概要
日本の大手私鉄の一つで、大阪府と兵庫県(阪神間)に路線を有する鉄道会社。日本初のインターアーバン(都市間電気鉄道)としても有名。阪神間の鉄道路線の中で最も海側に位置する鉄道である。
阪急電鉄神戸線とはJR西日本の東海道本線・山陽本線(JR神戸線)を挟む形で長く並行する阪神間のライバル会社であったが、諸般の経過を経て2006年に経営統合され、阪急阪神ホールディングス傘下の子会社同士となった。
阪急による阪神の買収という形ではあるが、対等性を強調した経営統合がなされた。元々両社とも水面下で合併を検討していたところに、村上ファンドが阪神に買収を仕掛ける事件が起こり、阪急がホワイトナイトに名乗りを上げたことがきっかけとなった。
路線規模は関西の大手私鉄の中で一番小さい(全体でも相鉄の次に小さい)が、プロ野球球団阪神タイガースの親会社であることや、ザ!鉄腕!DASH!!でTOKIOに挑戦状を送っていたということもあって、一般人レベルでも全国的に抜群の知名度を誇る。なお本拠地阪神甲子園球場は阪神本線甲子園駅下車してすぐ。
路線
現有路線
大手私鉄としては相模鉄道(相鉄)についで路線距離が短い。2009年3月に西大阪線が阪神なんば線として延長されるまで、路線の総延長距離がフルマラソンのそれとほぼ同じ数字であり(約42㎞)よくネタにされていた。
列車種別と運行区間、および駅一覧については、阪神本線、阪神なんば線、阪神武庫川線の記事を参照。
路線名 | 区間 | 営業キロ | 備考 |
---|---|---|---|
本線 | 大阪梅田駅〜元町駅間 | 32.1km | |
阪神なんば線 | 尼崎駅〜大阪難波駅間 | 10.1km | (※1) |
武庫川線 | 武庫川駅〜武庫川団地前駅間 | 1.7km | |
神戸高速線 | 元町駅〜高速神戸駅〜西代駅間 | 5.0km | (※2) |
(※1)西九条駅〜大阪難波駅間(3.8km)は第二種鉄道事業者。西大阪高速鉄道が第三種鉄道事業者(第三種鉄道事業者側の路線名は「西大阪延伸線」)。近畿日本鉄道(近鉄)難波線・大阪線・奈良線と相互直通運転。
(※2)全区間が第二種鉄道事業者。神戸高速鉄道が第三種鉄道事業者(第三種鉄道事業者側の路線名は「東西線」)。
廃止路線
路線名 | 区間 | 営業キロ | 備考 |
---|---|---|---|
北大阪線 | 野田駅〜天神橋筋六丁目駅間 | 4.3km | (※3) |
国道線 | 野田駅〜東神戸駅間 | 26.0km | (※3) |
甲子園線 | 上甲子園駅〜甲子園駅〜浜甲子園駅〜中津浜駅間 | 3.8km | (※3) |
尼崎海岸線 | 出屋敷駅〜東浜駅間 | 1.7km | |
武庫川線 | 武庫川駅〜武庫大橋駅〜西ノ宮駅間 | (※4) |
(※4)武庫大橋駅〜西ノ宮駅間は日本国有鉄道(国鉄)の貨物列車のみが使用。第二次世界大戦中は現在の公団武庫川住宅の場所に軍用機の工場があり、その輸送用として敷設された。
車両
使用車両には本線優等列車や阪神なんば線用の赤胴車と本線普通列車用の青胴車があり、仕様及び運用が厳格に分けられている。
青胴車は4両編成でオールMと言われるほどの出力があり、その加速力からジェットカーと呼ばれている。
形式として千の位が5がついている場合は青胴車、それ以外は赤胴車となっている。
阪神なんば線開業前は大手私鉄で一編成当り「7両以上の列車が連結した事がない唯一の大手私鉄」だったが、開業後は同線で8~10両編成の運行を行っている。
車両冷房化と高性能化もいち早く進められ、前者は1983年、後者は1966年といずれも大手私鉄の中では最速で達成している。但し、VVVFインバータ車の導入は1995年と大手私鉄では最も遅かった。
路面電車時代の名残で、アメリカのヴァン・ドーン(Van Dorn)社製の密着連結器を採用しており、通常の連結器よりも横長で取付位置が低い独特の面相となっていた。しかし、近鉄との相互直通運転準備として2006年から回り子式密着連結器への換装が開始され、全形式の交換が完了している。
9300系導入および8000系のリニューアル時、車体色として敵性球団色のジャイアンツカラーを使用してしまい批判が殺到した影響からか、後のステンレス車ではタイガースカラーに近いカラーリングへ変更された。
ちなみに、大手私鉄の中では唯一復刻塗装を実施したことが無い会社である。
現有車両
赤胴車
青胴車
過去の車両
赤胴車
青胴車
運賃
キロ数 | 運賃(円) | 加算運賃適用後 |
---|---|---|
初乗り - 4km | 140円 | 200円 |
5km - 8km | 190円 | 280円 |
9km - 13km | 240円 | 330円 |
14km - 18km | 270円 | 360円 |
19km - 24km | 280円 | 370円 |
25km - 30km | 300円 | 390円 |
31km - 34km | 320円 | 410円 |
加算運賃
加算運賃は、阪神なんば線西九条駅~大阪難波駅間で適用される。
初乗り-4kmまでが60円、5km以上なら90円が加算される。
1日乗車券など
尚、阪急電車・阪神電車・神戸高速鉄道全線で使える1日フリーパスがある。
大人1人に付き1200円、小学生は600円となっている。
阪神ならではの話
接近メロディ
阪神は接近メロディを持っており、曲は「線路は続くよどこまでも」のリメイク版である。
なんば線西九条~大阪難波間開通を機に曲風が変更されており、現在はミュージシャンの向谷実氏作曲の、さわやかで京阪電気鉄道の発車メロディに似た曲風となっている。
ちなみに、変更前は終盤の不協和音のハーモニーが印象的なものだった。変更された現在でも、旧バージョンが好きで、その復活を切望する人は少なくない。
発車メロディ
主に梅田・桜川・三宮・元町の4駅のみで聴ける。
そのうち、梅田駅では乗車促進メロディまでフルで聴くことができる。
これも、旧バージョンと新バージョンがあり、なんば線西九条~大阪難波間開通を機に向谷実作曲のものとなり、曲風が変更された。
旧バージョンは、2種類の曲があり、どちらの乗車促進メロディも最後は不協和音が鳴るものだった。
フルバージョンは梅田駅だけでなく、三宮駅でも聞くことができた。
新バージョンは1種類のみとなり、フルで聴くことができる駅も梅田駅のみとなった。曲風は接近メロディと同じ感じ。
運転士の行動
阪神の運転士は、運転している列車よりも優等の列車に接続する際、電車から降りて接続対象の列車が到着すると、乗客の乗り降りを監視し、戸閉めの際は駆け込み乗車をする乗客や危険な場所に立っている乗客がいないかチェックし、いない場合は手を挙げて合図を送り、扉を閉めさせる。
また、自分が運転している列車が接続する駅までの列車に接続する場合、終着の列車の中をチェックして、乗客がいないかどうか見て回る。
注意信号以下の信号が現示された区間では起立して運転する。
株主
現在の大株主は阪急阪神東宝グループの中核、阪急阪神ホールディングスであるが、個人株主も多い。そして彼らの何人かは阪神電車より「タイガース」の方に関心があるらしく、株主総会では電鉄事業云々よりタイガースの成績や今後の球団の方針・戦略などを問いただす質問をする人が何人か必ずいる。極稀に阪神本体についての質問をするのだが…車体の塗装についてであった(赤胴車も参照)。よりによって鋼製赤胴車の新塗装がタイガースファンが最大のライバルと目する某球団のイメージカラーに類似していたことが原因とされる。
阪神タイガースという超優良コンテンツを保有している割に株価が安かった時期があり、上記の村上ファンドの株の買い占め、それによる阪急・阪神経営統合に繋がっている。
速度違反
1905年(明治38年)4月12日、大阪出入橋駅 - 神戸筒井通駅間で営業が開始されたが、当時の軌道法では最高時速が8マイル/時(12.9km/h)で所要時間は2時間とされていた所、阪神は当時の車両に速度計が無いことを利用して大幅にそれを上回るスピード違反を行い、開業当初から表定時速20.4km で走り大阪出入橋 - 神戸雲井通間を1時間半で結んだ。東海道本線の列車による同区間の所要時間は50分で、阪神はそれより遅かったものの、本数や運賃では格段の差があり、国鉄の阪神間乗客数は63%、特に中間駅からの利用客は70%も減少させる大打撃を与えたと言われている。
国鉄は阪神に対してダイヤの提出を要請するが、阪神のダイヤにはA(尼崎)・N(西宮)などスピード違反がバレないように暗号化されていた。国鉄は関係者を阪神に送り込み、そこでスピード違反がバレてしまったが、阪神は注意だけで処罰はなかった(当時スピード違反は罰則の対象外であった)。
1911年には軌道法に基づく最高速度が25マイル/時(40km/h)となる(現在も変わらず)が、新基準の速度でも阪神はオーバーしていた。しばらく後に「新設軌道」という新しい軌道線区分ができて、ようやく「速度違反」でなくなった。
ちなみに、これが原因かどうか定かではないが、国鉄は1934年の吹田 - 須磨間電化まで阪神間の競合相手にされなかった(ほとんど空気の状態)。
タグ付け、及び検索する際に注意する点。
駅のタグ付け及び検索する際、JR及び阪急と名前が重複している時は、出来るだけ阪神○○駅(例:阪神尼崎駅・阪神西宮駅)と表記しておくことをお勧めする。
単に、○○駅だとJRの駅と間違えられる事が多いため、注意が必要。
関連タグ
春日野道駅かつて「日本一狭いホーム」が存在していた。
神戸高速鉄道阪神神戸高速線 近畿日本鉄道難波線、奈良線、山陽電気鉄道:乗り入れ先。なお、山陽電気鉄道は阪神が筆頭株主の関連企業だが阪急阪神ホールディングスグループに参加していない。
阪急電鉄:かつてのライバル、現在のグループ
ザ!鉄腕!DASH!! - TOKIOのメンバーが5500系・5700系と競争している