概要
作中様々な場面で出てきては不穏な動きを見せる謎の集団。その正体は徹底的に隠匿されており窺い知ることはできない。
フォドラに住む人々を「獣(の裔)」と蔑み、自らを「救済者」と称している。
セイロス聖教会にまつわるすべてを憎んでおり、破滅させるためにガルグ=マク大修道院など各地の要人を暗殺して擬態し潜伏する他、セイロス教の西方教会を利用したり、帝国領の村人を凶暴化させたりと、フォドラの民の犠牲を一切意に介さない。
フォドラに出回っているものとは隔絶した特殊技術を持っているようで、誰も見たことのない鉱物で作られた強力な武器・兵器をいくつも所持している他、肉体に何らかの秘密があることも示唆されている。
ファーガスで起こったダスカーの悲劇にも関与しているようだが詳細は不明。
「闇に蠢く者」という名称はレアやヒューベルトが便宜上つけた呼び名。ファンからは略して「闇うご」と呼ばれることが多い。英語では"Those Who Slither in the Dark"となり、英語圏のファンからはこれを略した"TWSITD"あるいは自称の"Agartha"が使われる。
正体
正式名称は「アガルタ」。具体的な人数は不明。数千年前に女神と戦い敗れた一族であり、女神と女神の眷属を憎み、現アドラステア帝国領内のシャンバラという地下都市に身を潜め、復讐の機会を狙っていた。そしてネメシスに、自分たちの技術で作り上げた「天帝の剣」と「炎の紋章」を与え、女神の眷属たち「ナバテアの民」を虐殺させて、さらに武器と紋章を作り上げる。これがのちの「英雄の遺産」と呼ばれる武具である。
だが、ネメシスと彼の部下たちは女神の眷属の生き残りであるインデッハ、マクイル、キッホル、セスリーン、そしてセイロスにより組織された軍に討たれてしまい、再び地下世界に潜むことを余儀なくさせられ、千年以上もの間機会を窺っていた。
また、後日DLCで追加された資料、「報告書の燃えさし」において、後に王国の独立につながる北部の反乱~鷲獅子戦争において一切を差配したとされる軍師パーンと言う人物が、この闇に蠢く者の一人であった可能性が示されている。
最終的に教会が仲裁に入って終息しているが、この事実は歴史の裏側でナバテアとアガルタの長い戦いが長きに渡って繰り広げられているという裏付けであろう。
作中においてリシテアや炎帝ことエーデルガルトに二つ目の紋章を施したのも彼らアガルタであり、その目的は語られていないが、恐らくかつてのネメシス以上の存在を作り上げるためである。その最中リシテアに二つ宿すことには成功したが、短命になってしまったことで恐らくは失敗と見なし、以降はコーデリア家と全く関わらなくなる。エーデルガルトはもともと持っていたセイロスの紋章に加え、ネメシスと同じ炎の紋章を与えることができた一番の成功体と思われる。
つまり、彼らにとってエーデルガルトは第二のネメシスだったのかも知れない。
紅花の章(覇王ルート)
帝国側に寝返るはずだったコルネリアが当の帝国に討たれてしまったため、報復としてアリアンロッドに光の杭を落とす。それでもセイロス教団を倒すため帝国との共闘を続け、アガルタにとって一番厄介だったセイロスことレアは死亡した。
その後、ナレーションにおいて帝国はアガルタと縁を切り戦ったことが記載されているが、単独エンドでアガルタに関する言及があるのは主人公と追加キャラクター3名のみ。「主人公が得ていた神祖の力の消失」「光の杭に対抗可能なレアを殺害済」「眷属を排除した結果、大修道院に光の杭が効かないという情報を得られない」「名前のあるアガルタの民の生存率が4ルート中最も高い」「アガルタが一部の英雄の遺産を回収した可能性がある」と最もアガルタが優位な状況になっているため、10通り以上のペアエンドで戦いの長さや厳しさが示され、その中の主人公とユーリスのペアエンドでは民衆への被害まで記されている。
5つのペアエンドで帝国の勝利がはっきり伝えられているが、組み合わせ次第で勝敗の行方は不明のまま、それどころか自軍全員の後日談にアガルタの描写が全くないという状況もありうる、考察に幅を残す内容になっている。
その原因については推測するしかないが、後日談のその他の記述から、闇に蠢く者たちの仇敵であったセイロスの死が確定するルートであることから、彼らに帝国と敵対する性急な理由が無く、状況によっては、かつて女神をも欺いた隠遁のすべを用いて隠れたか国外などへ逃げ切った等で戦いを生き延びてしまったのではないかなど想像の余地がある。
のちにDLCで追加されたバルタザールの単独エンドやコンスタンツェとのペアエンドによる後日談ではシャンバラの崩壊について言及されているにもかかわらず、やはりそれ以上の記述がない。
このゲーム全体の、人の出会いと関わりが世界の歴史に大きく影響を与えることを象徴する後日談と言えよう。
蒼月の章(王国ルート)
タレスが扮していたと見られるアランデル公がデアドラ遠征の際に同盟の要請を受けて救援した王国軍に討ち取られ、その後は上述のミュソンの部隊がアンヴァルに布陣しているのみとなった。帝国もアガルタの弱体化により戦力を当てにできなくなり、追い詰められたエーデルガルトは自らを魔獣化せざるを得なくなった。
このルートでは帝国以外の勢力の関与を疑う描写はあるものの、物語の最後まで主人公らは闇に蠢く者の正体を突き止めるに至らない。また、光の杭が撃たれていないので、帝国滅亡直後にシャンバラの情報を得ることも不可能である。
そのため、ほとんどの後日談において闇に蠢く者の記述はないが、DLCによる追加キャラクターハピの一部後日談の記述が、翠風および銀雪ルートの「闇に蠢く者の残党が凶行を企てた」または「凶行に及ぼうとした」とは異なり「闇に蠢く者が大凶行に及んだ」と書かれている。なお、ハピがこの闇に蠢く者(の残党)を壊滅させたとあるが、彼らがアガルタの生き残り全員かは定かではない。
銀雪の章・翠風の章(帝国ルート・同盟ルート)
主人公らの抹殺を企図しメリセウス要塞に光の杭を落とすも、死神騎士が戦いで主人公との決着をつけるためか同盟軍/新生軍に示唆して脱出させたため失敗。しかも光の杭が落ちたことでヒューベルトが魔道を感知して居場所を暴いたため、帝国滅亡後、同盟軍/新生軍は旧フリュム領の本拠地シャンバラに侵攻する(そのすぐ北に位置するゴネリル領出身のヒルダは、目と鼻の先に彼らが潜んでいた事に戦々恐々としていた)。
最期、タレスが悪足掻きと言わんばかりに自分諸共主人公やレアたちを抹殺しようとするも、レアが重傷を負うことを代償に失敗に終わり、シャンバラは壊滅した。
だが、翠風の章ではもう一つの仕掛けか何かを動かしていたのか、封印されていたネメシスが蘇ってしまう。英雄の遺産と似た性能を持った模倣武器を手に、同じく復活したフォドラ十傑共々ガルグ=マクに向けて、進路上の村々を壊滅させながら進撃する。
このルートの女主人公(ベレス)とある人物のペアエンドでは、生き残りが旧帝国軍の一部と手を組み、敗戦から数ヶ月後に新王国を打倒すべく挙兵したことが語られる。
一時は王都デアドラに迫ったが、最終的には故郷から増援と共に帰還した彼と女主人公によって鎮圧された。
ただし、この2ルートでもアガルタの一員らしき人物が帝国滅亡のタイミングで逃げおおせており、アガルタの全滅が確定している後日談はどのルートにも存在しない。
無双 風花雪月
本作でも原作と同様、物語の裏で暗躍していた……が、序盤で本物のモニカがシェズとイエリッツァの所属する学級の面々に救出された事で事態は一変。
モニカに成り変わろうとしていたクロニエもまた、そのままシェズ達に撃退され敗走する。
そして救出されたモニカの証言により、彼女を誘拐した犯人がトマシュである事が発覚。
セイロス騎士団に追い詰められ正体を明かしたソロンは大修道院から姿を消した。
このモニカ救出劇を切っ掛けに、エーデルガルトらは闇に蠢く者と早々に手を切る事を決意し、まずは帝国内部からの一掃に取り掛かる。
同時期、王都でもリュファスが内乱を起こし、ディミトリ達はその鎮圧に向かう。
これら2大国の内乱を通して、帝都でアランデル公に化けていたタレス、王都でコルネリアに化けていたクレオブロスがいずれも敗走するなど、フォドラ各地で暗躍していた幹部達の存在が次々と暴かれ、表舞台を追われることになる。
それから2年後、エーデルガルトやヒューベルトは彼らの行方を掴めないまま開戦に踏み切る。だが、暗躍を続ける彼らの魔の手は、未だ止まっていなかった。
本作にも全滅するルートはない。また原作と違い、いかなる状況であろうと決して光の杭を使ってこない。その理由は不明である。全ルートで損害を出している一方、光の杭にネメシスおよび十傑(青燐ルート以外ではさらに最高傑作の傀儡化)といった切り札や、本拠地シャンバラの存在を自軍に気取られずに本編を終えている。しかも原作と違い、帝国が自分たちの後ろ盾なく起こした戦争がいずれの陣営も滅亡しないまま続く以上、敵が勝手に潰し合うため、原作よりも形勢逆転の可能性は高いと言える。
構成員
闇に蠢く者の導師で、リーダーと思われる者。黒装束に死人のような青白い肌をしている。
作中では主人公がクロニエに殺されるジェラルトを助けようとしたところを妨害した。
炎帝と話している場面も見受けられ、その会話からダスカーの悲劇も炎帝が力を得るために起こしたらしい。
曰く、炎帝は闇に蠢く者たちにとって「フォドラを洗い流す清浄なる炎」とのこと。
クラスは専用職の「アガスティア」。
闇に蠢く者の祭司。片目が見開いたままになり両目ともに黒く染まっているのが特徴の老人。
ガルグ=マクの書庫番のトマシュに成り代わり潜伏していた。ルミール村で非道な実験をした際に正体を表す。
のちに封じられた森にてクロニエが主人公たちに追い詰められたときに現れ、危機に陥ったクロニエを生贄にしてザラスの禁呪を発動し、主人公を闇の空間に閉じ込める。だが、女神と融合したことで不可能のはずだった脱出が成り、ソロンは討たれてしまう。
クラスは上級職の「ダークビショップ」。
闇に蠢く者の使徒。オレンジ色の髪に片目が隠れているのが特徴的な若い女性。
作中フレンが拐われる事件が発生した際、前年に失踪していた女子生徒のモニカに成り代わり、共に救出される形でガルグ=マクに入り込む。
その後旧礼拝堂で突如魔獣が大量に出現する事件が発生しそれを解決するために来たジェラルトの前に現れ、油断しているところを不意打ちで殺害した。
のちに仇を取りに来た主人公たちを封じられた森に誘い込み正体を明かし、主人公も殺害しようとしたが返り討ちにあい、必死に逃げるも追い詰められてしまう。そこに同胞のソロンが現れるも、彼に禁呪の発動のために生贄とされ主人公共々闇に呑まれてしまった。この時、体内の何らかの物質も抜き取られており、生存は絶望的と見られる。
クラスは上級職の「アサシン」。
クレオブロス・コルネリア=アルニム
ファーガス神聖王国で流行り病を鎮めた聖女と呼ばれている美女。
かつて帝国で学者もしていたようでその時の知識を活かして流行り病を鎮めたらしい。だが、容姿こそ衰えないもののいつしか聖女としての姿は陰り、非道な人物に成り下がった。
闇に蠢く者との直接的な関係は語られていないが、彼女が扱う兵器は闇に蠢く者たちが扱うものと同じものである。
クラスは最上級職の「グレモリィ」。
「無双 風花雪月」では正体についてのさらなる言及があり、作中の時点ですでに闇に蠢く者の一員であるクレオブロスがコルネリアに成り代わっていたようだ。
ミュソン
闇に蠢く者の一人。アガルタ兵に様づけで呼ばれている。
第一部では外伝で帝国外務卿ゲルズ公がダグザ・ブリギット戦役のときに入手した英雄の遺産「ドローミの鎖環」を奪取しようとするも、主人公らに阻止される。
第二部王国ルートではディミトリたちに追い詰められたエーデルガルトとともに手下を連れて現れる。
相手の体力を1まで減らす凶悪な闇魔法「ボーアX」を無限に使用してくる。早めに倒さないといけない厄介な敵で、倒すとマップ内の闇に蠢く者に所属している敵は全て撤退する。
帝国・同盟ルートでは本拠地で陣取っている。
クラスは上級職の「ウォーロック」。
ピッタコス、ビアス
闇の蠢く者の一員である女性魔道士で、帝国・同盟ルートに登場。
ピッタコスは遠距離攻撃兵器のヴィスカムを制御する施設を管理しており、倒すとヴィスカムが停止。ビアスはタイタニス制御施設を管理しており、倒すとタイタニスの増援が止まる。クラスはともに最上級職の「グレモリィ」。
キロン
闇に蠢く者の一人。本拠地でタレスのいる施設を守っている。クラスは最上級職の「グレートナイト」。
本作のボルトアクス将軍枠。
オデッセ
闇に蠢く者の一人。同盟ルートのみに登場し、本拠地崩壊後に残党として部隊を率いる。戦場では翼魔獣の呼び込みを行う。倒すと部下は撤退する。
アナクシマンドロス
闇に蠢く者の一人。「無双風花雪月」で登場。クラスは最上級職の「ダークナイト」。
エピメニデス
闇に蠢く者に関連していると思われる存在。名前が登場したのは「無双風花雪月」の終盤。
特にミュソンがこの存在についてなにか知っているようだが、多くは語られない。
関係者
闇に蠢く者ではないが密接に関係している者たち。
度々主人公たちの前に現れてはその存在を植え付ける正体不明の謎の人物。作中では聖廟襲撃やフレン誘拐の実行犯として後述の部下を闇に蠢く者に派遣しており、彼らと会話しているのが見受けられる。
主人公に関心を寄せており、こちら側に引き込もうとしているようなそぶりさえ見せる。
闇に蠢く者たちとは協力関係であるものの、彼らのことはあまり快く思ってはいない模様。
炎帝の配下。炎帝と同じく正体を隠している。
炎帝の計らいで闇に蠢く者たちと協力してくることもあるが、基本的に従うことはない。
強き者を求めている武人で、「天帝の剣」に選ばれた主人公との戦いを「逸楽」として渇望している。
彼もまた闇に蠢く者たちを忌み嫌っており、「斬る価値すらない地虫」と酷評している。
闇に蠢く者の最高傑作が古の術で魔獣化した姿。ゲーム中ではいずれも元の姿に戻っているが、戻れない可能性もあった。
王国ルートでは本人の意志でこの姿になり、自我を保った状態で敵の前に立ちはだかる。
一方、『無双 風花雪月』の青燐ルートでは本人が闇に蠢く者に表立って歯向かった結果、タレスに無理矢理変貌させられ、敵も味方も無差別に殺戮する。
『無双風花雪月』でのみ登場する流浪の傭兵であり、闇に蠢く者たちの計画をある程度狂わせることになるイレギュラー。
シェズは心の中に潜むラルヴァから授かった力が、闇に蠢く者たちのものと酷似していることに悩みを抱いている。
事実、シェズの力は闇に蠢く者の多くからも心当たりがあるような反応をされているが、詳細は本編で判明しない。
ラルヴァ本人は記憶を失っているが、無意識下で灰色の悪魔と決着をつけることに執着を抱いている。
余談
構成員であるタレス、ソロン、クレオブロス、ミュソン、ピッタコス、ビアス、キロンの名前は恐らく、ギリシャ七賢人のメンバーが由来になっていると思われる。
関連タグ
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アシエン…闇の力を使う、他者の身体を乗っ取る能力を持つ、自分たちなりに世界を救おうとしている、ギリシャ関連の本名など、複数の共通点を持つ。