概要
食生活において、極端な食事制限や、過度な量の食事の摂取などを伴い、それによって患者の健康に様々な問題が引き起こされる障害である。
基本的には胃腸炎や嚥下障害(噛んで飲み込む機能の障害)など、身体的な要因で起こるものではなく、心理的な要因で起こるものを指す。
摂食障害は「神経性食欲不振症」と「神経性過食症」に大別される。食欲不振症は「食べない」を徹底する「制限型」と「食べた後太らないようにする」ことを徹底し、無理に吐いたり下剤を使って排出しようとする「むちゃ食い/排出型」に分けられ、過食症(むちゃ食い障害)は「出すこと」も含まれるが、食欲不振症とは異なり「やせ」の状態には至らないのが特徴である。
強迫性障害の一種とされる。
原因
精神的なストレスや不安などが大きな原因とされる。また、過剰なダイエットやその反動で起こることもある。
「やせ礼讃(痩せていることが美しく正しいとする考え方)」などの社会的・文化的な要因、自己否定的な思想やパーソナリティ障害などの心理的な要因、家庭内の不和・家族や親しい人からの体重・体型に対する(否定的な)意見なども発症のトリガーと考えられている。
芸能人など「他人から見られること」を意識している環境にある人は発症しやすいとされる。
遺伝的な要因も多分に関係すると考えられており、心理的・精神的な要因が全てではないとされている。また、拒食/過食は全く別の病気というわけではないとする研究が進んでいる。
治療
緊急での入院治療(体調の深刻な悪化、他の精神疾患の併発など)が必要な場合を除き、基本的には外来での定期的な治療が推奨される。
食事指導のほか、認知行動療法などで、「食べること(それによって体重が増えること)は悪いことではない」、「太ることが悪い、痩せることが良いというだけではなく、自分にとって健康的な体型を保つことが大切である」といった考え方を少しずつ患者と共有していくのが治療の大きな部分となる。
また、対人関係に困難を抱えている患者も多いとされるため、他者とのコミュニケーションについて改善していくことも治療の一環である。