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一般論としての「男性向け」

用途、機能、デザイン等々を男性に合わせて作られたものの総称。

機能重視で地味ごつい大きい多い重いといった傾向が認められるが、「女性向け」と比べて殊更に性別が意識される事は少ない。

それはファッションで言うなら「マニッシュ女性」という存在がいても「フェミニンな男性」は通常いないように、男性は一般的に「気にしない」と言うよりもむしろ「考えるまでもなく当たり前に『男性向け』を選び取る」からである。


そもそも人類の歴史において、社会の主導権を持っていたのは基本的に男性であったため、商品やサービスも同じ男性に向けて提供する事が圧倒的に多く、作る側もわざわざ「男性向け」を意識することは少なかった。

それゆえ「男性向け」が自動的に「一般向け」となっている物事も珍しくない。


成人男性が単に「遊び」と言った場合、それは「飲む(飲酒)・打つ(博打)・買う(買春)」のいずれかを指すというのが暗黙の了解となっており、「繁華街」「歓楽街」もそれを前提に形成されてきた。

そうした街では女性はもちろん、同性の子供の存在すらタブー視され、かと言って彼女達向けの街が別に作られるという事も基本的に無かった。もちろん従業員として立ち入るのであれば別であるが、今度は「堅気」ではないとして街の中でしか相手にされなくなる、といった具合である。

子供に関しては「巨人野球)・大鵬相撲)・卵焼き」という概念が提唱された事もあったが、これも基本的には当時の男子の好みに基づいた並びであり、女子についてはほとんど無視されていたと言っても過言ではなかった。


あるいは「遊び」や「趣味」それ自体が多分に男性的なものであり、女性がそうしたものに興じる事はけしからんとする向きさえあった(もっと言えば、「けしからん」という言葉自体も成人男性の役割語という向きが非常に強くある)。

流石に現代日本では薄れてきた感覚であるが、「マニア」とか「オタク」という言葉で思い浮かぶのは、今でも大抵男性の姿であろう。そのイメージは概ね正しく、国や地域によっては現在でも、男性が一手に担うものとなっている。

pixivにおいても便宜上「男オタク」「女オタク」という記事が作られてはいるものの、前者については「オタク」記事への誘導でしかない。そういう事である。


例えば、自動車を趣味とする男性は多いが、それをいちいち「男性向け」とは言わない。運転もまた、一昔前までは女性がすべきではない行為とされており、仮にそれを撥ね退けたとしても、車本体は結局男性に買い与えて貰うのが一般的だったからである。

加えて言うと、自動車文化は「キャンペーンガール」や「レースクイーン」といった存在と密接に結び付いている。一見何の意味も無い、むしろ邪魔ですらある所に唐突に美女が配置されるというのも「男性向け」ならではの特徴で、それにツッコミを入れる方が野暮であるとされる。

当然ながら、彼女達の男性版はいない。繰り返しになるが、女性の好感度をいくら上げたところで、財布の紐を握るのが男性であった以上、意味が無かったからである。見ず知らずの美男子に心を動かされる女性などはしたないというタブーもあった事だろう。



ここに「女性向け」との二重の非対称性が生じている。

早い話が男性にとっては「女性向け」など無くても特に困らないし、あったところで現実的な選択肢にはならない可能性が高いという事である。

男性向けと示される、その必要性のあるものは、歴史的に「女性向け」が基本となっている(化粧品など)、物理的に女性の使用が危険・困難(一部の医薬品など)、コンセプトとして男らしさをより強調したい(嗜好品など)といった場合に限られるのが実情である。


なお、以上の「男」「女」は伝統的な性別二元論と異性愛を前提としており、LGBTその他の「革新的な」思想は基本的に考慮されない。

近年はそうした思想に基いてこれまでのカテゴリ分けを再編、あるいは「浄化」する動きが目立っているが、当の男性達が歓迎しているとは言い難い。

その是非はともかく、「繁華街」「歓楽街」のような環境で長らく過ごし、そこに心から満足してきた男性達にとっては俺ら楽園が壊される」「余所者が一方的に侵略してくる」としか映らないからである。地獄への道は善意で舗装されているのだ。


創作における「男性向け」

もちろん二次元においても例外ではない。

詳細は「女性向け」との重複になるため割愛するが、一口に「漫画」と言っても「少年漫画少女漫画」「青年漫画女性漫画」の間には厳然とした線引きがある。


と言うか文学出版の世界は伝統的に性別の垣根が特に高く、対象の性が楽しむことに特化した作品を作る傾向が強かった。今日のオタク文化もその影響を色濃く受け継いでいる。

基本的に少年漫画や青年漫画は女性の鑑賞を想定してこず、今でこそ「女性向け」に近いグッズなどを取り揃える作品も増えているものの、それは少子化や出版不況を受けた苦肉の策という側面も強い。なにより、そのような大人の事情を一般の男性読者までが考慮する謂れは無いとする感覚が支配的である。

成人向けに至ってはこれまたごく最近までレイティング単位で男性向けとされていたほどである。

今でこそ表紙男の娘が飾ったりする事例も珍しくなくなっているが、それも男性読者を欲情させるための戯画化された存在であり、現実のLGBTや、まして女性向けのBLとは相容れないものと捉えられている。


もっとも、近年は「ショタ」や「百合」程度であれば男性向けに含める事が許容されるようになってきている。と言うか、そうした界隈でも棲み分けの重要性が意識され始めている(ジャンルを非難するためだけに、わざわざ棲み分けタグを無視して踏み込むが今も続出しているが…)。


棲み分けに対する注意

例えばこのような事例がある。

コードギアス反逆のルルーシュ』はロボットアニメの大御所サンライズが制作し、業界のスマブラに等しい『スーパーロボット大戦』にも参戦するほどの作品であったが、そのコミカライズは何故か少女漫画誌の「月刊Asuka」で行われ、ロボ要素が全てオミットされていた。

しかし、いずれも好評の内に完結した。多くの女性読者にとってロボ要素はどうでもいいものだったからである。


それぐらい男女の意識には差があり、仮に同じ作品が好きだからといって視点・解釈・嗜好は一致する方が珍しいと言っても過言ではない。

とは言え、あまりに棲み分けを徹底しすぎると先鋭化し、かえって解釈違い的な争いが起きかねないというジレンマもある。互いが何をしているのかを知っておく程度の繋がりは維持しておくべきかもしれない。



ところで少年漫画や青年漫画では、女性読者を想定していない関係上、女性にとってセクハラパワハラと映る描写が出てくる事も珍しくない。成人向けに至っては人間扱いすらされておらず、ひたすら性処理道具とされる作品さえ稀によくある

それらは全て嫌なら見るな」の一言で説明が付くものとされており、例え同性からであっても異論は認めないとする男性は多い。実際、作者や出版社が撤回や謝罪をしても、読者の方が公式が勝手に言ってるだけとして受け入れないケースすらある。

ただし「理不尽暴力ヒロイン」や「百合の間に挟まる男」のように、流行の変化などで明らかに嫌悪感を抱く男性読者が多数派になったと認められる場合はこの限りではない。最早「男性向け」ではなくなったという解釈が成り立つからある。


男性達がここまで強硬になるのは、これまで述べてきた事情に加えて表現規制」との闘いが控えているためである。

男性向けの二次元作品は特に早い時期から官民を問わず「浄化」が図られてきた分野であり、子供を守るという名目での事実上の検閲や、ラブコメをセクハラと見做した抗議運動などが頻繁に発生(有名な一例)してきた歴史がある。

男性にも気に食わない表現はいくらでもある。女流作家(最初から少年・青年漫画家志望だったならまだしも、そうではないもの)には「少女漫画誌でやれ」としか言い様がない人間がいくらでもいるし、好きな少年漫画のBL二次創作など、「精神的ブラクラ」に匹敵するとも言われる。どうでもいいカプ厨自治厨の論争に巻き込まれた事も枚挙に暇が無い。

それでも表現の自由のためにと、どうにかこうにか堪えてきたのである。協力しろとまでは言わないが、そろそろ俺らの言い分を通す番だろうと、そういう感覚でいる。


一般にこの手の話は女性の方が男性より守備範囲が広いとされ、「男性向け」とされている作品を好んで消費する女オタクもまとまった数がいる。

しかしそれは、美談でもなんでもない。男オタクにとっては「俺らの世界はいずれ女性達に乗っ取られてしまうのではないか」という不安要素でしかなく、下手に口を出されるくらいなら最初からいない方がマシというわけである。


あえて大げさに言うなら、「男性向け」と「女性向け」は相互に不可侵の存在であるべきなのである。



余談だが、似た概念である「男のロマン」は強い」・「カッコイイ」・「エロい」の3条件と定義されているが、このタグは専ら「エロい」に特化して用いられている。


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