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赤胴車

あかどうしゃ

阪神電気鉄道が保有する、暖色系の塗装の車両を指す。車体大型化以降の優等列車(通過駅を持つ列車)形の車両の塗装の通称。
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「赤胴車」の定義編集

「赤胴車」は、1958年に落成した3301・3501形にクリーム+バーミリオンの塗装をしたことが始まり。以降阪神電気鉄道が保有する優等列車用の車両には、赤系の色が用いられているので、「赤胴車」と呼ばれている。現在の阪神保有の車両の中には、塗装に「赤」成分のない車両もあるが、暖色系のカラーは維持されている。

赤胴車は各駅停車用のジェットカーとは違い、非常事態がない限り阪神本線内では各駅停車の運用には就かない。そのため、ジェットカー並みの強い加減速力は不要で、起動加速度は8000系で2.5km/h/s、1000系や9000系でも3.0km/h/sである。なお、阪神に乗り入れる近畿日本鉄道VVVF車の起動加速度は3.0km/h/sである。


なお、各駅停車用のジェットカーは青系の色が用いられているので、「青胴車(あおどうしゃ)」とも呼ばれる。


主な車両編集

8701・8801・8901形

クリーム+バーミリオン


4両固定編成の3801・3901形に由来する改造車。同2編成が6両固定編成1本に組成変更され、捻出された先頭車2両は7890・7990形に改造された。

西大阪線の難波延伸(阪神なんば線開業)を見込んで製造されたものの、その阪神なんば線へは乗り入れることなく2009年形式消滅。


7890・7990形,7801・7901形編集

クリーム+バーミリオン


2両編成。

晩年は7801・7901形のうちの7861・7961形が3編成、そして7890・7990形が1編成残存していた。前者は阪神最後の片開きドアの車両である。

支線である武庫川線で使用されていたが、2020年6月に5500系に置き換えられ引退した。これにより阪神の片開きドアの車両と伝統のクリーム+バーミリオンのカラーが消滅した。7890号を除いて廃車解体されたが7890号はUR武庫川団地へ陸送され、同団地内の広場に設置された。※1


2000系編集

クリーム+バーミリオン


7001形・7801形3次車に由来する改造車。制御装置に回生・抑速ブレーキ付きの界磁添加励磁制御が採用された(阪神では唯一)。阪神淡路大震災では6両編成8本のうち12両が廃車、一部編成は組み替えのうえで2011年まで活躍。山陽電気鉄道須磨浦公園以西への直通運転には使われなかった。


8000系編集

(オリジナル)クリーム+バーミリオン

(リニューアル)プレストオレンジ+シルキーベージュ


阪神の現役車両の中で最大の勢力を誇るチョッパ制御車。製造時期・外観により、Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳの4タイプがある。山陽・神戸高速線直通運転に対応しており、時間帯や種別(なんば線直通の種別を除く)に関係なく、阪神線内を旅していると必ず出会える。


現在は全編成にリニューアル工事が行われている。リニューアル工事が長期にわたって行われた結果、クロスシート装備車両、行先表示器LED化車両の有無はまちまち。ただし塗装は後述の9300系と同じプレストオレンジ+シルキーベージュに揃えられている。この塗装は敵球団を連想されることが問題になってしまった。


9000系編集

(オリジナル)白+バーミリオン

(近鉄直通改造後)白+ビバーチェオレンジ


1995年に起こった阪神淡路大震災で被災し、やむなく廃車せざるを得なくなった赤胴車の不足分補充用として登場。阪神では長らく武庫川車両製造で車両が作られていたが、被災車両と被災した工場の修繕で手が回らず、また同時期に登場した5500系がここで製造されていたため、川崎重工業兵庫工場で製造された。阪神が武庫川車両以外のメーカーに発注するのは当時珍しいことであった。


阪神初のVVVFインバーター制御車で、当然赤胴車でも初。またステンレス車体を採用。ステンレス車体は下塗りされず、赤胴車であることを表す赤色は、車体に白帯と一緒に帯として配された(先頭車の貫通扉には回っていない)。前面はブラックフェイスになり、このデザインは後に登場する1000系にも受け継がれた。

現在は全車両が近鉄直通対応工事を完了しており、1000系とともに主に近鉄乗り入れ運用に就いている。対応工事終了後は、種別・行先表示器がフルカラーLED式となり、連結器も近鉄に合わせて廻り子式密着自動連結機となり、赤の帯は「ビバーチェオレンジ」に変更された。


9300系編集

プレストオレンジ+シルキーベージュ


2001年に登場。6両編成3本のみの在籍で、3000系の置き換えを目的に製造された。置き換え完了後の増備はない。

阪神では久しぶりとなるクロスシート設置車。また、阪神初となるIGBT素子のVVVFインバーター制御車である。ちなみに、制御装置は慣例的に用いている三菱電機製ではなく東芝製。

塗装も大きく変更されており、上半身は「プレストオレンジ」、下半身は「シルキーベージュ」となっており、このカラーリングは8000系リニューアル工事のモデルになっている。

山陽・神戸高速直通対応で、8000系や山陽車に紛れて特急を中心に走っている。3本しかないので、見つけるのは至難のワザ。武庫川車両製造が最後に製造した車両形式でもある。


しかし、この車両も塗装が原因で敵球団を連想させるもので阪神ファンから非難を浴びた(阪急との経営統合後の株主総会でもツッコミを入れられている)。


1000系編集

白+ビバーチェオレンジ


阪神なんば線開通・近鉄との相互直通運転に備えて登場した車両。

基本編成の6両編成と増結編成の2両編成があり、MT比率は3M3T,1M1Tで1:1。IPMを用いたIGBT素子のVVVFインバーター制御で、モーター出力も170kWと高い。制御装置・補助電源装置どちらでもおkの「デュアルモード」システムを採用しており、故障にも強くなっている。


車体は9000系に続いてステンレス製。レーザーを使って溶接したことで、ひずみがなく美しい仕上がりとなった。

その車体に新色「ビバーチェオレンジ」をポイントカラーとして前面はヘッドライトのまわり、車体下部の斜めに切り落とされた部分に、側面はドアとドア付近の車体に縦の帯状に、それぞれ配置し、扉と窓の間は白のストライプとし、これまた存在感のあるカラーリングとなった。なお、「ビバーチェオレンジ」は、「プレストオレンジ」と同じオレンジ系の色だが、光でオレンジの感じが抜けやすく、遠くから見ると阪神タイガースのチームカラーである黄色にも見える。前面が9000系に引き続きブラックフェイスであることも、このように見える要因であろう。

9000系は川崎重工業製であるが、1000系は近畿車輛製となっている。座席のモケットカラーは通常はオリーブ色、優先座席はグレー系で、「ビバーチェオレンジ」が目にまぶしい車外とは対照的な色使い。窓は扉間は3連窓から大型の2連窓に、車端部は1枚窓になった。


営業運転開始当初は、6連は本線の直通特急に充てられ、2連はジェットカーにまぎれて西大阪線(現:なんば線)で2両+2両の4連で走っていた。近鉄との相互直通運転開始後は、増結編成を繋ぐか否かで6連、8連、10連で運用される。この1000系の増結編成は9000系と連結可能で、また、増結編成3本をつないだ6連(いわゆるブツ6)での運用もたまに見られる。


動画撮影時の注意編集

前面展望は面白いが、モーター音が入らないため、どうしてもモーター音も欲しいという音萌えさんは、動画と音声を別々に録って後で合成する「サウンドウソ電」か、中間車での音声付き撮影のどちらかとなる。1000系は、中間車にも付随車が1両存在するので注意。

9300系,8000系リニューアル車はクロスシートからの撮影が効果的。

それ以外では、阪神は優等列車に乗客が集中しやすく、ドア付近にいると邪魔なので、ドアの開かないほうに寄って撮影すること。


余談編集

前述の2000系の前身にあたる7001形は日本で初めて電機子チョッパ制御(力行専用)を採用した鉄道車両で、阪神の車両としては最初から電機子チョッパ制御で完全新造された唯一の形式でもある。

他の形式は後年の改造で電機子チョッパ化、もしくは廃車となった非冷房車からの機器流用車である。

阪神の電機子チョッパ車は赤胴車・ジェットカー共に全車コイルバネ台車であり、空気バネ台車の車両は登場しなかった。


参考文献編集

※1 引退の阪神電鉄「赤胴車」が復帰 兵庫・武庫川団地の交流スペースに


関連タグ編集

阪神電気鉄道 阪神 阪神電鉄 阪神電車 ジェットカー

阪神8000系阪神9000系阪神9300系阪神1000系:個別記事あり。

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