概要
『ファイアーエムブレム 烈火の剣』の約20年後の世界が舞台。
前作『トラキア776』から3年という期間を経て、ハードをゲームボーイアドバンスに移行。
ファイアーエムブレムシリーズの生みの親、加賀昭三氏が他の作品の制作のため退社した後の作品。それに伴い、シナリオライターが加賀氏から前作の脚本に協力した堀川将之氏に交代。その他、シナリオサポートに前田耕平氏が新しく加わった。
シリーズ初の携帯型ハードでの発売でもあり、電源が切れてもその時点から再開出来るオートセーブ機能が搭載された。ユニットの行動毎に中断データが更新される仕組みとなっており、味方ユニットがやられる状況を覆すのは不可能。
2023年からゲームボーイアドバンス Nintendo Switch Onlineで配信されている。現状では国内版のみであり、海外向けのローカライズ版の配信予定はない。
ストーリー
エレブ大陸は西の「エトルリア王国」、東の「ベルン王国」、この二大勢力に挟まれるように存在する小勢力達の微妙なバランスによって平和が保たれていた。ところが、その安定が突然崩れた。ベルン王国が国王ゼフィールの命の元、各地へと侵攻を開始。これに対し、大陸南方の小勢力フェレ家の嫡男ロイは病気の父に代わってリキア同盟の盟約に従い、フェレの軍を率いて立ち向かっていく。
作品の特徴
シナリオ・キャラクター
メインシナリオは堀川氏の意向を反映してか、加賀氏の手がけた過去作と比較してコメディ要素は抑えめ。全体的に硬派でシリアスな作風が特徴となっている。
特にシナリオ面では本作のメインの悪役、ゼフィールの劇中で語られる悲惨な過去がよくファンの間で話題に挙げられる。(それに至る経緯は、烈火の剣の一部の章でより詳細に掘り下げられた。)
その他に戦争の回避を模索して奔走する敵国ベルンの姫ギネヴィア、国王に逆らってでも軍の出動を許可させ騎士軍将さえ命しらずと感心した魔道軍将セシリアなど、女性キャラは戦闘部分だけでなく、作中での活躍がより増えた形となった。また従来とは違った活発な部分も見せるメインヒロインのリリーナ、島の悪徳領主を相手にレジスタンスを結成して立ち上がった首領のエキドナや、山の隠者と呼ばれ魔道使いなら知らぬ者はいないとまで言われるニイメというシリーズ初の老婆のキャラクター、同じくシリーズ初となる少女のラスボス暗闇の巫女イドゥンなど、キャラ面では本作が初の試みが幾つか登場している。
キャラクターの見た目は青髪のメインヒロイン、赤と緑の騎士を始めとして、トラキアまでの過去作をオマージュしつつも上記のようにそれぞれのキャラが独自の個性を持っており、人気は非常に高い。
ゲームシステム
前作『トラキア776』からある程度引き継がれているが、疲労度やスキルなどの複雑な要素を廃止。ほぼ紋章の謎に近いシンプルな作りに原点回帰した。
ゲーム全体のバランスは難易度が高すぎた前作と比べて敵の攻撃が回避しやすいなど初心者向けに大きく調整されている一方、クラス間やユニットの格差が比較的大きい、ボスの守備力が高すぎるなど荒削りな部分もある。
特に技と素早さが上がりやすいユニットは上記の回避の仕様の関係でかなり優遇されており、場合によってはアーマー系より使い勝手が良いこともある。
クラス面では後のシリーズでお馴染みとなる斧歩兵バーサーカーが躍進した。
魔法については、味方も普通に闇魔法を使用できるようになった初の作品である一方、光魔法を使用できるのは僧侶の上級職である司祭という限られたクラスのみで光の神将器(伝説の武器)の使い手が確保しづらいという問題が起きるなど、まだまだバランスには調整不足の部分もあった。
これらの粗削りな部分は、次作以降から徐々に改善されていくことになる。
前作に引き続き、特定のマップで条件を満たすことで、「外伝」マップに進むことが出来る。
尚、本作は終章に辿り着く条件がかなり厳しく、全ての外伝マップを出現させ、なおかつゼフィールを倒すまで神将器を全て残しておかないと(壊れたり、所持ユニットが死亡でもアウト)途中の22章でエンディングになる。
以下に上げるものは『封印の剣』で初登場し、後の作品に引き継がれた機能である。
支援会話
マップ中で特定のユニットを決められたターンの間隣接させると、「支援」のコマンドが出現。
それを選択すると「支援会話」が始まり、その2名の間に支援効果が発生。
これにより、支援がついたユニット同士を近くに置くと、戦闘の際に攻撃や回避などの能力が上がるようになる。
支援会話は1人のユニットにつき5回まで、支援レベルは3段階(C→B→A)まで上がる。
基本的には、Cをたくさんつけるよりも特定の2名で支援Aまで支援をつける方が効果的。
支援効果そのものは『暗黒竜と光の剣』でもあった(マルスとシーダを隣接させると必殺率が上がる等)が、封印の剣以降では会話が発生する相手なら自分の好きな組み合わせで支援効果を得ることが出来る。
アタッカー同士で敵陣に突撃させる、壁役と回復役で守りつ守られつつ…等、好みに合わせて支援をつけよう。
支援会話により、そのユニット同士の意外な関係や知られざる過去を知ることが出来るのも魅力の1つだろう。
通信闘技場
- 通信機能を使うことで、自分が育てたユニットを他のプレイヤーのユニットと戦わせることが出来る(要通信ケーブル)。
- 精鋭を集め、全力で挑むもよし、相手が驚くような超個性的なユニットを出してみるのもよし。
尚、通信闘技場でも支援効果は発揮される。
本作以降のゲームボーイアドバンスシリーズ3作品全てに登場し、対戦中のBGMは過去シリーズの味方攻撃時の曲がアレンジされている。
これらのBGMは、本編中の闘技場でも使用される。
トライアルマップ
- ED後にクリア時のメンバー+αで挑むことが出来る特別なマップ。
- 本編のクリア回数が増えるたびにゲイルやゼフィールなど本編で敵として登場したユニットが使えるようになる。
- 本編には無いクリア条件のマップがプレイできる、クリア後のお楽しみ的な要素である。
ハードモード
- 1度エンディングを見た後、新たなデータを始める際に選択できる。
- 敵の増援として出現し、かつ敵から寝返るユニットに能力補正が掛かる(通称ハードブースト)。
- とにかく敵が強い。その名の通り手ごわいシミュレーションを味わうことが出来る。
- Vジャンプ限定マップを除いたすべてのトライアルマップを遊ぶには最低でも1回はクリアする必要がある。
主なキャラクター
非プレイアブルキャラクターには★マーク
リキア諸侯同盟
フェレ家
名前 | 初期兵種・クラス | 人物像 |
---|---|---|
ロイ | ロード | 物語の主人公。烈火の剣の主人公エリウッドの息子で、リキア地方の諸侯フェレ家の跡取り |
マリナス | 輸送隊 | フェレ家に仕える官吏。烈火の剣にも登場 |
マーカス | パラディン | フェレ騎士団将軍。烈火の剣にも登場 |
アレン | ソシアルナイト | フェレ騎士団の一員。赤緑の赤い方 |
ランス | ソシアルナイト | フェレ騎士団の一員。赤緑の緑の方 |
ウォルト | アーチャー | フェレ家に仕える少年。ロイの乳母レベッカの実子でロイとは乳兄弟 |
★エリウッド | パラディン | 烈火の剣の主人公の一人。フェレ侯。ロイの父。封印の剣では病床の身。 |
オスティア家
名前 | 初期兵種・クラス | 人物像 |
---|---|---|
リリーナ | 魔道士 | リキア諸侯同盟の盟主オスティア侯ヘクトルの娘。ロイとは幼馴染 |
ボールス | アーマーナイト | リリーナの護衛を務めるオスティアの重騎士。下記のウェンディの兄 |
ウェンディ | アーマーナイト | オスティアの重騎士。ボールスの妹 |
バース | アーマーナイト | オスティアの重騎士 |
アストール | 盗賊 | オスティアの密偵 |
オージェ | 傭兵 | オスティア騎士団の新米団員 |
★ヘクトル | ジェネラル | 烈火の剣主人公の一人。オスティア侯。リキア諸侯同盟盟主。リリーナの父 |
ラウス家
ディーク傭兵団
名前 | 初期兵種・クラス | 人物像 |
---|---|---|
ディーク | 傭兵 | 元剣闘士のディーク傭兵団の長 |
ワード | 戦士 | ディーク傭兵団の一員、西方三島出身。 |
ロット | 戦士 | ディーク傭兵団の一員、西方三島出身。 |
シャニー | ペガサスナイト | ディーク傭兵団に参加している天馬騎士。ペガサス三姉妹の末妹 |
孤児院
サカ地方クトラ族
イリア傭兵騎士団
名前 | 初期兵種・クラス | 人物像 |
---|---|---|
ゼロット | パラディン | イリア傭兵騎士団隊長。ユーノの夫 |
ノア | ソシアルナイト | イリア傭兵騎士団団員。ゼロットの部下 |
トレック | ソシアルナイト | イリア傭兵騎士団団員。ゼロットの部下 |
ユーノ | ファルコンナイト | ペガサス三姉妹の長女で、ゼロットの妻 |
エトルリア王国
名前 | 初期兵種・クラス | 人物像 |
---|---|---|
ダグラス | ジェネラル | エトルリア王国大軍将。ララムの義父 |
パーシバル | パラディン | エトルリア王国騎士軍将。王子ミルディンに忠誠を誓う |
セシリア | ヴァルキュリア | エトルリア王国魔道軍将。ロイとリリーナの師 |
クレイン | スナイパー | リグレ侯爵家子息。烈火の剣のパントとルイーズの息子でクラリーネの兄 |
クラリーネ | トルバドール | リグレ侯爵家令嬢。烈火の剣のパントとルイーズの娘でクレインの妹 |
ティト | ペガサスナイト | 天馬騎士団部隊長の天馬騎士。クレインに雇われている。ペガサス三姉妹の次女 |
西方三島
名前 | 初期兵種・クラス | 人物像 |
---|---|---|
エキドナ | 勇者 | レジスタンスを束ねる首領。西方の勇者 |
エルフィン | バード | レジスタンスの参謀。吟遊詩人の青年 |
ララム | 踊り子 | レジスタンスの一人。ダグラスの養女 |
ゴンザレス | 山賊 | 西方三島の山賊 |
ギース | 海賊 | 義に厚い海賊。烈火の剣のガイツの弟 |
エリミーヌ教
ナバタの里
名前 | 初期兵種・クラス | 人物像 |
---|---|---|
ファ | マムクート | 神竜石を持つ、数少ない純血の神竜の少女 |
ソフィーヤ | シャーマン | 竜の血を半分引くナバタの里の巫女。烈火の剣にも登場 |
イグレーヌ | スナイパー | ナバタの守護者。烈火の剣のホークアイの娘。 |
ベルン王国
名前 | 初期兵種・クラス | 人物像 |
---|---|---|
★ゼフィール | 国王 | ベルン王国の国王。ギネヴィアの異母兄。烈火の剣にも登場 |
★マードック | ジェネラル | ベルン三竜将の筆頭。イリア地方の攻略を指揮する。烈火の剣にも登場 |
★ナーシェン | ドラゴンマスター | ベルン三竜将の一人。リキア地方、後にエトルリア地方の攻略を指揮する |
★ブルーニャ | 賢者 | ベルン三竜将の一人。サカ地方の攻略を指揮する |
★ゲイル | ドラゴンマスター | ベルン王国の竜騎士。マードック直属の部下。ミレディの恋人 |
★シグーネ | ファルコンナイト | ベルン側についたイリアの部隊長 |
★ギネヴィア | 賢者 | ベルン王国の王女。ゼフィールの異母妹。烈火の剣にも登場 |
エレン | 僧侶 | ギネヴィア付きのシスター |
ミレディ | ドラゴンナイト | ギネヴィア付きの女性竜騎士。ゲイルとは恋人。ツァイスの姉 |
ツァイス | ドラゴンナイト | ベルン軍の竜騎士。ミレディの弟。エレンとは仲がいい |
その他キャラクター
名前 | 初期兵種・クラス | 人物像 |
---|---|---|
フィル | 剣士 | 武者修行中の剣士の少女。バアトルとカアラの娘、カレルの姪 |
バアトル | ウォーリア | 烈火の剣にも登場。フィルの父親 |
カレル | ソードマスター | ベルンに隠居している「剣聖」の異名を持つ偉人。烈火の剣にも登場 |
ヒュウ | 魔道士 | エトルリア反乱軍に傭兵として参加していた魔道士の青年。ニイメの孫でカナスの息子 |
ニイメ | ドルイド | イリアの山奥で一人闇魔道の研究を続ける。カナスの母親、ヒュウの祖母 |
キャス | 盗賊 | 神出鬼没の怪盗少女 |
ガレット | バーサーカー | 歴戦の狂戦士。国境近辺を荒らす山賊の頭。 |
関連動画
余談
本作品の元となったタイトルはNINTENDO64時代から開発中であり、当初『ファイアーエムブレム 暗闇の巫女』としてリリースされる予定だったが、様々な事情で何度か作り直しになって現在の形に至ったという複雑な経緯があるらしい。
そのような理由もあって本作の構想は長かったが、内容が決まってからは1年足らずの期間で製作出来たとのこと。
ちなみに当時のファイアーエムブレムシリーズの開発内部ではこのような没になったゲームが出ることはさほど珍しくないらしく、
聖戦の系譜の頃も何作か没作品が作られていたと語っている。
初代を彷彿とさせる雰囲気やシンプルなゲーム性に関しては、加賀氏のインタビューにて次回作はシンプルにしたい、暗黒竜の過去編を作りたいというものがあり、その案が流用された可能性があるが実際のところは不明。
主人公ロイは本作の発売に先駆け『大乱闘スマッシュブラザーズDX』にてプレイヤーキャラとして参戦(声優は福山潤、海外版も同一)している。
本作の発売日は『大乱闘スマッシュブラザーズDX』と同時期の予定だったが延期になったため、ロイが初めて登場したゲームは『大乱闘スマッシュブラザーズDX』ということになる。
2015年からWii Uのバーチャルコンソールで配信されていた。
関連タグ
ファイアーエムブレム ロイ(ファイアーエムブレム) 烈火の剣 覇者の剣
任天堂 インテリジェントシステムズ ゲームボーイアドバンス SRPG バーチャルコンソール
FE100users入り FE500users入り FE1000users入り
大乱闘スマッシュブラザーズDX 大乱闘スマッシュブラザーズfor 大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL