概要
任天堂が2004年に発売した携帯ゲーム機。開発コードネームは「Nitro」で、本体や周辺機器の品番はそれに由来する「NTR」となっている。
本体は通常の液晶画面となる上画面に加えて、抵抗膜方式のタッチパネル機能を持つ下画面で構成された2画面構成の画面を有する折り畳み式となっている。この2つの画面「Dual Screen」より、DSと名付けられた。一方で、最初に発表された2001年のE3では 「Developers' System(開発者のためのシステム)」という意味も示されている。
タッチパネルの他にもマイクを搭載しており、こちらも声を認識させたり息を吹き掛けたりといった直感的な操作が可能。
マイナーチェンジモデルも幾つか発売され、DSLite、DSi、DSiLLといったバリエーションが存在する。
売上については全世界で1億5400万台と歴代ハード2位の台数を誇り、日本だけで3300万台を記録。特に日本では「一人一台」とすら言われた普及を見せた。
pixivでは、タッチペンの特性を活かしたペイントツールで描かれた作品が多数発表されている。
また、ソフトウェアパッケージやゲーム画面を摸したパロディー画も、1ジャンルを形成している。
本体を描いた作品は大半がDSLite等の派生機種のイラストであり、初代DSを描いた作品は少ない。
初代DSとDSLiteにはゲームボーイアドバンス用ソフトの接続端子が別途に備えられており、GBAのゲームも遊べる他、DSとGBAの2スロットを活用した(ダブルスロット)ソフトも存在した。ただし、GBAの周辺機器には対応していない(通信対戦などは不可能)。
また、GBAスロットは拡張カートリッジの使用にも使われた。中にはDSソフトとGBAソフトをそれぞれのカートリッジスロットに挿しておく事で連動するソフトもあった。
グローバルな仕様で、本体設定で使用原語を選択できた。これにより一部タイトルだとソフトが海外版に変わるものがあった。なお、DSLiteまではエリアプロテクトが存在しないため、海外のソフトもそのまま動く。
2016年4月30日をもって修理受付が終了となった。
修理受付終了後も人気は衰えず、2024年時点でも場末の小売店のクレーンゲームの景品に新品のDSが用意されていたりする。一方、ブックオフなどの中古量販店では人気タイトルが品薄で客の間で取り合いとなり、余っているのは内容の薄い粗製乱造タイトルばかりという、ソフト人気格差の悲哀が漂う状況となっている。
スペック
CPU | ARM9 67MHz+ARM7 33MHz | ARM9はDSソフトの演算、グラフィックスを担当。ARM7はGBA互換や無線通信の制御を担当 |
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メモリ | 4MB | |
表示画素数 | 256×192ピクセル×2画面 | |
同時発色数 | 262,144色(18bit) |
インターネット
2005年11月23日から任天堂公式のインターネット接続サービス「ニンテンドーWi-Fiコネクション」が始まった。
カンタン・あんしん・無料を三本柱にゲーム機におけるインターネット接続を普及させた。
だが、DSはWEPという危なっかしいセキュリティーしか対応していない為、注意が必要(DSi以降は上級者設定でWiiと同じレベルまでセキュリティー向上。ただしDSソフトのWi-Fi機能は使用不可になる)。
後継機の3DSでは最初からWPA以上のセキュリティーに対応している。
なお、DS、DSLiteはゲームソフトからWi-Fi設定を呼び出すが設定情報は本体ROMに保存される。
これはDSカードとDSシリーズ本体を紐付けて運用しているためと思われる(そのせいでセキュリティー問題の根本的な解決が出来なかった)。
Wiiからは内蔵OSでWi-Fi設定を呼び出す方式に変更された。
2014年5月20日をもって無料サービス(青マーク)が終了。
一説によると、元々任天堂側としてはWi-Fiサービスを終了する意向ではなかったが、サービス提供に関与する別会社が倒産してサービス終了を余儀無くされたのだという。
インターネットブラウザは標準搭載されておらず、ゲームソフトと同じカートリッジによるオプション品が必要であった。
「ニンテンドーDSブラウザー」というOperaベースのブラウザが発売され、アプリ起動用のDSカートリッジとGBAスロットに挿すメモリー拡張カートリッジの2つが同梱されている。
DSi以降ではGBAスロットが廃止されたため使用できず、DSiショップから「ニンテンドーDSiブラウザー」をダウンロードする必要がある。
シリーズ・後継機
- ニンテンドーDSLite:軽量小型化モデル。
- ニンテンドーDSi:通信機能強化やSDカードスロット・カメラなどを追加した上位モデル。GBAソフトへの互換性は廃止された。
- ニンテンドーDSiLL:DSiの大画面仕様。
- ニンテンドー3DS:処理能力/通信機能が大幅に上がった他、専用眼鏡を用いず3D映像入出力を実現した。後方互換機能があり、DSソフトを遊ぶことができる(GBAソフトやGBAスロットを使う機能は使えない)。また、大画面仕様のニンテンドー3DSLLや、廉価版のニンテンドー2DSも発売されている。
- Newニンテンドー3DS:3DSの上位モデル。こちらも大画面仕様のNew3DSLLや、廉価版のNew2DSLLがある。
関連機器
- IS NITRO CAPTURE:青い筐体にニンテンドーDSがケーブルで接続された開発用とされている機器の一種。青い筐体側にニンテンドーDSのゲームカードスロットやGBAカードスロットがある、外部モニター接続用と思われるSFC・N64・GCにあった映像ケーブル端子が二つ搭載といったもの。これはDSの映像を上画面や下画面の映像を外部出力させる機器とされているが実際は不明である。オークションで何故か出回っていたが、そのままでは使えなかったようである。
- 時雨殿なび:ニンテンドーDSからボタンやコネクタ等を無くした時雨殿(現:嵯峨嵐山文華館)で使われた端末。ちなみにニンテンドーDSのロゴはそのまま入っている。
余談
- 開発初期のコードネームは「Nitoro(ニトロ)」。のちに2つの画面を持つことから「DS」がコードネームとなった。発売前にはニンテンドーDS以外の商品名を付けることも検討されたが、最終的にコードネームであるDSがそのまま選ばれたとのこと。
- なお、DS本体や関連する商品の品番には「Nitoro」にちなんで「NTR」が付けられている。
- 中国向けはiQue DS(iQueは任天堂の中国法人)の名称となっている。
- DSは元々GBAと並行して開発が行われており、GBAは『究極の携帯型2Dゲーム機』なのに対しDSは『携帯型3Dゲーム機』として開発された。そのためGBAとは別系統の計画で誕生しており、DSを発表した当時の任天堂は、「DSはGBA・GCに続く第三の柱であり、GBAの後継機ではない」と主張していた。
- 発売当初こそはGBAとDSは並行して展開されていたものの、DSの人気が高まるのに反比例してGBA市場は次第に縮小。任天堂は「GBAの後継機(新型ゲームボーイ)はしばらくない」と発表。結局GBAの後継機が誕生することはなく、DSが事実上の後継機となった。
- PSPと違い、バッテリーを外していると充電用のACケーブルを差しても電源が入らない。任天堂側もDS用の純正バッテリーの販売を既に終了しているため、現状バッテリーが無い本体で遊ぶ手段は無いので注意。
関連イラスト
関連タグ
ゲームボーイアドバンス→ニンテンドーDS→ニンテンドー3DS
ゲーム&ウォッチ:任天堂が過去に発売していた液晶ゲーム。シリーズ内に本機と同様に折りたたみ出来る本体に二画面の液晶スクリーンが搭載され上下の画面が連動する仕様の物がある。知ってる世代からはこれを連想した人も少なくないと思われる。
ニンテンドースイッチ:2017年に任天堂が発売したゲーム機。当初はかつてのDSと同じく第三の柱構想によって誕生し、当時展開中だった3DS・WiiUの後継ではないとされていた。だが歴史は繰り返すのか、スイッチの人気が高まるのに反比例して3DS・WiiU市場は縮小されていき、事実上の後継機となった。
脳を鍛える大人のDSトレーニング(脳トレ)…社会現象にまでなった大ヒットソフト。以降「趣味・実用系」のソフトが次々と発売され、ゲームがより幅広い層へ広がっていった。