CV:佐久間レイ(電撃CD文庫・ヒーローズ)/根谷美智子(箱田真紀版ドラマCD)
概要
『暗黒竜と光の剣』および続編の『紋章の謎』(ともにリメイク版含む)『アカネイア戦記』に登場。クラスは「司祭(賢者)」。味方キャラだが『暗黒竜と光の剣』『新・暗黒竜と光の剣』では操作できない。
アカネイア大陸最大の王国「アカネイア聖王国」の王女。暗黒戦争において、他の王族は2年前(602年)にドルーア帝国の手で全員処刑されたが、まだ年若い彼女だけは敵将の黒騎士カミュに匿われ、マルス王子の蜂起と同年に数代前のアカネイア国王の血筋に連なるオレルアン王国へと落ち延びた。後に再会したカミュに剣を収めるよう懇願するも、祖国と命運を共にする道を選ばれ、王家再興の代償として愛する者を失う「アルテミスのさだめ」を繰り返す事態となった。
暗黒戦争の終結後は、再建のために聖王国の王となる夫を早急に決めなければならない状況下、マルスかハーディンとの結婚を余儀なくされた(詳細は不明だがニーナ単独では再建は無理だと思われた可能性が高い*)。しかし、最大の功労者であるマルスにはシーダがいるのと、自分がマルスを焚きつけた経緯がある以上、遠縁に当たるオレルアン王弟・ハーディンしか候補がいなかった。ニーナは当初「気持ちの整理がつくまでもう少し待ってほしい」と望んだ物の、ボア司祭から再三強く要請されたのもあり、王族としての責任からこれを受諾、戦争終結の翌年の606年には早くも婚姻が結ばれた。しかし、まだ気持ちの整理がついていなかった彼女の心はカミュに向いたままだった結果、国家崩壊と闇のオーブによるハーディンの闇堕ちを招く一因となってしまう。自身もファイアーエムブレムをリンダに託した後にハーディンにそれが露呈し軟禁される。それでも密かにボアと連絡を取り合っていたがそれもバレて逆上したハーディンによってガーネフに引き渡される。既婚者でありながら「汚れなき高貴な女性」の条件を満たし、竜の神殿でエリス、レナ、マリアと共にメディウスへの生贄にされそうになった際に、仮面の騎士シリウスに助けられる。
英雄戦争終結の翌年、マルスがシーダと結ばれて正式にアリティア王となると、英雄としての絶大な名声を博した彼は、ニーナ本人の強い希望によってアカネイアの未来を託された。
後に「王の中の王」と呼ばれた伝説の英雄王、ロード・マルスの誕生である。
ニーナはマルスにアカネイアの全てを託した後、どこへともなく姿を隠し、歴史の表舞台から消えていった。
同時にアカネイア政権は完全崩壊。その後はマルスの主導下、アカネイア連合王国となった。
騎士団も自由騎士として、ジョルジュ達がゴードン(と一時期カシム)を加えて活動する。
*グラとマケドニアの例もあるため、少なくともアカネイア大陸で女が王位を継げない風潮は否定されている。アカネイア王国もそうかは不明だが、候補者とボアのセリフを見る限り、仮に王位継承権は男だけだとしてもこの縁談はそれだけが理由でない事は察せられる(少なくとも国内の男では無理な情勢だった事を意味している)。
正直、ハーディンとボア共々脚本の被害者と言ってもいいのだが、それで全て終わらせるのはあんまりなので、これより下の内容はそれを除いた(あるいは承知した)上で事実と考察を記する。
過去とカミュへの想い
暗黒戦争が終わる約三年前にパレスが陥落した時、上述の通り家臣や王家の者は全て殺されてしまった。王家の者は見せしめとして、城門にさらし首にされている。幼き頃の彼女は、両親の変わり果てた姿を見て酷くショックを受けてしまい、声を上げて泣くのもできなかった(その時の心境は、『ひたすら哀しく、助けることができる力がなかったことが悔しかった』) 。
生き残った自身もドルーア帝国の手によって殺されかけるも、カミュ将軍によって命を救われ、彼の助力によってオレルアンへの亡命にも成功。この出来事から『憎き家族の仇』であるはずのカミュを、憎もうにも憎み切れなくなってしまう。
グルニアでカミュと彼の率いる黒騎士団と戦う事態には『できれば、彼と戦いたくない。 彼にもう一度あって、話がしたい』とマルスに懇願。カミュに『アリティア軍の力になって欲しい』と頼むが『できることなら力になりたいが、滅亡の近い祖国を裏切ることはできない…短い間だったけど楽しかった、幸せになって欲しい』と告げられ、カミュを救えなかった。
無論、敵国の将校に対する思慕の念は、ニーナ自身の近辺を含めた戦災被害者にとっては非難されるべき感情であり、本来は忘れるべき過去でもあるのは間違いない。
カミュへの思慕を注意深く見れば、いつ殺されてもおかしくない状況から、自分を救ってくれた過去が根幹であり、その想いの発端に関しては純粋な愛情だったのかどうか少々疑わしい部分もある。
暗黒戦争終了後、気持ちの整理をするだけの十分な時間も与えられず、愛していない男性との婚姻を結ばされると、王族としての義務から仕方がないものの、一人の女性として感情的に辛い境遇に置かれたのも、カミュへの追慕を中々振り切れなかった一因であるかもしれない。
もちろん、英雄戦争において生贄にされかかり、心を失った状態でさえシリウス(=カミュ)の呼びかけで正気を取り戻している事実からすれば、最終的に彼女が彼に対して抱いていた感情が、真の愛情と呼べるものであったのは疑問の余地はないだろうが(ただし、既に死亡していたと思われる人物が生存していた事実によって、意識を取り戻したとも見れる以上、疑いが残るのも事実であるが)。
彼女の不幸と罪
彼女の人生は大国アカネイアとその血筋に振り回されたと同時に、許されざる大罪を犯した不幸と罪深さが混ざり合った複雑なものである。
不幸の側面から見ると、彼女の不幸の1つとして、戦後、彼女以外に王位を継げる血のつながった家族がいなかった事である。
家族は皆殺しにされ、暗黒戦争終結後は婿を取らない限り、自分が統治しなければいけない。
作中の強引な婚姻は彼女以外に王族がいなかった事があり、他に家族がいたならこのような事態は起きなかっただろう(彼女の能力不足が絡んでいる可能性もあるが)。
その上、貴族たちは腐敗している連中ばかりで、生き方も強要され続けて来た人生は苦しかったに違いない。
人一倍責任感が強い彼女は1人で重荷を背負い、誰にも相談できなかったと思われる。
2つ目の不幸は立場上、これまでのアカネイアの所業と敗戦の責任を全て一人で背負わねばならない事。戦後のトップは確実にニーナなので必然的にニーナが責任を負わねばならない。国に振り回された彼女にとっては悪夢といってもいい内容である。
また、英雄戦争はガーネフ、闇落ちしたハーディン、ボアの思惑が混じって起こった戦争であり、特に決定打はガーネフの介入であり、彼女だけが悪いわけではない(無論全く悪くない訳ではない)し、ここまでの大事になるとはガーネフ以外は予想できるはずがない。なにからなにまで負の連鎖が続く彼女の人生はひたすらまでに哀れである。
しかし、それらが免罪符にならない程の大罪を犯したことも否定できない。
罪の側面を見ると彼女自身も周りと世界を振り回し、大陸に災いをもたらしてしまったのは紛れもない事実。
彼女の罪の大元は「国の崩壊を引き起こしたことによって生じた大陸全土を巻き込んだ甚大な被害」に尽きる。彼女自身がこうなる事を望んでなかったのは明白だが、彼女の行動は結果的に多くの民やロレンス、ハーディンを苦しめ、死なせてしまった。
戦争勃発に関しては上記で言われた通り、彼女だけが悪いわけではないが立派な火種の1つであり、さらに国の崩壊に関しては彼女とボアの二大元凶と言っても差し支えない(ガーネフは一切関わっておらず、利用しただけ)。実際、バレたら国家の崩壊までは過言だとしても、統治に支障をきたす厄介事になるのは予想できたはずである。彼女が結婚初夜位のタイミングで、ハーディンに真実を話していれば結果は違っていただろう(ハーディンの心が弱った一番の要因がこれである)。
また、リンダがマルスにファイアーエムブレムに渡した際「理由がわからない」と口にした事実から、周囲に一切の相談もせず、またリンダにも理由を説明してないのは明らかに失態である。酷な話だが、国の崩壊を招き、大陸を滅ぼしかける事態を招いた彼女の罪は大きいと評価せざるを得ない。
アカネイアの真実と今までの国の横暴、彼女自身が巻き起こした被害を考えれば、処刑されてもおかしくないのだが、そうならなかったのはマルスの優しさの他に政治的な理由として、彼女を本当に処刑したら忠臣達が黙っていない事が大きいと思われる。戦後アカネイアを温和的な手段で束ねる場合、ミディア・ジョルジュ・アストリアは重要な存在である上、ニーナに対して絶対の忠誠を誓っているため、ニーナを処刑してしまうと彼らが不満を抱き、最悪反旗を起こされてしまう恐れがある。かといって国とニーナになにも責任を取らせないのは被害にあった民達とマルスと共に戦った人達に示しがつかない(マルス視点でも可哀想はいっても悪くないとは言ってないし、統治者目線で見ても責任を取らせないのは最悪の実例を作ってしまうため、とてもできない)。その辺はアカネイア側も承知しているはずである。よって処刑とまではいかないまでも、国とニーナに国の敗戦と賠償責任位は取らせたというのが自然だろう。
しかし、アカネイアの真実は絶対に外部に漏れてはいけない(同時に忘れ去られてはいけない)ものであり、表舞台に居続けた状態で真実が漏れた場合、今度はそれを大義名分とした暗殺や暴動等によってニーナが迫害され、最悪命が狙われる可能性がある。戦後、ニーナもといアカネイア王族の存在は、もはや大陸にとって害悪でしかないのだ。
よって彼女は自身の身を守るためと同時に、余計な火種を残さないために『アカネイア王族としての最後の責任』として、戦後処理等を果たして後に表舞台から姿を隠し、誰にも見つからないような場所に去るしかなかったと考えられる。
いずれにせよ、彼女は自身とアカネイア王族が犯した大罪を背負って生き続けなければいけない。戦後、王位を捨てたニーナにできる事があるとすれば、戦争の犠牲になった人々の弔いに捧げる事しかない…。
その後のニーナ
ニーナのその後は一切言及されていないので不明である。
王族の責任から解放され、1人の女性としてシリウス(=カミュ)の後を追ったと考える人もいるが、英雄戦争終結からある程度の期間が空いている事実を考えれば、どこへ行ったかも知れない彼を追い、そして会えたとしても彼と結ばれるのは現実的に考えて不可能であろう。
事実、ニーナ救出時にシリウスは待っている人がいる事をニーナに告げており、後のEchoesのエンディング等を考えると、ニーナのカミュへの想いが報われないまま終わったのは確定してしまっている。
シリウスのあの一言は彼女に残っているカミュへの未練を断ち切る(と同時に彼自身のケジメの)ためと言ってもよく、いくらカミュへの未練が強かったニーナもああ言われてはカミュを追うという事は考えにくい(というかそこまでしたら流石のカミュも覚悟を決めて降りかかる火の粉を払う可能性がある)。2000年後の『覚醒』では彼女の子孫は確認されていないため、ニーナかどこかの代で血筋が途絶えた可能性がある。
消息が途絶えたニーナがその後、どういう人生を辿ったかはここを見ている誰にもわからない。確かな事があるとすれば、しばらく(下手したら永遠に)罪の意識に苛まれる事と、その後の彼女の人生は間違いなく茨の道である事だろう。後者に関しては、彼女がこれまで生き残れてきた(あるいは快適な暮らしを送れた)のは皮肉にも「振り回されたアカネイア王族という立場と大国ブランド」のおかげである事は間違いなく、王位を捨てた後はそれに頼れなくなる(というかアカネイア王族だったという事実が足かせになりうる)。ニーナのスキルがどれだけあるか、どういう生活に落ち着いたかは不明だが、どれだけ希望的観測をしたとしても楽に生活できないという事は容易に想像がつく。マルス達がニーナにできる事があるとすれば、彼女が自身とアカネイアが犯した罪を忘れず、されどそれに囚われ過ぎず、安らかに生きいける未来を願う位だろう。全ては神(任天堂とIS)のみが知る…。
結局、彼女の人生は最後までアカネイアに振り回されるのであった……。
尚、ゲームブック版紋章の謎のエンディングでは、外伝に繋がらないオリジナル展開として、後にニーナから「カミュと結ばれ穏やかに暮らしている」旨を記した手紙がマルス達の許に届くというラストとなっている。
ヒーローズ
ラストプリンセス ニーナ
属性 | 無 |
---|---|
兵種 | 杖/歩行 |
武器 | サンクチュアリ+ |
補助 | リブロー+ |
奥義 | 祈り |
A | 速さの混乱3 |
B | 守備の大紋章2 |
2022年11月からようやく登場。星4からも排出される。声優も初代から続投。
ステータスは攻撃、速さ、魔防が高め。
サンクチュアリは周囲2マス以内の味方は戦闘中、守備魔防+2、かつキャンセル効果。
クリスマスセフェランの聖樹の杖と同じ効果でレギュラー入り。
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ファイアーエムブレム FE 暗黒竜と光の剣 紋章の謎 アカネイア戦記
新・暗黒竜と光の剣 新・紋章の謎
王女 金髪ロング 人妻 未亡人 さげまん
カミュ(ファイアーエムブレム) ハーディン シリウス(ファイアーエムブレム)
脚本の被害者:端的にはこれ。
ギネヴィア:直接関係がある訳ではないが、封印の剣に登場する近いポジションの女性。但し、こちらは最終的に女王となっており、歴史の表舞台から退かなかった等、ポジティブな方面に寄っているため、決して二番煎じなキャラではない。
ニナ・パープルトン:語感だけでなく中の人がヒーローズ&CD文庫版のニーナと同じな上に、とある人物(こちらもCD文庫版のハーディンと中の人が一致している)に未練タラタラな行動をした為に、ファンから悪い意味での語り草である宇宙世紀の人物。
アリシア(ライブアライブ):王女でありながら伴侶の敵対者に心惹かれた末に、伴侶を裏切った為に国を滅ぼし、最終的に伴侶を死に追いやった繋がり。