解説
突如各地へと侵攻を開始した、大国・ベルン王国の国王。
即位に際しても当時「王子急死」の報から突然「国王逝去」の報告がもたらされ、先代国王暗殺の疑いから肉親を手に掛けた冷酷な男として各国から黒いウワサで騒がれた過去を持つ。
綱紀粛正の政策によって暗殺者集団が出現するほどに崩壊した王国の統治を甦らせ、他を寄せ付けぬ王者としての圧倒的な風格から剛健質実を良しとするベルン国内では人気が高く、国王としての器量の高さから代々続く英雄王ハルトムートの子孫ベルン王家でも横暴な先代とは対照的な稀代の名君とされ、ベルン王家に代々受け継がれる英雄王の伝説の剣エッケザックスを使いこなす。
直属の部下にベルン三竜将と呼ばれる三人の部下を従えており、王都を守護するベルン本軍に加え、北方軍・西方軍・南方軍と大陸一つを飲み込むには充分な軍隊を保有している。
その実、ウワサは真実であり、先代の父デズモンドの手で猛毒による幾日にも及ぶ執拗な苦しみを与えられ暗殺され掛けたところを、逆に罠を仕掛けてその手で謀殺した。
なぜそうなってしまったかはゼフィール自身が政略結婚により誕生した存在であり、政略結婚で結ばれた母ヘレーネとは別に父には恋仲であった側室の女性がおり、デズモンドとはうまくいかず、逆に何度も命を狙われ続けた結果である。
その影響から鋭い目つきと威圧感の裏で、子が親を殺めるという最悪の結末を許した自分自身を密かに蔑んでおり、その過去から表面的な平和だけで権力闘争や武力闘争が続き「戦争には及ばずとも争いが絶えず、人が人を支配し人が人の上に立つ」、そういった「つまらぬもの」からの世界の解放を掲げ統一戦争を始めるが、父を手に掛けたその日からやや狂気に支配されている節もあり、暗殺事件以来「あるとき」を除いて決して人前で笑わず笑顔を見せていない。
専用曲には「The King of Bern」「誰がための戦い」があり、使用武器のエッケザックスは剣であるが、普段は三叉の槍の形をしており戦闘になると突然大剣へと変化する。遠距離からの攻撃も可能。さらに必殺時にはゼフィールの闘気によるものか刀身に電撃が走る。おまえはサイヤ人か。エッケザックスを構えたまま身体ごとグルグル回る特徴的な攻撃モーションがやたら目に付くため、エムブレマーからは「回転王」の愛称で呼ばれる。
ただし、この愛称をよく想わないエムブレマーもいる為、むやみに呼ぶのはオススメしない。
ちなみに目的の為には手段を選ばない冷酷な男という面は強いが、かつては心優しく、王位継承の権利を父に剥奪されようと「それならそれでいい」と返すような私心からは程遠い人物だった。もっとも、息子のそんな姿もまた父にとっては面白くない一面であったわけだが・・・。
烈火の剣での姿
政略結婚による冷め切った夫婦仲に生まれ離宮に追放されながらも逆境にめげず、いつかそんな夫婦の間が良くなること・父に好かれることを夢見る少年として物語の後半で登場する。この頃は封印の剣とは似ても似つかない美少年だった。
腹違いの妹であるギネヴィアとも仲が良く、よく出来た人柄で笑顔を欠かさず武術や勉学に秀でた自慢の兄として誇りに思われていた。
しかし、華やかな王族の暮らしとは遠く離宮に押し込められて心が歪んだ母ヘレーネからは権力のための道具としか思われておらず、器量が高く民衆から信頼され、暗愚な自分にはない素質を持ち、さらには自身の横暴によって廃れゆく王国を救う一筋の希望とまで揶揄されるゼフィールの存在は父デズモンドにとって面白くなく、ベルン暗殺集団黒い牙に息子の暗殺を依頼される有様だった。
あと一歩のところまで暗殺者たちの手が迫るも、そこで偶然ゼフィールの言葉を聞いたニノとジャファルの裏切りやエリウッド達の妨害もあって暗殺は失敗に終わり、息子の思いを知った母ヘレーネは権力の道具としてしか見ていなかった息子に夫デズモンドとの仲を良くすることを約束するが・・・結果は知っての通りである。思えば、このときの純粋さこそが後の彼の中で肉親殺しによる罪をさらに重くさせてしまったとも言える。
覇者の剣での行動
ある程度原作のストーリーをなぞって進行することに加えて、主人公アルとも生い立ちの関係から一種の因縁があるため、原作同様(あるいはそれ以上)の大ボスとして描かれている。
三巻の冒頭から登場し、リキア攻略の作戦に失敗したナーシェンの顔を真っ青にしている。
五巻では黒い馬に乗って現れ原作通りセシリアを倒すが、さらに漫画版の主人公アルが現れエッケザックスで剣を叩き折るなど此れも圧倒する。直後にクラスチェンジしたアルから強力な一撃を浴びせられるも、不完全なクラスチェンジで無理に捨て身の一撃を放ったアルは既に命を落としており、手を下すまでもなくその場を立ち去っている。
最終巻ではロイと復活したアルを倒すべく封印の剣との二刀流で襲い掛かり、烈火の剣で最強の剣とされるリガルブレイドを一撃で粉砕するなど凶悪なまでの強さを見せつけるが、原作通りロイの手で倒される。しかしゼフィールが倒された結果パワーバランスが崩れてしまい、それまでゼフィールの存在によりエッケザックスを奪えずにいた敵役「骸黒の民」が神将器を揃える目的を達成し、物語はゲーム版とは別の最終章へと突入する。
原作通り幼い頃を共に過ごしたギネヴィアに対する情は残っているものの、漫画版ではその妹にも生死の選択を迫るなど本家よりも非情さが増している。
また、回想シーンとして原作ではギネヴィアからの伝聞でしか語られていない父王暗殺の場面がゼフィールの視点で克明に描かれている。
ネタバレ
彼の真の目的はベルンの力により全てを飲み込み大陸を統一した後、人と人の支配する世界を、私を持たない竜族に明け渡すこと・そうすることで世界を人の世界から【解放】することである。
血のつながった親子で殺し合い、自身でさえその手で父を殺めたという現実に人を信じられなくなったゼフィールは、綱紀粛正により国を正していく苦労の中で過去の闇をより深めていくこととなり、王家の古文書に語られる大昔に人間の手で滅ぼされた伝説の竜族を解き放ってしまう。やがて彼は大昔の大戦の生き証人であり人間の身勝手による被害者でもある魔竜イドゥンのその虚ろな姿を見る内に、人竜戦役で人が勝利したことへの疑問を持ち始め、時を同じくして魔竜の復活によりもう一人の生き証人が現れると、この瞬間に人竜戦役以後のやり直しを決め、各国へと侵攻を開始した。
ちなみにゼフィールが語る私を持たない竜族とは戦闘竜のことであり、実質的には種族闘争や同族殺しの引き金となる感情というものの抹殺を目論んでいるためか、神竜のファと敵として相対した場合にも特に何の反応も示そうとしない。
また烈火の剣を何度も攻略した後に追加される封印の剣への追加エピローグでの「笑うゼフィール」は、玉座で考え込むゼフィールがその決意をした瞬間を描き、真っ赤な画面に音楽の恐ろしさもあってゼフィールの狂気を象徴した一枚絵としてエンディングの余韻をぶち壊すことで有名である。
祖先から代々受け継がれてきたイドゥン解放の使命を実に歪んだ形で実現させたと言える。
余談
現代社会の問題とされているアダルトチルドレン、つまり機能不全な家庭から幼い頃に受けた傷を成人後も抱えて生きる人々を取り上げたキャラクターでもあり、アダルトチルドレンについては今もなお過去の傷から社会に溶け込めず苦しむ人々が存在する一方、まだまだ世間では正しく認知されず、理解を得られていないことも多い。
ゼフィールに立ち向かった主人公ロイとアルに対しては父親との関係が真逆になっている(ロイの父親エリウッドは健在し息子の為に力を尽くしており、アルの父親は最期まで父親として向き合っていた)。
また元ネタとしては走れメロスに登場する人間不信のあまり人々を殺害したディオニス王を連想させるが、最後にメロスとセリヌンティウスの友情によって救われたディオニスと異なり、ゼフィールは最後の最後まで救われることはない。
前述の通りに彼が望む世界とは、喜びも悲しみもなく感情というものを持たない戦闘竜たちが治める静かな世界なのだが、「世界を竜に明け渡す!」というセリフが先行して竜好きおじさんのイメージでよくネタにされる。戦闘竜による統治そのものは直後に語られているものの、最初のセリフのインパクトが強すぎたものと思われる。
陛下のお言葉
- 『炎は全てを焼き 新しいものを 生み出す』それが紋章(ファイアーエムブレム)の意志だ!
- 我が覇道のため、紋章は この手になくてはならぬ。
- (配下に敗北したヘクトルへ向けて)たった一人の勇将が、あがいたところで所詮はこの程度よ。観念することだな。
- 「わしが信じられぬのか」か・・・。フン、我ながらくだらぬことを言う。
- 逆らうものは、一族もろとも切り捨てよ。
- 血で血をあらうようなものであっても戦争でさえなければ、それは平和であると言えるのか?
- 変化に犠牲はつきものだ。それはなにも、このことだけに限られたものではない。
- 我が覇道は幾万の屍の上に続いておる。
- 静寂・・・竜が治める世界はこのように静かであろう。
- イドゥンよ。おまえが統べる世界は、すぐそこまで来ている。
- では、行くか。世界を『解放』するために。
- (数々の困難を乗り越えてゼフィールの前へ現れたロイに対して)人は醜い。強いものになびき、これまで信頼してきたものを平気で裏切る。貴様も、何度となく裏切り者に苦しい思いをさせられてきたであろう?
- 人が人を支配し、人が人の上に立つ以上、このような事は終わらぬ。
- 人は勝ってはならなかったのだ。人が勝ったがために、この世は人に支配されつまらぬ感情によって左右される醜いものになってしまった。
- (紋章よ・・・。わしが真のベルンの王に足る者かどうか試練を与えているのか・・・。ならば、その小僧を打ち倒し教えてやろう。誰が本当の主なのかを!!)
- 貴様らに、わしの行く道を邪魔させはせん!
- (最期)むうっ・・・わしの・・・負けか・・・だが おぼえておけ・・・わしの・・・志が負けたわけ・・・ではない・・・人が人を・・・支配している以上悲劇は・・・くり返されるのだ・・・
・・・神様、明日は私の成人の儀式です。
これまで、ベルン王子として父上の恥にならぬよう、ふるまってきたつもりです・・・。
ですが、まだまだ父上の期待には、そえていません。
私の努力が足りないのでしょう・・・。
・・・・・・神様。
・・・明日からは大人になる愚かな子供の、最後の願いとして、
毎晩お聞かせしているこの願いを叶えて下さい・・・。
どうか父上と母上が、仲良くなりますように。
私と、妹のギネヴィア、そして妹の母も・・・
みんな、みんなが仲良く王宮で暮らせる日が、いつか来ますように・・・。
父上・・・! やっと・・・やっと父上に認めてもらえた!
ぐああああ・・・・・・!
ゲホッ! グ・・・毒・・・。
やっと・・・。わかりあえたと思った・・・なのに・・・。
何故だ・・・!
何故だ・・・父上・・・。
そこまで私を憎まれるのか・・・!!
ヒーローズ
解放の王 ゼフィール
「わしはベルン王国王子ゼフィール
貴様も人に希望があるなどと
戯言を言う口か?」
属性 | 赤 |
---|---|
兵種 | 剣/重装 |
武器 | エッケザックス(専用) |
奥義 | 血讐 |
パッシブA | 死線3 |
パッシブB | 守備隊形3 |
「FEヒーローズ」にも2017年4月20日に登場。ストーリーではエンブラ軍によって召喚されアスク領へ進行してくる。
クラスの概念がないため単なるアーマータイプとなったが、専用武器のエッケザックスは健在。
期間限定のスペシャルクエストである大英雄戦『解放の王 ゼフィール』をクリアすると入手できる、高いHPと攻撃力を誇る強力なユニット。
HPが一定以上で両者単発攻撃になるスキル「守備隊形」で速さの遅さを補うが、攻撃力と引き換えに防御力が下がるA枠スキル「死線」との相性が悪い。また、奥義「雪辱(血讐)」の威力はHPに反比例しており、「死線」同様、前述の「守備隊形」との相性も悪い。そのため、他のユニットから「死線」「雪辱」に代わるスキルを継承させるのが望ましい。一応「雪辱(血讐)」に関してはパッシブAや聖印でHPを底上げすれば腐りにくいし、インファナルのゼフィールは脅威のHPの高さからくる「血讐」が恐ろしいので対策は必須。
総ステータスは「アーマータイプ」ということで非常に高く、登場時はスキル込みで能力値合計が全キャラトップだったが、流石にアーマー補正に加えて「新人・村人補正」を持つアメリアには僅かに抜かれることとなった。
余談であるが、長らく剣装備の重装キャラはゼフィールとドーガのみという状態が続いていた。だが、2017年の秋頃から漆黒の騎士やアーダンと少しずつ人数が増えており、しかもどれもが強力な武器やスキルを引っさげて登場したために立場がかなり危ぶまれていた、国王なのに…。
しかし2018年2月8日にエッケザックスの武器練成が開放され、「ターン開始時に周囲2マスの竜以外の敵の守備-6」という強力なデバフ効果が付けられるようになった。「竜以外」というのがいかにもゼフィールらしいが、追加時の環境がミルラを始めとしたマムクート全盛期だったのが悲しい。しかし、強化できる効果の中には戦闘中に守備魔防+6という遠距離防御3を付けられるものもある。原作通りの遠距離反撃はつかなかったが強力な効果には違いなく、特に既に遠距離反撃をスキル継承させていたユーザーにはありがたい強化である。これによって同じ剣装備重装の中でも特に「受け」に特化した性能となった。魔防も同タイプの中ではそこそこあるので上記の遠距離防御性能も合わせて青属性魔法を耐え、デバフで防御を下げて次のターンで撃破なんて芸当も可能。
最終まで鍛えると考え方を改めるようなセリフを吐くが、最後には父を殺した自分の手で寝首をかかれぬよう忠告する。原作の悪役とも仲良くなれるゲームなのに最後までデレず、まだまだこの男の闇は深いようだ。また、セリフで言えばプレイヤーを幼子呼ばわりすることもあるが、時折その中で幼い妹らと笑顔で過ごした少年時代を思い出している様子も見せる。
余談であるが、スキルを開放したり覚醒するとエッケザックスに言及するが、エッケザックスを開放できるのは☆5からなので、鋼や銀の剣を装備してても「このエッケザックスがさらなる戦いを欲しておる…」と言ってしまうお茶目な一面が搭載されている。
若き覇王の冬祭り ゼフィール
「私はベルン王国王子ゼフィール。
異国の冬祭り…とても興味深い。
私も参加させて欲しい。」
属性 | 赤 |
---|---|
兵種 | 剣/重装 |
武器 | 聖鈴の剣+ |
奥義 | 氷華 |
B | 迎撃隊形3 |
C | 守備魔防の大開放3 |
2019年のクリスマス超英雄でゼフィール初の超英雄でしかも「烈火の剣」時代の青年期からで初の操作が可能になった。
通常版とステータスを比べ、中途半端だった魔防は大幅上昇と通常版より耐久面は上がったがまだ若いせいか得意のHPは他の重装ユニット並の数値になり、48へとかなり下がってしまった。
聖鈴の剣は攻撃を与えただけでHPが5回復する効果。例えノーダメージ(0)でも効果は発動するので通常版以上に耐久力はある。迎撃隊形を持っているので低い速さをカバー出来る。
守備魔防の大開放3もあってか自分除く守備+魔防の合計値が高い味方の守備魔防+5にしてくれるので壁役兼サポート型に変化し、優しかった頃のゼフィールらしい構成になった。
その分HPが減ってしまったので青属性魔法には耐えにくくなってしまった。魔防が上がる効果を錬成すればある程度は耐えるので強化は必須。