概要
1992年に発売された『ファイアーエムブレム』シリーズ第二弾。pixivタグでは『FE外伝』の利用が多い。本作は日本国外では未発売。
前作『暗黒竜と光の剣』に比べてRPGパートを強調した数々の特徴を取り入れた異色作。
数々の後継作品に多大な影響を与えており、2004年に開発された『聖魔の光石』では慣例を破って外伝に回帰したゲームシステムが採用された。
FE本編としては唯一、メインシナリオの担当が明らかにされていない作品。
(ゲームデザイナーは加賀昭三氏と表記されている)
2017年に25年ぶりとなるニンテンドー3DSのリメイク作品『ファイアーエムブレムEchoes』が日本と海外にて発売された。
構成
年譜上では暗黒戦争(『暗黒竜と光の剣』)と英雄戦争(『紋章の謎』)の間に起こった他大陸の戦役譚とされており、アカネイア大陸の遥か西方に位置するバレンシア大陸が舞台となる。大陸北域のノーザン地方を統治する『リゲル帝国』と大陸南域のサザン地方を統治する『ソフィア王国』の軍事衝突、その影で邪神ドーマの復活を目論む祭司長ジュダの野望阻止に立ち向かうアルムとセリカの活躍を描く。
ある事情からバレンシア大陸に来訪したマケドニア王国白騎士団のパオラ、カチュア、エスト、さらにグルニア王国黒騎士団長のカミュと思しき4名のアカネイア大陸出身者も参戦する。
特徴
「ストーリー分岐」「兵種分岐」「エクストラマップ」の3大システムを中心にRPGを意識した独特の世界観を構成し、次から次へと物語を紐解くストーリー性を重視する作りとなっている。
ストーリー分岐
序盤はソフィア王国を簒奪した逆臣ドゼーを討つべく立ち上がったアルム率いるレジスタンス、ミラ教派ノーヴァ寺院の代表として地母神ミラの神託を授かるためにミラ神殿を目指すセリカ率いる使節団をそれぞれ操作し、中盤からは2つの独立部隊を切り替えながら終盤へと続く1つの共通目標に向かって進行する。アルム隊とセリカ隊が共闘するのは最終盤の数ステージのみ。
兵種分岐
クラスの基本となる下級兵種とは別に登場する「むらびと」は最下級兵種に位置し、果敢に剣を振るうが実戦経験の無さから非力極まりなく、従って早急のクラスチェンジが求められる。しかし、むらびとに限ってはクラスチェンジに際して5つの選択肢(ナイト、ソルジャー、アーチャー、傭兵、魔道士)が提示される特異な兵種であり、戦力を均衡化するのも一極化するのもプレイヤーの自由となっている。
エクストラマップ
ステージ毎の幕間に大陸全土を自由に往来する任意のマップ移動システムが登場する。マップ中に点在する祠は盗賊やゾンビ、スケルトンなどが跋扈する根城であると同時に忘れられた礼拝所でもあり、特定の恩恵を授かる「ミラの泉」と昇格の意志を申告する「ミラの神像」が最奥部に控えている。祠やそれに準じた恒久ステージを積極的に利用し、レベルアップやクラスチェンジによる戦力強化を行う前提でゲームバランスが調整されているため、敵勢力の布陣は強固な傾向にある。
ストーリー
バレンシア大陸は、すべてふたつの顔を持っている。
優しさと美しさをもって自然とともにあることを望む大地母神ミラ、力と欲望のみが人類の生存の道と信ずる邪神ドーマ。大陸は南と北にわかれ、北はドーマの支配下に、南はミラの支配下に。
北は騎士の国リゲル、南は文化の国ソフィア。リゲルは大陸を守り、ソフィアは豊かな実りを与えた。
しかし、平和に慣れたソフィアの人々はミラの教えを忘れた。
豊かな実りは分け与えられることなく、凶作の続くリゲルでは飢えと苦しみの中で人々が倒れていった。
助けを求めるリゲルの人々に与えられたのは、あざけりの笑いのみ。
ソフィア王国の心ある者も、国王リマ4世の無関心な態度の前には、なすすべがなかった。
ソフィアの仕打ちに怒り狂ったリゲル王ルドルフは、ドーマの命に従いミラを封印しソフィアへ侵攻した。
敗北の一途をたどるのみだったソフィアの人々は自分達の過ちに気づいたが、時はすでに遅かった。
ソフィアのドゼー宰相はリゲルに寝返り、王家の者を暗殺した。城はリゲルの手に落ちようとしていた……
(公式サイトより引用、一部省略)
登場人物
アルム隊
名前 | 初期兵種 | 備考 |
---|---|---|
アルム | 戦士 | 養父であるマイセンと暮らす戦士見習い |
ルカ | ソルジャー | レジスタンス『ソフィア解放軍』の一員 |
グレイ | むらびと | ラムの村に住むアルムの友人 |
ロビン | むらびと | ラムの村に住むアルムの友人 |
クリフ | むらびと | ラムの村に住むアルムの友人 |
シルク | シスター | 盗賊に囚われていた修道女 |
クレア | Pナイト | 南の砦に監禁されていたクレーベの妹 |
クレーベ | ナイト | 解放軍をまとめるクレアの兄 |
フォルス | ソルジャー | クレーベを補佐する解放軍幹部 |
パイソン | アーチャー | 解放軍の一員 |
リュート | 魔道士 | 森の村に住む魔道士でデューテの兄 |
マチルダ | パラディン | ドゼーの砦に監禁されていたクレーベの恋人 |
デューテ | 魔道士 | 妖術師タタラに洗脳されたリュートの妹 |
ティータ | 聖女 | ヌイババ館に監禁されていたリゲル帝国のシスター |
ジーク | Gナイト | 記憶喪失に苦しむ謎の騎士 |
マイセン | Gナイト | アルムの養父であり元ソフィア王国聖騎士 |
セリカ隊
セリカ | 神官 | ノーヴァ寺院で修行に励む神官 |
メイ | 魔道士 | ノーヴァ寺院所属の魔道士 |
ボーイ | 魔道士 | ノーヴァ寺院所属の魔道士 |
ジェニー | シスター | ノーヴァ寺院所属のシスター |
セーバー | 傭兵 | 傭兵業で酒代を稼ぐ隻眼の剣士 |
バルボ | アーマー | 家族を殺した海賊ダッハに復讐を挑む旅の重騎士 |
カムイ | 傭兵 | バルボの復讐に随行する雇われ剣士 |
レオ | アーチャー | バルボの復讐に随行する雇われ射手 |
パオラ | Pナイト | マケドニア白騎士団員でありペガサス三姉妹の長姉 |
カチュア | Pナイト | マケドニア白騎士団員でありペガサス三姉妹の次姉 |
アトラス | むらびと | 盗賊王ギースに拐われた弟と妹の救出を企む村人 |
ジェシー | 傭兵 | 砂漠の砦に監禁されている傭兵 |
ソニア | 魔道士 | 砂漠の南を守備するギースの部下 |
ディーン | 剣士 | 砂漠の北を守備するギースの部下 |
エスト | Pナイト | マケドニア白騎士団員でありペガサス三姉妹の末妹 |
ノーマ | 賢者 | セリカたちを指導するノーヴァ寺院の司祭 |
※ソニアとディーンは二者択一
余談
手厚い救済措置
ファミリーコンピュータの主力購買層である低年齢層やウォーシミュレーションゲーム初心者でも充分に楽しめるように、前作には無い様々な救済措置が施されている。
セーブファイル選択画面で特定のコマンドを入力すると「NORMAL」と「EASY」を切り替えるウィンドウが現れ、「EASY」を選ぶと始まる緩和モード。内容はそのままに獲得経験値が2倍となる他、町や村に滞在する数限られた商人に頼らずにアルム、セリカ両隊で自由にアイテム授受が可能となる。ただし、両隊間のアイテム授受は両隊を切り替えながら進行する3章からとなる。
このイージーモードに見られる難易度緩和の理念は『トラキア776』の「エリートモード」(味方ユニット全員に個人スキル「エリート」搭載)、『新・暗黒竜と光の剣』の「カジュアルモード」(撃破された味方ユニットが戦場から離脱して死亡扱いにならない)などに形を変えて継承されている。
- マミーの存在
外見はゾンビと同一だが、ゾンビとは比較にならない大量の経験値を持つモンスター「マミー」が稀に登場する。さらに、バレンシア大陸のどこかにある「秘密の祠」にはマミーが8体出現するため、成長途上にあるユニットを強化する、あるいは敢えて強化を控えていたユニットをじっくりと成長させる育成吟味が可能となる。
2012年に開発された『覚醒』で20年の時を経て復活し、DLC追加マップ第一シリーズ『異界の魔符』のエピソード「異伝 マミーの楽園」に登場する。ここでは無差別に田畑を荒らし回っては育った野菜をことごとく駄目にする困り者として扱われており、ヴァルハルトが菜食主義者である事実を公表し、且つ野菜に対する無礼に激昂する意外な一面を垣間見せる役目を担った。
- むらびとループ
兵種分岐の項目でも触れたように、最下級兵種であるむらびとは5つの基本兵種への昇格が認められており、この中に含まれる傭兵の最上級兵種である魔戦士だけには更なるクラスチェンジ「むらびと」が用意されている。
即ち、「魔戦士→むらびと→傭兵→剣士→魔戦士→むらびと→傭兵…」という無限強化(むらびと最強伝説)が公式に存在するのだが、このルートを辿れるのは魔戦士への昇格が可能なグレイ、ロビン、クリフ、アトラス、セーバー、カムイ、ジェシー、ディーンの8名に限られる。
幻の武器
戦闘を通じたランダム拾得以外に入手経路が存在しない上、拾得確率が極めて低い三本の槍「りゅうせい」「げっこう」「たいよう」が存在する。
発売当時に「いずれか1本でも拾得した証拠を示す写真を送付した者にオリジナルテレホンカードを贈呈する」というキャンペーンが組まれたものの、一時はガセネタの噂すらまかり通るほど拾得確率が低く、これらの存在そのものを知らないままのプレイヤーも少なくなかった。
しかし、この幻の武器は『聖戦の系譜』の個人スキル「流星剣」(5連続攻撃)、「月光剣」(攻撃対象の防御力無視)、「太陽剣」(与ダメージ分HP吸収)という意外な形で復活する運びとなり、以降もこの特徴を基本とするハイクラススキル「流星」「月光」「太陽」として継承されている。
さらなる余談、シリーズでも珍しい描写
作中で倒れた仲間の後日談は「(死亡したマップ)で やすらかに ねむっている」と表示されていて、ファイアーエムブレムシリーズでも珍しく死亡した仲間が明確に埋葬されている描写がなされている。(リメイク版のechoesでもこの描写はそのままであり、更に海外版では死亡したマップにそのキャラの墓があるという意味の英文になっている。ただ、一部のキャラは物語の途中では死亡せず離脱するようになったため、該当者はその負傷の後遺症によって戦後に死去するという後日談になっている。)
ファイアーエムブレムシリーズでロストした味方ユニットが倒れたマップで埋葬されている描写が後日談に描かれるのは前にも後にもこの作品のみである。(後の作品では倒れた、死亡した、戦闘不能になり消息を絶った等としか語られない。)
関連タグ
ハード関連
ファイアーエムブレム FE FE外伝 暗黒竜と光の剣 紋章の謎 ファイアーエムブレム覚醒
創作関連
FE100users入り FE500users入り FE1000users入り