概要
用途、機能、デザイン等々を男性のために特化して作られた物を指す。
内容としては主に機能重視で地味、ごつい、大きい、多い、重い等が挙げられる。
化粧品では石鹸の香りやミントの香りが多く、地味(シンプル)の法則に習ったものであろう。
デリケアbとデリケアエムズはCMで女性向けと男性向けの特徴の違いが明確に表れており、「男性向けは“夏は股間が痒くなる”と直に訴えないと商品の内容も理解できないなんて、マナーもへったくれもない界隈だな」「逆に、女性向けは遠回しの表現しか使えず、その上で、日常生活で侮辱苛めを受けることもあるのだから気の毒だ」という言い合いがネット上で行われていて、五十歩百歩の関係であった。
同じく陰部に使う痒み止めの軟膏で、オシリアのCMは対象を保護者(成人)と小児に絞ったファミリー向けのCMとなっていた。
この事例と同じ理屈が創作物にも通じ、男性向けの作品が「特に意味もなく」下ネタを出している訳ではないのが分かる。
創作における「男性向け」
子供向けが子供が楽しむことに特化し、大人にとってあまり楽しめない作品であることと同様に、
男性が楽しむことに特化し、意図的に女性が見ることを想定しない作品群の事。
女性キャラが男性に都合のいい存在に描かれていたり暴力や性的表現など女性が苦手とする表現が多い。
基本的に少年漫画雑誌や青年漫画雑誌に掲載されている作品であれば「男性向け」と言っていい。成人向けの本なら表紙に男の娘以外の扇情的な雰囲気の男性がメインで描かれることはまずないと思われる。
棲み分けに対する注意
例えばこのような事例がある。
『コードギアス反逆のルルーシュ』はロボットアニメの大御所サンライズが制作し、業界のスマブラに等しい『スーパーロボット大戦』にも参戦するほどの作品であったが、そのコミカライズは何故か少女漫画誌の「月刊Asuka」で行われ、ロボ要素が全てオミットされていた。
マクロスFやサクラ大戦のスピンオフが少女漫画誌に掲載された事もあったが、それらにおいてもロボットの活躍が描かれる事はほぼ無かった。
しかし、いずれも好評の内に完結した。多くの女性読者にとってロボ要素はどうでもいいものだったからである。
少年誌や青年誌でガンダムなどの巨大ロボット物のコミカライズが掲載された場合、学園パロディ物でもない限りロボットの活躍シーンが描かれ無いということはそうそう無い。
(逆に戦闘シーンから縁遠い作品にロボットが登場すると言う例がある。上記のスパロボにも登場済。)
それぐらい男女の意識には差があり、仮に同じ作品が好きだからといって視点・解釈・嗜好は一致する方が珍しいと言っても過言ではない。
とは言え、あまりに棲み分けを徹底しすぎると先鋭化し、かえって解釈違い的な争いが起きかねないというジレンマもある。互いが何をしているのかを知っておく程度の繋がりは維持しておくべきかもしれない。
少年漫画や青年漫画では、女性にとってセクハラやパワハラと映る描写が出てくる事も珍しくない。成人向けに至っては人間扱いすらされておらず、ひたすら性処理の道具とされる作品さえある。これは男性に手に取ってもらうために女性読者を『意図的に』想定していないからであり、そのため仮に女性が文句を言ったとしても「男性にしか見せるつもりのない作品をわざわざ手にとって読んでいる方がおかしい」と言う主張が成り立つ。
男性達がここまで強硬になるのは、これまで述べてきた事情に加えて「表現規制」との闘いがある。
男性向けの二次元作品は特に早い時期から官民を問わず「浄化という名の自身の価値観の押し付け」が図られてきた分野であり、子供を守るという名目での事実上の検閲や、ラブコメをセクハラと見做した抗議運動などが頻繁に発生してきた歴史がある。
男性にも気に食わない表現はいくらでもある。
女性作家が少年漫画を描いた場合に、男同士の距離感が妙に近くてベタベタしている一方で女性との絡みがほとんど無いなど、「BL漫画誌でやれ」としか言い様がない作品を描いてしまう人間がいくらでもいるし、好きな少年漫画のBL二次創作など、「精神的ブラクラ」に匹敵するとも言われ、少年漫画がどうでもいいカプ厨、自治厨の論争に巻き込まれた事も枚挙に暇が無い。
これが「女性向け少年漫画」というグレーゾーンに隔離する他なく、一般誌にまで載ってしまっている。
よく勘違いされるが、男性は「少年誌でBLを描くな」「ゾーニングをきちんとしろ。」と言っているだけで、女性向け作品で何をやっていても文句を言うつもりはないし「BL自体が駄目だ」とは一言も言っていない。
繰り返し言うが、「男性向け」と「女性向け」は男湯と女湯の仕切りのように相互に不可侵の存在であるべきなのである。
ただし一方では境界が崩れつつある状況も確認されている。
女性向けジャンルであるティーンズラブでは、男女の性描写の過激化が進行して、ヒロインを偏愛するストーカー男(※)がヒロインを拉致監禁して性的調教を行い、ヒロインは快楽堕ちしてストーカー男の性奴隷、生オナホとなることを受け入れてしまう、というような男性向け鬼畜系エロ漫画とほとんど同じ内容の物が描かれ、不細工な竿役や臭いフェチ向けを嫌う男性読者にも人気を博している。
というか男性向けの殿堂たるエロ漫画でさえ3〜4割は女性作家と言われている。