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フェイルノート
8
アーサー王伝説の中の『トリスタン物語』に登場する弓。

概要

フェイルノート(英語:Failnaught)は、アーサー王伝説などに登場するトリスタン卿が使ったとされる。アキヌフォート(仏:Arc qui ne faut)に同じ。

設定としては、

  • 「狙った場所に必ず当たる」「必中の弓」「無駄のない弓」などと言われ、優れた命中力を持つ。
  • 竪琴などの楽器と一体化した構造を持つ。トリスタンが優れた吟遊詩人で、竪琴にまつわるエピソードがあることに由来。
  • 獣に対して特効持ち。トリスタンが狩りの名人だったという伝承から。

これをもとにしてゲームなどのフィクション作品にも登場している。

登場作品

伝承

トリスタン卿の使った弓"Failnaught"は、フランス語または原文の古語であるノルマン・フランス語の「アキヌフォート」(Arc qui ne faut)、冠詞付きで"l'arc qui ne faut"、直訳すると「必要とされる」「無駄のない弓」に由来するとまことしやかに語られるが、異説も多い。


アーサー王伝説でも存在が示唆されているが、具体的にはマビノギオンの『トリスタンとイゾルテ』を下敷にした『トリスタン物語』(12世紀のベルール版)の詩文にそれは登場する。

Trova Tristran l'arc qui ne faut.
En tel maniere el bois le fist
Riens ne trove qu'il n'oceist.

この1行目が「トリスタンの必中の弓」のように翻訳されたことで、"Arc qui ne faut"なる剛弓が爆誕した。他ではそもそもトリスタンが弓を使ったという記述自体が少なく、クライマックスでトリスタンが王の重鎮を弓矢で射殺す場面があるが、これらで必殺弓を使った描写もない。

一方で、この詩文は狩りの様子を描いたものであり、"l'arc Qui ne faut"はブービートラップのような罠の仕掛け、あるいは狩りの技術を詠んだものとする説が有力ともされる。引用文の続きには鹿が云々の記述があり、またトリスタンは狡知に長けた狩人だったという伝承もある。他に"Arc qui ne faut"が登場する文は存在しない。


更に、"l'arc qui ne faut"の英訳語っぽい"Failnaught"は、『トリスタン物語』がアーサー王伝説に組み入れられる過程で生まれたようだが、由来すらよく分からない。創作者は恐らく翻訳家か写本を行った人物。"fail naught"とすれば「失敗しない」と直訳できそうだが…。

諸言語のWikipediaにも「フェイルノート」"Failnaught"、「アキヌフォート」"Arc qui ne faut"なる弓に関する記述はない。あっても由来として名付けられたものだけである。

このため、伝承や原文に関してある程度検証された文章で、「フェイルノート」やそれに類する弓が登場することはないようである。


なお、古語の詩文なので定訳は存在しない。

余談だが、12世紀の詩文なので著作権も発生しない。グーテンベルクの活版印刷が発明される以前で、写本の形でしか現存していない。そして、1445年出版のグーテンベルク聖書に衝撃を受けたフランスの出版業者キャクストンが、トリスタンとイゾルデ伝説を組み入れた中世アーサー王文学の出版を1485年に開始するのである。

関連タグ

アーサー王伝説 トリスタン卿 アキヌフォート

  • 壁(キングダム)…似たような経緯で誕生したキャラクター。作者は『史記』の解釈間違いとしているが、ここでも別説が存在。

参考文献・外部リンク

フェイルノート - GOD WEAPONS-伝説武具擬人化図鑑-

無駄なしの弓 l'arc qui ne faut フェイルノート - 幻想世界神話辞典

『トリスタン物語』の原文:BEROUL ET THOMAS, Tristan(pdf注意) - Ebooks gratuits

概要

フェイルノート(英語:Failnaught)は、アーサー王伝説などに登場するトリスタン卿が使ったとされる。アキヌフォート(仏:Arc qui ne faut)に同じ。

設定としては、

  • 「狙った場所に必ず当たる」「必中の弓」「無駄のない弓」などと言われ、優れた命中力を持つ。
  • 竪琴などの楽器と一体化した構造を持つ。トリスタンが優れた吟遊詩人で、竪琴にまつわるエピソードがあることに由来。
  • 獣に対して特効持ち。トリスタンが狩りの名人だったという伝承から。

これをもとにしてゲームなどのフィクション作品にも登場している。

登場作品

伝承

トリスタン卿の使った弓"Failnaught"は、フランス語または原文の古語であるノルマン・フランス語の「アキヌフォート」(Arc qui ne faut)、冠詞付きで"l'arc qui ne faut"、直訳すると「必要とされる」「無駄のない弓」に由来するとまことしやかに語られるが、異説も多い。


アーサー王伝説でも存在が示唆されているが、具体的にはマビノギオンの『トリスタンとイゾルテ』を下敷にした『トリスタン物語』(12世紀のベルール版)の詩文にそれは登場する。

Trova Tristran l'arc qui ne faut.
En tel maniere el bois le fist
Riens ne trove qu'il n'oceist.

この1行目が「トリスタンの必中の弓」のように翻訳されたことで、"Arc qui ne faut"なる剛弓が爆誕した。他ではそもそもトリスタンが弓を使ったという記述自体が少なく、クライマックスでトリスタンが王の重鎮を弓矢で射殺す場面があるが、これらで必殺弓を使った描写もない。

一方で、この詩文は狩りの様子を描いたものであり、"l'arc Qui ne faut"はブービートラップのような罠の仕掛け、あるいは狩りの技術を詠んだものとする説が有力ともされる。引用文の続きには鹿が云々の記述があり、またトリスタンは狡知に長けた狩人だったという伝承もある。他に"Arc qui ne faut"が登場する文は存在しない。


更に、"l'arc qui ne faut"の英訳語っぽい"Failnaught"は、『トリスタン物語』がアーサー王伝説に組み入れられる過程で生まれたようだが、由来すらよく分からない。創作者は恐らく翻訳家か写本を行った人物。"fail naught"とすれば「失敗しない」と直訳できそうだが…。

諸言語のWikipediaにも「フェイルノート」"Failnaught"、「アキヌフォート」"Arc qui ne faut"なる弓に関する記述はない。あっても由来として名付けられたものだけである。

このため、伝承や原文に関してある程度検証された文章で、「フェイルノート」やそれに類する弓が登場することはないようである。


なお、古語の詩文なので定訳は存在しない。

余談だが、12世紀の詩文なので著作権も発生しない。グーテンベルクの活版印刷が発明される以前で、写本の形でしか現存していない。そして、1445年出版のグーテンベルク聖書に衝撃を受けたフランスの出版業者キャクストンが、トリスタンとイゾルデ伝説を組み入れた中世アーサー王文学の出版を1485年に開始するのである。

関連タグ

アーサー王伝説 トリスタン卿 アキヌフォート

  • 壁(キングダム)…似たような経緯で誕生したキャラクター。作者は『史記』の解釈間違いとしているが、ここでも別説が存在。

参考文献・外部リンク

フェイルノート - GOD WEAPONS-伝説武具擬人化図鑑-

無駄なしの弓 l'arc qui ne faut フェイルノート - 幻想世界神話辞典

『トリスタン物語』の原文:BEROUL ET THOMAS, Tristan(pdf注意) - Ebooks gratuits

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