経験値泥棒とは、SRPG(シミュレーションRPG)におけるみんなのトラウマの一つである。
狭義では、スーパーロボット大戦シリーズの飛影の愛称として知られる(類似:ランカスレイヤー)。
SRPGにおける経験値泥棒
SRPGにおける不安要素の一つ。
前提条件として、この手のゲームは将棋やチェスのように、互いの戦力となるキャラクターユニットを動かしてぶつけあわせ、最終的にクリア条件を達成することを目的とし、それを楽しむものである。
その中で、ときとして「二者の戦闘に乱入してくるユニットや勢力」が存在する。
彼らの多くは「CPU(ゲームのプログラム)が操作して勝手に戦う」いわゆるNPCであり、さらにNPC勢力でも味方・もしくは中立勢力としてプレイヤーの敵勢力を攻撃する“強力なユニット”が存在することがある。
彼らこそ、SRPGプレイヤーから時に邪険に扱われる『経験値泥棒』(または『資金泥棒』)である。
問題点
「強力なキャラが勝手に戦ってくれるなら、むしろ楽じゃね?」
…と、考える人もいるだろう。確かにSLG(シミュレーションゲーム。正確にはシミュレーションウォーゲーム)ならそう考えても問題ない。だが、SRPGの場合は『敵ユニットを倒すごとに経験値・資金・アイテムを入手できる』というシステムを採用することが多く、さらにこのシステムはプレイヤーが操作できる自軍ユニットでなければ適用されないのことがほとんどある。
SLGの場合は経験値は手に入っても、資金やアイテムが手に入ることは無い(例えばファイアーエムブレムシリーズだろうが、信長の野望シリーズだろうが、大戦略シリーズだろうが、軍隊の収入は全部占領地からの税金であり、敵の兵士を倒しても1円も儲からない)。また、レベルアップによる戦闘力の上昇も緩慢である。
つまり、強力なNPCが味方ないし中立で好き勝手に暴れてしまうと、本来貰えるはずのボーナス要素を根こそぎ持っていかれるため、結果として得られる資金や経験値が減ってしまうのである。
さらにこれらは自軍の強化やキャラクターの育成、クリア条件やクリアボーナスにも影響する。
SRPGでは、1ユニットが戦闘を経験するたびに、ユニット単位で経験値を得るシステムになっていることが多い。要は戦闘回数が多いユニットほど、経験値を稼いでLvが上がっていくのだ。
また戦闘とシナリオが密接に関連していることが多く、クリアしたステージに再挑戦出来ないのが通例である。中盤でレベルの低い味方ユニットが参入したときには、レベル上げを兼ねて弱いユニットを補助しながら育成していくものだが、ひとたび経験値泥棒が参入するとその育成計画が瓦解する危険に見舞われる。
そしてボーナス面では、一定ダメージを与えると撤退するユニットを撃破した場合にクリアボーナスとして多額の資金やレアアイテムを得られるのだが、経験値泥棒が暴れた結果として規定ダメージに達して目標を逃がしてしまったり、最悪の場合は斃してボーナスがパーになることさえあるのだ。
さらにさらに、味方が人質や洗脳といった状況で敵ユニット側にいた場合、「それがどうした」と言わんばかりに容赦なく攻撃するため、死ななくていい味方が死亡してそのまま帰って来なくなったり、ペナルティ条件を満たしてゲームオーバーを招くということをやらかす。
“良かれ”と思って動いた結果がこれだよ!!!
忍者戦士飛影
インターネットで経験値泥棒を検索すると必ず出てくるのが、スーパーロボット大戦シリーズに登場した際の『忍者戦士飛影』の飛影の経験値泥棒っぷりについての記述である。
”序盤は味方だけど、完全に独立行動する謎の存在”と言う元々のTVアニメの展開にあわせて、基本的にNPCとしてまず登場する。しかしその際に、TVアニメ版を再現したかのような2回行動当たり前な無双っぷりを見せてしまい、ほおっておくともう全部あいつ一人でいいんじゃないかな状態になって敵ユニットを撃墜してしまう為、本来プレイヤーが得るべき経験値や資金が得られなくなったり、レアなパーツをドロップするボス級のHP削りを邪魔して撤退させてしまうといった結果につながってしまう。
その為、スーパーロボット大戦シリーズ全体を包括するタイプのWikiでは、飛影をどうすれば経験値泥棒されないかと言う記述があるところが多い。
またあるシリーズでは、共演したマクロスフロンティアのランカ・リーを無慈悲に撃墜するニンジャ、ということでランカスレイヤーとも呼ばれている(ちなみにこの場合はランカが搭乗したユニット「ハウンド」のHPを削り「(システム上の)撤退」させるのが勝利条件、撃墜するとゲームオーバーになる。追い打ちをかけるかのようにハウンドバジュラは弱く設定してある)。
なお、これに関しては飛影より質の悪い奴がいたりする。
ソムニウム
彼等に関しては飛影の行動がただのおせっかいに思える程悪質である。
飛影は仲間になる上に自軍機と合体し強化するというメリットがある。
しかし、彼らが仲間になる事は無い上に強化してくれる等のメリットも無い。
つまり、「ただ、大暴れして経験値と資金を奪うだけのはた迷惑な存在」と化している。
そして覇界王~ガオガイガー対ベターマン~が参戦したスーパーロボット大戦30にて彼らは帰ってきた。
やはり特定のステージで操作不能のNPCとして登場し、ユニットとなるベターマン・カタフラクトがべらぼうに強いため、雑魚の群れに突っ込めば軽々と蹴散らしていくことに。
経験値泥棒の悪夢再びである。
しかしながら本作は新システムの「タクティカル・エリア・セレクト」により、フリーミッションでいくらでも経験値や資金を稼げるので、経験値泥棒による被害はこれまでの作品と比べれば遥かに低下している。
また、隠し条件を満たせばNPC時から変わらぬ化け物性能を持って彼らも味方となってくれる。
注意点
決してNPCとなったキャラ自体に非は無い。
NPCキャラの多くは「攻撃対象がいれば最も有効な攻撃を繰り出して目標を撃破する」よう、行動パターンを定められているだけである。
またプレイヤーが指示しなくても敵を倒してくれる強力なキャラであることも間違いでは無く、一部の例外を除きこういったNPCキャラは経験値泥棒な点に目を瞑ればゲームクリアに大きく貢献してくれる強力な助っ人キャラなのである。
SRPGに慣れていない初心者は寧ろ彼らの存在に助けられたことも多いことだろう。
また彼ら「経験値泥棒」をいかに捌いて的確にゲームのクリアを目指すのかも、SLGの醍醐味と言えるし、そうした不確定要素が混ざることで、ゲームにより深みや面白みが出るのも事実である。
一方的に嫌わず、温かい眼で見てやってほしい。
スーパーロボット大戦UXの第23話には経験値泥棒など登場しない、いいね?
その他経験値泥棒
MMORPGにおける経験値泥棒
MMORPGなどで稀に見られる現象。
『ラグナロクオンライン』など、プレイヤーが他のプレイヤー戦闘に割り込めるタイプのものに多い。
この手のMMORPGでは、戦闘に参加した際に『敵にとどめを刺したプレイヤーが一番多く経験値をもらえる』システムになっていることがある。
これは一種のボーナス要素であるとともに、経験豊富なユーザーがサポートしてビギナーユーザーのLv上げを援助するという、“助け合い精神”を推奨するものでもある。
……が、稀にこのシステムの裏を掻いて、勝手に戦闘に割り込んで、勝手にとどめを刺し、勝手に帰っていくという悪質なマナー違反をするものが出現する。
アカウントを特定されて運営に通報され、厳重注意が入るが、それでも常習する場合にはアカウント停止か最悪の場合は入場停止処分などの重罰に処せらせる。
さらにbot(プレイヤーが作成したCPUに自動プレイさせる、それこそNPCのようなプログラム)を利用した経験値泥棒も存在し、『ラグナロクオンライン』や『リネージュ』などの作品で大きな問題と対策課題になっている。