概要
性的描写を理由としてR-18指定されているゲームの事。エロゲーともいう。ある人曰く「やっただけで人格が破壊されると言われる魔性のゲーム」
基本的にはWindows用ソフトである。現在の家庭用ゲームは、コンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)などの規制により、性的描写は認められていない。
審査は、コンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫)または日本コンテンツ審査センター(JCRC、旧コンテンツ・ソフト協同組合から審査業務を継承した映像倫理機構が前身)によって行われる。
特徴
複数のジャンルが満遍なく発売されるコンシューマーゲームと異なり、商業エロゲはADVがほとんどを占める。ADVの中でもノベルゲームに属するタイトルが多く、プレイヤーの技量に関係なく楽しめる物が多い。
コンシューマーゲームとの大きな差異であり、ADVの知識なしに買ってみた新規プレイヤーからは「クリックするだけのゲーム」と呼ばれることもしばしある。RPGやシミュレーション等を求める場合は、遊べるゲームを作るブランドアリスソフト、エウシュリーなどから探すとよいだろう。
ユーザー側の大きな区分として、抜きゲーがある。性的満足を充満させることに特化したエロゲを指し、アトリエかぐや、みるくふぁくとりーなどが該当する。シチュエーションを成り立たせるための強引な設定からバカゲーと併用することも多い。
一方で性的描写はあくまでも一つのシーンに過ぎず、ストーリー性やエンターテインメント性(泣きゲーなど)を重視したエロゲは非抜きゲーと呼ばれる。あくまで主観と嗜好によるので、区分け自体を嫌う人も存在するので使いどころには注意。
性描写が無くても破綻しないと評価されるエロゲはコンシューマゲーム機でもCERO審査を経て移植されやすい。中には非18禁としてアニメ化されたものまである。
R-18のソーシャルゲームは、他者との交流要素・課金要素・定期的なアップデートの存在により、買い切りエロゲとは別軸で評価されることがほとんどである。
同人エロゲは、ムービー集との差異が曖昧なものや、RPGツクール製のRPG等が多いなど商業エロゲとは異なる文化であり、商業とは比較にならない量が販売されている。
その他
- 18禁の乙女ゲームやBLゲームも広義ではエロゲと言えるが、非常に少数である。
- 昔はAV女優などを使った実写のエロゲーもあったが、最近ではほぼ全てと言っていいほど、二次元のものが占めている。
- 出演する声優はイメージを壊さないために別名義を使う事が多い。
- 2013年のminoriのインタビュー記事では、フルプライスでクオリティを維持する作品にするなら製作費として3,000万円必要とされている(ビジネスジャーナル)。同年のOVERDRIVEは開発費を3500~5000万円と回答している。(おたぽる)
- フルプライス作品のパッケージは大きいサイズが主流。理由は目立たせるためとのこと。(参照:アリスソフト パッケージについて、伊東ライフの発言)
プラットフォーム・メディア
現在ではWindows向けのDVD-ROMが主流。FANZA等でダウンロード版も購入できる。
黎明期のメディアはカセットテープやフロッピーディスク、その後はCD-ROMが主流であった。
CDからDVDへの移行期にはCD-ROMとDVD-ROMの両方が発売されたものもあった。少数だがUSBで発売されたものもある。
Windows版・Macintosh版が同時発売されたこともあったが少数である。
その他DVD-PG、BD-PG、UMD-PG等コンシューマーゲームでも遊べることを売りにしたメディアもある。ゲームと言えるか微妙だが。
かつての「softhouse-seal」は携帯電話専用エロゲを販売していた。
現在でもスマホやAndroid向けの買い切りエロゲが販売されている。OOPartsの登場により、iOSでも遊べるようになった。
価格帯・著名作
大手レビューサイトエロゲー批評空間においては、
初出のゲームの売値を「4,000円以下(ロープライス)」「4,000円~7,000円(ミドルプライス)」「その他」の3つで価格帯を区別している。
ロープライス
価格帯が安くボリュームも少なめのため、手を出しやすいのが特徴。シリーズ作品も存在する。
DL専売で300円の『あざスミ -あざとくてスミに置けない彼女-』なども一応この価格帯に含まれる。
ミドルプライス
ロープライスよりヒロイン数やボリュームが多いが、フルプライスよりは少ないことが多い。
実験作やスピンオフも存在する。
フルプライス
大作が多く、著名作のほとんどがこの価格帯。
0円
発売日に完全無料で公式配信されたse・きらら(現在は配信停止)
後から完全無料で配信されたキミトユメミシ
発売から日が経った製品版が丸ごと遊べる「アリスソフト アーカイブズ」などが存在する。
売上
ソフ倫の実績本数では、2002年が売り上げのピークである。(参考リンク)
売上や予約数はランキング形式で掲載されることが多い。
ランキング形式の例(いずれもR-18タイトル掲載の為注意)
上記のように月間や年間の売上傾向は大まかには分かるものの、本数がはっきりしているものは少ない。
WindowsのパッケージソフトではFate/stay night及びFate/hollow ataraxiaの20万本が最高とされている。(4Gamer.net)
千恋*万花(Steam込みで)全世界70万本オーバー(ゆずソフト公式Twitter)など具体的な数字が発表されるケースも少数だがある。
変則的なところではセガサターンでX指定の野々村病院の人々が40万本(DMM)
ネコぱらシリーズが500万本(NEKO WORKs Twitter)。売上の9割は海外(電ファミニコゲーマー)。
などがある。
同人ゲームはダウンロード版の売り場で売上数が公開されているため、ダウンロード版の売上を知るのは容易。
Teaching FeelingはDLsite/FANZAのいずれでも10万本を超えている。
なお、セールでの配信数も含まれているため、必ずしも定価の売上とは限らない点に注意。中には10円や0円キャンペーンなどの極端なセールが含まれるものもある。
膨大な数が販売されているため、販売数0のエロゲも存在する。売上本数順の最終ページで確認可能。
エロゲ業界の抱える問題点
- 小規模なメーカーが多いため、予算や人員を十分にかけて作れないケースが多い。
- 大半のゲームが発売日後数日が勝負の非常に短期決戦での商売を強いられる。このため「出さないと資金繰りに詰まる」と十分にバグを取り切らないうちにリリースしてしまったり、頻繁に延期を繰り返すメーカーは日常茶飯事である。またバグの内容も「修正ファイルがギガサイズ」「HDDをまっさらにしてしまう」「インストーラーがない」などコンシューマーゲームに慣れていると信じられないレベルのものも存在する。
- 自転車操業の会社も多く、数作も出さないうち潰れるブランド、主要スタッフが抜けての分裂も多数。
- 原画家に人気を依存している部分が多く、ゲームとして質が低くても原画の絵が好きという理由で買うファンが少なくない。
- フルプライスのゲームともなると8,000円以上のお金がかかり、クソゲーを掴まされた時のダメージが大きい。
- 『Fate/stay night』ですらエロゲパッケージ版は20万本という市場規模の小ささ。
- プレイに時間を要するコンテンツがほとんどである。短時間で楽しみたい場合は特殊性癖向けのエロ画像すらタダで手に入るサイトや音声作品などのアダルトコンテンツに軍配が上がる。
- 表現に関しては叩かれることが多いのだが、長い歴史で見れば日常茶飯事なので特筆すべき点はない。
- 違法ダウンロード問題。
それでもなお、全年齢対象ゲームでは扱えないユニークな内容を扱ったゲームなどの掘り出し物も楽しめるため、リスクをもってしてもなお挑み続ける愛好家は少なくない。