カシム(ファイアーエムブレム)
かしむ
CV:豊永利行(ヒーローズ)
『暗黒竜と光の剣』および続編の『紋章の謎』(ともにリメイク版含む)、『アカネイア戦記』に登場。弓矢を携えた青髪の青年。初期クラスは「ハンター」。『紋章の謎』以降は上級職の「ホースメン」にクラスチェンジが可能。
メインストーリーにはほぼ関わらない脇役キャラクター。
「暗黒竜と光の剣」では2章「ガルダの海賊」にて、シーダが説得することによって加入する。弓を扱うユニットであるため、シーダで説得する際には彼の攻撃範囲に入らないように注意する必要がある。
「紋章の謎」では4章「喜びと悲しみと」で、北東の村を訪れることで加入する。
シリーズを通して参戦が早く、見た目とは裏腹に能力はよく伸び、特に力が全体でもトップクラスによく伸びるので使い勝手は良く、技・速さの成長率もそこそこあるため間接キャラとしては非常に使いやすくなる。一方で幸運はあまり伸びない他、武器レベルが伸び悩みやすく、運が悪いと中々パルティアが使えずヤキモキすることになる。
アーチャーの使い勝手が良くないこともあって弓系ユニットの中では活躍させやすいが、上記の通りFC版ではクラスチェンジできない点が痛く、SFC「紋章の謎」ではクラスチェンジ出来る様になったものの室内では騎乗不可という仕様のため最終到達点はスナイパーに劣るので何方かを使うかは好みになる。
リメイク版「新・暗黒竜」ではシーダから支援を受けられるようになったものの、ウリであった「力」の成長率の他、「HP」の成長率が大きく下げられてしまい、なんとも微妙な成長率に…とは言え「速さ」の成長率は高めのままなので「傭兵」あたりに兵種変更して下げられた「HP」・「力」の成長率をフォローしていけば一線での活躍も出来なくもない。
「新・紋章の謎」ではマルスからも支援を受けられるようになったが、下げられた成長率は据え置きのまま。逆にウォレンの成長率が底上げされていて殆どの成長率で逆転されてしまいより微妙な立場に……ただしウォレンは戦闘に必須となる「速さ」の成長率が悪く受けられる支援効果も2つしかないので、「速さ」の成長で大きく勝るカシムの方が有利になるケースもある。
暗黒戦争
「シーダ様 許してください。ぼくには どうしても お金がいるんです」
暗黒戦争時にはその母親が病気になってしまい、猟師の稼ぎだけでは食べていけず、家族の食い扶持と母親の薬代を稼ぐ為、タリスを離れて出稼ぎに出た。パレスまで飲まず食わずでたどり着き、レナたちとちょっとした悪事を働いた(アカネイア戦記「正義の盗賊団」)こともある。
その後、紆余曲折を経てガルダの海賊に雇われ、ガルダの港町に渡ってきたマルスら解放軍を襲撃。しかし、事情を知ってお金を援助してくれたシーダに感激し、解放軍に参入することになる。
この頃のカシムは貧しさにあえいではいたが、少し気弱そうで、良くも悪くも平凡な青年だった。
英雄戦争
「待ってください!!母が 病気で・・・お金が・・・」
エンディングの戦歴欄では肩書きが「タリスのサギ師」になっている。そのエンディングによると母の病気が快方に向かったとのことなので、どうやら母が病気なのは事実らしい。
リメイク版
「え、えーと…マルス様にはなんて言ってお金貰ったっけ…」
…結果的に追加された支援会話によって『新・紋章の謎』の方がよっぽど詐欺師っぽくなった。流石にこれはカシムが悪い。
タリスの猟師 カシム
「カシムです……タリスで猟師やってます。
病気の母に薬を買うために、
お金が要るんです……!」
属性 | 赤 |
---|---|
兵種 | 弓/歩行 |
武器 | 禿鷹の弓+ |
奥義 | 竜穿 |
B | 恐慌の惑乱3 |
C | 攻撃守備の威嚇2 |
2024年3月の大英雄戦で登場。ビラク同様にSFC版に再現されたイラストになっている。
ステータスは原作準拠で攻撃がずば抜けて高く、全弓ユニットで2番目に高い。しかし魔防は低め。
禿鷹系の弓武器がようやく登場。武器とステータスがよく噛み合っているのでダメージが入りやすい。
相変わらず事あるごとに「母親が病気で…」と薬代を恵もうとするが、お金をもらったとしてどうやって送金するのだろうか…。
レベル40時のセリフはある意味必見。
2020年8月14日に配信された生放送「30年をみんなで振り返る!ファイアーエムブレム生座談会」にて、風花雪月でクロードを演じた豊永利行氏が「声をやってみたいキャラ」としてカシムをライアンと共に挙げている。更に、この生放送のためだけに原作になかったカシムとライアンの支援会話映像が作成され、オーディションを兼ねたアテレコをすることになった。ツイッター等でのカシムの評判は良好。そして3年半の時を経て、ようやく約束通り実現した(直近にクロードの超英雄がいくつか実装されたのはカシム実装の予兆であったといえる)。
カシムがどうして詐欺師と呼ばれるに至ってしまったのか。アカネイア戦記などで伏線があったが、旧インテリジェントシステムズ公式webサイトの「デザイナーズノート」で公開されたサイドストーリーにより、ついにその謎が明かされた。
以下がそのあらすじである。彼の行動をどうとるかは人それぞれ。取るに足らぬ事だと笑う人もいるだろう。自業自得と責めるものもいるだろう。カシムが経験した悲劇は、この当時の世界では本来物語にならない程、ありふれた話のひとつでしかない。ただし、その末の結論はどうかと言えば…
カシムの母が9人目の子を産んだ後、産後の肥立ちが悪く寝込んでしまった。父親は「俺に任せろ」と言ってガルダに出稼ぎに出かけていったが、そのまま消息が途絶える。
カシムが猟師をしているだけでは、10人の食い扶持を賄うなど到底無理なこと。カシムは已むを得ず、母と弟妹の世話を年長の妹のリーンに任せ、出稼ぎに出た。
その後、ガルダの海賊に身を落としたカシムはシーダの命懸けの説得に心を打たれ、アリティア解放軍に参加する。シーダがくれた幾ばくかのお金と薬はリーンのもとに送られたが、カシムはシーダへの恩義と仄かな憧れから故郷に帰らず、暗黒戦争を戦い抜くことになる。
戦後、リーンへの土産にと苦労して買い求めた粗末な服を握りしめ、カシムはタリスへと戻った。しかしそこにリーンの姿はない。カシムが恩義と正義(と仄かな憧れ)の為に戦っていた頃、タリスの家では仕送りが途絶えて生活苦に陥り、リーンは奴隷商人に自らを売っていたのだった。
カシムは半狂乱になりながら妹を探し歩いた。そして寒い冬の日、兄妹はワーレンの薄汚い酒場で再会を果たす。愛する妹は身も心もボロボロで、冷たい床に転がされていたという。妹を抱きしめ、泣きながら詫びるカシムに対し、リーンは最期に微笑んで
「お兄ちゃん・・・約束・・・忘れないで。みんなを・・・守って・・・」
と言い残し、兄の胸の中で息を引き取った。
その後、カシムは金に執着するようになり、周囲からは“守銭奴”“詐欺師”と蔑まれるようになる。誰に軽蔑され、嘲笑われても、彼が本心を明かすことはなかった。祖国奪還、正義の戦争、世界を救う戦い。そんなことは金持ちの考えることだ。社会の底辺を這いずり、妹1人守れぬ自分に何が出来ようか。
カシムにとって大事なことは、家族を守ること。
自らが不幸にしてしまった妹との最期の約束を果たすことなのだから…
この悲劇が起こった要因はカシムが「シーダへの恩義に報いるため軍に入った」事でもある。激化する戦争に転々と移動をする事で仕送りが出来なくなった事が悲劇を招いてしまった。英雄戦争での彼の態度や「新・紋章の謎」における支援会話で頑なにマルスに支える事を拒んだのも当然なのかも知れない…