスラーではない。
ゴッチ式パイルドライバー
鈴木の代名詞たる一撃必殺のフィニッシャー。厳密には元祖カール・ゴッチのそれとは微妙に異なるものの、本人も「(アドバイスをもらっているので)ゴッチの直伝なのは間違いない」と認めている。
正面から相手の頭を自身の足の間に差し込んで股下で両手をクラッチし、梃子の原理で持ち上げて滞空、そのまま脳天からマットに突き刺す。体重100キロ越えの超重量級選手に対しても鮮やかに決めており、威力説得力共に折り紙付き。
スリーパーホールド
上記ゴッチ式パイルドライバーへの布石。格下選手が相手の際はこれで締め落とすこともある。
特にロープへ走った相手を追い、振り返った相手を沈み込むようなスライディングで躱して背後へと回っての同技への移行、という流れをフェイバリットムーヴとする。
逆落とし
スリーパーのまま体を捻り、相手を1回転させて叩きつける危険な技。そのまま裸締めに移行して締め落とすのが、一時期のフィニッシュムーヴだった。(詳細はこちら。)
張り手
極めて単純なビンタ。しかしながら鈴木のそれは高速で左右を連打する場合、思い切り張る場合、あえて軽くはたいておちょくる場合等々、緩急と振れ幅が非常に大きく使い分けられており、エンターテイメント性に優れている。無論威力も言うに及ばず、若手選手などは一撃でダウンすることもしばしば。
大一番では100発越えの張り手合戦を繰り広げることもあり、とりわけ秋山準との死闘は印象深い。
ドロップキック
ここぞの時に見せる技で、打点が高くフォームも美しい理想系で放つ。プロレス復帰後に見せたドロップキックは観客、関係者を驚かせた。
サッカーボールキック
中盤で繰り出されることが多い技。フライングメイヤーで相手を座らせてからロープへ走り、反動を加えて鋭く相手の胸板を蹴り抜く。
各種関節技
総合格闘技で磨かれた膝十字固めや、ご存じフジワラ・アームバーこと脇固めなど、こちらのレパートリーも基礎的な技がほとんど。鈴木の豊富な経験から培われた老獪なグラウンドテクニックもあって存在感は高く、新日本でのIWGPインターコンチネンタル王座戦では、膝十字固めで棚橋弘至を病院送りにしている。
とりわけよく見られるのが、ロープ越しにぶら下がりで仕掛けるいわゆるタランチュラ式の腕ひしぎ。これ一発で相手の腕を殺し、ペースを引き込む流れはしばしば見られる。
一応付け加えておくと、稀に複雑な複合関節技を仕掛ける場合もあり、これらしか使えないなどということはない。
人物像
その悪辣な振る舞いが印象的だが、本来は真面目で義理堅い性格。
常にストイックに練習に臨み、部下への実況に文句をつけられるほど、試合の配信もきっちりチェックしている。
また、自身の営業する店で若手を働かせて給料を与えたり、頸椎完全損傷でリハビリ中の高山善廣を支援する団体「TAKAYAMANIA」を立ち上げたりするなど、義理堅さを窺わせるエピソードは枚挙に暇がない。
現在のキャラクターになる以前からの付き合いである獣神サンダー・ライガーは、引退後に自身のYouTubeチャンネルで、「みんながそういう一面を知っているから、彼は支持されているんだと思う」と発言している。
そして実はリングを離れると、若干お茶目な人だったりする。
週刊少年ジャンプを愛読しており、「ONEPIECE」の主題歌を歌ったきただにひろし氏とばったり出会ったことをウキウキした様子でツイッターに書き込んでいたり、原作者の尾田栄一郎の鈴木軍入りもツイートした。
変な髪型にしたり熱々おでん食べたり、風になったり、感動した漫画やアニメの感想をツイートしたりと何かと忙しい。
また、DDTに出るときもキャラクターそのまま風に結構ノリノリでDDT独自のノリに付き合っている。
余談
対戦型格闘ゲーム『鉄拳』のモーションキャプチャーをしたことがある。その際担当したのがキングであり、本人も自ら「分身」という発言を残している。またその縁から投げ技コンボ「ベルウッド・スペシャルコンボ」の由来となり、技の一つ「レイジウィンド」は『風になれ』から取られている。
外部リンク
個人
プロフィール〈新日本プロレス公式サイト〉
プロフィール〈プロレスリング・ノア公式サイト〉
公式ブログ『今日も明日も風まかせ~』
鈴木軍メンバープロフィール
リンク先はすべて新日本プロレス公式サイト内 選手プロフィール
飯塚高史(2019年2月21日引退)
デイビーボーイ・スミスJr.(2019年6月15日離脱・新日本プロレス退団)
ランス・アーチャー(2020年2月26日離脱・新日本プロレス退団)