解説
本来の意味としては、心の中で他者と自身とをある程度同一化することで他者の考えていること、世界観を共有すること(共感)を指す。転じて、創作物に登場する人物(主に主人公)に対して読み手が感情を同一化することも指すようになった。
創作物は、読み手の住む世界とは異なる話を描いていることになるし、登場人物と同じ知識や価値観を持っているわけではない。そのため、閲覧者は主人公の行動を通じてその創作物を読み解くことになる。そのため、閲覧者が主人公に対して感情移入できるか否か、というのは作品の評価に直結する要素であり主人公が感情移入しがたい性格であると途中で飽きられてしまうというケースも少なくない。
主人公が現代的な正義感・倫理観から大きく外れることがない設定になっているのも多くの人に感情移入をしてもらうためという側面もある(それを逆手に取る作品もあるにはあるが)。
一方で、
作者が感情移入させることを想定せず作った部分に、読み手が感情移入してしまうこともある。
ある人が感情移入しづらくても、別の人は感情移入しやすいこともある。読み手の年齢や性別、イデオロギーによって左右される部分もあり、時代によって求められる主人公像が変遷していくことも知られている。極論すれば好みの問題である。