もしかして→ハーレム(ニューヨーク)
概要
昔どっかの王様が女しか居ない宮殿だかを作ってそこで暮らしてたんだって!
まぁ大奥みたいなもんだよ、うらやましいなあチクショー!!
以上!!!!
真面目な概要
特定の人物が自分の周りに、他の人物を侍(はべ)らせている状況を指す。
イスラムの王宮のイメージが強すぎるからなのか、「男性が複数の女性と結婚している」ことが前提と考える向きもあるが、実は結婚要素はなくてもよい。
ハーレムをテーマの1つにしている漫画ToLOVEるダークネスにおける「ハーレム計画」も、結婚(ないしそれに基づく配偶者に対する経済的援助)はさほど重視されず、中心にいる人物が周辺にいる女性を全て恋人にできるよう取り計らうという内容のものになっている。
浮気や不倫との最大の違いは相手の女性公認であるということ。要は『他の人を好きになっても良いから自分を捨てないで』とか、『争わないようにみんなで彼(彼女)を共有しましょう』いう訳である。どんだけ都合良いんだ、これ。
一夫多妻制を認めるイスラム教徒とイコールにされる事もあるが、基本的には誤解。預言者マホメットは「伴侶に嫉妬を起こさせなければやっても良いんじゃね(意訳)」という、半ば投げやりな肯定をしただけである。
またクルアーンに記される一夫多妻制は、古代社会において男性が戦場に駆り出されるなどして死亡率が高かったことから、配偶の機会の均等や未亡人となった女性の救済措置として設けられていたといわれ、それぞれの女性を平等に扱う様に規定されていた。
イスラムの法学では正妻は4人までと規定されており、さらに結婚するにあたって女性配偶者が離婚する場合の生活保障を考えて、男性配偶者側が相手側が納得するだけの十分な資金を事前に結納金・婚資として用意しなければならない。これは妻が複数になろうと男性側は婚姻相手全員に結婚の度に用意しなければならなかった。オスマン帝国のハレムでもスルタンの妃には夫であるスルタンから礼拝堂であるモスクや病院が建てられる程の資金が授与されたが、スルタンですらやはりそれだけの出費は負担だったようで、こういった経済的な理由で16世紀後半には側室も4人までと制限されるようになったという経緯がある。
そもそも、人数差の不利が存在する以上、基本的に男性が割を食うことになるのは当然である。(創作におけるハーレムが男性有利な形で成立しているのは、人数差を覆せるファンタジー要素が少なからずあるからである。)
創作におけるハーレム
アニメやゲームにおいてハーレムものは、古くから男性向けにおける代表的ジャンルである。
しかし同時に好き嫌い割れるジャンルでもあり、特に女性層から忌避されやすい。
キャラを多数扱うことの大変さや憚られやすいジャンルということもあって、二次創作ではなかなか増えない傾向があり、そのぶん版権が主となってハーレム作品の制作を担ってきた歴史がある。
また、男性主人公ではなく女性主人公が中心に据えられる作品(百合ハーレム)もある。原作がギャルゲーであっても、アニメ化の際に男性主人公が消えることで百合アニメに改変するケースもある。
Pixivではハーレムタグが付いた作品のうち3割がオリジナル作品であり、6割が18禁である。そして外国人ユーザーによる投稿作品が多いのが特徴。
主人公を取り合うような構図の作品は「ハーレム」タグではなく「正妻戦争」タグが用いられる。前者が男1人と女複数なのに対し、後者はあくまで男1人と女1人を前提していて、その座を巡る女同士のバトルであるため趣旨が異なる。
また、女性が周りに男性を侍らせる「逆ハーレム」というジャンルも近年台頭を見せており、女性向けアニメや乙女ゲームは勿論のこと、実写ドラマにおいてはハーレムよりむしろ逆ハーレム系の作品のほうが圧倒的に多い。
ハーレムへと至るのは何故か?
最終的にハーレム展開になる作品であっても、大抵ではそうなる事情や経緯がちゃんと具体的に描かれており、それこそ「最初から理由も根拠も無しでハーレムになる」というムシの良すぎる展開の作品は、たとえ18禁系の作品であっても、中心になる人物がハーレムに加わる人物達をマインドコントロールする超御都合主義的な展開でもない限り、まず無いと言える。
ハーレムへと至る事情や経緯に関する具体的な例を挙げると…
- ハーレムに加わる人物達が命を落としかけたり、死よりも過酷で悲惨過ぎる扱いを受けていた中、中心となる人物に救われた。
- 中心となる人物とハーレムに加わる人物達が、危機的、絶望的と言える状況を互いに力を合わせる形で乗り越えていった。
- ハーレムに加わる人物達が中心となる人物以外の異性に対し全く魅力を感じられなかった(逆に言えば、中心となる人物以外の人間達が、非常に情けなく魅力が無い)。
- 中心となる人物が優れた才能を持っていたり、特殊な遺伝子を持っていた結果、それを目当てにする形でハーレムに加わる人物達が群がる(所謂「種馬展開」だが、そういったストーリーの場合、何だかんだで良好な関係を築き、本気で想いを寄せられる事になっている)。
オスマン帝国の「ハーレム」
先述したように、現在の「一人の男性に多数の女性が侍(はべ)る」というビジョンは、近代ヨーロッパがオスマン帝国との交流をもった過程で、オスマン宮廷に滞在した経験のあるヨーロッパ人の報告や同時期にヨーロッパで流行したアラビアンナイトなどのイスラム起源の文学作品の影響などの結果と言える。
キリスト教の婚姻制度によって王侯貴族から庶民に至るまで一夫一婦制が基本だったヨーロッパ人たちにとって「一夫多妻制」という響きは物珍しかった。キリスト教の影響が強い欧米諸国等一夫一妻制の国々は、一夫多妻制を『遅れた未開地の野蛮な風習』と見下している節がある。さらにスルタンの後宮には現在の銭湯と同じく女性専用の共同浴場つまり「女湯」なんかもあったので、スルタンの宮廷で雇用されていたヨーロッパ出身の宮廷人たちからの報告や出版物を通して伝えられたが、それらの物珍しい情報を見聞きした人々はそれはもう妄想を掻き立てたことは難くない(実は現在の日本の銭湯での女湯男湯の区別は、イスラム世界の銭湯での女湯男湯の区別が近代ヨーロッパに持ち込まれ、さらにそれが明治期に日本にもたらされた結果である)。
イスラム世界の婚姻制度では一応正妻は4人までということになっている。しかし、オスマン帝国はポスト・モンゴル帝国時代の政権のひとつであり、アナトリア半島に進出したオグズ・テュルク系の軍事集団を母体としていたため、様々な面で「テュルク・モンゴル的」な性格も受け継いでいた。後宮であるハレムには、妃である(複数の)正妻(スルタナ)以外にも公認された側室(カドン)たちがおり、さらに彼女らの日常生活を支える女官たちも多数近侍していた。そもそも中国や日本の後宮制度や江戸時代の大奥などを見ても政治権力者と婚姻というものは極めて政治的な問題であって、近隣地域や政権内部での政治的な駆け引きの中から婚姻が結ばれることが普通で、正室や側室についても地位や序列が存在した。近代ヨーロッパ人たちの憧憬の対象であったハレムについても同様で、後宮内部の組織秩序が存在し宮廷内外の権力闘争とも密接に関係していた。いわば、歴史の影に女ありの縮図でもある。
オスマン帝国のハレムは一応主君であるスルタンの所有ではあったが、その管理の実質の最高責任者はスルタンの生母である母后(スルタン・ワリーデ)であった。第1妃以下の正妻たち(スルタナ)と側室たち(カドン)、さらに君主の「お手付き」となって寝所に侍ることを許された女官たちつまり寵姫(イクバル)が加わる。女官たちはたいていは奴隷出身者で、正妻や側室などの宮廷の高位女官たちによって必要に応じて買い上げられた者たちであった。ハレムの女性たちはだいたい数百人規模だったと伝えられるが、最盛期でも1200人前後であったという。宮廷の財産管理を担当していた黒人宦官頭が後宮の財産管理やスルタンの親族や宮廷女性たちの被服の調達管理も行っており、後宮周辺の警護部隊(時期にもよるが最大で800人)も管轄していた。
もともと高貴な出身であればまた違うのだろうが、ほかの地域の後宮と同じくハレムの女性たちにとってスルタンの王子を出産するかどうかで立場が全く違ったものになった。スルタンの寵愛を受け男児を産んだ寵姫(イクバル)は側室(カドン)の地位や、場合によっては正式に婚姻契約を結んだ妃(スルタナ)の位まで授けられた。スルタナも上位から第1スルタナ、第2スルタナ、カドンも第1カドン、第2カドン…と順位がかなり厳格に決められていた。しかも寵愛を受けるためにも高い障壁があり、スルタンと寝ることができる女性は母后らの協議によって選出された。心根の悪い女官がのし上がって権力を壟断するのを防ぐためである。決して色気だけで抱かれるような甘い世界ではなかったし、スルタンにとっても好き放題できる夢の空間などではなかった。
ここら辺まで書いて大体の人は予想がつくと思うが、大奥あたりと同様、オスマン帝国のハレムも最高責任者はスルタンの母后スルタン・ワリーデであった。つまり、家長であるスルタンのおかんがハレムでは一番偉かった。
スルタン・ワリーデには、スルタンの妻たちであるスルタナも側室であるカドンも寵姫イクバルもその他大勢の女官たちも従ったし、ハレムの財産管理や護衛、メンテナンスを管轄していた黒人宦官頭も当然従わなければならなかった。王朝の当主であり家長であるスルタンも自分の母親に意見したり逆らったりはそうそう出来ることではなかったので、ハレム内部の権力闘争は血みどろ満載のそれはもー凄まじかったというエピソードがいくつも伝えられている。オスマン帝国の最盛期を築いた大帝スレイマン1世の皇后ロクセラーナのように、栄耀栄華を極め国政に干渉するほどの権力を握った妃たちもいれば、時にはハレムではスルタンの地位を危うくする事件もたびたびあったようで、400年余り前のとあるスルタンはある日ハレムの女性全員を捕えて袋詰めにし、宮殿直下のボスポラス海峡に投げ捨ててほぼ全て水死させたという話も伝わっている。
この種の話は大抵おどろおどろしいものが付随するものである。
現実
結婚関係がありの場合となしの場合で分けて説明する。
「複数の異性と結婚する」ハーレムの場合
現代の日本では法律上問題になる。重婚や不倫が法律に触れるためである。
そんなわけで、憲法を変えないと無理。
では海外ではどうか。
今でも一部のイスラム教国やアフリカの国々では一夫多妻制が公認されたり、イスラム教徒限定で認められたりしているが、いずれにせよ結納金(基本的に婿側の負担)や結婚後の生活費といった費用が馬鹿にならない。
更に上述したようにイスラム教徒の場合妻は平等に扱わねばならず、当然生まれてくる子供たちも母親に関係なく平等にする義務がある。
例えば一人を大学にやったら全員大学に進学させなければならないし、一人に留学を認めたら他の全員にその権利を認めねばならない、といった具合である。
また、こういった国々では得てして女性の経済的な独立や社会進出が進んでおらず、妻に限らず夫のいない女性の面倒は親戚の男性が見なくてはならない。とにかく男は社会的に優遇されている分ひたすらに金がかかるため、基本的に一部の大金持ち以外は一人妻を持つので一杯一杯なのである。金がないからそもそも結婚できない、という男性も多い。
歴史上の政権君主でも正妻や側室が4人以上いたことが記録上はっきり分かる例はそんなにはないのだが、子供はいなくては困るが沢山いても後継問題で後々揉めることもしばしばであった。一般の人々でも遺産はイスラムの法学上、女子も含めて子供には均等分配が原則であったから、あの手この手で長男に遺産が多く残るよう女子には少なく配当するよう法律的な抜け道や資金運用の仕方が「工夫」されてきたりした。妻や子供がたくさんいる事はイスラム世界では(恐らく古い習俗が残っているところは特に)ステータスとなっている部分が強いが、相続問題とかが絡むと関係する人が多ければ多いほど色々面倒な事がたくさん出てくるのはどこも同じである。
当然女性の権利問題もある。一部のローカルな地域では生死に関わってくるレベルで妻と夫の扱いに差があったりするので、これもかなり深刻。むろん女性層からも多妻制への反感は少なくなく、21世紀に入ってエジプトで実施された街頭インタビューでは、「第二夫人を迎えてもいい」という夫に対し、激昂して詰め寄る妻の姿が多く確認されている。重婚に怒り狂った第一夫人が友人たちと結託して夫を虐待する事例も珍しくはないという。
「複数の異性と恋人関係を成立させる」だけの場合
結婚ありきの場合は上記の通り問題山積みだが、結婚を抜きにして考えると意外と障壁自体は少ない。現代日本でも、未婚かつ合意の上であれば恋人を複数持っても問題ないのだ。「現代の、ハーレムに否定的な価値観さえ覆ってしまえば、複数の異性と恋人関係を成り立たせることはいくらでも可能」ということでもある。現代日本で最も有名な事例は、かの麻原彰晃である。あんな風貌でも来るときは来るのである。
つまり、そうした世界観の下地をしっかり整えることができれば、現代に近い世界観であっても(結婚抜きの)ハーレムをリアリティを持たせて描くことは不可能ではないのだ。
これはハーレムものを創作する際に覚えておいて損なしであろう。
その他の意味
キャラクター
CV:鈴置洋孝(南国少年パプワくん) 、子安武人(PAPUWA)
ガンマ団、嵐の4兄弟の3男。特戦部隊隊長。
気性は荒く粗暴だが、弟想い。凄まじい守銭奴で、ギャンブラー。
アニメ『南国少年パプワくん』には登場せず、続編のパイロットフィルムおよびドラマCDで登場。
詳しくは該当記事を参照。
街
ニューヨークに存在する街。アフリカ系アメリカ人の文化で有名。
この都市に由来して、しばしばハーレムは「貧民区」の意味でも用いられる。
小説シリーズ
竹内けん氏が執筆している二次元ドリーム文庫の長期連載シリーズで、その名も「ハーレムシリーズ」。主にハーレムが主題に置かれたエッチなお話が殆ど。
中でも『ハーレムキャッスル』は一番人気で、漫画化もされている。
余談
- 語源はアラビア語で「禁域」「聖域」「聖地」を意味する言葉、ハラム(ḥaram)に由来している。孕むだと!?けしからん!!
- 集英社のコミックアプリ「少年ジャンプ+」では、『終末のハーレムシリーズ』という題名の作品が連載されている。2018年の最終回と同じ頃に、ウルトラジャンプより同作の原作者第二弾で「終末のハーレムファンタジア」が連載開始された。
- 月刊ドラゴンエイジのストラテジックラバーズは大企業の会長が大勢の愛人を有するが、その愛人達の助力を得て企業を発展させた裏事情がある。『歴史の影に女あり』という表現と原点のオスマン帝国に最も近い部分を強調している。
関連イラスト
関連タグ
チーレム…「反則じみた能力の持ち主である主人公がヒロイン達を侍らせる」という作品群。小説家になろうやカクヨム等で掲載されている。
歴史の影に女あり-ある意味、おどろおどろしい謀略の世界の表現の一つ。