そもそも昭和期までは「巨乳」という言葉は存在しておらず、「貧乳」という概念もなかった。1970年代以前の日本では、8割以上がAカップかBカップであったという。当時は貧乳が当たり前だったし、「鳩胸で出っ尻」（=巨乳でデカ尻）は冷やかしの対象ですらあった。大きな胸に悩むことはあっても、小さな胸にコンプレックスを抱くことはなかったのである。

大きな乳房が魅力的とされるようになったのは、昭和40年代頃である。当時は「ボイン」「デカパイ」などと言われていたが、これらの言葉には多少の揶揄が含まれ、大きい乳房の女性を冷やかす意味も含まれていた。

平成元年前後のバブル期に「巨乳」という言葉が生まれ、同時に「貧乳」という言葉が出回るようになった。食の欧米化を始めとする日本人の生活習慣の変化に伴って日本女性の乳房が平均的に大型化し、小さな胸に劣等感を感じる女性が増えたのはこの頃からである。

また昭和後期から平成初期は、「欧米的なスタイルこそ文化の最先端」と礼賛され羨望を集めた時期でもあり、日本的な小柄で慎ましやかな体型の女性よりも、海外から輸入されたわがままボディの金髪美女のインパクトに男性の性的嗜好が傾いていったことも一因といえよう。

これは男性の高身長化・長身礼賛と時期を同じくし、対をなしていると言えるかもしれない。

「貧乳は希少価値」という冒頭の言葉がギャグや負け惜しみでなくなる日は案外、近いのかもしれない。

創作物において

かつては日本の性的指向の関連もあり、「プロポーションの整った」という設定の美女・美少女キャラクターでも、特に「巨乳」と詠われない限りはそれ程胸が大きく描かれることはなく、逆に特別胸の小さいキャラクターと言うのも殆どいなかった。

戦後日本の創作史上「大人で体つきもそれなりだけど胸だけ貧乳」とされたのはおそらく『奇面組』シリーズの伊狩増代が初だと思われる。

担任役時代(『3年奇面組』)は主人公一味から散々「おっぱいちっちゃい」と言われていた(ただしフェミニストである出瀬潔は言っていない)。

しかし「タイトなセーターを着てバストの形が浮き上がる程度のサイズ」はあり(恐らくニアCのB程度はある)、加えて連載開始当初は大半の女性キャラが中学生であったため彼女より胸が大きく描かれているキャラの方が少数派であった。

担任役はシリーズ通算期間のごく一部で終わっている(『ハイスクール!奇面組』では後輩の若人蘭に交代、ただし最後までレギュラーキャラクターではあった)上、連載開始初期から周囲が砂糖吐くほどの恋愛関係にある石砂拓真がおり(しかも初期の色音好を始めとして何度か三角関係を形成している)、連載中盤に彼と結婚、終盤には母親となるなど、貧乳キャラとしての要素は霞んでしまっている(他にも、スケベの潔から「身体固めされたかった」と言われたことも)。

時代は下って1990年代に入ると『スレイヤーズ』のリナ=インバースがこのネタでしょっちゅういじられる。

だが、彼女もあえて小さいというほどカップが小さいわけでもない。衣装の殆どがピッチリしたもののため、バストカップの形状が強調されることも多い。と言うか、リナの貧乳扱いも相対的な部分が大きく、ハッキリ言うとだいたいセイルーン王家の血統のせい。実はメタな話をしてしまうと、担当編集者が巨乳好きだったせいなのだとか（貧乳設定を知らされていなかったイラストレイターのキャラデザに対し「この程度までは貧乳」とリテイクを出さなかった）。

初めて「貧乳」をそのステータスとして爆発的人気を得たのは、『痕』の柏木千鶴といっても過言ではない。

作品本編中で彼女は「貧乳」とは一度も言われていないのだが、妹の柏木梓とのバストサイズ(トップ値)差が9cmということで、2人の体格からすると梓が95cm以上でない限りトップ85のB以下と推測され、貧乳の部類に入ると言って構わないと思われる。二次創作側の大騒ぎの影響でそのうちに、公式側も公然と彼女を貧乳キャラに位置づけるようになった。

その後、パーソナルコンピュータの爆発的普及とそのグラフィック性能の格段の向上を受けて、アダルトゲーム隆盛期を迎える。その過程において美女・美少女キャラクターの外見は「ボン・キュッ・ボンッ」がスタンダードになっていく。この影響はアダルトゲーム以外の商業作品にも伝播していった。

こうしてアニメやビデオゲーム作品において「長身・大人・貧乳」というキャラクターは希少になっていった。

一方、子供向けあるいは女性向けの作品や、萌え指向の薄い真面目めな作品においてはなお該当キャラが多く、性的な表現を抑える際に用いられる健全さの象徴という側面がある（この場合、あえて貧乳である事を劇中で指摘される事はまず無い）。

しかし、男性の大きいお友達は二次元だと需要も供給も基本的に普乳以上に極端に偏っているのが現状であり、少子高齢化の影響からこれらの創作物の消費側のかなりを占めている。現に、pixivで「貧乳」で検索をかけるとそのほとんどがただのロリキャラであり、「貧乳 -ロリ」で検索してもかなりの割合でただ未発達の少女が含まれている有様である。

「貧乳はステータスだ!希少価値だ!」というフレーズが出てきたのもその頃、その為だが、そのコピーで有名になった『SHUFFLE!』の麻弓=タイムや『らき☆すた』の泉こなたも高校生である(ただし『SHUFFLE!』はエロゲなので高校っぽく見えて高校ではない。一方で『らき☆すた』キャラは劇中で大学に進学している)。

有名な非ロリ貧乳キャラと言うと『銀魂』の志村妙や『まほろまてぃっく』の安藤まほろ（ただしアンドロイド）、『クレヨンしんちゃん』の野原みさえ『小林さんちのメイドラゴン』の小林さんなどが挙げられる。

『クレヨンしんちゃん』作中でもしんのすけがみさえに対して

「もちつきオッパイ」と言っている。(餅をつく音がペッタンコペッタンコだからである)

「大人の女性」や「成熟した女性」という定義から言えば胸の大きさはさほど重要ではなくむしろ知的で自立した生活スタイルや考え方など内面的なものにじみ出るところにその魅力があると思われる。

成人女性の場合であっても、「貧乳がコンプレックス」「貧乳だけど気にしない」などの精神的な部分に着目されることが多い。「無いおっぱい、悩む姿も、またおっぱい」

他方、着衣に余裕があるがゆえの無防備さというラッキースケベ的要素に着目されることもあり、需要は確実に存在する。

なお、漫画やアニメなどでは、顔が大きく描かれるとの同様に、女性の乳が大きめに描かれる事も多いので、現実世界の基準ではかなり豊かな乳房を持っているように見えるキャラであっても、他の巨乳キャラより胸が小さいことから、相対的に「貧乳」という設定にされてしまっている場合もある。テレビドラマにおいても、作中の登場人物との比較で相対的に貧乳扱いという場面が出てくる場合がある。

ハイティーンである、『ひだまりスケッチ』の沙英、『魂☆姫』の三条アリス、『アイドルマスター』の如月千早の扱いがロリキャラとするか否かか、という程度か。

なお現実はもちろん二次元の中でも貧乳であることへの「いじり」は失礼な行為であり、女性蔑視的な不快感を与えることが多い上に、キャラヘイトと捉えられてしまうこともある。

逆もまた然りであり、貧乳気味であったり普乳までの自然で伸びやかなプロポーションの女性キャラに安定感や魅力を感じる人も多いと思われるが、かと言ってそうでない体型を貶める言動は慎むべきである。

巨乳から貧乳になる描写

創作物では巨乳が突然貧乳になるケースが存在する。

魔法による描写などがわかりやすいが、他の例としては麻生我等の漫画作品『童貞志願』の登場人物のニーナ・ザマンスキーは120センチの爆乳を誇る19歳の美女として登場するが、主人公のスキルによる毎秒数万回の絶頂で体の脂肪が燃焼し瞬時に貧乳になる。

一方で貧乳が突然巨乳になるケースも存在する。

貧乳な実在人物

世の中にはバストの大きさについて殊更に言われたくない人も存在します。スリーサイズやブラジャーのカップといった情報について、本人やその周辺が積極的に言及していない人物については、本記事に加筆すべきかどうか慎重な判断をお願いします。

声優

矢作紗友里
田村睦心
洲崎綾
西明日香
今井麻美(関連項目(？)：エアDカップ)
戸松遥(声優4人組のスフィアメンバーで(地味な)貧乳。写真集を参照とのこと。)
平野綾　(某テレビ番組で有吉弘行に、『貧乳声優』と言われている。ただし、2012年 8月6日には、自身のアメーバのオフィシャルブログで、年に1度だけ、ある日突然巨乳化するという事実を明かした。)
水樹奈々(滅多に口に出すことはないが、本人はこの事を気にしている。演じる女キャラは巨乳である事が多い)
日笠陽子(しかし演じる女キャラは巨乳である事が多いため、逆に貧乳を演じて弄られると台詞が生々しくなる。)
みゆはん
横山智佐(ジャンプ放送局で散々ネタにされた。)
上田麗奈(後輩の南早紀とのトークショーにて、写真集は「盛ってる」と話題になったり、ABCの選択問題で南が「上田さんのカップ数じゃないんだから」と発言すると「そのどれでもない」と返してしまい自爆してしまう事に。)
千葉千恵巳 - 平成中期以降のロリ声声優の代表格。これでAカップなのはある種の奇跡か。
宍戸留美 - 平成中期以降のロリ声声優の代表格パート2(上記繋がり)。元バラドルだったが声優にとらばーゆしてたのでこっちへ。
喜多村英梨 - 主に共演者からネタにされている。
中川亜紀子
菊池こころ - 二代目さくらももこの声優。
立花理香
徳井青空(そらまる)
高橋美佳子

芸能界

池脇千鶴
星野真理
京野ことみ
仲間由紀恵(ドラマTRICꞰ内でもネタにされ、堤幸彦に「国民的貧乳」と呼ばれた。)
小川範子
天海祐希(ドラマ「BOSS」のアドリブで武田鉄矢に「貧乳」と言われる場面があった。)
柳原可奈子(彼女曰く「自分は胸がないから残念なデブ」)
春香クリスティーン
ベッキー
江角マキコ - 元バレーボール選手→マルチタレント→不動産業。
足立梨花 - オタク界隈では何故か有名なお方。
菜々緒
水原希子
河北麻友子※デヴィ夫人に「ペチャパイ」と言われた人その1
堀田茜※デヴィ夫人に「ペチャパイ」と言われた人その2
南野陽子
冨永愛
杏
佐々木希
長谷川潤
蛯原友里
伊東美咲
桐谷美玲※貧乳と言われることが多い。
北川景子 - 本当のレイちゃんはこんなんじゃなかったはず。
武井咲
滝沢カレン
工藤静香
森星
松嶋菜々子※貧乳と言われることが多い。
新垣結衣
戸田恵梨香
佐藤栞里(悩みが貧乳であることを世界一受けたい授業で話していた。)
益若つばさ※貧乳で有名な埼玉県出身
スーパー戦隊シリーズの女性メンバーを演じたキャストの多く

※さとう珠緒、柳美稀、奥山かずさ、長澤奈央、小宮有紗、甲斐麻美、杉本有美、大久保桜子が例外。特に前述の小宮は多芸多才で、リアルダイヤ様として度々揶揄されがち。

アイドル

北原里英
松井咲子
宮澤佐江
梅田彩佳
市川美織(YouTube番組で地下アイドルと貧乳対決を行った。)
藤江れいな
尾形春水
夏焼雅
指原莉乃(本人はこの事を気にしており、胸を大きくするために毎日豆乳を飲んだ成果あってか、最近胸が目立つようになっている。そんな彼女の迷言がこちら：「だてにAカップしてねぇよ」)
高橋みなみ(メンバー同士で入浴する時、1人だけピッチリとタオルを巻いているので、実は男なんじゃないかと疑惑をかけられたことも(もちろん冗談でだが。))
島崎遥香(自身が出演した映画『翔んで埼玉』でネタにしていたほか、ジャパンプレミアでの舞台挨拶にて同じく埼玉県出身の益若と意気投合していた。)
仲川遥香(日テレで2011年2月26日～3月6日に放送された特別ドラマで自分名義で貧乳コンプレックスの役柄を演じた)
飯窪春菜(ヤングタウンで度々明石家さんまやリスナーのネタにされる。当の本人はシンプルバディーと自称し、ブログでも自ら貧乳をネタにしている)
道重さゆみ※多くのファンから貧乳と言われている。
中澤裕子
辻希美※貧乳扱いされている。なお元相方はそうでもない模様。
田中れいな
亀井絵里
新垣里沙(ファンからはすでにネタにされまくっていたが、『ピョコピョコウルトラ』Recording Ver.では譜久村聖の後に登場したため、その絶壁ぶりが露呈されてしまった)
生駒里奈(冠番組「乃木坂工事中」にて、自虐する形で公表。その際、同期の松村沙友理も貧乳扱いされた。)
齋藤飛鳥(1st写真集「潮騒」にて発覚。現時点でのサイズは不明だが、一部のネット界隈では「大きくなった・盛ってる」論争が発生している。)
遠藤さくら(上述した齋藤同様、一部のネット界隈で論争のネタにされている。)

その他の有名人

蓮舫　過去に彼女の写真を撮った村西とおるからも「貧乳」と証言されている。
アンミカ - 在日系でよく聞く貧乳著名人のひとり。高身長で(ほぼ)厚化粧なので殊更目立つ。あと毒舌家の商人。

その他

96猫(チームペットショップのアルバム「犬猫店長」のブックレットのプロフィールには「背と胸の話題を出した人物の行方がわからなくなる」と、表記されている。)
星守紗凪（ニパ子公式コスプレイヤー）(あるメーカーのスタッフに「全身でニパ子を表現してるんですね。」と言われた。自身もTwitterで「薄いって言うな」とキレていた。)
いかさん(バストは驚異のAAAカップ。本人もそのことをネタにしている。)
天羽しろっぷ(驚くべきことに電気代を払うことができるVTuber。)
春日部つむぎ - 見た目からして貧乳であろうキャラ。元キャラのVtuberは設定上ド貧乳。
ずんだもん(人間体) - ちなみにボク少女。