「なくはないです。」とは、『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS/Wii U』の新規ファイター参戦ムービーにおいて、クロムに向かって発せられた公式からの励ましの言葉である。
この記事の概要は…ない…のか……?
時は2014年。年末発売予定であった任天堂のタイトル『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U』の公式サイトやTwitterにて日々作中の要素や参戦ファイターなどが発表されていた。
そんな中、公式から「7月14日23時に、スマブラ公式HPにて新たなる挑戦者の映像を公開します。」との予告があった。
ムービー内容
ムービーの冒頭で既にクロムが地面に伏しており、彼を守るようにファルシオンを構えるルキナに「ルキナ参戦!?」の見出しが踊る。戦う相手はキャプテン・ファルコン。古豪相手に善戦するも押され、遂にファルコンパンチでとどめを刺されそうになるルキナだが、上空から降り注ぐ攻撃がそれを遮った。
攻撃の主はフード姿の青年。そして魔道書と剣を構えた彼と「ルフレ参戦!!」の見出しとともに、その性能を紹介するムービーへ。
既に参戦が決定しているマルスとアイクも戦いに加わり、刃を交えるファイアーエムブレム勢。
そのまま終わるかと思われたムービーだが、再度倒れるクロムが映し出された。
熱戦の背後に放置され、苦しそうに呻くクロム。
「俺の出番は……ない……のか……。クッ……。」
直後、「なくはないです。」の大きな見出しと、クロムのカットイン付き必殺ワザが披露された。
直後に女性のルフレも披露されている。
この一連の流れと「なくはないです。」という字幕の妙なインパクトから、pixiv上で関連作品が少しずつ増えつつある。
結果
登場の仕方についてファンの間では議論を呼んでいたが、その後、ファミ通にて正式にルフレの最後の切りふだ「ダブル」での出演が確定した。
ともあれ公式による類を見ない激しいいじりに、その夜はクロムへの励ましの言葉が飛び交ったという。
初めはちゃんとクロムの参戦は検討されていたが、結果的に様々な魔法を使うルフレが優先され、彼の参戦は見送られることとなった。
桜井氏曰く、「クロム自身に魅力がないわけではないが、既にスマブラは剣士キャラが他にも大勢存在し、その中でクロム独自のワザやモーションをスマブラで差別化するのは困難を極めたため今回は参戦を果たす事が出来なかった」
「もし参戦させたとしても、スマブラでの性能面ではマルスとアイクの『中間』の剣士になってしまう」とのこと。
ちなみにルキナは元々マルスのカラーバリエーションとしての参戦予定だったが、ある程度の性能差を与えられたため独立し、モデルチェンジファイターとして参戦が決まったとのこと。
余談はなくはないです。
- 英語版では「No,you'll get it today」の表記。「俺の出番は次なのか」というセリフに対する「いや、今回からです」という意味。
- 公式Twitterの2014年7月24日のツイート(外部リンク)でも使用されている。
- ニコニコ大百科(後述のリンクを参照)などの一部では何故かルキナの胸に対する感想コメントで利用されることがある。どういうことなの・・・。
- ロイの復活の可能性についても前例からして使われることがある。
- 覚醒の開発及び、クロムの生みの親といえるインテリジェントシステムズは、桜井氏に、「よくやった!クロムの扱いをわかってる」と応えたという。…これで正解だったのか!?
- ピットのスマッシュアピールでルフレの解説時にクロムが登場。パルテナやナチュレに、メタ発言をしたり、クロムの本音が出たりする。
「クロムが出てもアイクとキャラが被りそうじゃ」
「天空でジャンプもできないようなので復帰できませんね」
「…だからルフレ、ボールを拾ってくれ。頼む。」(原文ママ)
- 一応クロムにも原作の中でスマブラで使えそうな復帰ワザ候補がある。
もしクロムがスマブラに参戦すればこのワザが採用されていた可能性がある。
しかしこのワザはアイクの天空に酷似しており、見た目的に被ってしまう。
原作でもクロムはアイク同様に天空を使うことが出来る。しかし、独特でインパクトのあるアイクの天空モーションと比較すると通常の追撃とほとんど変わらず見劣りしてしまう。
だが、戦闘開始時や敵撃破時のモーションは独自のものであり、アピール候補があるだけクロムにもまだ未来があるだろう。
- 『大乱闘スマッシュブラザーズ_for_Wii_U』の発売を向かえるにあたって『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii Uがスゴい50の理由』という動画が公開された(公式の動画は現在は削除済み)。
この動画では3DS版との違いや、Wii U版だけのモードの紹介など、Wii U版のスマブラがシリーズの集大成であることを余すことなく紹介された。恐らくこの動画をみてWii U版のスマブラを購入した者も多いだろう。
当然ゲームの紹介動画なのでナレーションが不可欠である。そしてそのナレーション役に抜擢されたのが、杉田智和氏である。
杉田氏はなにを隠そう、我らがクロムの声を演じている方である。
そのため動画の冒頭でナレーションの紹介テロップが流れた時に「杉田智和(クロム)」と表示された。スマブラでの出番がゲーム内だけかと思いきや、ゲームの外を飛び出しナレーションをさせられるとは、誰も想像できない展開である。
- クロム役の杉田氏はニコニコの公式生放送でスマブラの実況動画に出演した。
その時の自己紹介並びに今回のスマブラにどのように関わっているのかの紹介をする時に、「俺の出番はあった。」や「出番はちゃんとあったんだよ!」など、「なくはないです。」に対して杉田節を披露した上で、ルフレやクロムの存在をアピールしてあげていた。
実際の実況プレイの時もクロムを何としても出してあげる為にルフレを沢山使うなど杉田氏なりにクロムのことを大事にしてあげているようである(プレイしている内にルフレのことも結構気に入ったようである)。
この動画にはゲストとしてスマブラの生みの親である桜井政博氏が出演された。
その時に杉田氏、桜井氏、伊藤賢治氏(Sa・Gaシリーズなどの楽曲を担当した、ゲーム音楽作曲家。スマブラでは、『大乱闘スマッシュブラザーズX』と『for』で編曲を担当)によるゲーム開発に関する色々な裏事情の話などが展開された。
声優界随一のゲーム好き、ゲーム業界を代表するクリエイター、ゲーム音楽の巨匠の三人の話はかなり面白い内容なのでゲーム好きには必見の内容である。
俺の参戦要望は…ない…のか……?
2015年4月2日のニンテンドーダイレクトでスマブラ投稿拳という企画が発表された。
この企画ではあらゆるゲームキャラクターを対象にユーザーから参戦して欲しいキャラクターの要望を募り、その中から選ばれたキャラクターを今後の『for』にDLCとして参戦させるというスマブラファンだけでなくゲームファンにとっても夢のような企画である
外部リンク→スマブラ投稿拳
まぁ噂では同じく切りふだ参戦であるダンバンやエックスがコスチューム化されたのでMiiファイターのコスチュームあたりで収まるであろうと予想されていたが。
しかし参戦を見送られて月日が短く次の新作のファイアーエムブレムも発売された為、正直なところ今作の『for』でプレイアブルとして出る可能性は非常に低いと考えられていた。
途中経過
ロイの出番は…ないよな…?
あります。
2015年6月14日、スマブラに関するダイレクトが放送された。
このロイの参戦には全世界のFEファンが喜びの声を上げた。
そして、肝心のクロムに関する内容は、
全く音沙汰がなかった。
その上、ロイのPVの中でマルスやアシストフィギュアで参戦しているリンなどのFE組が勢揃いしている中でクロムだけPVに出してもらえず、またまた不憫な扱いをされてしまっていた。
更に、FEの枠がロイを含めると5枠となってしまい、クロムが参戦する可能性が更に縮小する結果となってしまった。
ちなみにこのロイの参戦についてクロムの中の人である杉田智和氏もTwitterで反応を示していた。
そのツイートの直後はユーザーからクロムに対する励ましの言葉や、なくはないです。ネタをぶつけられるなど、様々な声を受け、さらには桜井政博氏本人もそのツイートにアクションを起こしていた。
このツイートは少し波紋を広げたが、杉田氏本人はロイの参戦については喜んでいる様子であった。
「クロムがロイの参戦を祝福する」というある意味微笑ましい光景には、少し心に感じるものがあったユーザーもいたのではないだろうか?
途中経過その2
2015年7月29日、スマブラ公式TwitterにてクロムのMiiコスチュームの配信が決まった。
このクロムのMiiコスチュームは、漆黒の騎士ほどではないが、完成度が高く、封剣ファルシオンや聖痕もきっちり再現されている。上記のマルス仮面との戦いで見せた回転アタックもカスタマイズで再現可能である。
結果発表
2015年12月16日、この日『for』最後の特番が放送された。
最後と述べられている通り、この特番で投稿拳の結果発表、そして最後の追加ファイターの発表が行われた。
まずは当時まだ海外で発売されていなかったFEシリーズ最新作からカムイの参戦が決定。
そして、投稿拳によるスマブラファイターの追加は(公式曰く)投稿件数1位を獲得したベヨネッタが参戦。
これにより、『for』のファイターの追加は幕を閉じた。
結果としては、クロムはプレイアブルでの参戦を果たすことが出来なかったが、今回のスマブラの件でクロムの知名度が大幅に上がったのも事実。
その証拠として他社作品とのコラボゲームに参戦を果たすなど、クロム自身はスマブラ以外では良い未来を歩んでいる。
ここから先、クロムが一体我々にどんな展開をみせてくれるのか大いに期待していこう。
コラボゲーで…俺の救済は…なくはなかったー!
スマブラで「なくはないです。」ネタがでる以前から設定資料集やサントラの表紙をルキナに取られたり、フィギュア化もサーリャやティアモに先を越されたり(その後チビキャラフィギュアが発売された)、DLCの絆の夏では、公式音声MADが流れたりしている。
スマブラ以降も「クロム様絶対死守Tシャツ」というネタTシャツが発売されたり、FEサイファではメインであるにもかかわらず、覚醒の特典ユニットはルキナであるなどIS側からも徹底的に弄られたりしている。
また、当時はamiiboがない故に『コードネームスチーム』や『スーパーマリオメーカー』に参戦できず、ifでも操作不可のゲスト参加にとどまったり(イラストはifのキャラに合わせて修正がかかっており、3Dモデルのつま先も他のキャラ同様に追加されている)など、どこを見てもクロムは不憫な扱いをされ続けていた。
そんな中……
幻影異聞録♯FE
ロイの参戦発表の二日後のニンテンドーダイレクトの中でゲームソフト開発会社ATLUSとファイアーエムブレムシリーズとの異色のコラボタイトル『幻影異聞録♯FE』にて主人公の相棒という美味しいポジションにクロムがつくことが判明した。
散々な目にあいつづけてきたクロムにATLUSが救いの手を差し伸べたのである。
今作のクロムのデザインは原作からは少し離れたダークな雰囲気を出しているデザイン(担当はCygames関連のデザイン会社:『幻影異聞録♯FE』公式サイト内 クロム紹介)となっており、ユーザーからは
「スマブラにプレイアブルとして参戦できないから闇堕ちしたのでは?」
という声が多々寄せられている。
しかしプレイ動画を見てみると、主人公に頼られたり、主人公を励まして引っ張ってあげたりなど、闇堕ちした感じや、ネタ的な要素はあまり見られず、むしろ覚醒本編でのクロムの性格とあまり大差は見られなかった。
というよりも、本作に登場するミラージュと化したFEサイドのキャラはほぼ全てが闇堕ちしているも同然の状態であり、一部のミラージュが特殊な素質を持った人間に感応して光堕ちし、力を貸ているという設定である。
そしてクロムの参戦が発表された同時期にはそれらの設定に加えて完全にダークサイドに堕ちて異形のバケモノと化したギャンレルの情報も公開されていた為、結局は完全な言いがかりの類に過ぎなかった。
今作のクロムは剣に姿を変えたり、二刀流になったり、決め台詞が「運命を越える!!」に変わったり、ド派手な必殺技を身につけたりなど、真新しい感じとなった。
…ただ、こっちはこっちでFEキャラ大集合ソシャゲこと『ファイアーエムブレムヒーローズ』への「参戦は…ないのか…?」と長らくファンをヤキモキさせることになるのだが…それは別のお話。
プロジェクトクロスゾーン2
ATLUSに救済されたクロムにさらに救いの手が…!
プロジェクトクロスゾーン2参戦決定!
『for』を任天堂と共に共同開発をしたバンナムや、ゲスト参戦したキャラのメーカーであるセガとカプコン、これらのゲーム会社の代表キャラの集うゲーム『プロジェクトクロスゾーン2』での出演が決定した。
このゲームにはスマブラでゲスト参戦した『ストリートファイター』シリーズのリュウや、クロムと同じスマブラの切りふだ、Miiコスチューム参戦の『ロックマンX』の主人公エックスも参戦している。
その他には『バイオハザード』シリーズや『テイルズオブシリーズ』に『逆転裁判』シリーズなど、人気の高い作品からマニアックな作品などが参戦している。
そして今回は、任天堂がゲスト参戦という扱いで、その代表キャラとしてクロムと娘のルキナ、さらに『ゼノブレイド』のフィオルン(機械化)も参戦している。
任天堂の代表的なキャラといえばマリオとリンクといったキャラが頭をよぎる人が多いであろう。そうすると一般的に参戦に選ばれるのもこれらのキャラのはずである。
ならば何故クロムとルキナ、そしてフィオルンが選ばれたのか?
その理由としては、今回の『PXZ』は掛け合いなどのコミュニケーションを取り合うのが醍醐味であり、マリオやリンクが選ばれなかったのは掛け声だけでやりとりするキャラのため、他社キャラとの掛け合いが出来ないためとされている(一応マリオは過去にバンバン喋ってるゲームがあったが)。
それに加え、ナムコクロスカプコン以降のこのシリーズの系譜においては、シナリオ中及び戦闘前後会話においてオタク向けの濃いネタ(声優ネタやパロディネタ、原作ネタ、終いには18禁ネタすら使用する)を用いて様々なキャラを弄くったり漫才染みたことをやるのが恒例行事と化しており、例えボイスの問題が解決しようともそのような空気の中に任天堂の顔とも言えるマリオやリンクを放り込むのは非常によろしくないと判断された可能性が高い。
また、開発チームこそ違うものの『ゼノブレイド』は『PXZ2』の開発元であるモノリスソフトが製作したソフトである為、キャラやストーリーに関する監修の面で非常に有利であり、
『FE覚醒』は戦闘システムこそ違うが『PXZ2』と同様のSRPGという共通点があり、また後述するように『FE』シリーズの中でも(というより、昨今の任天堂ソフトの中でもトップクラスに)支援会話等に含まれるネタの比率が極めて高いことからネタにまみれたこのシリーズに参戦してもさほどの違和感は無い。
これらもあいまって、FE覚醒とゼノブレイドが選ばれたのはごく妥当だといえる。
余談だが、フィオルンが何故選ばれたのかについては、同じゼノシリーズ出身者であり、所謂メカ娘としての共通点がある『ゼノサーガ』のKOS-MOSと交流させるためだろうと推測される。
クロムとルキナが選ばれたのは従来のFEシリーズの主要キャラの中でも親子揃って原作の支援会話やDLCなどを代表とするコメディリリーフ要素が極めて強く、他社キャラとの掛け合いに色を付けることが容易であることが挙げられる。
また、『覚醒』はFEシリーズの中でも特に海外の方での人気が根強く、覚醒のキャラの中でクロムとルキナの親子二人とも覚醒キャラ人気投票で1位を獲得しており、人気も知名度も高いため選ばれたのだと思われる。
今作のクロムのプレイスタイルはファルシオンをはじめとして、槍などの武器も扱う(『モンスターハンター』とのコラボ衣装でも弓を扱っている)。
立ち姿や攻撃のモーションなどはクロムとルキナは原作の覚醒を元にしており、
クロムの攻撃パターンの中には原作のムービーの部分から採用されてるものなどがある(上記の仮面マルスとの戦いで見せた回転アタックなど)。
さらに必殺技はクロムとルキナの親子二人での連撃コンボからの、とどめの一撃に覚醒のパッケージ再現がされたアニメーションとカットインが入る。
開発スタッフがかなり気合いを入れて作ったのが見てとれるほど、クロムの動きは原作にかなり近く再現されている。
このクロムとルキナとフィオルンの参戦が発表されたのは「TGS 2015」の会場で、せがた三四郎役で『PXZ2』に出演する藤岡弘、氏と、もはやお馴染みクロム役の杉田智和氏が登壇したステージにてサプライズ発表された。
本来のPVではナレーションはついていないのだが、会場でPVが初公開されると、杉田氏が自らアドリブでナレーションを付けていた。
そして、クロムの参戦PVが公開されたのと同時に、
と、雄叫びをあげ、それに呼応するように会場は興奮と笑いに包まれた。
その後のクロムに関する紹介の時に杉田氏のコメントで、
「スマブラには出れなかったけど、なんやかんやで色んな所に出てるから良かった。」
とクロムのスマブラ以外での待遇の良さに安堵しているようである。
ニコニコ動画「プロジェクトクロスゾーン2 クロム・ルキナ・フィオルン参戦動画」(ナレーション 杉田智和version
前述した通り、クロムが『PXZ2』に参戦出来たのは『PXZ』のゲーム性と相性が良く、逆にスマブラに不参戦だったのはゲーム性の相性が悪かった為であり、この2つのお祭りゲーはシステムからコンセプトまで全く異なるので、スマブラの参戦基準と『PXZ』の参戦基準を混同しないよう注意されたし。
ファイアーエムブレム無双
2017年9月28日発売のFEシリーズと無双シリーズのコラボタイトル『ファイアーエムブレム無双』にも真っ先に参戦が決定。
PVでは剣による怒涛の乱舞や、衝撃波による豪快なアクションで敵をなぎ倒しており、更に覚醒やPXZ2でも披露したジャンプ回転斬りも健在。ファンからは無双アクションでのクロムの活躍に期待が寄せられている。
amiibo
2017年のE3にてチキと共に発表され、『ファイアーエムブレム無双』と同じ9月28日に発売された。
『PXZ2』、『幻影異聞録♯FE』、『FE無双』等と、もはやスマブラでの不遇時代は過去のものになり、いや、この不遇があったこそ、今ではシリーズの広告塔と言っても良いほどあらゆる場面にクロムは活躍の場を広げている。
聖王がどこまで羽ばたいていくのか、これからもその動向からは目が離させないところである。
スマブラ最新作でも希望はある。きっと!
2018年3月8日に『スマブラ』シリーズの最新作が全世界に電撃発表され、6月12日に正式タイトル『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』が公表された。
この新作スマブラでもクロムの出番は「なくはないです。」なのか、それとも遂に「参戦!!」を果たすのか?ファンの間で議論が成されていた。
そして、2018年8月8日に放送された「大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL Direct」にて衝撃の発表。
運命を変える!!
満を持して遂に大乱闘へ本格的に参戦である!
元々今作のスマブラが発表された段階、およびその後の試遊台での動向などで、クロムの参戦は有力視されていた。その主な要因は、
- 他のFEファイターの切りふだが紹介されている中で、ルフレの切りふだだけ紹介されていない。
- アイクのカラーバリエーションで前作で実装されていたクロムカラーが廃止された。
- クロムの声優である杉田智和氏がTwitter上にてクロムの参戦発表以前からスマブラのディレクターの桜井氏のスマブラツイートをリツイート。
- 前作『for』で、『X』時代に切りふだとして参戦していたパルテナ様がファイターに昇格するという前例有り。
- 前作ルフレ参戦ムービーの「俺の出番はないのか?」が前述の通り英語版だと「俺の出番は次なのか?」といったニュアンスに変更されている。
と、ある程度の伏線が張られており、その中からファンの考察で「今作でクロムは遂にプレイアブル化を果たのでは?」という憶測が飛んでいた。
その中でも特にその期待を強くさせていたのが、本作で登場したダッシュファイターと言うシステムである。
前述した通り、クロムのスマブラ参戦において最も大きな障害となっていたのは、「クロム独自のモーションやワザを他の剣士キャラと差別化するのが困難を極めた為」と言う点であった。
だが、ダッシュファイターは、別のキャラのアクションを流用して、見た目や、細かいモーションに差異をつける。所謂コンパチキャラの俗称を今回のスマブラで公式化。
これにより、大胆な差別化を行わずとも、ダッシュファイターという区分けをすることで、多少の差別化(立ちモーションやアピールを差別化)をするだけで、アクションを流用しつつも、同時にキャラの個性を保たせた参戦が可能になった。
こうした施策により、クロムに限らず、デイジーやダークサムスなど、今まで要望はあったものの、既存のキャラとのアクション性の被りが発生するという問題を抱えていたキャラクター達が、ダッシュファイターの名の下に、続々と大手を振って参戦を果たした訳である。
ただし、既出のダッシュファイターであるルキナ・ブラックピット・デイジーの3名が「モーションが元となるキャラクターとほとんど変化がない」と言う特徴を持っており、その点クロムは、ルフレ、カムイは言わずもがなとしてマルス(ルキナ)・ロイ・アイクのどれとも完全一致はさせにくい性能である、という点は、若干不安視はされていた。
しかしそれも結果的には杞憂に終わり、今回、クロムはロイのダッシュファイターとして参戦する事になった。
ロイが元々はマルスのモデル替えだった事を考えると、桜井氏の「スマブラでの性能面ではマルスとアイクの『中間』の剣士になってしまう」という発言は、まさに当を得ていたといえる。
基本のモーション等はロイをベースにしているが、ロイが逆手で振っていた攻撃が全て順手になっている他、上必殺ワザが前述したアイクのような空中回転切りとなっている。
最後の切りふだは覚醒でのクロムの必殺スキル「天空」が採用されている。後日、スマブラ公式Twitterにて「覚醒天空」という名称で改めて発表された。
参戦を果たした経緯は桜井氏曰く「参戦の要望が高かった」というクロムのキャラクター人気の高さとファンの期待に応える形での参戦となった。
後日ファミ通の桜井氏のコラムにて再びクロムの参戦経緯について言及がなされた。コラムによると、クロムの参戦要望は特に「日本国内での支持が高かった」と述べられている。
また、ダイレクト内での紹介の際には桜井氏本人から「なくはなかった」とコメントを添えられ、更に続くダイレクト中に、トーナメントモードの解説時にクロムのニックネーム欄が「なくはないです」と付けられている等、ネタ自体もジョークとして活用された。
このクロムの参戦には数々の反応が寄せられている。
ファンからの喜びの声は勿論のこと、FE覚醒でキャラクターデザインを担当したイラストレーターのコザキユースケ氏がツイッターにて描きおろしのクロムのイラストを添えて祝いの言葉を贈っている(外部リンク)。
コザキ氏自身、前回のルフレ・ルキナの参戦発表の際にスマブラ公式にイラストが掲載されていたが、今回は立ち位置的には外野らしく、それでも「なくはないです。から大出世したクロムを応援して欲しい」(外部リンク)とファンとクロムに温かいコメントを贈った。
クロムに声を吹き込んでいる声優の杉田智和氏もツイッターにてクロムの参戦を祝福。
「希望はある。きっと!」(外部リンク)クロムの如く熱い台詞と、クロムの参戦画像を添えてクロムを讃え。
更にそこから「俺は負けん!」(外部リンク)とクロムの名言をツイート。
更に更に「運命を?」(外部リンク)とツイートでユーザーに呼びかけると、ツイッター上のユーザー達が口を揃えて「変える!!」と高らかにリプライで声をあげ、その場にフィーバーと連帯感を作り上げ、クロム参戦の祭りの場を杉田氏とファンを交え盛大に行われた。
その後、ルフレの切りふだには変更がなかったことが判明。クロムはファイターと切りふだの両方に登場するキャラとなった。
前作でも実装されていたクロムのMiiコスチュームも続投。
ファイター、切りふだ、そしてMiiコスチューム。天界漫才にこそ参加しなくなったものの、今回もクロムの出番は盛りだくさんとなった。
「なくはないです」から紆余曲折を経て念願叶ってのスマブラ参戦。
しかし、これが終わりでは無い。
クロムはこれからマリオやリンクといった任天堂の大先輩や、ソニックやスネークといった他社キャラを含めたゲーム業界の歴戦のファイター達と大乱闘を繰り広げる事になる。
今度は切りふだに限らず、ルフレやルキナと共にファイターとして肩を並べて。
クロム「運命を変える!!」
ピットのスマッシュアピール
本作でもスマッシュアピールが続投し、新ファイター達にピットやパルテナさま達によるファイターの解説をする。クロムも勿論その対象であり、ピットとナチュレからは、「おおっ!クロム!」「晴れての参戦じゃのう」と喜んでいた。
ちなみに、ルフレの方はクロム参戦に伴い解説が変更されている。
ピット「ああ、クロムの友達の」
ナチュレ「そんなにざっくりな関係なのかのう?」
ピット「それでは、ギムレーの器である…」
ナチュレ「今度は核心に触れすぎじゃ!ほどほどにせい!」
なお、これによりクロムの天界漫才への乱入はなくなったが、そちらのポジションはアルカードに受け継がれている。
「今回はサポートに徹することにしよう」
運命か、絆か
『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』ではスピリッツを始めとしたバリエーション豊かな遊びの中に「勝ちあがり乱闘」というモードが収録されている。
これは従来の「シンプル」に相当するモードで、今までの「シンプル」ではファイターを何人か連続で撃破し、そのラストバトルには必ずマスターハンドやクレイジーハンドなどのボスキャラクターが待ち受けており、この両者も撃破するとエンディングを迎えるといった正しく「シンプル」な内容であった。
このモードではMiiファイター以外のファイターごとに専用のコースが設けられている。
例えばリュウの「俺より強いファイターに会いに行く」は、ケンや何処か『ストリートファイターⅡ』のキャラに似ているファイター達が立ちはだかる体力制乱闘、といった一種の原作再現コースになっている。
一方でプリンの「64オールスターズ」やウルフ「参戦ふたたび」のように、『スマブラ』での扱いなどを意識した原作とは無縁のコースもある。
このように特殊なルールとファイターと縁のある相手を設置し、ある程度の物語性を追求したモードになっている。
クロムのコースのタイトルは「運命か、絆か」。
覚醒プレイヤーなら誰もが知っているこのタイトル。プレイヤーの中にはタイトルを見ただけで色んな情景が目に浮かんだ人も多い筈。
コース内容は、
突如クロムの前に立ちはだかる謎の剣士。
更に待ち受ける数々のタッグを組んだファイター達。
これらの強敵とクロムは仲間との絆の力を元に、運命と戦い抜くことになる。
ルールは主にチーム戦に設定されており、原作のデュアルシステムの再現となっている。そしてコースのある1戦では原作のストーリーの再現も成され、スマブラ版ファイアーエムブレム覚醒コースとなっている。
激戦を終え、エンディングクレジットも超えた先で、ある一枚の画像がプレイヤーの目の前に現れる。
その画像は、この4年間のクロムの挫折、活躍の全てに一種の決着をつける写真となっている。
真相はスマブラSPを手に取ってプレイヤー自身の目でご覧いただきたい。
全ての戦いを超えた先でクロムが目にする光景
それは…
ジョーカーのスピリッツボード
FEシリーズとは直接関係ないのだが、DLCファイター「ジョーカー」の特典として、専用スピリッツボードが追加。その彼の仲間である喜多川祐介のスピリッツのメインファイターとしてクロムが立ちはだかる。どう見ても声優ネタである(同様の理由でモルガナのスピリットのメイン役としてピカチュウが配属されている)。ペルソナ5未プレイ又は知らないユーザーには、ジョーカー参戦告知で杉田(及び大谷)ボイスが流れて驚いた者が多い。
まさかの後継者
これで一件落着と思いきや、歴史は繰り返す。
『SP』のDLCにおいて、『ARMS』からはミェンミェンが、『ゼノブレイド2』からはホムラ/ヒカリがファイターとして参戦したが、看板役ですでにアシストフィギュアで登場済みのスプリングマンと、ホムラとヒカリの運命共同体といえるレックスは参戦できなかった。
両者ともそれぞれの最後の切りふだで登場しているほか、レックスは試合開始時やアピールにも登場しており、見る機会自体は少なくはない。
ただし、ルキナやルフレが活躍しているのを未練がましく見ていたクロムとは対照的に、レックスは最初こそ残念がっていたもののホムラとヒカリの活躍を見て素直に歓声を送ったりするなど、卑屈になっている様子は無くむしろパートナー二人の参戦を喜んでいる模様(pixivのネタ作品ではやたら残念がっていたり、猛烈に悔しがっている作品もあるが)。
注意事項
今でこそ落ち着いてきたが、今でもこのネタを不快に思う人はいるので、使う時や場合はわきまえた方が良い。勿論こちらの方も。
関連イラスト
関連タグ
ファイアーエムブレム覚醒 大乱闘スマッシュブラザーズfor 大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL
カレーメシ:「本当に汁がないのか…?」「…なくはないです」
スプリングマン(ARMS):ある意味後継者その1。
レックス(ゼノブレイド2):後継者その2。
オレが参戦するんじゃないの!?:ある意味同義。