概要
兵庫県西宮市に所在し、阪神電気鉄道が所有・運営する野球場である。
解説
プロ野球チーム阪神タイガースの本拠地であり、春と夏の高校野球全国大会の開催地としても有名で日本の野球における聖地の一つである。2021年以降は、同じ県内の丹波市を主な会場として開催される女子高校野球全国大会の決勝戦も甲子園で行われるようになった。
またアメリカンフットボールの関東と関西のチームによる大学日本一を決める「甲子園ボウル」が毎年12月の第3日曜に行われている。ちなみに社会人チームとの日本一決定戦は東京ドームで毎年1月3日に行われ、「ライスボウル」と呼ばれている。
名前の由来は開業した1924年の干支が甲子(きのえね)であったことによる。
阪神タイガースの前身の大阪タイガースの設立は1935年であることから、この球場は元々は高校野球のために建てられたものであった。このため開催の優先順位は高校野球の方が上である。
1938年2月28日には特設ステージを設けてのスキージャンプ大会が行われ、何度かクイズのネタにされたことがある。
1932年から1937年までには三塁側アルプススタンド下に温水プールが設けられ、また一塁側アルプススタンド下に室内運動場が作られた。現在は両方とも野球用の室内練習場に改修されてブルペンとして使用されている。
2007年シーズンオフに大規模な改修工事が始まり、2010年3月に無事完了した。
JR神戸線甲子園口駅からは約3km離れているので注意。
また、駐車場は関係者用があるのみで一般用はなく、周辺のコインパーキングも試合等イベント開催日のみ大幅に値段が上がる仕様のため電車やバス等の公共交通機関での来場が呼びかけられている。
阪神タイガースのホームである事から、関西地域の地理に詳しく無い人からよく「大阪府にある球場」だと思われているが、球場があるのは上述のとおり兵庫県西宮市内である。
主な設備の特徴
スタンド
一層式でありながら47,000人以上を収容できる。外野席は他のプロ野球球団本拠地球場に比べ倍程度の大きさで、全収容人員の4割を占める。
内野スタンド、アルプススタンド、外野スタンドの3つに分かれ、スタンドとスタンドの間にはグラウンドと球場の外側を結ぶ通路があり、ブルペンを行き来するリリーフカーの出入りや観客の退場路として使われる。
高校野球の試合に集まった学生たちの白い制服から名付けられた「アルプススタンド」は元々は通称であったが、現在は正式名称となっている。
グラウンド
グラウンドの面積は約13,000㎡で、中堅118m、左右中間118m、両翼95m。子会社の阪神園芸という造園会社がグラウンドの整備を行う。
内野グラウンドは黒土だが、日本国内の黒土と中国福建省の白砂をブレンドしている。高校野球では出場選手たちが甲子園の土を持ち帰ることが慣習となっている。
外野グラウンドはフェンス際を除き天然芝である。
特徴的な形状やライトからホーム方向への海陸風である浜風が吹くことからホームランが出づらい投手有利の球場ではあるが、本塁距離が現代野球の球場の基本規格より小さく(両翼中間の膨らみこそ違うが横浜スタジアムと同程度)、またフェンスも低いためポール際の打球が入りやすい傾向にある。またスタンドが高く場外弾を飛ばすことは出来ない(仮に出ても200m以上は必要とされる)。
室内練習場
2004年に甲子園水上競技場跡にあったテニスコートを転用し、室内練習場が設けられた。広さ3,600㎡。一塁側とは陸橋でつながっている。
銀傘
バックネット席上の大きな屋根の通称。
蔦の外壁
完成当時の球場のコンクリートのままで、1924年12月に見栄えを良くするよう蔦が栽培された。球場正面にはウコギ科の蔦、それ以外の場所にはブドウ科の蔦が植えられていた。
蔦はリニューアル工事時に一旦取り払われ、外壁を煉瓦で覆った後に再び植えられている。
余談
単位としての甲子園
関西のローカル番組では広さの規模を示す時、東京ドームの代わりに甲子園○個分という使われ方をしている。
甲子園の浜風
熱い晴れの日には球場の南西から強い海風(浜風)が吹き込んでくることがあり、この風でライト側へホームラン性の高いボールが飛んでも押し戻されたり、落下地点がズレてエラーが多発するという。
夏に開催される全国高校野球選手権大会ではこの浜風が大舞台に慣れていない高校球児たちへ容赦なく襲い掛かり、試合展開を左右する甲子園の魔物を呼び起こす原因の一つになっている。
関連イラスト
外側。
スタンドにて。