概要
全体主義(totalism)は、個人の全ては全体に従属すべきとする思想または政治体制。このような政治体制においては、通常1つの個人や党派または階級によって支配され(独裁制)、地方自治体や家族などの共同体、何より個人は独自の価値等が認められず全体(国家)に奉仕・隷属するものでしかない。個人の権利や自由は為政者の思うがままに制限ができる。
ナチスドイツ、ファシスト・イタリアや、戦時体制下の軍国日本、東ドイツ、スターリン体制下のソビエト連邦などがこのような全体主義体制の例としてよくあげられる。 文部省は、『國體の本義』『臣民の道』などの著作において全体主義的な国家観をまとめている。『臣民の道』では、家が集まって国をつくるのではなく、逆に個々の家は国を本とするもので、「国を離れた私はない」と説かれている。
そう、良くも悪くも全体主義はディストピアをはじめとする閉鎖的な社会との相性が良く、保身のために多数派である全体主義を支持する者が多い一方、多様性を認める個人主義者は多様性を頑として認めない閉鎖的な社会では無力ばかりか少数派として多数派の全体主義から不当な待遇を受けやすい。
そのスタイル故か創作物では実力至上主義と並んで悪の組織が持つ思想として現れている。
関連項目
個人主義、民主主義 - 全く相反する価値観。大衆の名による全体主義は「多数派独裁」といい、民主主義とは似て非なるものである(民主主義では少数意見の尊重が肝要とされる)。
セカイ系-社会概念がなく、1対1の関係が全体に直結する世界観という意味では全体主義との類似性が認められる。
秘密警察-よく知られた例としてはナチスドイツのゲシュタポ、東ドイツのシュタージ、日本の特高などがあげられる。