概要
ロプトウスとは、ゲーム「ファイアーエムブレム 聖戦の系譜」に登場する神および魔法の名称。
暗黒神ロプトウス
元はユグドラル大陸から遠く離れたアカネイアで栄えた古代竜族のうち、地竜族の有力諸侯の1人。
前作に登場したメディウスの同族に当たる。ちなみに一人称は「ワシ」である。
古代竜族は高い知能と強大な魔力を持つ種族だが、個体数が減り、種としては衰退の途を辿っていた。古代竜族の長である神竜王ナーガは「次の時代の主は人類で、竜族はそれに干渉せず見守るべき」と考え、定めに従うよう他の竜族にも説いた。
しかしロプトウスをはじめとする地竜族はプライドが高く、"竜族より知能も文明も遥かに劣る人間ども”が次代を担うことを受け入れられなかった。しかし、やがて種の限界が地竜族の体と理性を徐々に蝕み、ついには神竜族との争いにも敗れ、滅びは目前にせまってくる。
ちなみに、この神竜王ナーガの意に賛同した唯一の地竜こそ当時のメディウスであるため、ロプトウスはメディウスと敵対関係にあり、2体はその時代に交戦もしていたのではないかと推測される。
愚かで矮小であるはずの人間に対する怨嗟と嫉妬、屈辱の思いを拗らせ、絶望の中で滅びを待っていたロプトウスの前にある日、ガレと名乗る人間の男が現れる。この人間は「ユグドラル大陸から古代竜族の伝説を信じて旅してきた」とロプトウスに打ち明け、「古代竜族の力を与えてほしい」と願い出てきた。ロプトウスは人間の願いを聞き入れてやり、ガレに自らの血を飲ませ、1冊の魔道書を与えた。その魔道書の竜玉には強大な暗黒地竜ロプトウスの絶大な力とともに、人間を滅ぼさんとする強烈な意志が込められていた。
なお、ロプトウスそのものについての結末は語られてはいないので不明。
ナーガによって完全に倒されたか、他の竜共々ドルーアの地下に封印されたかのいずれかだと思われる。
仮に後者だとすると覚醒の時代でもなお眠り続けているという事になり、邪竜ギムレーの影響で目覚めてしまう可能性が危惧されるが…? 尤も人の形になる事を拒んでいたので生きていたとしても知能を失いただ暴れるだけの地竜になってしまっている可能性が高いが。(竜のままでも知能と意志を失わずに済む方法が有るならばガレに血を与え自分の憎悪を込めた魔導書を渡し自分の意志を残す必要も無い為)。未来(覚醒の時代)でも自我、知能をもっている邪竜ギムレーはその制作経緯から人の血が混じった存在である。
暗黒魔法ロプトウス
ロプトウスがガレに与えた魔道書。
自身の力ともに人類に対する凶悪な思念が封じられており、触れて力を解放した者は精神を支配され、ロプトウスの意思を持つ邪悪な人格が目覚める。
ゲーム中に武器として実際に登場する。「神聖魔法ナーガ」以外のすべての魔法の優位にあり、相手の攻撃力をすべて半減させる効果がある。
ロプト帝国
ロプトウスの血と意思に支配されたガレはユグドラル大陸に戻ると自らを神と称し、ロプトウスを祀神とするロプト教団を興した。ガレには不思議なカリスマが備わっており、ロプトウスから与えられた魔道書は強大な破壊力を有していた。
ガレは信者を扇動し、反乱を起こしてグラン暦447年に共和国グランを滅亡させると、ロプト帝国を興し翌年帝位に就いた。
その後ロプト帝国は200年もの間、子供狩りや「生贄」と称した虐殺によって恐怖の限りを尽くした支配を行い続ける。ロプト帝国の帝位はガレの子孫のうちロプトウスの魔道書を扱える者が代々継承した。
ロプト帝国の滅亡
グラン暦535年に、当時のロプト皇帝の弟・神官騎士マイラが帝国の体制に対して反旗を翻した。マイラはロプトを神として崇めてはいるものの、ロプト教団以外の庶民たちが奴隷のような扱いを受けていることに憤りを抱いていた。故に全ての神々のもと全ての者が等しく扱われるべきだと説き、ロプトの神を大陸土着の多神教の一柱として溶け込ませようとした為、帝国から異端とされていた。
マイラの反乱はすぐに鎮圧されたが、これに触発されて大陸各地で自由解放軍が蜂起。また帝国内でも追放されたマイラの教えを密かに信仰している「ロプト教団マイラ派」が存在し、子供狩りで生贄にされそうになった子供たちを助ける者たちもいた。およそ100年後の聖戦における十二聖戦士の1人「大司祭ブラギ」も、マイラ派に命を救われて育てられたひとりである。
グラン暦632年、ダーナという砦に立て籠もった解放軍が反乱の失敗を覚悟した時、空から光が射し、十二人の老若男女が現れた。彼らは解放軍の中からそれぞれ自分が選んだ人間に自分の血を飲ませ武器を与えた。
血と武器を与えられた十二人は常人とはかけ離れた力や魔力を発揮し、与えられた武器は絶大な威力で戦況を打開した。人々は空から現れた十二人を神と信じ、この出来事を「ダーナ砦の奇跡」と呼んだ。また、神々から血と武器を与えられた十二人は、「十二聖戦士」と呼ばれた。
力を得た解放軍はダーナ砦の奇跡から15年後、ようやくロプト帝国を打倒し、皇族を全滅させる。唯一ガレ(ロプトウス)の血を受け継ぐマイラの子孫は、二度とロプトウスが復活しないよう大陸の何処かに隠棲していた。
その後、十二聖戦士は大陸各地に散り、七つの公国から成るグランベル王国と、その周辺に四つの王国(シレジア王国、イザーク王国、トラキア王国(次代で南北のトラキア王国とレンスター王国に分離)、アグストリア諸公連合)を建国。死後は下級神として祀られた。
空から現れた十二人の老若男女は、他大陸でのロプトウスの行いに気づいたナーガを筆頭とした古代竜族が姿を変えたものだった。ナーガは竜族が人間に直接関与した結果の影響力の大きさを懸念していたが、ロプトウスの行いに今まで気付けなかった負目もあり、竜族たちはロプトウスの力を取り込んだガレの子孫に対抗させるために、自分の血と、力を封じた武器を他の人間に与えたのだった。
しかし、幼い頃ロプト教徒に救われた聖者ブラギの遺した「帝国の特権階級の子孫まで迫害してはならない」という戒めはいつしか忘れ去られ、大勢の人々が魔人狩りによって炎に焼かれた。竜族は人間に失望し、今後は不干渉に徹する取り決めがなされた。
ロプト帝国の復興と二度目の滅亡
ロプト帝国は滅びたが、その残党たるロプト教団はイード砂漠の奥深くに隠れ住み、来るべきロプトウス復活のため暗躍を続けていた。そしてグラン暦757年、大司教マンフロイ率いるロプト教団は本格的な活動を開始。グランベル王国・クルト王子のイザーク遠征を誘い、ヴェルダンのグランベル侵攻を唆すなど様々な策謀を張り巡らし、遂に探し求めていたマイラの子孫・シギュンの2人の子(ディアドラとアルヴィス)を発見。異父兄妹の2人を籠絡して夫婦とし、その息子・ユリウスにロプトウスの聖痕を蘇らせると、さらに十二聖戦士の末裔の一部も味方に引き込んで瞬く間に大陸の大半を制圧し、グランベルの王女ディアドラを娶ったアルヴィスを皇帝に担ぎ上げて「グランベル帝国」を築き上げた。そのグランベル帝国はロプトウスの意思に目覚めたユリウスに掌握され、実質的には新たなロプト帝国として再び大陸を支配することになる。
しかし、ディアドラにはロプトウスにとって因縁の相手であるナーガの血も混じっており、ユリウス誕生と同時にナーガの聖痕を受け継ぐユリアも誕生。ユリアは紆余曲折の末にセリスらが率いるイザーク解放軍と合流し、バーハラでの最終決戦で兄・ユリウスを打倒した。マンフロイら教団幹部たちもその戦いで全滅したことから、ロプト帝国も再び滅び去った。
ロプトウスに関係するキャラクター
ロプトウス(ガレ)の血を引く人物
ロプト教団関係者
(ノイッシュ … 竹田裕一郎によるノベライズ版では“ロプト教の隠れ信者”という設定だった)