概要
鍛え抜いた肉体を持つ選手(レスラー)達が、四角いリングの中で打撃・投技・関節技など(俗にプロレス技と称される)を駆使して闘いを繰り広げるエンターテインメント・ショー。
多くは、プロレスを興行する各団体で「ストーリー(物語)」が展開しており、レスラー達の多くにはそれぞれ「ギミック(経歴・性格などの設定)」があり、リング外での言動もまたショーの一環である。
なお、プロレスの「プロ」は「プロフェッショナル」ではなく「プロモーション」の「プロ」を略したのが始まりであるらしい。オリンピックや日本の国民体育大会における種目「アマチュアレスリング(アマレス)」とは明確に区別されている。
歴史的には紀元前8世紀ごろから繁栄を始めたイタリア半島北部のエトルリア文明で盛んに行われていた。
貴族や富裕層が選手を抱え、音楽やダンスを組み合わせた高度なショーに進化した。
女権の強いエトルリア文明では女子の体育が奨励されていたが、プロレスはその花形で、女子同士で鍛錬を重ね、夫や恋人とのデートの一環として台本を組んで試合をする事も彼等の中では常識だった。
ただし、近隣の民族は素肌を晒して夫や恋人とプロレスをするエトルリア人女性を「エロい」とドン引きしていたが。
エトルリア文明がローマ帝国に吸収されてからはショーとしての演出技術が剣闘士競技に導入される等の影響はあったものの、衰退して近代まで断絶していた。
日本で古い言い方だと「西洋相撲(角力)」、別名「興行レスリング」、「職業レスリング」。
海外では本場のアメリカなどでは単に「レスリング」、メキシコでは「ルチャ・リブレ」(自由の戦い)、ヨーロッパでは「キャッチ・アズ・キャッチ・キャン」、「キャッチレスリング」、「キャッチ」 、中国圏では「職業摔角」(職業レスリング)とも呼ばれる。
また日本のプロレスは相撲の影響を受けており(おそらく元関脇でもある、日本プロレスの開祖・力道山の影響)、業界用語にも角界の名残がある(例えば「しょっぱい」など)。力道山以外にも天龍源一郎をはじめとする相撲出身のレスラーがおり、プロレスと相撲の関係は深い。
試合進行に段取りや台本(ざっくりとしたものだが)が存在し、本質的に演劇的・ショー的なものであるがゆえに「プロレスは格闘技ではなく八百長」と揶揄する者もいるが、そんな生易しいレベルの世界ではない。
プロレスラーには危険極まりないプロレス技を使いこなし、そして受け切るだけの技術と肉体が常に要求されるし、さらに言えば試合の流れや空気、観客の観たいものを読み取り、華々しく「魅せる」ために試合を組み立てる頭の回転とセンス(或いはカリスマ性)も必要となる。
試合中の細かい点までは決めない団体も多く、レスラーには気性の荒い者たちも多いために試合中にトラブルが起きて、そのままガチンコバトルになってしまうこともしばしば見られる。
専業のトップレスラーはこれを年間200試合、全国津々浦々で行う。
よく言われていることだが・・・「プロレスごっこ」と称してレスラー達の使用するプロレス技を素人が真似することは極めて危険である。
やられる方はもちろん、下手すれば技をかけた自分が怪我をすることもあり、一歩間違えれば後遺症の残る大怪我、場合によっては死人すら出かねない。
格闘技全般に言える事だが、受け身の練習は熟練のレスラーでも毎日欠かす事のできないトレーニングであり、それに加えて肉体を鍛える事が頑丈さを備えるのである。獣神サンダーライガーが自身のYouTubeチャンネルで怪我にまつわる話題において「なぜプロレス技はあんなにキレイに決まるのか」と解説した際、「プロレスにおいて技を受ける側は柔道のように抵抗せずにすぐに判断して受け身を取る・飛ばされる事で逆に防いでいるんだ。逆に抵抗したらダメージが大きくなる」と語っている。それでも技の衝撃で失神したりして試合で技を受けた後の記憶が飛んだり、一時的に記憶の混乱(ここがどこなのか、何故ここにいるのかわからなくなる)が起きたとも語っている。
また、長与千種が暴漢から女性を護る際に一切攻撃をせず暴漢からの暴力に対して防御に徹したのも技がいかに危険であり、プロレスのあり方を熟知していた上で同行していた後輩達に迷惑をかけさせないようにしたからである。
……というのは現在の話で、かつては道場破りなど血気盛んな人間が多くいた時代は藤原喜明や佐山聡などがそういった手合いに勝ったと言わせない、二度と来たいと思わせないように徹底的に痛めつけたこともしょっちゅうだった。
それでも熟練したプロのレスラーであっても試合での怪我を原因に引退する例も数多く存在する。日本でも、受け身の達人と称された三沢光晴が「試合中の事故による怪我が原因で命を落とした」ことはそのもっとも悲劇的なケースの一つで、そこまでいかずとも人工関節を入れるまで階段をまっすぐ歩けなくなった、加齢と負傷で一定以上の距離を歩行すること難しくなり若手や付き人の方を借りて入場するといった話はプロレス界においてよく散見される。
世界最大のプロレス団体「WWE」も自社製作CMで「Don't Try This At Home.(家でマネしないでください。)」と再三に渡りメッセージを発信している。
- こち亀の「両さん漫画家になる」でも本田速人が「皆はマネしないでね。ギャグ漫画の人間だから平気なんだよ。」と警告していた。
- 甲虫王者ムシキングの攻略本の漫画でもムシキング・テリーが「プロレスごっこは危険だから皆はやっちゃダメだよ」と警告していた。
こうしたハードな職業であるためか、40~50歳とレスラーとしてはまだまだ働ける年代でも死亡するケースは多い。主な死因は心臓発作や癌である。
昭和期の日本においてプロレスはまさしく「国民的スポーツ」と呼ぶにふさわしい人気と勢いを誇っていた(当時はゴールデンタイムで頻繁にプロレス中継が行われていた事を、平成生まれ以降の若者は信じがたいだろう)。プロレスをテーマにした少年漫画やアニメが続々大ヒットし、プロレスラーは強さの象徴であり、強い格闘技=プロレス技のイメージであった。
昭和期当時そこまでプロレスに人気があったのは、メジャープロスポーツが野球、相撲、プロレス、後はあってボクシング(原則ほぼ金にならないが)ぐらいしかなかったのも背景にある。
しかし2000年代に入る頃になると上記の様な「八百長ショー」的側面を過剰に揶揄する流行や、プロレス団体自体の飽和による分裂、K-1を代表するプロレスにかわる格闘技団体の台頭により、急速に衰退してしまう。
令和期においてプロレスは「八百長」視されていた2000年代の暗黒期を抜け出し、「ショー」と割り切って観戦する層が増えたことで独特の評価を得るに至ったとはいえ、依然マイナースポーツの域を出ない。そのため、メジャー団体ですらも試合の様子を撮影してSNSで拡散することを奨励しており、そうでもして魅力を伝えないとチケットが思うように売れない現状となっている。
ネットスラング「プロレス」
ネットスラングの「プロレス」とは、言い争いのように見えて馴れ合い、テンプレ、定番のやり取りを半ば暗黙の了解で繰り返すさまを、ブックありきのプロレス試合になぞらえたもの。
きのこたけのこ戦争が有名で、同項目に類似の論争の一覧もある。
有名実在プロレスラー
プロレスをモチーフ・題材とした作品
- 1・2の三四郎
- エキサイティングプロレス
- キン肉マン
- THE・MOMOTAROH
- 世界でいちばん強くなりたい!
- タイガーマスク
- タッグチームプロレスリング(ザ・ビッグプロレスリング)
- 旗揚!けものみち
- ファイヤープロレスリングシリーズ
- プロレススーパースター列伝
- マッスルボマー
- ランブルローズ
- リング☆ドリーム
- レッスルエンジェルス
- ロックアップ
- 最狂超プロレスファン烈伝 正確にはプロレスファン・業界を題材にしている。
プロレスを使用する架空のキャラクター
※作品タイトル五十音順。なお、上述のプロレスゲーム等のキャラクターは除外する。
- ライデン(SNK)/ビッグ・ベア、グリフォンマスク(餓狼伝説)
- ファスティバ(グランブルーファンタジー)
- H5はやぶさ(シンカリオン_チェンジ_ザ_ワールド) ※フィニッシュ・ホールドとしてプロレス技を使用
- ザンギエフ、レインボー・ミカ(ストリートファイターシリーズ)
- キング(鉄拳)(鉄拳)
- ティナ・アームストロング、バース・アームストロング(デッドオアアライブ)
- マリー・イボンスカヤ(トバルシリーズ)
- 四代目雷影(NARUTO)
- マイク・ハガー(ファイナルファイト)
- マスク・ド・マスキュリン(BLEACH)
- パトリック・ファン・ヒディング(武力ONE)
- ガオガエン(ポケットモンスター)
- カービィ、バグジー(星のカービィ)
- ザ・シャーク、エル・シャクレロ(妖怪ウォッチ)
関連タグ
※よいこはマネしないでね:プロレス技に関しての大事な注意。遊びが大事故・惨事につながることもある。
プロレス団体
現存する団体
国内
新日本プロレス 全日本プロレス みちのくプロレス 大日本プロレス プロレスリング・ノア プロレスリングZERO1 ドラゴンゲート DDTプロレスリング 九州プロレス プロレスリングBASARA GLEAT
大阪プロレス・・・2014年から2021年までプロレス興行会社に転身。
パンクラス・・・当初はプロレス団体だったが総合格闘技にシフトチェンジ。
女子団体についてはこちらを参照
海外団体
過去にあった団体