阪神8000系
はんしんはっせんけい
1984年から1996年までの12年間にわたり合計129両が製造された阪神電気鉄道の優等列車用車両(赤胴車)で、阪神の主力車両であり、阪神電車が所有する車両の中で最も保有両数が多い系列でもある。優等列車のほとんどが6両編成であったことから、本形式は本格的な6両固定編成(※3両編成ユニット同士を2つつなげた形態)を組むことになった。界磁チョッパ制御車。
129両製造と述べたが、阪神淡路大震災で6両編成10本が被災し、うち4本は6両とも復旧できたものの残りの6本から合計15両を廃車せざるを得なくなった。欠けてしまった分は3両を新造して6両編成4本組成に揃え(※129を6で割っても余り3になるのはこのため)、従来車含めた編成不足分は阪神9000系の新造で賄った。
1998年から山陽電気鉄道・姫路方面への直通運転を開始し、全車ロングシートであるために山陽の車両に比べ車内サービスが劣る事から、2002年から2015年にかけてリニューアル工事を行った。一部の中間車はクロスシートへ改造している。
他方、この改造によって伝統の赤胴車から9300系と同様の某球団を連想させる塗色に塗り替えられたことは阪神ファンから非難轟々となった。
現在は、阪神本線大阪梅田から神戸高速線を経て山陽電気鉄道本線の山陽姫路までの優等列車運用が基本で、阪神なんば線や近鉄奈良線方面へは乗り入れない。
また投入から年数が経つことから後継車両の噂も出てきている
大震災で廃車となった車両に対応する代替新造車・方転改造車は、後述の通り元の番号+300となっている。
- 代替新造:8523・8336・8536
- 方向転換:8201→8502(8202に対応する番号とされた)
タイプⅠ(8201編成⇒8523編成神戸方ユニット)
第1編成は以降の編成とは異なる形態で竣工。従来の赤胴車に似た前面デザインである。8000系唯一のユニット式二段窓編成で、分散式冷房を搭載。次の編成からタイプⅡのデザインに移行した為、1編成のみの少数派となった。
阪神・淡路大震災では石屋川車庫の倒壊により8001・8101・8202の3両が廃車となった。梅田側先頭車の8201は方転改造を行い8502へ改番し、8102-8002-8502の3両ユニットを組んだ。
現在は梅田側に8523-8023-8123の3両ユニットとつないで6両固定編成を組成。外観が全く異なるユニット同士を連結した為、大震災の傷跡を露骨に残したまま現役で25年以上走り続けている。
山陽電気鉄道との乗り入れ協定の都合から、この編成は「直通特急」の運用へは長らく充当されない状態が続いていたが、この運用は2020年2月に解禁された。
朝日新聞2023年1月16日夕刊トップの大震災関連記事で、この編成がピックアップされた。
タイプⅡ(8211・8213・8215編成)
第2~4編成。このグループは正面デザインと窓構造を変更したため番号を11から振ることになった。分散式冷房を搭載。
阪神淡路大震災では御影の留置線倒壊により8213編成の8113・8114・8014の3両が廃車となった。残った3両は編成をばらし、8214は8221編成の神戸方先頭車として、8213・8013の2両は旧8217編成の梅田方2両として組成された。
タイプⅢ(8217~8231編成)
第5~12編成。1986年以降に製造されたグループは集約分散型冷房を搭載。リニューアル工事に伴い行先表示器・標識灯LED化が行われた編成が登場しているが、このグループでは8231編成のみである。
またこのタイプに属する8223 ・8023 ・8123の3両は希少な「昭和64年」製造の車両である。(1月7日に竣工)
阪神淡路大震災では8217編成の8217・8017、8221編成の8222、8223編成の8223・8124・8024・8224が廃車となった。(いずれも石屋川車庫)
- 8217編成・8221編成は先述の通り8213編成の残り車両と組み合わせて6両固定編成を組んだ。
- 8223編成は8023・8123の2両が残った。梅田方先頭車として8523が代替新造され、8523-8023-8123の3両ユニットを組み、先述の通り旧8201編成の神戸方ユニットとつないで6両固定編成を組んだ。