曖昧さ回避
概要
女オタクの一種で、「夢小説」ないし「夢」創作を好む女性を指す呼称のひとつ。「夢見乙女」「ドリーマー」と形容されたり、性自認を踏まえ「夢者」と名乗る人もおり、人によっては名称が違うこともある。
例えば作品内に登場するキャラクター(二次元キャラクター)と自分あるいは自分の作ったオリジナルキャラクターとの恋愛関係(異性愛・同性愛)を好んだり、恋愛関係でなくとも友達・家族などキャラクターと何らかの形で関わる創作を好む女性を指す。また、「夢」は二次創作のみを指すと勘違いされがちだが、一次創作(オリジナル)・二次創作問わず「夢」は存在し、夢女子も作り手・読み手関係なく該当する。
作品内に登場するキャラクターとの関わり方・楽しみ方は大きく分けて二通り。
- 自身がオリジナルキャラクター(夢主)になってキャラクターと出会い、恋愛・友情などの交流を楽しむ。「夢主=自分」または「夢主≒自分」と表記されていることが多い。
- 自身ではなく、自身で創造したオリジナルキャラクター(夢主)をキャラクターと出会わせて、作品に登場しない第三者(あるいは神の)視点で恋愛・友情などの交流を楽しむ。「夢主≠自分」と表記されていることが多い。
※また、近年ではpixivで名前変換なしのオリジナルキャラクターが主人公の作品を「夢」だと発表している人も多くおり、長年pixiv小説では名前を変換出来なかった影響も大きい。pixiv小説における変換機能については後述する。
1と2共に、夢主の性別が女性でなく男性であったり、人間でなく無機物やモンスターなどの人外であることも少なくない。また、よく1のみが自己投影や感情移入をしていると思われがちだが、2も楽しみ方が違うだけで人によっては同じく自己投影や感情移入を行っている場合もある。
「自己投影や感情移入が恥ずべき行為ではない」ことは当然であるが、作り手が1のつもりで創作をしても読み手が2のつもりで創作を読んだり、作り手が2のつもりで創作をしても読み手が1のつもりで創作を読んだりする人もおり、「夢」は読み手が夢主の名前を自由に変換して楽しめる創作のため、読者と夢主の数だけ色々な楽しみ方が出来る(中には敢えて名前を変換しないで作品を読む人もいる)。
しかし「夢」そのものが広義化・細分化しており、厳密に定義付けて分けることは困難であり、創作をしていなくても様々な妄想をしている女性は夢女子に含まれる可能性もある。
(例:身の周りの物を擬人化する妄想をする。別の時代にトリップし、歴史の人物になった妄想をする。自分の性別や年齢が変わった妄想をする。宇宙や地球の成り立ちについて考え、対物性愛者気分を楽しむ。人ならざるペットやぬいぐるみや壁に自己投影して、好きな人の近くにいる妄想をする。芸能人との恋を妄想する。デートに使われそうな場所を見てそこで恋愛するキャラを想像する。推しキャラのイメージに合ったアイテムを見ると興奮する。など。ニュアンスは人それぞれ。)
あまりに定義が多様なので、
- キャラクターを単体で選び取る傾向にある(全体主義や相対主義や抱き合わせ主義ではなく、高解像度ないしSDなどの超低解像度で望まない人物とカップリングさせられないキャラクターを好み、原作キャラ全員とのカップリングを嫌っているとは限らない)。
- キャラクターをメタな目線で見る傾向にある(自分やオリキャラと推しの恋愛や交流を想像するぐらいなので)。
この点に要約されているようである。
その他、夢女子の中でも「夢」でなくキャラクター×キャラクターの男女CPを愛好する者や夢女子と腐女子を兼任した所謂雑食層もいる。更に、夢女子によっては腐女子としてBLDを愛好する者、百合女子としてGLDを愛好する者もおり、属性は多岐にわたる。
また、ゲームなどの女主人公(敢えて作中での描写を控え名前も自由に設定可能な操作キャラ)でプレイする際に本名やオリジナルキャラクターの名前で遊ぶ人は多いが、女主人公自身を独立したキャラクターとして捉え恋愛関係を楽しむ層も多いため、一概に女主人公とキャラクターのCPが好き=夢女子とは限らない。
名前を入れる楽しみ方もああああなどのギャグネームを入れるパターンがあり、主人公が空欄の話と主人公が高解像度の話は「何を言ったかよりも誰が言ったかが重要な話」「皮が何かよりも魂が何か、特に好きな原作の推しやその関係者らしいか否かが重要な話(白ハゲのように誰と特定できないレベルでアイコンがなさ過ぎてもいけない)」でどちらも自己投影向きとする一説があり、本名を入れて自己投影しやすくするのは男性向けでいうこの遊びのようなもので、ヒーローがカメラ目線で囁きかけるショットさえ出れば、夢女子に都合がいい結果は一緒とする一説があり、名前を変える層も「性別や数字よりも固有名詞にこだわる」以外の特徴は見出せない。
駄目な女性向けはガチガチの左右固定で単体萌えのショットやカップリングの空気感がなく、夢向け以外でもたびたび問題視されており、男性向けでも似た問題がある。
注意点
夢女子は腐女子と同様に、「男性キャラしか登場しない作品を好みがち」「ヒロインは姿が出ないか不在の設定が好き」「(女性キャラが最推しの百合女子兼夢女子を除いて)同性より異性が好き」というイメージがあるため、腐女子と同様に、「公式男女CP、公式ヒロインが嫌いに違いない」というストローマン論法と結び付けられやすい(腐女子の男性キャラ同士の恋愛を好む性格と、夢女子の推し単体を好む性格がそれぞれ無視されているのに注目)。
そのため、腐女子と同様に、「公式カップリングの片割れ(特に公式男女カプの男側)にしか惚れない層」「片想い層」「男だけいる作品しか見ず、ヒロインや公式男女カプがいると女キャラに嫉妬してしまう層」「現実世界でモテないため、架空の恋人を好んでいる層」「女性キャラ(特に魅力的な美少女)と男女カプ(特に捏造カップリングではない幸せな公式カップリング)のぜんぶが嫌いな層」「自分(女)の容姿や女同士の友情に自信がないから女主人公の姿が出ない設定を好む層」等と誤解されやすく、とんだ言いがかりである。
実際には、腐女子・夢女子向けではない少女漫画の男女カプを好む女性読者の一部も、男性向けのギャルゲ・エロゲの美少女を嫌っていたり、公式男女カプであってもギャルゲ・エロゲのイケメンではない男主人公とヒロインの公式カップリングは嫌っていたり、自分と恋愛の守備範囲が被っていないモテる女、善人モブに好かれる女を嫌っていたりする。
夢女子の正確なイメージは、「フィクションの恋愛において推ししか見ず、良く言えばヒーロー役・彼氏役がイケメンであれば誰でもいい性格ではなく、自己愛と他愛を混同しづらく(夢男子と同様に同性主が映らない攻略対象の異性のみが映っている設定が好きなのはそれが由来)、自分の恋愛に関係ない人間を巻き込みづらく、好きでもない相手と無理して群れず、推しが24時間自分(恋人)を相手にせずに単身で行動していても恋愛ができる層で、公式カプの片割れが最推しなのはその一ケース」である。
総受け願望がある夢女子もいるが、良く言えばメインヒーローのキャラを3Kのみで立てたり、メインヒーローと比較して負けヒーローを苛めたり、推しのいない出会ったばかりの逆ハーレムのヒロインに成り代わろうとはせず、ヤリモクやモテる努力が嫌いな層よりもリアコに近い層とされる。
原作キャラ同士のカプを応援していても、推しキャラと仲のいいキャラに自己投影していれば夢女子である可能性がある。
前述にあるように、夢主やオリ主を使った夢にも「推しカプを第三者視点で見守るもの」があり、良く言えば嫌いなキャラ、嫌いなカプには一切固執しない。
フィクションの登場人物に恋する夢女子であっても、推しが実在の親友に似ていて、実体験を自己投影している可能性や、恋愛よりも推し活する日常生活に没頭する楽しみ方をしている可能性もあり、本人にしか分からない。
夢女子で最も有名なのは乙女ゲームユーザーで、乙女ゲームではない原作の夢女子のマナーの悪さが糾弾されることが稀にあるが(人気キャラが死亡して苦情が殺到するなど)、乙女ゲームの夢女子が糾弾されることはあまりない。
カプ厨の項目にあるように、一次創作やキャラメイクゲームが趣味の夢女子もいて、必ずしも空欄主人公形式で描かれるとは限らない。
百合女子兼夢女子であっても、相手の女キャラが誰でもいい強姦魔タイプだったり、女キャラを百合の恋人として好まずに、イケメンに愛されるアイコンや不美人を苛めるアイコンとして利用する性格(男キャラはイケメンであれば誰でも良く、推しではなく、偏愛・溺愛役や奴隷役・引き立て役に改悪されるキャラたちの原作での性格を無視するタイプ)だと嫌われる可能性があり、最初からモブレ等の表記がある場合はこれに限らない。
棲み分けについて
上記の通り、夢女子が腐女子や百合女子を兼任するケースがある一方で、他の属性を兼任していない夢女子のケースや、夢主の性別でも女性だけ/男性だけを好むケース、更には性別自体が想定されていないケースも当然存在する。
そのため、棲み分けが難しい問題も発生しているが、そもそも棲み分けとは公式による規約がない場合には強要出来るものではない。しかし無用なトラブルを避ける一つの手段として、作品タグに女主人公/男主人公/性別不明などの属性が分かるようなタグを併用する人もいる。
夢女子と一口に言っても属性は様々であり、繰り返しの記述となるが異性愛を好む人、同性愛を好む人、恋愛ではなく友情や家族愛や色々な関係を好む人、世界の片隅から見守りたい人など、必ず皆が一緒の属性となるわけではなく、作品やキャラクターとの関わり方・願望は夢女子でも一人一人異なっている。
そのため、例えば「夢女子なら異性愛が好きで当然」「原作がBL作品なら夢も同性愛が前提となる」「○○な話は全て夢」「夢女子なら必ず夢二次創作を作りにきて、原作一本で満足することがない」といった固定観念は危うく、「夢女子か否か」「この作品は夢創作か否か」などと当人以外による論争も度々起きており、自認を求めたり定義を押し付ける行為は相手に対して不快な思いをさせるため、常識的な行動が求められる。また、夢女子に限らず作り手・読み手共に性自認やセクシュアリティな部分を開示する必要はなく、他者が言及する行為は無礼で悪質なため、非常に望ましくない。
pixivにおける「夢」について
pixiv小説では名前変換機能がなく、ネームレスや固定名のオリジナルキャラクターを主人公にした「夢」創作が多く投稿されていたが、2020年4月1日にめでたく「単語変換機能」が実装され、読者が主人公の名前を自由に変換して読むことが出来るようになった。勿論作品によっては名前だけでなく、投稿者が設定したあらゆるものを任意のものへ変換して読むことが可能である。
詳細は外部リンクを参照。
別名・表記ゆれ
関連タグ
夢男子・・・稀に使われる夢女子の男性版。ただし自身とキャラクターの恋愛や友情関係を描く創作や自身のオリジナルキャラクターとキャラクターの恋愛や友情関係等を描く創作は(異性愛、同性愛共に)数多く存在しているもののこれらを好む男性が夢男子を自称する事はあまりない。