リカーブボウとは、弓の一種である。
概説
【Recurve】とは「反り返っている(Re=返す/curve=カーブ・曲がっている)」という意味で、リムの先端が弦を張る面と反対に曲がっていることに由来する。
日本では、アーチェリー用の弓として最も普及しており、日本でアーチェリーの弓といえばリカーブボウを指す。
オリンピックなど一部の公式の競技会でも、リカーブボウの使用を推奨・規定している。
コンパウンドボウのような機械仕掛けはなく、純粋に使用者の膂力のみで弦を引く。
素材は様々だが、概ね金属や合成樹脂でできていることが多い。
構造
大きく分けて、リムとハンドルを一体化させた「ワンピースボウ」と、パーツごとに分解してそれを組み上げた「テイクダウンボウ」の2種があり、現状ではテイクダウンが主流になる。
通常の弓と特に大差はないが、競技用として細かなパーツが付属している。
基本となる下項目の上部三点だけにすると、普通の弓である「ベアボウ」と大差はない。
- ハンドル
- 弓の中央のある持ち手。多くは金属製。
- リム
- 弓の動力部である両脇のしなる板部分。ここの性質で弓の性格が決まる。
- 弦
- ナイロンなどの化学繊維であることが多い。
- スタビライザー
- 弓のバランスを取るための棒状の錘。主にハンドルの真下に取り付ける。また弓の性質次第では、弓全体に複数本使用する(この場合は「ウェイト」と呼ばれる)ことも珍しくなく、アーチェリーの弓のメカニカルなデザインの象徴といえるパーツ。
- 主に矢放れ(矢の発射)で生じる弓への反動を抑え、同時に余計な振動を抑えることで、放たれた矢の軌道がブレることを防ぐ役割を持つ。
- サイト
- 照準器。ハンドルの上部に取り付け、的への狙いを付ける。競技用のリカーブボウには、一点照準器のみ使用が許可される。
- クリッカー
- 矢を番える際に、矢をハンドルへ押さえ付ける板状のパーツ。矢尺(矢を引く長さ)を安定させるためのもので、クリッカーから矢が外れた状態でさらに少し引くと、一杯に引き切った状態となる。
- プランジャー
- 弓と矢のあいだに適度な隙間を生むための調整弁。クッションプランジャーとも。
- プランジャーを用いることで、放たれた矢が弓に引っかかるのを防ぎ、矢の軌道を安定させることが出来る。
このほかにも多数のパーツが存在し、選手の性格や嗜好、競技の規定によって増減する。
特徴
長所
競技用として様々なパーツで構成されるため、引き慣れれば弾道が安定しやすく、また長距離へのアプローチもしやすい。弓と使用者の腕次第では、最大射程は90mにまで達する。弓としては狙撃に長ける。
パーツを取り替えて自分好みにカスタマイズできるもの魅力か。
短所
扱いづらい。意外な欠点である……。
最大の理由はパーツの多さで、特に初心者には何がどのパーツかを覚え、使い方や自分に合った調整を頭に叩き入れることから始めなければならない。
慣れれば安定した射を実現できるが、そこに届くまでにやや遠回りが必要になる。
その他
アーチェリー用として、その独特のデザイン性から、日本では近代的なデザインもあってSFチックに描かれることも多い。
ただ弓道と比較するとマイナーなのは否めず、その影響もあってアーチェリーの射法に則った扱いを受ける作品はあまり多くないのが実情である。
使用者
- 『メタルギアサヴァイヴ』(プレイヤー武器として登場)