ファイアーエムブレム
ふぁいあーえむぶれむ
1990年からインテリジェントシステムズが開発を手掛けているシミュレーションRPGのシリーズ作品。略称は『FE』。
また任天堂が協力を行っており、企画などに関わっている。
「ファイヤー」でも「エンブレム」でもないので注意(ただし、商標登録はされている)。
ファイヤーエンブレムという名のキャラクターが登場する作品もあるので混同しないよう注意されたし。
一般的ではない「エムブレム」表記となっているのは商標権などの事情で、初代『暗黒竜』の発売前のポスターなど公式のものでも「エンブレム」となっているものもある。もっとも開発者側もそのややこしさを認識しており、訓み方としては公式映像で「エンブレム」とも発音している。もっとも英語の発音ならび文法上ではb / pの後にmが続くとn(ン)と発音する法則があるため 「エンブレム」と読むのは間違っていない。
なお、このシリーズの大半のキャラクターは名字が登場しない(『風花雪月』は珍しく多くのキャラにフルネームが存在する)ため、どうしても他の作品と名前が被りやすい。タグ作成の際は名前の後に半角カッコで作品名<例:(暗黒竜と光の剣)>を付けるのが望ましい。
シリーズ作品
作品名 | ハード | 発売日 | 備考 |
---|---|---|---|
ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣 | FC | 1990年4月20日 | |
ファイアーエムブレム 外伝 | FC | 1992年3月14日 | 暗黒竜と紋章の間の話。一部キャラに支援要素が追加 |
ファイアーエムブレム 紋章の謎 | SFC | 1994年1月21日 | 暗黒竜のリメイク及び続編。本格的な支援システムが導入 |
ファイアーエムブレム 聖戦の系譜 | SFC | 1996年5月14日 | FEの代表的なシステムである三すくみが初めて導入される。また、カップリング要素も追加 |
ファイアーエムブレム トラキア776 | SFC | 1999年9月1日 | 聖戦の外伝。シナリオ補助として堀川将之氏が参加。また、本作から外伝マップが追加 |
ファイアーエムブレム 封印の剣 | GBA | 2002年3月29日 | 加賀昭三氏の退社に伴い、シナリオ担当が堀川氏に交代。支援システムに会話が追加され、進行度が可視化された。 |
ファイアーエムブレム 烈火の剣 | GBA | 2003年4月25日 | 封印の過去編。海外初作品 |
ファイアーエムブレム 聖魔の光石 | GBA | 2004年10月7日 | フラグシップ(カプコンの子会社)が開発に協力したFE |
ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡 | GC | 2005年4月20日 | 3D化した初のFE |
ファイアーエムブレム 暁の女神 | Wii | 2007年2月22日 | 蒼炎の続編 |
ファイアーエムブレム 新・暗黒竜と光の剣 | DS | 2008年8月7日 | 暗黒竜のリメイク |
ファイアーエムブレム 新・紋章の謎 | DS | 2010年7月15日 | 紋章2部のリメイク。新・暗黒竜の続編 |
ファイアーエムブレム 覚醒 | 3DS | 2012年4月19日 | 携帯機FEでは初の3D |
ファイアーエムブレム if(白夜王国/暗夜王国) | 3DS | 2015年6月25日 | |
ファイアーエムブレム Echoes | 3DS | 2017年4月20日 | 外伝のリメイク。新・暗黒竜と新・紋章の間の話 |
ファイアーエムブレム 風花雪月 | Switch | 2019年7月26日 | コーエーテクモゲームスが開発に協力したFE |
ファイアーエムブレム エンゲージ | Switch | 2023年1月20日 |
コラボ作品
作品名 | ハード | 発売日 | 備考 |
---|---|---|---|
幻影異聞録♯FE | WiiU | 2015年12月26日 | |
ファイアーエムブレム無双 | Switch/New3DS | 2017年9月28日 | 無双シリーズとのコラボ作品 |
幻影異聞録♯FE Encore | Switch | 2020年1月17日 | 『幻影異聞録♯FE』の海外版をベースとする追加移植版 |
ファイアーエムブレム無双 風花雪月 | Switch | 2022年6月24日 |
※この内『アカネイア戦記』のみ、サテラビューでの配信作品であった都合上、現在プレイ不可能であるためか公式サイトにもシリーズとして列挙されていない。ちなみに一般的には『アカネイア戦記』と表記されるが、実際の放送・ラジオドラマでは『アカネイア戦記編』と表記されていた。尚、『新・紋章の謎』には『アカネイア戦記』のシナリオマップが別モードとしてプレイできるようになっており、同作限定だったキャラも本編中で仲間になる。
『幻影異聞録♯FE』は女神転生シリーズや世界樹の迷宮シリーズなどで知られるATLUSとのコラボレーション作品である。舞台は現代の東京であり、ジャンルもシミュレーションRPGではなくRPGと、本編シリーズとはかなり毛色が異なる。
また、ビデオゲームと同じインテリジェントシステムズ開発・任天堂発売のシリーズを題材にしたTCG『ファイアーエムブレム0(サイファ)』も展開された。第一弾の発売日は『if』と同日の2015年6月25日。
このほか、2017年のエイプリルフールネタで、ほぼ和風で舞台を幕末に据えた『ファイアーエムブレム維新大乱』なる新作情報が発表された。
このシリーズにおける最大の特徴は、前身と見られる『ファミコンウォーズ』のようなウォーシミュレーションゲームでは駒でしかなかったユニットに、固有の顔や千差万別のパラメーターなどの個性的なキャラクターが備わり、しかも死んでしまった味方は基本的に復活しないシビアなシステムとなっていることである。
他の同種のゲームには、コストを消費してユニットを生産するシステムの存在が当たり前なのだが、本シリーズには基本的にその手の要素は存在しない。金銭で雇える傭兵も稀に登場するが、もれなくユニークキャラで1度きり。その上仲間にできるキャラクターの総数に反して、戦場に出陣できるキャラクターが多くても12人前後と狭き門になっている。それらの要素から「多勢に無勢」の状況を強いられる局面が多く、敵の「量」に対してプレイヤー軍は「質」で対抗せざるを得ないゲームバランスになっている。そのため、個々のユニット自体の重要性が非常に高く、味方や敵の能力だけでなく、それぞれの攻撃範囲や立ち位置も考えつつ、被害を最小限に抑えながら味方を動かす必要がある。またRPGの特性としてユニットの成長も存在し、ステージが進む毎に敵のパラメータが強くなっていくため、こちらもそれに対抗するために活躍させる(=成長率が高い)ユニットを経験値を多く与えやすいように動かす必要もある。
このため思わぬところでユニットを失ったり、レベルアップしても成長具合がイマイチだったりした場合にリセットをしてやり直すか悩むのがプレイヤーのお約束となっている。
万人向けゲームが多い任天堂発売の作品でも珍しく「手ごわいシミュレーション」と謳われるゆえんである。しかし「ゲーマー以外お断り」なスタンスをとっているわけではなく、近年の作品は丁寧なチュートリアルを用意しており、ユニットの死亡による離脱をナシにできるモードや手順を巻き戻す要素が存在したり、フリーステージでユニットを自由に育成させられたりと間口を広くする要素が盛り込まれている。
ストーリー・世界観
- 『聖戦の系譜』までの4作品は立ち上げスタッフの1人である、加賀 昭三氏が1人でシナリオを担当していた(このため加賀氏の拘りが様々な所に見られ「加賀ワールド」と呼ばれもする)が、『トラキア776』では加賀氏と堀川 将之氏の2人体制になり、更に制作後に加賀氏が退社しFEから離れたため、以後は加賀氏の路線とは違った独自の世界観が構築される作品が多くなった。
- 堀川氏がメインシナリオを担当した『封印の剣』の時点では、初期の路線に忠実な部分も多かったが、『烈火』以降は様々なスタッフが入れ替わりで各作品のシナリオを担当する方向性になり、より独自性が強くなっている。
- ただし、全く別物になったわけでもなく、現在でも加賀氏の時代に作られたお約束(赤と緑の騎士など)が継承されていたり、中にはその頃の作品をリスペクトして制作されたもの(『風花雪月』など)もある。
- 中世ヨーロッパ風のファンタジーの世界で、魔法や人ではない異種族が存在する大陸が舞台となる。あらすじは “勇者・英雄の血を引く主人公が軍を率いて、大陸の国々を救うために戦い、竜殺しや神殺しを果たして、最後に新たな国や統治者が生まれる” 展開が多い。主人公や重要人物の貴種流離譚となっている作品もしばしば。
結婚システム
- ゲーム進行中に条件を満たせば、特定のキャラクター同士が本編あるいはEDで結ばれるイベントが起こる。
- そして『聖戦』『覚醒』『if』ではあるイベントを境に、生まれた子供が子世代ユニットとして登場し、仲間として戦場に出陣させられる。子世代ユニットは基本的に能力の一部を親から引き継ぐ。組み合わせの多彩さもあいまって、誰と誰をくっつけるかで終わりなき論争が繰り広げられている。
- 『覚醒』と『if』の場合は基本的に、特定の親ユニットに対応したもう一方の親と同じ髪色の子が、両親からスキルとパラメータ補正、クラス適性等を受け継いだ状態で登場する。子世代の基底パラメーター自体は元々高水準だが、これにより更に強烈な能力を持ちうる。
- そして『聖戦』『覚醒』『if』ではあるイベントを境に、生まれた子供が子世代ユニットとして登場し、仲間として戦場に出陣させられる。子世代ユニットは基本的に能力の一部を親から引き継ぐ。組み合わせの多彩さもあいまって、誰と誰をくっつけるかで終わりなき論争が繰り広げられている。
炎の紋章(ファイアーエムブレム) について
大半の作品に登場する「炎の紋章(ファイアーエムブレム)」と呼称される重要アイテムでその正体は盾や剣や宝玉など、作品の舞台ごとに形状や扱い方、役割などは異なる。また紋章には「紋章によって王家の再興が叶った時、その代償として最も愛する者を失う」「炎は全てを焼き新しいものを生み出す」等……なにかと穏やかじゃない逸話がつきまとう。
時系列について
シリーズ作品中、GBAの3作、風花雪月、エンゲージ、ヒーローズを除いた作品には、全舞台をまとめた時系列が設定されている。
GBA作品についてはストーリー上の関連性が皆無なものもあり、この時系列からは除外され言及されていないが、エレブ伝承、マギ・ヴァル伝承などの形で『覚醒』の時代に伝わっている。これは『覚醒』の次に出た『if』の白夜王国と暗夜王国も同様とされている。
『風花雪月』も作中で他作品との関連性は示されていない。
『ヒーローズ』『エンゲージ』の舞台は他作品とは別の異世界であるとされている。
ここで一旦『覚醒』は視点外に置く。
アカネイア大陸(『暗黒竜』・『紋章』)、バレンシア大陸(『外伝』)、ユグドラル大陸(『聖戦』『トラキア』)、テリウス大陸(『蒼炎』・『暁』)は、同一世界(惑星)上に存在するとされるものの、相互の交流はない。
つまりFE世界では、外洋へ出るための大型船は基本的に発明されていなかったのだ。異大陸に渡った例としては、マケドニアのペガサス三姉妹が飛行中に強風に流されて、アカネイアからバレンシアへ移動したケースがある(ちなみに同時期には、何処かよりバレンシア大陸に漂着したグルニアのあの人を左右ひっくり返し……もとい、瓜二つのジークなる記憶のない人物も確認されている)。
そして、時系列がもっとも若い『覚醒』に視点を移し同作のワールドマップを見ると、作中にて船で行き来するイーリス大陸とヴァルム大陸の構図が、アカネイア大陸とバレンシア大陸とほとんど同じである事情がわかる。
正確に見ると東大陸の形状が若干異なるが、『紋章の謎』から少なくとも2000年以上の時間が経過しているはずで、それが本当ならばこの程度の地殻変動はありえる話だろう。事実チキが『紋章の謎』での記憶を持って登場したり、〈マルス〉の名前も“かつての英雄王”として語り継がれており、2つの世界が同一の世界であることを裏付けている。
イーリス大陸はマルス達『暗黒竜』『紋章』の時代からおよそ1000年後(クロムら『覚醒』本編からはおよそ1000年前。ちなみにマムクートの少女ノノが生まれたのもこの頃)に成立したイーリス聖王国と同名。ヴァルム大陸はアルムの次の代に、“彼の功績を称えて大陸の名称が変更された” と旧版の公式関連サイトや『Echoes』の資料集に記されている。
時代の変遷を示すものとして、クロムの時代では〈炎の台座〉と呼ばれている “ファイアーエムブレム” を、チキが “炎の紋章” と昔の名称で呼んでクロムに首を傾げられている。
善悪の概念
1990年に発売された初代は「世界征服を企むラスボスを倒す」王道かつシンプルな内容だったが、2作目の『外伝』からは、勧善懲悪にとどまらないエピソードが目立つようになる。
スーパーファミコンの頃に発売された『紋章の謎』はかつての仲間が闇堕ちしたり、『聖戦の系譜』は親殺し・兄弟殺し、W不倫、寝取られ、重婚、近親相姦など、とても任天堂レーベルのタイトルとは思えないお話だったのは有名。
これはトラキア776まで企画・脚本などを手がけた加賀昭三氏の作風の変化が大きかったためで、氏が開発から抜けたGBA3作品以降はブラックな描写が抑えめになり、勧善懲悪の色が少し戻ってきている。
まず『聖戦の系譜』(『暗黒竜』の400~1000年前)の少し前の時代は、竜族が闊歩し人間が文明を築ける状態ではなかったのだと伝わっている。この頃から竜族に突然異変が起こり始め、繁殖不能になるのみならず自我を失って暴走し人間を滅ぼし始めたのだという。
そうして起きた戦争の最中、異変の影響を受けなかった神竜ナーガが人間側に加勢、人間達は暴走した竜族を排除して大陸を支配した。残った竜族はドルーアなど環境の悪い地域に身を寄せ合って、自我を失わずに生き延びるために人間の姿をとり、竜としての能力は「竜石」と呼ばれる宝珠に封印した。彼らは竜人、後にマムクートと呼ばれる。
しかし、時間が経過するにつれマムクート化した竜族は本来の力を失い、次第に人間達に支配され虐げられていく(チェイニー曰く「マムクートという言葉は本来は差別用語」だった)。
その姿に見かねて竜族を率いて蜂起したのがメディウスなのだ。
つまり『暗黒竜と光の剣』『紋章の謎』とは、正確にはどちらが正義ともいえない、人類と竜族の、それぞれの生存権争いだったのである。また王族ながらもメディウスは地竜の1人(同程度の力を持つ者は多く存在する可能性があり、その中の代表として立ち上がった)であり、当時から『暗黒竜』と呼ばれていたロプトウスよりも劣っていた可能性がある。
神竜族のチキを恐れ、ガーネフに抹殺させようとしたり、『紋章の謎』で生贄を得て神竜に準ずる力(暗黒竜の力を制御した状態での復活)を手にしようとしていたのはそのためである。
上記の理由からメディウスに同調するマムクートも相当数いたし、人間側にも保身を求めてメディウスに従うものも多かった。
ファミコン版第1作(後の『暗黒竜~』)では、“メディウスが世界征服のためにナーガ一族を滅ぼした” とされていたが、これも中世の戦争の歴史ではままあった(むしろ日本がお花畑過ぎるのである)。ただ、『紋章の謎』発売以降はこの設定はあまり公にされていない。
FE世界における竜
本シリーズには主に2タイプの竜が登場する。
一方は「飛竜」とも呼ばれる、馬のように人間が騎乗もできる動物の延長線上として描かれている竜。そしてもう一方は人間と同等かそれ以上の知性を持った高等生命体としての竜で、特に後者は各々の作品における世界観の根幹に関わる、極めて重要な存在となっている。
第1作では竜族が人間よりも先に文明を起こした種族とされており、その竜族自体は後に自身に起こった異変(上記の〈善悪の概念〉の部分を参照)により衰退していき、ついには文明種の座を人類に譲ると、生き残った一部の竜は特殊な方法で人間と同じ姿となって隠遁する道を選んだと伝わる。以降の作品でも多少のスタンスや背景は違えども、常に人類よりも遥かに優れた能力と知性、文化水準を併せ持った神にも等しい高位の種族であるとされる。
竜族に代わって人類が栄えるようになった後も、まだ生きている竜自身(またはその化身など)、あるいは竜族が残した遺産や情報が、人類の現文化および意識に与えている影響は決して小さくないものであり、大抵のシリーズ作品の中での人間にとって竜とは〈創造主〉か〈守護神〉、場合によっては〈邪神〉か〈破壊神〉として信仰ないし畏怖の対象扱いも珍しくはない。
このためかシリーズを通して見ると、その竜族絡みの因縁や事件がゲーム本編における戦乱の遠因、発端になっているケースが非常に多かったりもする。
FE世界における王位継承権問題
初期作品の王家は基本的に男系相続であり、アカネイア大陸ではアカネイア王国を唯一の生き残りの王族であるニーナが継げず、結果として英雄戦争の引き金になった。
ただし、「マケドニア王国のミシェイルが父王を弑逆した理由の1つは、“父が長兄の自分を廃して妹ミネルバに王位を継がせようとしている”という噂を信じたから」との設定がインテリジェントシステムズの旧公式サイトで公開されていたため、王家によって異なる模様。
『聖戦の系譜』では女性が跡取りとなるEDも見られるが、候補者全員に兄弟がいるため、家を継ぐのはティニーの父親が王侯貴族だった場合を除いて、兄弟(一部の女性は更に従兄弟)を喪った時のみである。
6作目の『封印の剣』では、本篇開始前に「息子で長子のゼフィールではなく、愛人との娘であるギネヴィアに婿を取らせその者を王にする」と主張していた前王デズモンドに暗殺されかけるも返り討ちにしたゼフィールが王位に就いているが、彼が起こした戦乱を経て本篇終了時にはギネヴィアが女王に即位。作中で必ず家督を継ぐ最初の女性となった。
『烈火の剣』ではリンディスが正式に領主である祖父の後継者と認められ、『暁の女神』でも正式にエリンシアが王位に就いたのである。ただし、どちらも他に候補者がいないという条件に当てはまってはいる。
なお『蒼炎の軌跡』では元首を務める少女サナキが登場するが、こちらは上位の「皇帝」と最上位祭司職の「神使」の兼務となっており、議論の余地がある。続編の『暁の女神』では、デインの平民であるミカヤが国民の支持を得て後継者を失った王位に就くという、血筋や婚姻によらず既存の国家を継いだパターンも登場している(実は彼女は祖国を離れる羽目にならねば元首を継いでいただろう生まれだけども、その影響は少なかったと思われる)。
ストーリー上は『暗黒竜と光の剣』の直系である『覚醒』でも、主人公達の帰属するイーリス聖王国の物語開始時の元首は女性である。こちらは先王の死に伴い第1子であった彼女が9歳で王位を継承したもの。
後に王弟クロムに引き継がれるが、彼の次代の第1継承権を持ったのも第1子の娘である。クロムらの結婚相手によっては、第2子の男子(と更には息子の息子も)が生まれることが判明しているのだが、そちらはある事情もあって彼らに継承順位が繰り上がった様子はない。ただ作中では言及されていないが、クロムも娘も宝剣ファルシオンの継承者であり、この点が継承順位に影響している可能性も大いに考えられる。
『聖魔の光石』のジャハナ王国、『if』の白夜王国、『エンゲージ』のフィレネ王国は夫に先立たれた女王が治めていて、死後に子が王位を継承している。if白夜編のエンディングでは暗夜王国の第1王子マークス亡き後、王位継承権が高かったのは第2王子のレオンではなく姉に当たるカミラであったそうだが、彼女が自らの能力を鑑みて継承権を放棄したと語られている。
ちなみに『if』の場合はルート次第で同性カップルが元首になるケースもある。
『風花雪月』では、〈聖人〉や〈十傑〉と呼ばれる過去の偉人の血を引く者に宿るケースがある(聖戦に比べるとかなりランダム性が高い)紋章が重要視されているが、どの程度重視するのかは諸侯によってかなりの温度差がある。そのため紋章を重要視する家では多くの悲劇が起きており、紋章を貴族の基準とする思想自体に否定的な人物もかなり存在する。本作では4ルート中2ルートで、正真正銘の平民ではあるが伝説の紋章を宿している主人公が、後の統一王国の初代国王に即位する。
『エンゲージ』のソルム王国は作中で「女王制国家である」と明言されている。
特別な装備
基本的な武器は武器レベルが一定の値に達していれば装備して振える。
他方、ファルシオンを筆頭に、主人公や大ボス級の敵将、一部の味方キャラクターには専用装備の概念がある。
『聖戦の系譜』の聖遺物や『if』の神器のように、ストーリーとも深く関わりを持つ代々伝わる伝説の武具が代表的だが、中にはひょんなきっかけから愛用されるようになった武器なんて代物も。また己の肉体を武器に戦う種族・ラグズや、武器に変じたパートナーを手に戦うミラージュマスターのような唯一無二のパターンも存在する。
なお伝説の武具が全て専用装備扱いわけではなく、『封印の剣』『聖魔の光石』では伝説の戦士達が使った特別な武器が登場するが、ほとんどが使い手を選ばない(武器レベルを満たせば装備できる)思いきった措置が採用されている。
この傾向は『新・暗黒竜』『新・紋章の謎』のDSリメイク作でも見られ、本来の所持者でなくとも(キツめではあるが)条件を満たせば装備が可能となっている。同時に追加された兵種変更システムも併せて、使い手がゼロにならないようにするための配慮と思われる。
『風花雪月』には英雄の遺産が登場。
これも元は古来より伝わる武具で、対応する紋章の持ち主が持つと強力な「戦技」の発動ができ、技を使った次のターン攻撃を必ず回避する、技を使った後に無条件で再行動などのエグい効果のものもザラである。
ただし、設定上は紋章を持たない者が使い続けると、身体が変質して理性の無い魔獣と化してしまう。ゲーム上では紋章無しユニットが使用する度に10ダメージを受ける程度にはされているが「特別なキャラクターが特別な武器を持てる」お約束を活かしたものだといえる。
とはいえ、周回プレイで入手できるアイテムを使うとダメージを無効化できたり、デメリットが特に設定されておらず、条件が一致する者が使った時だけ効果が大きくなる武具・神聖武器もあるので各自で使い分けよう。
『エンゲージ』では紋章士の指輪(腕輪)という特別な武具を味方ユニット全員が装備できるようにする一方で、ストーリーにかかわる主要キャラクターには専用兵種をあてて特別感を演出している。
ファルシオンについて
その刀身は神竜ナーガの牙を加工したもの。大陸最強のドラゴンスレイヤーである。でもどういうわけか、お隣のバレンシア大陸にも登場し、アルムが振るって戦う。彼には隠された出自が存在するがアカネイア大陸との繋がりは不明。
リメイク版のEchoesでは神竜族であるドーマとミラが「いずれ狂う未来を見越して、その時に人が彼らに対処できるようにと、ナーガがドーマに託したものであ」ると後付けされている。
また『聖戦の系譜』にはそっくりなデザインの『ティルフィング』が登場する。
ところが、今度は『ファルシオン』の方が、『覚醒』でその形を大きく変えてしまう(『新暗黒竜』のは言及してはいけない)。この理由は作中のルキナとウードの支援会話で解説されているように、「ナーガの牙である刀身は不変不滅だが、人が作った柄や鍔の部分は2000年という長い年月で老朽化し、変化した」と考えられる。
なお『覚醒』では敵ドロップや名声ボーナスとして、『聖戦』の他の12神器が発掘されているのだが(特に『ミストルティン』など、クロム達もその名前を知っていたものがある)、『ティルフィング』のみ存在せず、“セリスの神剣”として登場する。
後に配信アイテムで追加されたが、その形はなぜか『覚醒』のファルシオンに準じたものになっている。ただこれはぶっちゃけDLCによる流用仕様だから仕方ない……扱いにしておきたいところではある。
人為的に作られた英雄
加賀時代には存在せず、覚醒以降に散発的に登場するようになった概念。
一般的な意味でのそれも何人かいるが、そういう意味ではなく「本来なら先天的・血統的に定めらるべき英雄の素質である概念を、所謂遺伝子組み換えのような『科学的』手法で人為的に移植された存在」のこと。
通例このタイプのキャラは不正な存在であるがためにどこかで無理が祟って死んでしまうのがお約束だが、ファイアーエムブレムの場合はそうでもなく天然物よりも強いまま最後まで生存することがしばしばある。
名前などの入力が可能な「『マイユニット』要素がある主人公」のかなり多くがこの性質を持っており、近年のお約束の一つとなっている。
ファンタジー的な素質を科学的に移植可能としているのは、生みの親と決別しながらもそれを超えてシリーズを発展させ続けてきた故の描写なのかもしれない。
暗黒の力の取り扱い
初期の暗黒魔法はその作品における暗黒教団と密接に関わる魔法であり、味方が使用できない敵専用の魔法として扱われてきた。例外は『トラキア776』にて暗黒教団の元信者として闇魔法を使用できる味方ユニットが登場するくらいだった。
しかし『封印の剣』以降では暗黒教団に類するものは存在するものの、同時に「闇魔法=失われた魔術(古代魔法)」として研究・実用の対象となっていると描写されている側面があり、加賀時代の作品のリメイクも含めて味方ユニットになる人物が少なからず登場するようになっている。
後の作品には目的解決の究極の手段として、暗黒の力の利用を提案されている場面も登場。このように後年では暗黒の力に限らず、敵と同質の力を利用する描写が目立つようになっている。
- ユニットの兵種は下位から上位へとクラスチェンジするものやクラスチェンジのない固定職など様々で、作品のボリュームによるが少なくても20クラスくらいはある。
- また、兵種系統ごとの味方ユニット数も偏っていたり、逆にバランスがとれていたりとまちまちだが、基本的にシリーズごとに似たような特徴や経歴を持ったキャラクターがひとりずついる場合が多い。
以下に例を挙げると、
- 主人公はロードと呼ばれる固有兵種。全マップ強制出撃で、死ぬと即ゲームオーバー(ただし、クラスチェンジの可否、人数など、その特徴は作品によって様々)。
- 名前・容姿・クラスと細かな成長率・パラメータ重点などをプレイヤーが自由に設定する所謂キャラクターエディットは基本的に出来ないが、『新・紋章の謎』『覚醒』『if』に限り可能。『覚醒』ではこうしたマイユニットがダブル主人公の一翼を担い、『if』ではマイユニットが単独の主人公となっている。
よくある顔ぶれの一覧
注意:新規項目の追加は該当キャラクターが4~5タイトル以上に登場している(リメイク・移植版による多重カウントは除く)程度を目安にお願いします。迷ったらコメント欄へ相談を。また同一タイトルのキャラクターは併記してください。
- まとめ記事があるもの
- 序盤のお助け上級クラス(基本はパラディンだが例外あり)
※厳密には設定上も老い先短く(老人でないにしても不治の病を抱えた病人など)成長率が著しく悪い老兵タイプと、設定上も戦闘経験豊富で成長率もそこまで悪くない熟練者タイプに分かれる。
- 老兵タイプ
- 熟練者タイプ
- 黒騎士
- 竜人族マムクート
- 少年魔道士
- 顔に傷跡を持つ傭兵
- 緑の少年アーチャー
- 妹と戦闘(妹に攻撃)する「バカ兄貴」と被害者の妹(信念などの違いで対立し、説得不可なものは除く)
- 赤い女性ドラゴンナイト(敵からこちらに寝返る作品が多い)
- アイビー
- イメージカラーは紫系。この系列では初の魔道系のユニット。
- アイビー
- 王国の三銃士
- 女性剣士
- 大剣豪
- 美形僧侶
- 仮面の騎士
- 片恋ペガサスナイト(※印は本編で成就の可能性がある人物)
- ナンパ常習犯
- 妹シスター
- 妹トルバドール
- どちらか一方しか仲間に出来ないキャラクター
- 敵対する美形、かつ巨乳の女魔道士
- 仲間になりそうでならない敵
- 敵幹部
- 地位だけ高い卑劣漢
- 暗黒魔道士
- 苛烈な帝王(※印は本来の人格ではない)
- 謎の二人組エネミー
- マギー&ローズ
- ポール&ジャスミン
- デス&ヘル
- ハンサム&ジョージ
- ウィリアム&ホルモン(捕獲することで仲間にすることが可能)
- テッツィ&トッツィ
- 伝承の竜(リンク先ネタバレ注意)
- 子安枠(出演機会の多さから「任天堂公認ファイアーエムブレム声優」と名乗ることでも知られている)
- 同名人物(意図的にダブらせているアンナ、ジェイク、ララベル、セティ、マーニャなどは除外)
- リンダ(暗黒竜、聖戦)
- カシム(暗黒竜、聖戦)
- ガザック(暗黒竜、聖戦、if)
- ゴメス(暗黒竜、トラキア)
- ルイ(暗黒竜、エンゲージ)
- アトラス(外伝、聖戦)
- スレイダー(外伝、聖戦)
- ジュダ(外伝、聖戦)
- ヘステ(外伝、聖戦)
- ディーン(外伝、トラキア)
- クリフ(外伝、トラキア)
- ボーイ(外伝、トラキア)
- ギース(外伝、聖戦、封印)
- ジェローム(外伝、覚醒)
- グレイ(外伝、if)
- カムイ(外伝、if)
- ノア(紋章、封印、風花雪月)
- ヨーデル(紋章、封印)
- ワイズマン(聖戦、トラキア)
- エスニャ(聖戦、トラキア)
- ロベルト(聖戦、アカネイア、トラキア)
- クレイン(聖戦、封印)
- ローラン(聖戦、封印・烈火)
- マクベス(聖戦、if)
- ハロルド(聖戦、if)
- クロード(聖戦、風花雪月)
- ヒルダ(聖戦、風花雪月)
- エミール(聖戦、風花雪月)
- インデッハ(漫画版聖戦、風花雪月)
- ラルゴ(トラキア、蒼炎)
- グスタフ(トラキア、ヒーローズ)
- パーン(トラキア、風花雪月)
- パトリシア(トラキア、風花雪月)
- グレン(聖魔、風花雪月)
- モニカ(聖魔、風花雪月)
- ジョージ(蒼炎・暁、覚醒)
- エマ(サイファ、幻影異聞録)
大乱闘スマッシュブラザーズシリーズとの関わり
歴代主人公のうち、マルス(『大乱闘スマッシュブラザーズDX』以降)・ロイ(『DX』)・アイク(『大乱闘スマッシュブラザーズX』以降)は、任天堂のオールスターアクションゲーム『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズにファイターとして、リンは『X』から登場したアシストフィギュアとして参戦している。
そのためこのキャラクターたちの知名度はシリーズ内で際立って高く、シリーズ自体の知名度向上にも大きく貢献している。(→FE組)
『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS /for Wii U』においては2013年11月にマルスの参戦(『DX』、『X』に続いての登場)が、2014年5月にはアイクの参戦(『X』からの続投だがデザインが『暁の女神』のものへと変更)が発表された。リンもアシストフィギュアとして続けて登場。
そして、同年7月14日には新規参戦キャラとして『覚醒』よりルキナとルフレの参戦が決定した。尚、ルキナはFE出身組としては史上初となる、主人公以外のキャラクターからの選出となった。ちなみにルフレと並ぶ主人公であるクロムの出番もなくはないです。ルフレの最後の切りふだ「ダブル」でスポット登場している。
また機種ごとに収録ステージが異なっており、『for 3DS』には『覚醒』の「フェリア闘技場」が、『for Wii U』にはシリーズのイメージを踏襲したステージとして、『X』からの「攻城戦」に加え新たに「闘技場」が登場している。
また、2015年6月15日にロイが追加コンテンツのファイターとしてリデザインされた姿で登場し配信を開始。さらに2016年2月4日には『if』よりカムイが配信された。
2018年発売のNintendoSwitch用ソフト『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』には前作より全員が続投。さらにクロムがロイのダッシュファイターとして参戦。またアシストフィギュアとして漆黒の騎士とチキ(『覚醒』の容姿)が新登場。
さらに2020年1月29日には、DLCファイター第5弾として『風花雪月』よりベレト/ベレスが追加配信された。
amiiboとはゲームとの連動機能を持つフィギュアであり、当シリーズのキャラクターのamiiboも発売されている。
「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズ
おなじみ作中のフィギュアを模したamiibo。
『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U』にファイターとして登場したマルス、アイク、ルフレ、ルキナ、ロイ、カムイの各種と、『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』にて参戦したクロム、さらにベレト/ベレスが発売された。中でもカムイは基準となっている男性モデルに加え、2Pカラーとして女性モデルのものも登場している。
作品全体
ユーザー企画
やはりなのか、FEにも「リアルで」黒い話題が存在する。また著名人からアレコレ言われることも意外と多い
- ティアリングサーガ事件
かつてインテリジェントシステムズに所属していたゲームデザイナー「加賀昭三」氏によるタイトル、エムブレムサーガによる裁判事件。
詳しくはエムブレムサーガの記事へ
- フィンラケ論争
聖戦の系譜やトラキア776に登場したファンとラケシスのカップリング・フィンラケに関する論争。
カップリングによってその子供が変わるため、その組み合わせについては効率から、自身の推しの組み合わせまで様々な意見が存在する。が、トラキア776の公式サイトでは当初ラケシスの子供たちであるデルムッドとナンナの父親の欄に、ベオウルフの名前が書かれていた。
作中でもベオの剣なるアイテムが存在しており、デルムッドが装備できるなど描写されていたのだが、後に公式サイトの記述からベオウルフの名前が急に消えた経緯がある。
漫画版の描写で人気が高かった事実から、フィンラケのファンから大量のクレームが届き、ベオウルフの記述を消したのではないかとのウワサが存在するが、その事実は闇の中である。
- もうだめぽ
烈火の剣や聖魔の光石のデータ内に、そのままもうだめぽと書かれた文字がある。
GBAのFEは封印の剣から1年単位の突貫状態でガンガン新作を作っており、これに疲れたプログラマー達の悲鳴と推察されている。
ソフトのバグの多さからかなり無理をしていたのは間違いがないと思われ、当時のスタッフはお疲れさまである。
- 宮部みゆきの怒り
『ブレイブストーリー』で有名な「宮部みゆき」氏による蒼炎の軌跡に登場したヒロイン、エリンシアへのブログでのあふれる怒りを指す。
と言って、これは宮部先生が強い女性を支持して守られる系ヒロインを嫌うという小説家として個人的な趣向があったので、その激しい怒りはともかくそれはそれと流されていた・・・。
が、この話しには続きがあり、意外にこういう問題は見逃してはいけなかったらしく、蒼炎の軌跡からしばらくした覚醒ではムービーシーンまで入れた、おそらく公式が推していたスミアへの激しい怒りへ覚醒する者が続出。
その怒りはすさまじく、何もないところで転ぶドジっ娘スミアを焼くに焼き尽くして、恐れた公式はファイアーエムブレム無双でも覚醒からは主人公に惚れてはいてもカップルにはならないティアモを出し、スミアのことは葬ろうとしたほどである。
マイユニットがいる作品で「嫁にするなら、そういう女がいいよ」と露骨な主張をさせた公式もなかなかだが、女性ファンも多いのでヒロインのキャラはよく考えましょうという教訓を得た一件である。
- キバヤシ問題
覚醒のシナリオの評判がイマイチだった扱いから、ifでは『金田一少年の事件簿』で有名な「樹林伸」氏を登用した一件。
結論から述べると、キバヤシ先生とFEの相性はあまり良くなかったようで、同じく漫画家のピョコタン先生が怒りの動画を投稿する事態となった。
特に「ストーリーへ力を入れる」との明言後にこの有様であっただけにファンの怒りは凄まじく、キバヤシ先生も散々だったようだ。
が、この話しには続きがあり、シナリオの改善として外部の人間を頼る発想そのものは正しかったらしく、続く風花雪月ではコーエーテクモゲームスのスタッフを頼って、シリーズ史上過去最高の売り上げを達成する。
やはり剣は斧に強いなど、どんなものにも相性があるので良い結果を望むのであれば、その分野に適した人材を用いなければならないと本家同様のセオリーを証明した一件と見ても過言ではないだろう。
コメント
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