概要
『ファイアーエムブレム 風花雪月』の舞台であるフォドラには、古の時代に女神より力を授かり、解放王ネメシスとともに邪神を北へ追い返したといわれる「フォドラ十傑」と呼ばれる者たちがいた。彼らが紋章とともに女神より授かったといわれている武具は「英雄の遺産」と呼ばれ、そのほとんどが紋章を世襲で継ぐ家系に管理されている。
動物の骨のような外見をした武器であり、時折生きているかのように不気味に動くなど、通常の武器とは異質な存在を放つ。紋章を持つ人間がその力を振るう際には橙色に発光する。
武器に埋め込まれている「紋章石」が遺産の力を引き出す核となっており、紋章石と同じ紋章を宿す者が振るえば、真の力を引き出すことができる。実際のゲームシステム上においても紋章が一致していれば、武器なら専用戦技を使用可能になり、装備品なら確率ダメージ半減の効果を得られる。
(クリア後のセーブデータを引き継いでプレイすることで入手できる紋章アイテムを所持することでも同様の効果を得ることができる。)
その力はたった一つで戦局を左右する程の極めて強力なもの。中でもかつてネメシスが使用していた「天帝の剣」は、女神の象徴たる「炎の紋章」に対応していることもあり、フォドラ全体でも最上位の武器となっている。
十傑の子孫達はこれらの遺産を手にし、北のスレンや東のパルミラといった外敵からフォドラを守護する事で貴族としての地位を確立してきた。
フォドラの王侯貴族の跡継ぎは紋章の有無が重要視されているが、その理由が英雄の遺産の存在にあると言える。
しかし、紋章を持たない者が遺産を振るうと、力を引き出せないばかりかその身にかかる致命的な負荷に耐え切れず、紋章石の力に呑み込まれ最終的には魔獣と化してしまう(ゲームシステム的には紋章を持たない物が使用すると毎戦闘時に10ダメージを受ける。魔獣にはならないのでご安心を)。
紋章を有してさえいれば遺産と一致せずとも負荷を抑えることができるが、それでも魔獣になる可能性は非常に低確率ながらあるとされており、かつて紋章(それも遺産と適合するもの)を持っていたのにもかかわらず魔獣と化してしまった人物がいたことがほのめかされていて、実際にその魔獣と戦うマップも存在する。
対応する大紋章を持っていても、完全に負荷を抑えることはできないらしく、使用する度に命がすり減ってしまうとされていることが『無双』で明かされている。(本編の時点においても使う度に心がすり減るような感触があるとカトリーヌが述べている。)
また、英雄の遺産は本編中で確認されているものの他にも、英雄戦争の時代に存在していながら現在では失われたとされているものも複数ある。(DLCや『無双』で追加された遺産がそれに該当すると思われる。)
英雄の遺産とは別に神聖武器と呼ばれるものもある。
こちらは英雄の遺産には劣るとされるものの、紋章を持たずとも扱えることが大きな違い。紋章一致で特定の効果が発揮される点は同じ。
神聖武器には十傑の紋章だけでなく、英雄戦争でネメシスや十傑を打倒した聖者セイロスや四聖人の紋章に対応するものもある。この違いは、両者の製造過程の差異によるもの。
英雄の遺産の一覧
武器の名称やモチーフは実在する神話の武器等から用いられている。
武器
武器は基本耐久値が20に設定され(雷霆とヴァジュラのみ30)、共通でダークメタルで修理することができ紋章一致時に固有の専用戦技を使用することができる。(耐久消費は大紋章なら3、小紋章なら4、紋章アイテム所持時が5。共通で竜有効がついている。)
『無双』では鍛冶場で性能解放を行うことで専用特性が付与される。
天帝の剣→天帝の覇剣
戦技 | 破天→覇天 | 威力+7→10/命中+10/必殺+10→20/自分の魔力に応じて威力が上昇 |
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特性 | 神祖の加護 | "灰色の悪魔"またはソティスが装備していると、攻撃が二重に当たる |
備考 | 主人公専用(主人公以外が装備すると重さ+10/射程1) |
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かつては解放王ネメシスが振るっていた魔剣で、遺産の中でも群を抜いて強力な武器であり、たった一振りで山を真っ二つにしたという噂まであるほど。力が発揮されているときは蛇腹剣の形状をとれるため、離れたところから攻撃ができる。
英雄戦争時代には紋章石が嵌っていたが、現在は欠損している。このため本来の力を引き出すことができるのは特殊な生まれである主人公のみで、事実上主人公専用武器となっている。(主人公以外が使用してもなんの効果のないただ硬い剣であり、これは主人公と同様に炎の紋章を持つエーデルガルトでも同様である。)
女神再誕の儀の際、聖廟を襲撃した西方教会の主犯格の魔道士が聖セイロスの棺に収められていた所を発見し、それを主人公がはじき返して手に受け止め、反撃の際に力を発揮。以降レアから託されることになる。
第一部終盤には何かが何かしたことで天帝の覇剣へと進化し、真の力を開放することとなる。
『無双』ではクリア後に名声値と交換することで入手できる。
雷霆
戦技 | 雷迅 | 威力+6/命中+30/必殺+30/重装有効 |
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特性 | 不断の連撃 | 戦技の再使用時間が50%減少する |
備考 | 自分から攻撃したとき、2回連続攻撃。 |
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かつては十傑カロンが振るっていた魔剣。3対の枝刃がついた、七支刀のような形状。
現在は彼の直系の子孫である王国貴族カロン伯爵家の出身である、セイロス騎士団の聖騎士カトリーヌが所有している。
本編で初めて目にする英雄の遺産であり、劇中でも霧の中でロナート卿配下の兵を次々斬り倒す彼女の姿が見られる。
第一部でカトリーヌを仲間にすることで入手できるほか、第二部紅花の章では彼女を討つことでも入手可能。(しかし最終マップのためほとんど意味はない)
『無双』でもカトリーヌの得物として登場。彼女を仲間にするか討伐すれば入手できるが、赤焔の章の最終マップで討った際には入手できない。(原作と違いこのタイミングで入手しても全く意味がないからだろうか?)
モチーフはギリシャ神話の全知全能の神ゼウスの使用する武器ケラウノス。
破裂の槍
紋章 | ゴーティエ | 種類 | 槍 | 紋章所持者 | シルヴァン |
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威力 | 22 | 命中 | 65 | 必殺 | 20 |
射程 | 1 | 重さ | 9 | 武器レベル | 槍E |
戦技 | 裂空 | 威力+13/命中+10/必殺+10/飛行有効 |
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特性 | 衝動 | 戦技のクリティカル発生率が著しく上昇 |
かつては十傑ゴーティエが振るっていた魔槍。突きに重点を置いた突撃槍のような形状で、その下にはピクピクと不気味に動いている突起物がついている。
彼の直系の子孫である王国貴族ゴーティエ辺境伯家に、北方の民スレンとの戦いの要として継承されている。そのためゴーティエ家では家督の継承の際、特に紋章の有無を重視している。
本編初登場時はシルヴァンの兄マイクランが盗み出しおり、コナン塔に根城を構え、各地の村々で略奪を繰り返していた。
コナン塔の頂上で主人公らと戦闘中、紋章を持たないにもかかわらず振るったことで槍の力が暴走し、紋章石から現れた黒い物質に呑み込まれ魔獣「黒き獣」と化してしまった。
黒き獣討伐後は主人公たちに回収されたのち、中央教会から正式にゴーティエ家に返還するためレアの預かりとなる。この際にシルヴァンが自学級に在籍していた場合、主人公がレアに頼めば彼に直接授けてくれる。(レアからの好感度は下がるが)
レアにそのまま渡した場合は、第一部で彼の外伝「持たざる者たち」をクリア後に彼に正式に継承される。
第二部紅花の章では敵対したシルヴァンが所持しているが、翠風の章で敵対した場合は正式に家督を継承していないのか所持していない。
『無双』ではマイクランによる遺産の盗難が行われず、彼も2年後まで生き延びる。青燐の章の第二部でシルヴァンとディミトリ、ロドリグの外伝「北の果てより襲い来るもの」をクリアすることで入手可能。(なお入手後にフリー戦闘でシルヴァンに破裂の槍を持たせて出撃すると敵将のスレン大将との戦闘会話が変化する小ネタがある)
原作とは逆に赤焔の章で敵対したシルヴァンは所持していないが、黄燎の章で敵対した場合は所持している。これは黄燎の章ではゴーティエ辺境伯を連邦国軍が討ったことにより、家督と遺産を継承したことに起因していると考えられる。
モチーフはケルト神話に登場する英雄クー・フーリンの愛槍ゲイボルグであり、『聖戦の系譜』に登場した神器地槍ゲイボルグとの名前被りを避けるため、別名の「破裂する槍」から名前が引用されたと思われる。
ルーン
紋章 | ダフネル | 種類 | 槍 | 紋章所持者 | イングリット |
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威力 | 17 | 命中 | 90 | 必殺 | 10 |
射程 | 1 | 重さ | 9 | 武器レベル | 槍E |
戦技 | 震炎 | 威力+8/必殺+20/回避+10/自分の速さに応じて威力上昇 |
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特性 | 焦熱 | 強攻撃時、一定確率で「ボルガノン」が発動 |
かつては十傑ダフネルが振るっていた魔槍。破裂の槍に形状が似ているもののこちらは突起物がなく英雄の遺産の中では比較的落ち着いたデザイン。
現在は彼の直系の子孫である同盟貴族ダフネル侯爵家ではなく、その分家である王国貴族ガラテア伯爵家に継承されている。
第一部のドロテアとの外伝「王国貴族結婚余聞」での騒動ののち、彼女の身を案じた伯爵からイングリットに押しつけられる形で入手できる。
第二部には翠風・紅花の章でイングリットの得物として登場する。
『無双』でも青燐の章の序盤でイングリットの得物として登場。赤焔の章では彼女の死後、ガラテア家の家臣の手で主君の元に届けられた。
モチーフはケルト神話に登場する太陽神ルーが所持していた同名の槍。
フライクーゲル
紋章 | ゴネリル | 種類 | 斧 | 紋章所持者 | ヒルダ |
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威力 | 23 | 命中 | 60 | 必殺 | 10 |
射程 | 1 | 重さ | 11 | 武器レベル | 斧E |
戦技 | 劫火 | 威力+15/命中+20/攻撃が命中したとき、戦闘後、敵の力-5 |
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特性 | 圧殺 | スタンゲージへのダメージが大きく増加 |
かつては十傑ゴネリルが振るっていた魔斧。刃の部分に骨のような突起物が放射線状に伸びており、ヒルダ曰く「物騒で可愛くない」「生きてるみたいで気持ち悪い」とのこと。
彼の直系の子孫である同盟貴族ゴネリル公爵家に、東の大国パルミラとの戦いの要として伝わっている。なお同じく国境守備を担うゴーティエ家に比べると、家督の継承の際に紋章の有無が重視されていない模様。
次期当主であるホルストが紋章を持っていないこともあり、ツィリルとの外伝「世界を分かつ壁」でパルミラ軍の撃退後、実家に戻ったヒルダが押しつけられる形で入手できる。
第二部には蒼月・紅花の章でヒルダの得物として登場する。
『無双』では黄燎の章で最初からヒルダが所持しており、他の章でも、彼女の得物として登場するほか、オープニングムービーではセイロスと戦うゴネリル本人の得物としても登場する。
名前の由来はドイツの伝承に登場した「魔法の弾丸」で、発射すれば必ず標的に当たるといわれている。
フェイルノート
紋章 | リーガン | 種類 | 弓 | 紋章所持者 | クロード |
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威力 | 18 | 命中 | 75 | 必殺 | 20 |
射程 | 2-3 | 重さ | 9 | 武器レベル | 弓E |
戦技 | 落星 | 威力+10/命中+30/必殺+10/次の戦闘時、敵の攻撃を必ず回避する |
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特性 | 息吹 | 弓の射程が大きく伸びる |
かつては十傑リーガンが振るっていた魔弓。ところどころに突起がついていて、弓本体だけでなく、放たれた矢尻も橙色に発光する。
彼の直系の子孫である同盟貴族リーガン公爵家に継承されているが、物語開始時点ではクロードはまだ実物を見ていない。
第二部では翠風の章開始時にクロードが最初から所持している。「落星」使用後もクロード自身の回避力で回避できた場合は発動せずに敵ターン終了時まで持ち越すことができるため、「夜明けの追討戦」で非常に役に立つ。
他の章でもクロードの得物として登場するが、蒼月の章では盟主の座を降りたクロードに託される形で入手することができる。
『無双』でも黄燎の章でクロードの得物として入手できる。「落星」が設置型の戦技となり、魔物への強力なダメージソースになる。
モチーフ元はアーサー王伝説などに登場する騎士トリスタン卿の持つ同名の弓。
打ち砕くもの
紋章 | ドミニク | 種類 | 斧 | 紋章所持者 | アネット |
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威力 | 18 | 命中 | 60 | 必殺 | 0 |
射程 | 1 | 重さ | 11 | 武器レベル | 斧E |
戦技 | 落星 | 威力+20/攻撃が命中したとき、戦闘後、敵の守備-5 |
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特性 | 昏倒 | 攻撃時、一定確率でスタンゲージが表示 |
備考 | 魔法武器 |
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かつては十傑ドミニクが振るっていた魔槌。片方の打面にイソギンチャクのような長い突起が無数に生えているなかなかにグロテスクな見た目のハンマーで、紋章の力がなくても鎧を破壊できるほどすごく重いのだがこれでも一応魔法武器。アネット曰く「可愛い」とのこと。可愛い……?
彼の直系の子孫である王国貴族ドミニク男爵家に継承されている。
第二部蒼月の章のアネットとギルベルトの外伝「フォドラの風見鶏たち」で、ドミニク男爵との戦闘後に彼から借り受ける形で入手できる。
紅花の章では敵対したアネットが持参している。同マップに登場するカトリーヌが持つ雷霆と違い、こちらは討伐による入手ができない。
『無双』でもアネットの得物として登場。青燐の章では王国の内乱が終息後、アネットが男爵から譲り受ける形で入手できる。本来の継承者である出奔した嫡子、シモンについての情報も語られた。
赤焔の章ではドミニク家が事実上滅亡し、遺産も帝国軍が回収することになる。
モチーフ元は北欧神話に登場する最強の戦神トールの持つハンマーミョルニルで、『聖戦の系譜』でも、「トールハンマー」という名称の雷魔法が登場している。
アラドヴァル
紋章 | ブレーダッド | 種類 | 槍 | 紋章所持者 | ディミトリ |
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威力 | 19 | 命中 | 75 | 必殺 | 10 |
射程 | 1 | 重さ | 9 | 武器レベル | 槍E |
戦技 | 無惨 | 威力+15/命中+20/すべての敵に有効 |
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特性 | 昏倒 | 攻撃時、一定確率でスタンゲージが表示 |
かつては十傑ブレーダッドが振るっていた魔槍。薙刀に近い形状をしており、薙ぎ払いに長けている。
彼の直系の子孫であるファーガス神聖王国のブレーダッド王家に継承されている。
第二部でのディミトリの得物として登場し、蒼月の章ではロドリグがコルネリアの部下から王都で取り返し、主人公たちと合流後ディミトリに手渡される。
『無双』でも青燐の章でディミトリの得物として入手できる。ストーリーにおいてはディミトリがコルネリアに捕らえられた際、フェルディアの玉座の間に括り付けられるが、主人公らの手で取り返された。
モチーフ元はルーン同様ケルト神話に登場する太陽神ルーが所持していた同名の槍。
装備品
紋章一致時、共通して大盾・聖盾が発動し、ダメージが半減される(確率は大紋章が50%小紋章が30%紋章アイテム所持が10%)。無双ではまれにダメージ無効となっている。
テュルソスの杖
特性 | 魔力持続 | 魔道書での遠距離攻撃の射程が伸びる |
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かつては十傑グロスタールが振るっていた魔杖。一部の会話では魔杖テュルソスとも。本編では片手で扱える程度の長さだが、『無双』のムービーでは槍と同程度の長さになっている。
彼の直系の子孫である同盟貴族グロスタール伯爵家に継承されている。
所持するだけでほとんどの魔法攻撃の射程を4以上と広範囲を攻撃することができるという今作屈指のチート装備。
第一部のローレンツの外伝「金鹿の守る地」のクリア後に、アケロンの起こした騒動を手際よく解決したことで伯爵から譲り受けられる。
第二部の銀雪・蒼月の章ではローレンツと敵対することになるが、遺産は所持していない。
『無双』ではグロスタール伯の得物として登場。赤焔・黄燎の章でローレンツが爵位と同時に継承する。
余談だがローレンツと同じ金鹿の学級に所属し、なおかつグロスタールの大紋章を持つリシテアのほうがテュルソスの杖の性能とシナジーがあることから、プレイ時は大抵彼女に装備されがちであり、リシテアが正式な所有者とネタにされることがある。
(「使い方は先生に任せる」とローレンツ本人は言っていたため、上記画像のような状況はまずありえないだろう。多分。)
尤もリシテア自身はグロスタールの大紋章を所持していることを世間に公表しておらず、迂闊に使用すれば適合反応などによって露呈してしまうこともあってか、『サイファ』や『ヒーローズ』などでリシテアがテュルソスの杖を持つ場面や公式絵は登場していない。
モチーフ元はギリシャ神話に登場する同名の杖で、豊穣の神ディオニュソスが儀式の際に使用したとされている。
アイギスの盾
かつては十傑フラルダリウスが所持していた魔盾。紋章石は内側に嵌っている。
彼女の直系の子孫である王国貴族フラルダリウス公爵家に継承されており、フラルダリウス家は「王の盾」の異名を持つ。
第一部のフェリクスの外伝「真の騎士道」で、すべての村人を救出することで入手できる。(この際、なぜか村人から贈られたかのような描写がされるが、実際はロドリグが功績を認めて譲ってくれたものと思われる。)
第二部では翠風・紅花の章で敵対したフェリクスの得物として登場する。
『無双』でもフェリクスの得物として登場。英雄の遺産で唯一特性が存在していない。
モチーフ元はギリシャ神話に登場する女神アテナがゼウスから授けられた同名の盾。
ラファイルの宝珠
特性 | 全特効無効/状態異常無効 | すべての特効を無効化する。/属性の追加効果を受けない |
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かつては十傑ラミーヌが所持していた魔珠。青い宝石部分も相まって美しいペンダントになっている。
彼女の名を冠する家は登場しておらず、遺産の所在も章によってまちまち。
第二部紅火の章以外ではカスパルとの外伝において、メルセデスが死神騎士から受け取ることができる。
翠風・紅花の章では敵対したメルセデスが所持しているが、入手経路は不明。
『無双』ではイエリッツァ及び死神騎士が所持していて、赤焔の章で最初から入手できるほか、彼を仲間にすることで青燐の章でも使用できる。
名前についているラファイルは大天使ラファエルの表記揺れ。(彼のことではない)
魔道書
『ファイアーエムブレム無双 風花雪月』にて追加された三つの遺産。
『無双』では原作にはなかった魔道書カテゴリの武器が追加され、魔道書の遺産がゲームの都合上必要になったため新たに登場したと思われる。
いずれも紋章一致時に最上位の魔法を使用可能になる。(すでに習得していた際は威力が上がる)
入手時にイベント等が発生することもないため、三つとも詳細は不明。
なお、カロンとラミーヌには既存のものに加えて二つ目の遺産が登場したことになる。
(魔書フロッティに関しては下記の項目に記載する)
イコル文書
特性 | 光輝 | 強攻撃時、一定確率で「リザイア」が発動 |
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青燐の章のとある隠しメインクエストのS評価報酬として入手できる。
名前の由来はギリシャ神話に登場する神の血液「イコル」から。
ストゥングの神秘
特性 | 不断の連魔 | 魔法の再使用時間が50%減少する |
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黄燎の章EP.14のメインクエストのS評価報酬として入手できる。
名前の由来は北欧神話に登場する同名の霜の巨人から。
特殊な遺産
長い歴史の中で失われたもの、四使徒の紋章に対応するもの、厳密には英雄の遺産とは異なるものといった、上記の遺産にくらべて特殊な経緯を持つ武具たち。
ヴァジュラ
紋章 | シュヴァリエ | 種類 | 籠手 | 紋章所持者 | バルタザール |
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威力 | 7 | 命中 | 90 | 必殺 | 10 |
射程 | 1 | 重さ | 7 | 武器レベル | 格闘E |
戦技 | 魔拳 | 威力+10/命中+10/必殺+10/敵の守備か魔防の低いほうでダメージを計算 |
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特性 | 絶体絶命 | 自身の残りHPが少ないほど、敵へのダメージが増加 |
備考 | 自分から攻撃したとき、2回連続攻撃。 |
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英雄戦争後、遺産を模してつくられたとされる謎の魔甲(それゆえ戦技に竜有効の効果がついていない)。大きなかぎ爪がついており、左右どちらの籠手にも紋章石が嵌っている。
四使徒シュヴァリエの紋章を密かに受け継いでいる山の民クパーラの秘宝であり、煤闇の章ではバルタザールの得物として登場する。
本編第一部ではハピとの外伝「許し難き行い」において、クパーラから盗み出されたのち帝都アンヴァルの闇市に流れていたところを、ある事情でこれが必要となっていたオックス男爵が盗み出した。男爵自身は紋章を持っておらず、取り返そうとした際にバルタザールの制止も聞かずに強引に使用したことで力が暴走。魔獣「愴魔獣」となってしまった。
騒動のあとは無事回収され、以降はバルタザールが預かることとなった。
オックス男爵がヴァジュラを欲していた理由は不明だが、「英雄の遺産を手に入れれば去年から行方不明になっている娘を助けてやるという取引を持ち掛けられたから(要約)」だとエーデルガルトは推測している。事実オックス男爵自身も「これがあれば、我が娘が…」と言っていることから、英雄の遺産を欲していた何者かが発端であり、娘の結末を鑑みるとある連中が黒幕である可能性が浮上してくる。
『無双』でも第二部以降のバルタザールの得物として登場する。詳しい経緯は不明だがこちらでもアンヴァルの闇市に流れていたところを彼が取り戻したらしい。
モチーフ元はインド神話の太陽神インドラの扱う武器。
ドローミの鎖環
紋章 | オーバン | 種類 | 装備品 | 紋章所持者 | ユーリス | |
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防御 | 0 | 魔防 | 0 | 重さ | 0 | 移動+1/再移動付与 |
特性 | 縮地 | 自分が何の兵種でも、騎馬兵種と同等の移動になる |
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失われた遺産の一つ。フォドラ西方の国ダグザに伝わる宝物だったが、ダグザ=ブリギット戦役の講和の際に帝国の外務卿ゲルズ公が入手し、外交上の手札の一つとなっていた。
煤闇の章ではユーリスが所持しており、上手く使いこなさなければ高難易度クリアは至難の業。
本編第一部ではコンスタンツェとの外伝「呪われし遺産」で教団がゲルズ公から接収するようコンスタンツェに依頼したが、その道中ミュソン率いる謎の魔導士の実験により正気を失った盗賊が、魔獣化しながらゲルズ公を襲っていたため救援することとなる。騒動の後はドローミの鎖環は返却され、主人公の掛け合いにより教団からユーリスに貸し出される。
『無双』でもユーリスの初期装備として所持している。
モチーフ元は魔狼フェンリルを捕縛する際に使用された、北欧神話に登場する同名の鎖。
ブルトガング
紋章 | 獣(モーリス) | 種類 | 剣 | 紋章所持者 | マリアンヌ |
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威力 | 13 | 命中 | 80 | 必殺 | 0 |
射程 | 1 | 重さ | 7 | 武器レベル | 剣E |
戦技 | 獣牙 | 威力+10/必殺+30/騎馬有効 |
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特性 | 蝕力 | 魔法のクリティカル発生率が著しく上昇 |
備考 | 魔法武器 |
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歴史から抹消された英雄モーリスが振るっていた魔剣。サーベルのように反りの入った刀身を持つ。
モーリスはかつて、ネメシスや十傑と共にフォドラを救ったとされていたが、ある日突然姿を獣に変えてしまう。罪なき人々を殺戮し、忌み嫌われる存在となったことで歴史から抹消され、彼の持っていた紋章も不幸をもたらす災厄の象徴として言い伝えられてきた。
『無双』で追加された資料「紋章学の謎の書」によれば災厄の獣と称されるほど殺しに特化していて(専用戦技からもわかるように馬上や空中の敵は格好の的であった)、聖戦士の一人を殺した際の返り血を浴びたモーリスの姿には、敵のみならず味方も恐れを抱いたという。
グロンダーズの会戦ののち、戦線が北上するにつれて正気を失っていったモーリスが消息不明となって以降、ブルトガングも行方がわからなくなっていたが、最期までそれを離さなかったという。
およそ千年後、第二部のマリアンヌの外伝「抹消された英雄」でモーリスのなれの果ての姿であり、エドマンド領にあるミルシャの魔の森で夜な夜な人を襲うとされる人語を話す魔獣「彷徨えし獣」が登場する。
撃破後、彷徨えし獣は感謝の言葉と同時に滅び、風化した肉体からブルトガングが発見された。
これによりモーリスは千年もの悪夢から解放され、マリアンヌもまた、忌み嫌われる獣の紋章の呪いから解放され、以降、彼女の武器としてに託されることとなった。
上記の特殊な生い立ちもあり『無双』のストーリーには登場しないが、黄燎の章でのみ、隠しメインクエストのS評価報酬として入手可能。
モチーフ元は中世ドイツのディートリヒ伝説に登場する英雄ハイメの持っていた同名の剣。
アイムール
紋章 | ??? | 種類 | 斧 | 所持者 | エーデルガルト |
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威力 | 24 | 命中 | 60 | 必殺 | 20 |
射程 | 1 | 重さ | 11 | 武器レベル | 斧E |
戦技 | 狂嵐 | 威力+14/命中+10/攻撃後、再行動が可能 |
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特性 | 不滅 | 魔敵将撃破時、覚醒ゲージと無双ゲージが回復 |
備考 | エーデルガルト専用 |
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エーデルガルトの協力者たちによって製造された紋章石改造武器であり、厳密には英雄の遺産ではない。その為修理の際はダークメタルではなくアガルチウムが必要となる。
大型の獣の頭部にも見える形状を持ち、獣の紋章に似た紋様の紋章石が埋め込まれている。
第二部でのエーデルガルトの得物として登場し、紅花の章開始時にエーデルガルトが最初から所持している。戦技「狂嵐」は言わば『覚醒』のチートスキル「疾風迅雷」の上位互換であり、1ターンの間に最大6回行動することができるというテュルソスの杖と並ぶチート武器であり、味方としてはもちろんのこと、敵として登場した際も次々に再行動しながら味方を抹殺してくる。
エーデルガルト専用武器だが、ゲームシステム上はセイロスの紋章に対応する英雄の遺産であるため、紋章アイテムを使えば他のユニットも「狂嵐」を使用可能である。
『無双』においてはエーデルガルトがアイムールを作り出した協力者と序章のうちに決別したため、代わりに神聖武器「ラブラウンダ」が彼女の初期装備となっている。
とは言え全く登場しないわけではなく、赤焔の章で隠しメインクエストのS評価報酬で入手できる。こちらでは正真正銘エーデルガルト専用武器となり、「狂嵐」はセイロスの紋章を持つレアやジェラルトでも使用不可。
青燐の章の終盤でも、敵対したエーデルガルトの得物として登場する。
上述の通り正確には英雄の遺産とは異なるものだが、主人公のスマブラ参戦映像や次作では英雄の遺産として扱われている。
モチーフ元はウガリット神話に登場する神バールが用いた同名の棍棒。名前は「撃退」を意味しており、これの対となる棍棒ヤグルシュ(こちらの意味は「追放」)と携えて龍の姿の海神ヤムに立ち向かい、その頭を潰したとされ、紅花の章のラストの展開も相まってふさわしいモチーフといえよう。
魔書フロッティ
紋章 | ティモテ | 種類 | 魔道書 | 紋章所持者 | ハピ |
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魔法 | ダークスパイクΤ |
特性 | 原理操作 | 与えるダメージを力か魔力の高い方で計算 |
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『無双』で登場した魔道書の遺産であり、新たな遺産の中では唯一ストーリーに登場する。
詳しい入手経路は不明だがとある人物が所持しており、その人物が出てくる隠しメインクエストクリア後に入手できる。
この人物は紋章を持たないが、専用兵種の兵種スキル「紋章の叡智」によりダメージを無効化している。
名前の由来は北欧神話に登場し、シグルズに討伐された怪物ファフニールの持っていた魔剣。
始原の宝杯
紋章 | なし | 種類 | 装備品 | |||
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防御 | 0 | 魔防 | 0 | 重さ | 0 | 特効無効/応撃付与 |
特性 | 全特効無効/応撃 | すべての特効を無効化する。/距離を問わずに反撃できる |
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備考 | 英雄の遺産ではないのだが、英雄の遺産と同じ金色のアイコンであるためここに記述する。 |
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神祖が創ったとされる伝説の宝杯で、死んだ者の魂を復活させる儀式「宝杯の義」に使用されたとされている。かつてガルグ=マク大修道院が落成された際に執り行われた四使徒であるオーバン、ノア、シュヴァリエ、ティモテの聖なる力をもって、女神を復活させるというものだったが、儀式は失敗に終わり、ガルグ=マクの地下深くに封印されたとされている。
煤闇の章では主人公らと灰狼の学級の面々がアビスの下層に位置する「封印の谷」を探索中、灰狼の学級の紋章と反応したことで偶然にも封印が解かれ、穴の奥に隠された始原の宝杯が発見され、それが後にさらなる大事件につながることとなる。
煤闇の章をクリアすることで特典として本編で入手することができる。効果は装備させれば誰でも距離を問わずに反撃できるというチート性能。しかも自傷ダメージもなければ最序盤から使用することもできるという、使い方を誤ればゲームバランスを崩壊しかねないレベルの性能となっている。
『無双』では全ての功績を達成することで入手できるようになり、上記のチート性能に見合った入手方法となっている。
天帝の闇剣
紋章 | 炎 | 種類 | 剣 | 所持者 | ??? |
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威力 | 16 | 命中 | 85 | 必殺 | 0 |
射程 | 1-2 | 重さ | 7 | 武器レベル | 剣E(無双ではA) |
戦技 | 崩天 | 威力+10/命中+10/必殺+10/自分の魔力に応じて威力が上昇 |
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特性 | 双紋章の闇 | 攻撃が二重に当たる |
備考 | 敵専用 |
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天帝の剣を模して作られた、二つの紋章石の力を得た闇の魔剣で、天帝の覇剣の上位互換の攻撃性能を持っている。紋章石に刻まれた紋様は、彼女らの持つ紋章と似ている。
とある人物が使用する敵専用武器であり、自軍では使用することができない。
『無双』ではクリア後の特典として入手可能。「崩天」は使えず、武器レベルもAとなっているがすべてのユニットがデメリットなく使用可能な武器となっている。
なお、本編では天帝の闇剣以外にも他の遺産の模造品が登場する。
(以下の10種類でありいずれも十傑が使用していたもの)
アラドヴァルΓ | フライクーゲルΛ | テュルソスの闇杖 | ルーンΔ | 雷霆・闇 |
破裂の闇槍 | 打ち砕くもの・闇 | ラファイルの闇珠 | アイギスの闇盾 | フェイルノートΤ |
いずれも性能が本物とほとんど変わらない上、『無双』で自軍使用可能になったのは天帝の闇剣のみのため、それらに関する詳細な記述は省略する。
他作品における英雄の遺産
ファイアーエムブレム ヒーローズ
『風花雪月』の発売から一ヶ月後となる2019年8月にヒルダが「フライクーゲル」を装備して実装されたのが初出であり、以降対応する遺産を持つキャラが実装された際の専用装備として登場することとなる。
そのうち「ルーン」と「ブルトガング」については、装備者であるイングリットとマリアンヌが魔器英雄として実装されたため、二人が所持するこれらの遺産は魔器武器として他のキャラに伝承させ、装備させることが可能となった。
また、武器錬成を行うと紋章適合時と同じ光を放つようになる。(当初は伝承エーデルガルトの装備している「アイムール」のみの仕様だったが、2024年8月はアップデートで他の遺産も光るようになる。)
ファイアーエムブレム0
『風花雪月』の発売から二ヶ月後となる2019年9月に発売されたブースターパック第18弾「雄飛のオラトリオ」およびスターターデッキ「風花雪月篇」以降は、英雄の遺産の名前を冠するスキルを持ったカードが登場。ベレト/ベレス以外はすべて第二部での姿が描かれたものとなっている。
下表はその一覧。(実装順)
カード | スキル |
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炎をその身に宿せしもの ベレト | 天帝の覇剣 |
元傭兵の教師 ベレト | 天帝の剣 |
覇道を征く皇帝 エーデルガルト | 魔斧 アイムール |
復讐と妄執の王 ディミトリ | 魔槍 アラドヴァル |
卓上の鬼神 クロード(フォドラ) | 魔弓 フェイルノート |
「天帝」を託されし者 ベレス | 天帝の剣 |
「至情」の騎士 シルヴァン | 魔槍 破裂の槍 |
雷霆の使い手 カトリーヌ | 魔剣 雷霆 |
「清廉」の騎士 イングリット | 魔槍 ルーン |
フォドラの格闘王 バルタザール | 魔甲 ヴァジュラ |
盾の名を継ぐ者 フェリクス | 魔盾 アイギスの盾 |
彷徨う想いを超えて マリアンヌ | 魔剣 ブルトガング |
そのほかスキル「天帝の闇剣」も実装されたが、ネタバレ防止のためここでの記述は省略する。
また、ラファイルの宝珠を装備したメルセデスや、フライクーゲルを装備したヒルダが描かれたカードは存在するが、打ち砕くもの・テュルソスの杖・ドローミの鎖環は最後まで登場しなかった。
ファイアーエムブレム エンゲージ
紋章士ベレトと三級長らのエンゲージ武器として10種類が登場し、エンゲージの世界観に合わせて、サイバーチックな見た目となっている。
ベレトは絆レベル5で「ヴァジュラ」、10で「天帝の剣」が使用可能となり、絆レベル1で使える残りの8種類はエンゲージしたキャラの戦闘スタイルに応じて異なる遺産を使用できる。
スタイル | 対応武器 |
---|---|
連携 | ブルトガング |
騎馬 | アラドヴァル |
隠密 | フェイルノート |
重装 | アイギスの盾 |
飛行 | ルーン |
魔道 | テュルソスの杖 |
気功 | ラファイルの宝珠 |
竜族 | アイムール |
三級長たちは絆レベル1で「アイムール」、5で「アラドヴァル」、10で「フェイルノート」と彼らが所持していた遺産を使用できることに加え、エンゲージしている級長の使用していた遺産の専用戦技をエンゲージスキルとして使用可能。
大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL
DLCで参戦したベレト/ベレスが使用する武器として「天帝の剣」と、参戦ムービーでソティスから大サービスと称して与えられる形で使用可能となった「アイムール」「アラドヴァル」「フェイルノート」が登場した。(詳しい性能等はこちらから)
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英雄の遺産の正体(ネタバレ注意)
フォドラ十傑やネメシスが女神から授かったと言われている英雄の遺産であるが、実際は教団がつくりあげた偽りの伝承であり、その真の正体はフォドラで暗躍している謎の組織“闇に蠢く者”たちが女神の眷属たちを虐殺し、その遺骨と心臓で作り出した、いわば呪われた武器であったことが翠風の章で判明した。(紋章石はその眷属たちの心臓にあたる。)
女神の眷属は元々巨大な竜の姿に姿を変えることができる一族であり、遺産の力はそれに由来する物。作中まるで生きているように動くことがあると言われたのも、英雄の遺産を紋章持ちが振るうことで、眷属の心臓・骨・血が揃って力を発揮するのが理由と思われる。
天帝の剣が非常に強力な力を持っていたのは、神祖である“はじまりのもの”ソティスの遺骨と心臓でできたものゆえ。主人公のみが振るうことができたのは、彼(あるいは彼女)の体内に神祖の紋章石が埋まっていたからである。
当時盗賊であったネメシスは闇に蠢く者たちの協力のもと聖墓から神祖の亡骸を盗み出し、その血から炎の紋章を、骨と心臓から天帝の剣を得た。
のちに彼はより強い力を求めて、天帝の剣を用いてザナドに暮らす女神の眷属たちを次々に虐殺、その亡骸から新たな紋章と遺産を生み出しそれら後のフォドラ十傑となる人間たちに渡し、勢力を広げていったのである。
これらはのちに“赤き谷の惨劇”で呼ばれることとなり、その場を生き残ったのは神祖が最後に産み落とした子であり、のちに聖者セイロスとしてネメシスと戦うこととなったレアだけであった。
(実際レアの話を聞いたクロードも惨い話だと語っている。)
つまり英雄と称えられているフォドラ十傑は、英雄とは名ばかりの賊徒、それも同法の亡骸で作られた武器をふるう憎き仇敵でしかなかったため、実際に被害に遭ったレアや赤き谷の惨劇に巻き込まれなかった四聖人らからすれば「盗賊集団」と蔑みたくなるのも無理はないかもしれない。
しかし、アビスにある資料の一つに「古い手記の断片」という、十傑の一人と思われる人物が描いたとされる手紙があるのだが、その記述から自分達を憎んでいる理由がわからなかったことが判明したため、少なくとも十傑は英雄の遺産の正体を知らなかったとされている。
それでも、(女神の眷属の血で力を得たとはいえ)その実力は本物で、大聖堂の書物の記述が正確ならば彼らも132年以上にわたり軍勢を率いて教団や帝国といった敵対勢力と戦い続けてきた歴戦の強者。それほど長い期間戦い続けてなお軍勢を保ち続けられたのだから相応のカリスマもあったのだろう。
クロードも彼らを「伝説級の化け物」と称しており、セイロスたち聖教会側もネメシス討伐後にカバーストーリーをでっち上げてまで十傑の子孫をフォドラの要人に据えているあたり、コスタスなどと同じように考えてはいけない。
翠風の章では、帝国との決戦後に、闇に蠢く者の拠点である「シャンバラ」を制圧した際、彼らの首領であるタレスが主人公らを道連れにしようと光の杭を放ったことでシャンバラが崩壊するのだが、その際の余波で解放王ネメシスが復活。最終章でレアを討つべく上記の「天帝の闇剣」を始めとした遺産の模造品を手に、共に復活した十傑や闇に蠢く者の残党と共に近隣の村を壊滅させながらガルク=マクへ侵攻、迎え撃った主人公たちに襲いかかってきた。
『無双』ではそれらのバックストーリーは描写されていないが、アイギスの盾とアラドヴァルの素体となったと思われる眷属の名前が仄めかされている。(それぞれ硬きもの”と“力もつもの”となっている。)