概要
「これがギャルゲーだ」と誰かがはっきり決めたというような事はないので定義は曖昧で、最低限の条件をあげると「女性キャラクターの魅力をセールスポイントの中心に据えたゲーム」ぐらいになる。
この定義だとアダルトゲームや百合ゲームや育成ゲームも含まれる事になってしまうのだが、単に「ギャルゲー」と言った場合それらのジャンルは除外されることが多い。
名前の似た「ガールズゲーム」も全く別の物で、こちらは「女性の為のゲーム」を指す。
定義の変遷
ギャルゲーという言葉は『ときめきメモリアル』(1994年。以下『ときメモ』)によって広く知られるようになったようだが、1980年代後半にはもう存在していたとされる。少なくとも1992年には雑誌『ファミコン通信』で使われている。
『ときメモ』の登場以前、「プレイヤーの分身である男性主人公が意中の女性を射止める事」を中心にしたゲームというのはアダルトゲームくらいでしか成功を収めていなかった。この頃は使える容量も少なく、一枚絵の表示すら簡単には行えず、ゲーム内でキャラの魅力を十分に伝える事は困難であった。そのため、主人公をギャルにしてパッケージや広告などでキャラの魅力をアピールするという方法が多く用いられた。
しかし、残念ながらこういったゲームでは難易度などのバランスが著しく悪かったり、主人公であるギャルの可愛さ以外に特筆すべき魅力が無いゲームが多く、「ギャルの魅力だけが売りのゲーム(クソゲー)」的な意味合いで「ギャルゲー」と呼ばれていた。
この様相を大きく変えたのが「ときめきメモリアル(以下、ときメモ)」の誕生である。
「ときメモ」は恋愛シミュレーションゲームというジャンル分けがあるのだが、「ギャルの魅力を中心に据えたゲーム」であるとして「ギャルゲー」と呼ばれるようになっていく。
その後「ときメモ」の大ヒットを受けて同様の恋愛ゲームが爆増し、「恋愛ゲーム=ギャルゲー」という認識が急速に広まっていく事となる。
しかしこれは「ギャルゲーでもあり恋愛ゲームでもある」という作品が多くなったというだけで、本来ギャルゲーに決まったジャンルはない。アクションでもシューティングでもセールスポイントがギャルならばギャルゲーと呼ばれる。
また、主人公とギャルの関係性にも特に決まりは無く、『ギャル』は主人公と結ばれるヒロインでも、敵でも、『タイムギャル』(1985年)や『夢幻戦士ヴァリス』(1986年)のように主人公自身というのでもいい。むしろ『アテナ』(1986年)、『マドゥーラの翼』(1986年)、『ワンダーモモ』(1987年)などなど、黎明期のギャルゲーではギャル本人が主人公というのは良くある事だった。
恋愛ゲームとしてのギャルゲー
恋愛シミュレーションゲームはギャルゲーの中でも代表的なジャンルであり、基本的に男性向けとして想定されている。21世紀の今日では美少女を使ったゲームは山のように溢れているため、「ギャルゲー」と言ったときはもっぱら恋愛ゲームを指すことが多い。
『ときメモ』をはじめとした恋愛ゲーム系のギャルゲーの主人公はアダルトゲームの主人公と似たタイプである場合がある。 ゲーム系ライターの岩崎啓眞のブログによると、そもそも『ときメモ』はアダルトゲームのヒット作『同級生』(1992年)と『きゃんきゃんバニープルミエール』(1992年)を多分に参考にして制作されたらしい(関連リンク参照)。
黎明期には、姿形が見えない主人公がステータスを磨くゲームや複数の主人公が攻略用のギャルを取り合うゲームもあった。
性的描写があるものは「エロゲー」とも呼ばれるが、恋愛ゲーム全体からいうと全年齢向け作品のほうが多い。
よく「ギャルゲー市場は衰退に向かっている」と言われるが、これはときメモの系譜にある「恋愛シミュレーション」に特化した従来の作品が売れなくなってきている、数が減ってきているということで、美少女キャラを使ったゲーム(広義のギャルゲー)は拡大している。
2010年代頃からソーシャルゲームやブラウザゲームが台頭を見せ、『ガールフレンド(仮)』のように恋愛を趣旨とするアプリも現在では珍しいものではなくなった。
また、『艦隊これくしょん』のように、育成ゲームを趣旨としながらも一部に疑似恋愛できる要素(一時DMMで恋愛ゲームに分類されていた)を内包するゲームが多数出現し、手の届きやすさもあって普及した。
そのため、従来の家庭用、パソコン用ソフトでの恋愛ゲームはやや苦しい状況に立たされている(パソコン用ソフトは違法ダウンロードによる損害も大きい)。
一方、『ドキドキ文芸部!』や『三色絵恋-Tricolour Lovestory-』をはじめ海外の有志や企業が作るギャルゲーも現れている。
声優について
声優もセールスポイントになる。エロゲーと違い一般名義を使うことが多い。
逆に一般声優を使わなかった事例もある。ゲームソフトがCD-ROMがメディアになり声が入るようになった頃でのときめきメモリアルでのエピソードを一例として挙げると、「他の作品等でキャラクターの色に染まっていない声優」や「本来はナレーション専業に近い声優」「舞台劇を専業とするアクター」等を採用したという。これは声で他作品のキャラクターという先入観を極力避ける為だったり、声優のギャランティのランクが大きく影響しているとされる。
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関連リンク
- Colorful Pieces of Game::ギャルゲーと恋愛育成ゲームとエロゲーと - 岩崎啓眞のブログのインターネットアーカイブ