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アダルトチルドレン

あだるとちるどれん

広義的には幼少期に家庭環境や成長環境によってトラウマを負い、その悪影響を引きずったまま大人になり、生きづらさを感じている人々のこと。但し、あくまでも自覚用語であり、他者による客観的定義・識別がほぼ不可能なため、精神医学的に認められた概念ではなく、定められた診断基準も存在しないことに注意。
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注意編集

語感からか「いい歳していつまでも(悪い意味で)子供っぽい人」「幼稚な大人」という意味に誤用されていることがしばしばある。(下記も参照) 勘違いしたままの「アダルトチルドレン批判」などもある。不要なトラブルの原因になるので語感だけで意味を決めつけるのはダメ。ゼッタイ。


解説編集

一般的には頭文字を取ったAC(Adult Children)という略称で呼ばれることが多い。


もともとはアルコール依存症の親から精神的・肉体的な虐待を受けたことが原因で、何らかのトラウマをかかえたまま成人した結果、情緒不安定・うつ状態・拒食・過食などに陥りやすい性格が形成されている大人のことを表す言葉。しかし現在ではアルコール依存症の親に限らず、「機能不全家族の下で育った影響から心に深い傷を負い、大人に成長してもそのトラウマ(心的外傷)に悩まされ、生きづらさを感じている人々」を指すようになった。


アメリカではクリントン大統領が「自分がアルコール依存症養父に虐待されて育ったアダルトチルドレンである」と告白したことで話題となった。日本でも1995年に同名の本が出版されるなどして、自らをアダルトチルドレンと認識する大人が増えた。


元来、「アダルトチルドレン」という言葉は「アダルト・チルドレン・オブ・アルコホリックス(アルコール依存症の親のもとで育ち大人になった人たち)」から由来しているが、現在では言葉の意味が「アダルト・チルドレン・オブ・ディスファンクショナル・ファミリー(機能不全家族において成長した人たち)」に広がりを見せている。


但し、人間は成人するまでに接する家族以外の人物やさまざまな環境も自尊心やパーソナリティの形成に影響していくのに対し、アダルトチルドレンの議論においてはその影響が殆ど無視されている点で、児童心理学などの見地からの批判も多い。

また、元々のアルコール依存症の問題から分離した日本のアダルトチルドレン論では、「問題のある親のせいで自分は満足な人格形成が出来なかった」という過剰に単純化された結果のみに注目したわかりやすい物語が大量に出回るようになったことで、誤解が広まり、本来なら心理的回復もネガティブになる必要も無い人々にまで「自分もアダルトチルドレンでは?」との疑惑を抱かせたことに対する反感・批判も存在する。


ちなみに日本にアダルトチルドレンの概念を紹介して広めた精神科医・斎藤学博士は「(問題のある親の下で育ったことが原因とするならば)アダルトチルドレンじゃない人なんていないからね。大体の人の親は、変でしょう。問題のある親で、だからこそ個性ができてくる。不満が無いと、欲求が生まれないじゃないですか。欲求不満が自分を創る訳でしょう」と述べている。


斎藤博士は後に「問題のある親」についてスーザン・フォワードの提唱した毒親、その環境下で育った人々をサバイバーという言葉に表現を変えてこの問題を論じようとしたが、こちらもわかりやすく人口に膾炙し過ぎたために、アダルトチルドレン論と全く同様に「〇〇は毒親のせいで満足な人格形成ができなかった」と問題を単純化して語ろうとする人間が激増する皮肉な結果を招いた。


アダルトチルドレンの原因編集

まず前提として、「アダルトチルドレン」は自分が自分のことを特徴づけるためにのみ有効な自覚用語であり、他者の説明に使っても意味を持たない用語である。

いわばアダルトチルドレンとは自己申告制であり、現状は幼少期のトラウマが果たして本当にその人の心理的問題と因果関係があるのかどうか、他人が客観的に決定づけることは実質的に不可能なため、以下の原因についてはあくまでも「こういう可能性もある」程度に考えておくこと。

聞きかじっただけの知識で他人の心の問題に踏み入ることは、偏見や差別の温床になりかねないことを忘れてはいけない。

  • 親の愛情を満足に受け取れなかった

両親が子供に無関心な場合や、両親の不在などがあると、家庭内の愛情が希薄になります。

また、両親は愛情を注いでいるつもりでも、子供がそれを受け止められていないケースも考えられます。

一般的な愛情であっても、他の家庭と比べて愛情が足りないと「子供が感じた」場合も、このケースに当てはまる可能性があります。愛情が足りない家庭環境で育った場合、他者からの愛情を極端に求めたり、心の隙間を埋めるために何かの依存症になるケースが多くあります。

または、「物やお金=愛情」というような屈折した価値観を持ってしまう事もあります。

  • 親から自分の存在そのものを否定されて育った

「あんたなんか生まなければよかった」「そんな子に育てた覚えはない」などの子供自体を否定する環境のケースそのもの。完全に否定をされて育った場合、自分の存在価値を見出す事が出来ず、自尊心が屈折したものになる場合があります。「自分は存在をしてはいけない」などのネガティブな考えが根付いてしまったり、自分の存在が何なのか分からないなどの苦悩を抱く事があります。

この場合、大人になって辛い事があった場合等で、自分を否定する対処方法を取ってしまう傾向があります。

  • 外面だけ良く見せようとする家族だった

他人の目ばかり気にして、家庭内の事がおろそかになっていたり、学歴や地位に極度にこだわりを持っていた家族のケースです。

価値観が正常に育たないので、自分の価値が「他者から見た評価」だけで形成されるので自分を見失う事が多くあります。出来ない事でも出来ると言ってみたり、反射的に自分をよく見せようと嘘をつく傾向があり、身近な人間にすら同じことをするので、信用されにくい性格になります。

  • 親の代わりをしていた

子供が親の代わりに、兄弟の面倒を見たり、仕事や家事を行う事が多かった家庭のケースです。

子供らしい時間を過ごす事が少なかった場合、責任感が強すぎる性格になったり、子供らしい感受性が正常に育たないことがあります。頼られることが自分の存在意義だと思い、共依存的な行動をとる傾向にあります。

親に対して、尊敬する気持ちが薄れますので、大人に対して寛容さが乏しくなります。

「大人のクセに」などと子供の頃から考える傾向が生まれます。親がやっている事が出来るようになってくると、同年代の子供が幼稚に見え、子供らしい人間関係を形成しにくい性格になります。

  • 過保護に育てられた

甘やかされていたり、身の回りの世話を全て親任せだったケースです。

親の引いたレールに乗ることも多いので、大人になっても自分の判断で行動できない事があります。

また、何かをしてくれる事が愛情だと感じるので、自分を見てくれないと不安になる傾向もあります。

何か失敗をすると立ち直るまでに時間がかかり、自分を見失う事もあります。責任感が育ちにくいので、自発的に何かを達成しようという意欲も少なくなります。

過保護の延長線上で過干渉になることもあります。親が子離れできない状態でいると、子供の親に対する価値観が正常に発達しなくなり、親以外の大人に対しての接し方にも問題が起こることがあります。

また、子供が親や家族に対しての暴力や虐待を働くケースもあります。

優しさが育たず、「自分をこの性格にした親が憎い」と思い、憎しみを持ってしまうのです。

  • 暴力・虐待がある家庭だった

愛情とは逆の行為、又は屈折した愛情を受けたケースで、しつけのために叩いたり、自分以外の家族に暴力や虐待が向けられ、それを見て不安や恐怖を感じる場合はこのケースに当てはまります。

虐待には、「身体的」「精神的」「性的」があり、子供にとって、恐怖や不安に感じる場合と、それを愛情だと勘違いする場合があります。

恐怖や不安を感じて育った場合は、大人になっても争いごとなどを極度に避け、他人が喧嘩をしているところをみるだけでも、感情が乱れることがあり、時にはパニックを起こす事もあります。

逆に、不安や恐怖を外で発散するために、他人に対して暴力的になるケースもあります。

また、暴力や虐待を愛情と勘違いして育った場合、DVや性依存に発展する場合があります。


アダルトチルドレンのタイプ編集

以下にアダルトチルドレンのタイプを記すが、これらはあくまでもアダルトチルドレンの概念が提唱された1980年代当時のアメリカで、アダルトチルドレンとされた人々の性格傾向をとりあえずまとめただけのただの印象論でしかなく、その妥当性・信頼性を確認した研究は少なく、臨床例も不十分であることに注意。


1.ヒーロー

家族の期待を一身に背負ってがむしゃらに頑張るタイプです。

自分の目的達成よりも、周りからの賞賛に喜びを感じるので、期待に応えることが自分の価値と思う傾向にあり、過度に頑張りすぎる事があります。

また、頑張っている自分が正しいと考えるので自分の中の正義を突き通そうとする傾向が強く、努力しない人や、自分のルールに従わない人に対しては否定感を持つ為、知らないうちに他人を傷つけてしまうこともあります。

頑張っていた事が上手く行かない場合、極度に落ち込むのもこのタイプの特徴です。


2.スケープゴート

身代り・生け贄などと言われ問題を起こすことによって、周りの注意を自分に集めようとする為、極めて自己否定が強く、自分自身の存在価値が見いだせない人が多いのが特徴です。

自分が失敗したり、問題を起こしたり、病気になったりと、さまざまな迷惑を掛けることで、そのときだけ家族が一致団結して問題を解決することが多く、愛されていないと感じながらも、問題を起こすことで家族をつなげている、という複雑な状況を創りあげているのがスケープ・ゴートの特徴です。

スケープ・ゴートの人は自分に対して存在意義を見つけることが難しく、自傷行為や自暴自棄、アルコール依存症などで自分が生きていることを確認している傾向があります。


3.ピエロ

雰囲気は子供っぽく、気さくなお調子もの、という感じで、いつも周りを笑顔にする優しい人です。

すぐに周囲に受け入れられて愛される存在なのですが、ときに強権的な態度の人の言いなりになるような面があったりします。そのため「あの人いい人なんだけど、ちょっと優柔不断でお調子ものなんだよね」などと言われる場合もあるのがピエロの特徴とも言えます。

ピエロタイプになってしまう原因は、親が自分の機嫌によって、同じことでも叱ったり褒めたりしていたことや、親がいつも不機嫌で、子供はいつも機嫌取りをしなければいけなかったこと等が挙げられます。いつも親の顔色を窺っていたのでそれが癖になり、大人になっても周りの人間の顔色を気にし過ぎてしまい、人の怒りや悲しみに敏感です。


4.ロストワン

ロストワンはいない子などと言われ、雰囲気は大人しく、手のかからない、存在感が薄いという特徴があります。ネグレクト(育児放棄)の家庭で見られる特徴の1つと言われていましたが、正反対に過干渉で親の意見を一方的に押し付けられて育ったり、兄弟で育て方に差がある(お兄ちゃんばっかり、妹ばかりかわいがるなど)、口ごたえや反抗が一切許されず「何もしない方がマシ」と悟った瞬間にロストワンになると言われています。

ロストワンの子供を持つ親からすると「手のかからない『いい子』」なのですが、ロストワン本人からすると「居ても居なくてもどうでも『いい子』なんでしょ」と思っていたりするのです。

「自分はかまってもらえない」「自分など必要とされていない」「孤独なのにわかってもらえない」「誰も見てくれない」「見捨てられた気持ち」などと感じやすく、その不満感を外に出せず、心の奥に押し殺してしまうのがロスト・ワンの特徴です。

周りの事をよく見ているのでその場の空気を読め、他者への気遣いが出来るのですが、目立つ事に不安を感じるので、率先して前に出て行くことが出来ません。

他者の視線や評価自体がストレスになっているので、在りのままの自分を見失いがちです。


5.リトルナース・ケアテイカー

長女に多いとされ、思いやりがあり、周囲の変化やネガティブな雰囲気にすぐ気がつく、とても良く出来た人と思われるのが特徴です。しかし、その実態は他人の世話することで自分の価値を見出そうとしているだけです。

そのため、リトルナースは自分の価値を見出すために相手が感謝してくれる状況を無意識に増やそうとするので、相手を自分に依存させるように育ててしまいます。

家庭内にアルコール依存症やギャンブル依存症、麻薬中毒やDV、引きこもりなどが発生した影には「甲斐甲斐しく世話をするリトルナースの存在がある」と言われ、実際依存症の人からリトルナースを離したことで快方に向かった例が多く挙げられています。

「大変なことになった」「どうしてこんなことに…」と思いいつつも、リトルナースにとっては格好の『お世話できる状況』が整っているため、愚痴を言いながらも相手のダメ人間っぷりを助長してしまい、『そんな相手の世話をする私』という状況に酔いしれてしまうので、負のスパイラルから抜けることが出来ません。


6.ロンリー

ロンリーとは自分の殻に閉じこもり、他者を寄せ付けない孤独なタイプで、自己開示を拒否し深い人間関係を築けない傾向にあります。

上辺だけの人間関係は形成するタイプと、一切の人間関係を完全に拒絶するタイプが存在します。

ロンリーは基本的にニヒルなリアリストであり、「どうせわかってもらえない」、「どうせ理解されない」、「どうせ誰も助けてくれない」、「どうせ愛されない」と考え、初めから全てを諦めることで、身を守ろうとします。その為、他人との接触を避け会話を嫌います。

一般に自分から他人に接触しないので、対人関係のトラブルとは無縁ですが、社会生活が営めなくなり『ニート』に始まり『中年の引き籠り』を得て最後は『孤独死』してしまう事もあります。


7.プリンス・プリンセス

親の愛情を得る為に自我を封印し、ママの望む素敵な王子様、パパの望む素敵なお姫様を演じるタイプです。一見すると優しい人にも見えますが、親にとって都合のいい人格や意思を持つこと以外は許されず、常に人格を否定され続けるので本来の自分を表現できず、自分の意思や考えを持つことが出来ません。

大人になってからも相手の期待に応えようとする姿勢は変わりませんが、男性ではブラック企業等で過労死するまで働いてしまったり、女性では彼氏や夫から暴力を受けても自分の意志で逃げない等自ら危険な状態を招いてしまう事になります。

その一方で溺愛されて育ったからか、成長するにつれ自己中心的な言動が多くなり、対人関係に不調をきたしてしまう事もあり、特に金持ち等の裕福な家庭ではその傾向が強くなります。


注意編集

繰り返すが、アダルトチルドレンは精神医学的に認められた病気ではなく、定められた診断基準もない。治療法として集団セラピーが行われることもある。米国では治療の結果、父親からの性的虐待の記憶が回復し、娘が父を告訴するというケースも見られる。

またアダルトチルドレンは理解が難しい。セガガガでは言葉の意味を間違ってネタにしたり(指摘を受け即座に販売停止、修正されて再度販売された)、誤解が多いため解決の足かせになっている。


関連用語編集

和製英語 造語

虐待 機能不全家族 トラウマ 毒親 愛情不足 適応障害 共依存 インナーチャイルド アルコール依存症 摂食障害

発達障害 HSP:アダルトチルドレンと類似性のある精神疾患


  1. 猜疑性/妄想性パーソナリティ障害
  2. スキゾイドパーソナリティ障害/シゾイドパーソナリティ障害
  3. 統合失調症型パーソナリティ障害
  4. 反社会性パーソナリティ障害
  5. 境界性パーソナリティ障害
  6. 演技性パーソナリティ障害
  7. 自己愛性パーソナリティ障害
  8. 強迫性パーソナリティ障害
  9. 回避性パーソナリティ障害
  10. 依存性パーソナリティ障害

同名の楽曲編集

  • buzzGが投稿した楽曲。


外部リンク編集

アダルトチルドレン - Wikipedia

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