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もしかして

概要

経験値とは、ゲーム、特にロールプレイングゲーム(RPG)でを倒したり、ミッションクリアをすると入手することが出来るポイントである。大体の場合、一定量を集めるとレベルアップしてキャラクターが強くなる。

日本では表示の限界から経験値を英語化したExperience PointからEXPと略した表記や、「経験度」などの表現が先行していたが、『ドラゴンクエスト』によって経験値(けいけんち)の名前が一気に普及した。ただし、その『ドラゴンクエスト』もファミリーコンピュータ時代のステータス画面での表示は「E」「Ex」となっている。TRPGでは「経験点」と表記されることもある(恐らくグループSNEの安田均による翻訳)。

「経験値」(ケイケンチ)の表記は、PC-8801用RPG『夢幻の心臓』(クリスタルソフト、1984年)に由来すると推測されている。下記外部リンクも参照。

経験値と成長

最初に経験値を導入したゲームは世界最初のRPGダンジョンズ&ドラゴンズ』(以下D&D)である。経験値を得てレベルアップするというアイデアの元は、軍隊の昇進システムにあるとされる。実際、旧版『ダンジョンズ&ドラゴンズ』ではレベルとクラスに応じた新たな称号が得られた。例えば、ファイターLv1は古強者(ベテラン)、Lv2は戦士(ウォリアー)、Lv3は剣匠(ソードマスター)…と言った具合である。

このシステムは「キャラクターが目的遂行の度に強くなる」ということからプレイヤーの感情移入を促したり、ゲームの中で成長していく楽しさを与えるシステムであったことから、以後のRPGでも踏襲されることとなった。その為、Wizardryシリーズやドラゴンクエストシリーズ等でもこの経験値システムが採用されている。

RPG以外のゲームジャンルでも経験値という概念が用いられる事があるが、大体の場合はRPGのそれを踏襲したシステムになっている。また、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の昇進システムは現在のクラスチェンジ、上級クラスと言ったシステムに反映されている。

一方で経験値システムを採用せず、別の成長形態をシステムとして用意しているRPGも存在する。例えば『ロマンシングサ・ガ』ではキャラクターは経験値という具体的な数値は持たず、熟練度という形式で使った技能や武器の強さがアップする、という形態を取っている。

この「使った技能・能力が成長機会を得る」成長方法も古くからTRPG『クトゥルフの呼び声』の基幹ルールとなっているベーシック・ロールプレイングの成長システムとして存在する。

日本ではドラゴンクエストシリーズの爆発的人気もあり、RPGというのをTRPG的な「仮想世界の主人公になりきって楽しむ」という目的から、「経験値を稼ぎ、キャラクターを強くしていき、戦闘を楽しむ」というジャンルにシフトしているとも言われる。

とは言えJRPGに限定した話ではなくコンピューターRPGならどこでも見られる傾向であり、モンスターハンターシリーズのように成長して強くなることが目的のゲームが、世界的に受容されている例は多くある。

アメリカ人TRPG作家のベーテ・有理・黒崎も、本場アメリカのRPGプレイヤーは大きく2種類に分けられ、自らのキャラクターに強く没入・陶酔して演じるタイプと、キャラクターをとにかく強くすることに執着するタイプの2種類がいると著書で述べており、なりきりや役割演技が唯一のプレイスタイルとはしていない。と言うか、日本でRPGが普及する前からアメリカのTRPG界隈には「リアルマン(意訳すると脳筋)」と言う分類が存在した(マンチキン参照)。

レベルや経験値を消費するとアイテムエンチャント出来る『Minecraft』のように、レベルアップすることで成長以外のメリットが生じる、あるいは初期のスペースオペラTRPG『トラベラー』のようにそもそもキャラクターの成長という概念がないRPGも存在する。

経験値とゲーム性

古いRPGでは経験値が一定数に達するとレベルアップという一本道の成長が多く、作業ゲー的に経験値稼ぎでプレイヤーのリアル時間を浪費しているだけで、ゲーム性は低いと取られることもある。現在でもRPGツクールで製作された同人ゲームや、キャラクターの成長・育成要素が補助的なSRPGなどでは、同様のシステムを持つことが多い。

この場合でもプレイ時間や戦闘回数などの効率を追求する遊び方があるが、縛りプレイスコアアタックのようなやりこみ要素に近い。

しかしRPGの黎明期から『ザナドゥ』のように、限られたリソースを成長で如何に配分するかというゲーム性に繋げるアイデアも存在する。そして転職システムを取り入れた『ドラゴンクエストⅢ』あたりから、商用ゲームではプレイヤーの好みや成長戦略を反映できる成長システムが一般的になっている。

TRPGでも初期の『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のようなごく古い時代を除けば、経験値を稼いで成長するというゲームであっても、どちらかと言えばセッションで稼いだ経験値を消費して能力や技能を上昇・獲得させるというシステムが主流。代表的な日本製TRPGの『ソード・ワールドRPG』が、「経験点」を消費することで望む技能をレベルアップするという成長システムを持つ。

TRPGの場合、多くのコンピューターRPGのようにリアル時間を費やして沢山の経験値を得るという方法を取ることが難しいため、成長時にはシビアな判断が求められる。

RTAでは経験値を稼ぐことをタイムに負担を掛けない範囲で行う必要があるため、それこそ種目(ソフト)によってはチャートの段階から1経験値単位で管理される場合もある。

一般化?

元々「経験値」とは、経済学統計学における「経験から推測される予想値」を意味する単語だったが、『ドラゴンクエスト』の登場で現在の意味に転換してしまったらしい。

現実でも経験値という単語が俗用される場面が時折出てくるが、例えば「恋愛経験値が上がった」といった表現のように、殆どがゲームの経験値に準ずる意味で使われる。現在では辞書類の「経験値」の項目でも、RPGに由来する意味が第一に記載されることが普通になっている(例:goo国語辞典)

2021年現在における近年の傾向として、ゲーム以外の場面でも「経験」の量的な部分を強調したいときに、「経験」という単語の代わりに「経験値」の選択される頻度がかなり上昇している。話し言葉の専門家であるアナウンサーでも「経験値を積む」という表現を常用しており、特に経験の量が問われるスポーツ実況の分野では、ほぼ「経験」という単語が「経験値」に置き換わっている状態にある。

この傾向は2000年代のスポーツ報道や中継、特にこの頃から世間の注目を集めるようになった、サッカー日本代表の試合中継から広まっていったとする調査がある(下記リンク)。

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