概要
その名の示す通り、シナリオの内容が悲劇や感動の要素を多く含んでいるために、思わずプレイヤーの涙を誘う展開を主体としたゲームの形態である。初期はエロゲにストーリー性を持たせる試みの一つであった。その後、エロよりもプレイヤーに感動を提供することを主眼とするジャンルとして次第に独立していった。
特に有名なのがKeyソフト系のギャルゲーで、特に『Kanon』や『AIR』、『CLANNAD』などは、現在でも新旧を問わず多くのファンを獲得している。こういったものは比較的18禁要素を省いても問題なかったりするのでコンシューマゲーム機移植がされたケースも多々ある。
歴史
泣きゲーの前史としては、1990年代におけるアドベンチャーゲームの行き詰まりとエロゲの陳腐化が背景にあった。当時のアドベンチャーゲームはコマンド選択によって「解く」ことをメインに置いていたが、総あたりの単純作業で解けてしまうことへの不満からプレイヤー離れが言われるようになってきた。またエロゲはパズルやクイズ、アクションなどで勝つことで女性の裸体を視聴できるというだけで、ファン層に広がりを欠いた。そこにエルフから『同級生』が発売され、ヒロインとのコミュニケーションそのものをゲームのメインに置いて空前の大ヒットをする。
これによっていわゆるギャルゲーが成立する。一方で当時、アドベンチャーゲームの限界を切り開くべくチュンソフトから『弟切草』ついで『かまいたちの夜』が発表され、ストーリーを読ませることを主眼とするサウンドノベルというジャンルが成立しつつあった。エルフのスタッフは『同級生』のスタイルを一歩進め、ストーリー性を中心にすえたエロゲとして『同級生2』を発表してヒットさせる。その中で特に杉本桜子シナリオが泣きを中心として成立しており、後の泣きゲー成立に貢献したと言われる。この後泣きをストーリーの中心とする試みはLeafが展開し、『痕』そして『ToHeart』へと至る。
泣きゲーの開祖といわれるのが『ToHeart』のマルチルートである。人とロボットによる禁断の恋をテーマとしているために、様々な苦難や悲劇が待ち受けており、その結末に多くのプレイヤーが涙腺崩壊したといわれる。やがてTacticsによる『ONE~輝く季節へ~』がネットを通じる等して発売前の注目度は低かったにもかかわらず高い評価を確立する。このスタッフが移籍して成立したのがKeyであり、Keyから『Kanon』が発表されることで泣きゲーはジャンルとして定着した。続く『AIR』は泣きゲーの代表作の一つとされ、アニメとしても大ヒットしてゲームの外でもこのジャンルの知名度を上げることになる。また『CLANNAD』においてついに18禁シーンを伴わない、完全に泣きを内容とする泣きゲーが生まれた。
泣きゲーに分類される有名な作品
作品名 | 制作 | 発表年 | 追記・その他 |
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ONE~輝く季節へ~ | Tactics | 1998年 | |
Kanon | Key | 1999年 | |
加奈~いもうと~ | D.O. | 1999年 | |
AIR | Key | 2000年 | |
君が望む永遠 | アージュ | 2001年 | |
うたわれるもの | Leaf | 2002年 | |
こなたよりかなたまで | F&C | 2003年 | |
CLANNAD | Key | 2004年 |