概要
前作『聖戦の系譜』のストーリーを補完した外伝という位置付けの作品。
同作品の第二部で主人公セリスの従弟であり仲間として加入するレンスターの王子リーフが主人公。
時系列としては聖戦第二部の約1年前から始まり、後半では聖戦の7・8章とリンクする。
シナリオライターは加賀昭三氏と、本作から初参加となった堀川将之氏の2名。
1作目の『暗黒竜と光の剣』から主にシナリオ面に携わった加賀昭三氏は本作の発売後に他の作品の開発のためにISを退社しており、本作がFEに関わった最後の作品となっている。
ステータス「体格」やコマンド「かつぐ」が新たに追加され、一時的なステータス低下と引き換えに、騎兵が歩兵を乗せて運んだり、ピンチの仲間を担いで救出したりすることが可能になった。
またこれまで不遇だった斧も、体格の良い者が使えば重量問題を解決できるなど武器のバランスが見直された。
戦略面では敵拠点を制圧するだけでなく、離脱・防衛がクリア条件のマップや自軍の周囲を除いて真っ暗な索敵マップ、特定の条件を満たすと進める「外伝」が加わった。
前作の難易度が低いというプレイヤーの意見があったため、それを受けて本作は意図的に高難易度にしたということがインタビューに書かれている。
実際に攻略情報なしの初回プレイの場合はシリーズ中屈指の難易度を持つ作品として挙げられる。
具体的な内容として、前作では「負けても死なない闘技場」や「訪ねた村からの援助」で比較的楽に金を工面できるシステムだったが、本作では全く事情が違う。逃亡生活を続けるリーフたちの窮状をゲーム中にも忠実に反映させたのか、開始時点で自軍は無一文であり、旧作と違って村の訪問や章クリアの後に軍資金を受け取りもしない。そこで、敵を弱らせて「捕える」か、シーフが「ぬすむ」ことでアイテムを得る必要が出て来る(奪わなくとも一応クリアは可能)。捕える場合、こちらのパラメータが低下した状態で戦いを挑んで倒せばいいのだが、それゆえ簡単にはいかない。
良いアイテムを得ようとすれば難易度が格段に跳ね上がり、アイテムのためにリセットを繰り返すことも少なくない。このためリーフ軍は「盗賊団・強盗団」と呼ばれネタにされることもある。
上記の点に加えて、「それまでにあった、死者を甦らせる救済措置もなければ、後の作品で登場してくるやり直し機能もない」「命中率に0%と100%がなく、攻撃が絶対当たる(外れる)保証がない」「技が低いと回復の杖ですら外すことがある」「疲労システムによって、強いユニットを出撃させ続けることが難しい」「敵ユニットのルーチン強化」など従来との変化をつけた独特な仕様が多い。
なおそれらの救済要素としてなのか、公式サイトには索敵マップを含めた全マップの見取り図や攻略アドバイスが掲載されている。さらに、ニューゲーム時に全員の取得経験値を2倍にできる裏技がある。
ストーリー
キュアン王子の遺児であり、レンスター王家の生き残りであるリーフは、騎士フィンら数少ない仲間とともにトラキア各地をめぐる逃避行の末、東海岸の小さな村フィアナにたどり着く。リーフは、フィアナの女領主エーヴェルのもとで、彼女を慕って集う若者たちと交流を重ねながら、次第に大人へと成長を重ねていった。
ときおりしも大陸東方のイザークの隠れ里では、シグルドの遺児セリスを中心とする勢力が着実に力をつけつつあり、着実に新たな時代への胎動は始まっていた。
そしてグラン暦776年、リーフ15歳。彼にとっての「聖戦」が、今始まろうとしている……。
(公式サイトより引用)
登場人物
加入キャラクター
名前 | 初期兵種 | 備考 |
---|---|---|
リーフ | ロード | レンスター王子 |
フィン | ランスナイト | レンスターの騎士 |
エーヴェル | ソードマスター | フィアナ村の女領主 |
オーシン | アクスファイター | フィアナ村の戦士 |
ハルヴァン | アクスファイター | 同上 |
ダグダ | ウォーリア | 元・紫竜山の山賊の頭目 |
タニア | ボウファイター | ダグダの娘 |
マーティ | マウンテンシーフ | ダグダの子分 |
ロナン | ボウファイター | イス村の猟師 |
サフィ | プリースト | 自由都市ターラのシスター |
リフィス | シーフ | リフィス海賊団の頭目 |
マチュア | ソードファイター | 反帝国組織マギ団の一員 |
ブライトン | アクスナイト | 同上 |
ラーラ | シーフ | 同上 |
フェルグス | フリーナイト | 旅の傭兵 |
カリン | ペガサスライダー | シレジア王国の天馬騎士見習い |
ダルシン | アクスアーマー | マンスターの重騎士 |
アスベル | マージ | マギ団の一員 |
ナンナ | トルバドール | ノディオン王女でフィンの娘 |
ヒックス | アクスナイト | マンスターの騎士 |
シヴァ | ソードファイター | 旅の傭兵 |
カリオン | ソシアルナイト | レンスターの騎士 |
セルフィナ | アーチナイト | レンスターの女騎士 |
ケイン | ランスナイト | レンスターの騎士 |
アルバ | ランスナイト | 同上 |
ロベルト | アーチナイト | 同上 |
フレッド | パラディン | フリージ公国の騎士 |
オルエン | マージナイト | フリージの女魔法騎士でフレッドの上官 |
マリータ | ソードファイター | エーヴェルの養女 |
セイラム | ロプトマージ | 元・ロプト教団の神官 |
パーン | シーフファイター | 盗賊団ダンディライオンの頭目 |
トルード | ソードファイター | ダンディライオンの一員 |
ティナ | プリースト | ダンディライオンの一員でサフィの妹 |
グレイド | デュークナイト | レンスターの騎士でセルフィナの夫 |
ディーン | ドラゴンナイト | 元・トラキア王国の竜騎士 |
エダ | ドラゴンライダー | 元・トラキアの女竜騎士でディーンの妹 |
ホメロス | バード | 旅の吟遊詩人 |
リノアン | シスター | ターラ公女 |
ラルフ | マーシナリー | 旅の傭兵 |
イリオス | マージナイト | フリージの魔法騎士で第15軍団長 |
スルーフ | プリースト | ブラギの神父 |
ミーシャ | ペガサスナイト | シレジアの天馬騎士 |
サラ | シスター | 謎の少女 |
シャナム | ソードマスター | 偽シャナン王子 |
ミランダ | マージ | アルスター王女 |
ゼーベイア | ジェネラル | 元・レンスターの将軍 |
アマルダ | パラディン | フリージの女将軍で第10軍団長 |
コノモール | パラディン | アルスターの伯爵 |
デルムッド | フォレストナイト | ノディオン王子でナンナの兄 |
サイアス | ハイプリースト | グランベル帝国の宮廷司祭で軍師 |
セティ | セイジ | シレジア王子でマギ団のリーダー |
ガルザス | マーシナリー | 旅の傭兵でリボー王子 |
非加入の前作キャラクター
名前 | 備考 |
---|---|
セリス | シアルフィ公子でリーフの従兄 |
ユリア | 記憶喪失の少女 |
アルテナ | トラキア王女だが実はレンスター王女でリーフの姉 |
コープル | 捕われの少年 |
ハンニバル | トラキアの将軍でコープルの養父 |
レヴィン | シレジア王でセティの父 |
トラバント | トラキア王 |
アリオーン | トラキア王子でトラバントの息子、リノアンの婚約者 |
ブルーム | フリージ公爵で北トラキア王 |
イシュタル | フリージ公女で北トラキア王女、ブルームの娘 |
マンフロイ | ロプト教団の大司教 |
ユリウス | グランベル帝国皇子 |
NPCおよび敵キャラクター
名前 | 兵種 | 備考 |
---|---|---|
アウグスト | なし | ブラギの破戒僧 |
ドリアス | なし | レンスターの伯爵でセルフィナの父 |
ワイズマン | ソードアーマー | マンスターの重騎士 |
バクス | ウォーリア | リフィス海賊団の一員 |
ロボス | ジェネラル | マンスターの重騎士 |
バンドル | ジェネラル | 同上 |
トルーマン | ジェネラル | 同上 |
アイゼナウ | パラディン | マンスターの騎士 |
ルーメイ | ドラゴンナイト | トラキアの竜騎士 |
ゴメス | ウォーリア | 元・ダグダの子分 |
マーロック | ドラゴンナイト | トラキアの竜騎士 |
ドボルザーク | ドラゴンナイト | 同上 |
ラルゴ | ジェネラル | フリージの第22軍団長 |
ケンプフ | マージナイト | フリージの第12軍団長でオルエンの上官 |
オルトフ | ビショップ | フリージの司教 |
コルホ | ウォーリア | ダンディライオンの一員 |
リスト | ジェネラル | フリージの第20軍団長 |
パウルス | バロン | フリージの第5軍団長 |
バルダック | ジェネラル | フリージの第8軍団長 |
マクロイ | ドラゴンナイト | トラキアの竜騎士 |
コッダ | ダークビショップ | ロプト教団の魔道軍団ベルクローゼンの司祭 |
アイヒマン | マーシナリー | ベルクローゼンの一員 |
ザイル | ウォーリア | 峠の山賊の頭目 |
ブルック | ジェネラル | フリージの第7軍団長 |
ムーア | ダークビショップ | ベルクローゼンの司教 |
ミュラー | マージナイト | フリージの魔法騎士団ゲルプリッターの一員 |
ニカラフ | ジェネラル | フリージの第3軍団長 |
ラインコック | ダークビショップ | ベルクローゼンの司祭 |
バルマン | ジェネラル | フリージの第16軍団長 |
グスタフ | バロン | フリージの第2軍団長でレンスター領主 |
ウォルフ | バロン | フリージの第4軍団長 |
バラート | バロン | フリージの第4軍団長の後任 |
フラウス | ビショップ | フリージの第30軍団長 |
セイメトル | ドラゴンナイト | トラキアの竜騎士 |
ザオム | バロン | フリージの第27軍団長 |
ラインハルト | マージナイト | イシュタルの側近でオルエンの兄 |
コーエン | バロン | フリージの第26軍団長でサイアスの祖父 |
コルータ | ドラゴンナイト | トラキアの竜騎士 |
アルファン | ダークビショップ | ベルクローゼンの司祭 |
ファーデン | パラディン | マンスターの騎士 |
レイドリック | バロン | 元・コノート王国の近衛将軍でマンスター領主 |
ベルド | ダークビショップ | ベルクローゼンの司教でトラキア教区の責任者 |
余談
前作では自由だったカップリングの一部が固定されている他、重大事件の発生が1年遅いなど設定が異なる場面があるため、シナリオライターはほぼ共通だが正史ではなくパラレルとして捉える向きもある。
ただし、インタビュー記事を見ると特にそのような意図で制作を行っているわけではない様子。
本作の難易度の高さについては、加賀昭三氏が自身のブログ内においてプラトゥーンリーダーというPCゲームに影響を受けたことを語っている。
(※以前に権利問題で揉めたため、文面では某776と名称をぼかして表現している)
2008年にWii、2013年にWii U、2016年にNew3DSのバーチャルコンソールで配信されていたが、現在はサービスが終了した。
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表記揺れ
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外部リンク
SFC版公式サイト(仲間キャラクター全員の全身画が展示されている)
Nintendo Online Magazine 1999年5月号のインタビュー(アーカイブ)
ファイアーエムブレムミュージアム(アーカイブ)