概要
武器や狩猟、現代では武道や儀式、スポーツとして馴染みが深い道具。石器時代から存在していたとされ、オーストラリア大陸をはじめとするオセアニアの一部などわずかな例外を除き、地球上のほとんどの場所で古くから活用されていた。
近代以前より時代・舞台を問わず存在した個人携帯型の遠距離攻撃武器であるため、各種TRPGやTVゲームでもかなりの頻度で登場する。
ゲームやイラスト全般の作品で、正確かつ強力な射撃には技術と腕力を要するため男性の武器として描かれる他に、近接武器よりもスマートなイメージを持つためか女性の武器として描かれることが多い。
モンスターハンターシリーズに登場する武器カテゴリの一種でもある。
また、弦楽器で弦に振動を与えるための道具の事も指す。
分類
射法による分類
弓の射法は主に3種類あり、文化によって異なる。
- ピンチ式(ピンチ型射法):最も原始的な方式。現在でもアマゾンなどでは使われているといわれる。矢を親指と人差し指で直接つまんで引く。
- 地中海式(メディタレニアン型射法):西洋で発展した方式。アーチェリーで使う洋弓はこれにあたる。矢を弓の左側につがえ、人差し指から薬指までの3本の指を弦に引っ掛けて顎の下あたりまで引く。現在のアーチェリー競技では弓は握らず、腕をつっかえ棒のようにして押し返す。アーチェリーで矢を放ったあと弓が水平軸周りに回転するのはこのためである(弓は紐で手にくくり付けている)。
- 蒙古式(モンゴリアン型射法):東洋で発展した方式。弓道で使う和弓はこちらにあたる。矢を弓の右側につがえ、親指を弦に引っ掛けて頭の後ろまで引く。弓は握る。左向きに弓を捻るように力を加えるので、矢を放った際には垂直軸周りに回転する。
このように洋弓と和弓では形式がかなり異なっており、どちらかができれば両方できるというものではない。両者の特徴が混同されていると見る人が見ればツッコミどころになってしまうため、創作で弓を描写したい方は以上の点に留意するとよいかもしれない。また、弓を引くフォームだけではなくそれに合わせて胸当てなど身体につける防具の形も異なっている。
なお、以上に記した左右の表記は全て左手に弓を持ち右手で弦を引くことを前提としている。左手で弦を引く場合は上記全て左右逆にならなければならない。
材料・構造による分類
- 丸木弓:一本の棒で作られた弓。
- 複合弓(コンポジットボウ):複数の材料を張り合わせたもの。小型化と威力を両立させている。
- 機械弓(洋弓銃):クロスボウ、ボウガン、弩(いしゆみ)と呼ばれるタイプ。ウィリアム・テルで有名。大型のものは、攻城兵器として用いられる。
大きさによる分類
現代の分類
創作作品において
先述の通り、銃の登場よりもはるかに古くから存在していた飛び道具であることから、近代以前風の世界観をもつ歴史物やファンタジー系の作品にはかなり高い頻度で登場する。仮面ライダーなどの特撮作品に登場する弓には刃がついていることが多く、近接武器としても扱われることも多い。
一方でやはり遠距離武器としては銃より優れている点が少ないため、銃が存在する世界観下においては敢えて弓を採用する理由付けが難しい。こうした場合に弓使いのキャラクターを登場させたい場合、たとえばその弓が何か特別な力を持つ神器であるとか特殊な理由付けを除けば、合理的なメリットとしては下記が考えられる。
- 音が小さい。全くの無音ではないが銃火器の発砲音に比べれば極めて静かであり、音で敵に気づかれるリスクが低い。
- 銃よりも軌道の放物線がより山なりなので、相手との距離感によっては遮蔽物ごしに向こう側へ攻撃することもできる(ただし狙いはつけにくい)
- 矢は壊れなければ回収して使い回せる。
- 火縄銃やマスケット銃のような古典的な銃のみに限定すれば、それらよりも高い連射性がある。
- 毒矢、火矢、矢文のような応用がきく。正確な軌道で安全に飛ばせるかは疑問が残るものの、糸やロープをつけて遠くに渡すような使い方も弓であればできなくはない。
- クロスボウを除き所有するための法規制がなく、貴重な民間人が持っていてもおかしくない遠距離武器である。したがって現代的な舞台の中では、ゾンビものなど一般人の日常社会の延長で戦闘が要求される世界とは比較的相性が良い。猟銃と違い、所有者に学生が多いことも特徴となる。ただし銃を持っている民間人が多いアメリカなどが舞台であれば、あまり大きなメリットにはならない。
(※なお言うまでもないことだが、所持は規制されていないといっても現実の日常社会において競技と関係のない公共の場所で不必要に弓を取り出したり、あるいは人に向けて引いたりした場合は法に触れる可能性がある。危険あるいは不審な行動は、直接的に人を傷つけるおそれがあるだけでなく競技者が自由に活動できる環境を阻害する可能性にも繋がるため、決して行ってはならない。現にクロスボウは日本では元々規制されていなかったが、対人使用する事件があったために2022年に原則禁止・許可制になった。)
反対に弱点としては、
- 習熟するのに銃よりも多くの鍛錬を要する。また弓を引くのには強い腱と背筋など一般生活や一般スポーツでは使わず鍛えない部分の力が要るので、連続して何度も射るには銃よりも体力と専門の訓練が必要になる。また、一度習得してもブランクがあるとそのための筋力は落ちるので、満足に使うためには常日頃からの継続的な努力が肝要になる。
- 近代的な銃に比べると絶望的に連射性が低く、更に隙が大きい。よって互いに撃ち合う状況では絶望的なハンデを負う。
- 銃弾ほど弾速は速くないので、動いている相手にはより当たりにくい。
- 発射できる状態で維持するには体力を消耗するため、構えたまま待ち伏せする戦法は取りにくい。
- 音で気づかれにくい反面、サイズが大きいため隠し持つことはまず不可能である。
- 規格化され量産されている銃弾とは異なり、矢は射手の腕の長さに応じて長さを調節されているため、他人用のものを拾って補充しても十分な射撃精度が出しにくい。
などが挙げられる。
これらのメリット・デメリットをうまく調整できる設定さえあれば、近代的な世界観で弓使いを登場させることも不可能ではないだろう。実際、隠密行動を任務とする一部の特殊部隊は現代でもコンパウンドボウやクロスボウなど弓系の武器を使っていると言われている。
関連イラスト
関連タグ
ジャック・チャーチル:鉄砲の弾が飛び交う近代戦なのに長弓でキルスコアを挙げてしまったすごい人。
その他人物・作品については→弓矢項へ。
外部リンク
弓 (武器) - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%93_%28%E6%AD%A6%E5%99%A8%29