概要
『借金ストーリーランド』の長編ストーリーに登場する極道組織。
指定暴力団・大蛇組傘下の二次団体であり鉄砲玉をはじめとした殺人、他の組への報復、カチコミ、死体処理、身内への粛清など大蛇組の中で汚れ仕事を担い組の内外で忌み嫌われていた経緯を持つ。
マムシが組長となってからは凶暴な武闘派集団へ変貌を遂げた結果親である大蛇組をも凌ぐ勢力となっている。
天笠曰く警察とは持ちつ持たれつな関係だが、「手を離せば蛇に咬まれる」とも称している。
事実その影響力は非常に強く、半グレ組織や他の犯罪グループの抑止力にもなっている事もあって警察も迂闊に手を出せず、組に内通している者もいる他、汚職刑事や悪徳政治家などが抹殺された際は黙認・事後処理を行う事もある。
主な構成員
組長およびその一族
蛇ノ目マムシ(へびのめ まむし)
現組長。本名は「外山俠(そとやま きょう)」。
組を継いだ直後に蛇ノ目組単独で羆組に抗争を仕掛け手打ちに持ち込むという鮮烈なデビューを果たし、その後も勢力を拡大し続けている。
圧倒的な武力や親組織である大蛇組組長から「お前の任侠は『刃狂』だ」と評される狂気、そして拷問を好む嗜虐性から組内外で恐れられている。
天笠からは秘かに「サイコ野郎」と呼ばれて嫌われており、彼の企みでベトナムの地雷原に行かされ、地雷を踏んで爆死した……かと思われたが、片足と顔の左側を失くした状態で奇跡の生還を遂げている。
元は端正な容姿とで女性からもモテる顔立ちだったが、地雷によって負傷した後は顔の左半分が火傷で爛れ、常に狂気染みた笑みを浮かべる不気味な外見に変貌している。
蛇ノ目タイチ(へびのめ たいち)
先代組長。
侠道精神を大切にする人情家で、幼き日のキョウを借金のカタとして引き取ると養子に迎えて暖かく育てていた。本人はキョウを極道にする気はなくカタギにするつもりだったが、ある日羆組傘下・赤熊(しゃぐま)組のチンピラに刺殺された……のだが、実際は違い、実の娘である珊瑚の謀略と凶刃にかかって殺されてしまった。そして、赤熊組のチンピラは、珊瑚の謀略によって殺害犯に仕立て上げられてしまう。
蛇ノ目珊瑚(へびのめ さんご)
タイチの娘。
父が引き取ったキョウとは実の兄妹同然に育つ。キョウことマムシを兄ではなく一人の男として慕うようになってからは彼に近づく女を徹底的に排除するようになり、マムシに言い寄ってきたキャバ嬢に自らアシッドアタックを敢行し、傷害罪で服役したこともある(しかも、出所後に女看守とその手下の女囚を暗殺した)。
マムシことキョウを蛇ノ目組組長襲名に導いた首謀者で、そのために実父であるタイチを謀殺した。タイチは今わの際に「面は菩薩、心は夜叉」と評し、本性を見抜けなかったことを後悔しながら無念の最期を遂げる。
『猛毒の蛇をつついた貴方が悪いのです』が決め台詞。
配下構成員
天笠黄雅(あまがさ おうが)
若頭兼傘下組織「蛇道会」組長。
経済ヤクザを自認しており、闇金「レインファイナンス」を経営するほか土地開発、公共事業などリスクの低いシノギで稼いでいるが、マムシから莫大な上納金を要求されることもあり、已むなく薬物の売買にも手を出している。
薬物のシノギをサメジマに潰されたため破門にされかけるが、潰される前にマッコウがその時の薬物を半分盗み出していたのが発覚したことで処分保留となっている(本来ならば200キロもの薬物が保管されており、サメジマが見つけた時はマッコウに盗み出された後だった)。
そのことからサメジマのことは敵視しているものの、そのまま爆破処分したことに対して、自分たちのシノギに興味がないと判断する冷静な一面も見せている(実際、サメジマも蛇ノ目組のやる事には余程のことがない限りは関わらず、関わる際にも質問を出し、回答を得てから行っている)。
普段は上司は勿論、部下やカタギ相手にも敬語で接して紳士的に振る舞うなどやや慇懃無礼な処もあるが、一度キレると893らしく893言葉で捲し立てるなど本性を露にする。
表面的には忠実に従いながらも、実のところは残忍無比で上納金要求の激しいマムシを「サイコ野郎」と呼んで毛嫌いしており、いつか足を掬うことを目論でいる。そのためにギバを介してマムシをベトナムの地雷原に旅行に行かせて爆死させた……と思いきや、マムシの悪運の強さが上回って失敗。彼を更なる狂気へ導いてしまっている。
愛犬家でマックスという名前の犬を飼っている。マックスを非常に可愛がっているがゆえに、例え万場相手でもわずかな揶揄さえ許さない。またマックスは麻薬探知犬でもあり、前述のマッコウが薬物を盗み出したときにはシャチとマッコウの部屋で薬物の匂いに反応している。
なお、犬好きは子供の頃からで、現在のペットであるマックスの名前は子供の頃に飼っていた愛犬から引き継いだものである。
「毒を以て毒を制す。あなたの毒より、私の毒が強かった。それだけです」が決め台詞だが、一度だけ万場の決め台詞を借りたことがある。
万場黒介(まんば くろすけ)
相談役。普段は珊瑚のお守り役を務めている。
本家である大蛇組の大親分・大蛇弥八郎の愛人の子で、刺激を求めて蛇ノ目組に入っている。そのためマムシとは兄弟分にあたる。
愛人の子とは言え、大親分の子であることから周囲から気を遣われて鬱屈していたところに、赤又という先輩に気に入られ、厳しく鍛えられ、現在に至る。万場自身、赤又によく頭を叩かれたことを根に持っているような言動はするものの、彼の背にある蛇の入れ墨に心酔しており、後に料理人になるために組を抜けた彼が事件に巻き込まれて怪我を負ったと知るや、怒りを露わにするほど今も尊敬の念を持っている。
組随一の武闘派で、天笠や羽生らが武力よりも金勘定を得意にしていることを苦々しく思っている。
カタギであっても敵や外道と認識すると、その相手を拷問にかけて徹底的に嬲り殺す超がつく程のサディスト。
しかし、スジと義理は意外としっかりと通す漢でもあり、常識ある部下や仲間からは非常に慕われている。
前述の経緯から他の組員にとっては叔父貴分にあたるため、天笠相手でもタメ口で話している。
天笠共々悪人ではあるものの、彼の活躍によって始末された外道は数知れず、それによって救われた善良なカタギも多数いる為、一種のダークヒーロー的な存在としても描かれている。
また、同店の女性店員カナとも仲が良く、彼女が性被害に遭った際には凄絶な拷問で外道を抹殺している。
「俺に咬まれたら、生きちゃあいられねぇんだよ!」が決め台詞。
羽生美明(はぶ よしあき)
沖縄式闇金を主なシノギとしている構成員。
重度のジャンキーでもあり、キマっているときと薬が切れたときのテンション落差が激しく、特にキマっているときのテンションは天笠が時折引いてしまうほど。
その沖縄式闇金での追い込みをやり過ぎて自殺者を出し、その葬儀に乗り込んでまで取り立てを行うなど、取り立てもかなり行き過ぎたため、クズリの依頼を受けたサメジマにシマ荒らしとして目を付けられてしまう(自殺者の中にクズリが管轄していた店の女性がいたため)。
サメジマらの罠にかかって拉致され、江戸時代の拷問である「駿河問い」にかけられた末に債務者名簿と巻き上げた金の在処を吐かざるを得ない状態まで追い込まれ、さらには持っていた薬物を残らず打ち込まれるという大失態を演じる。
その後、どうにか一命を取り留めて組に帰ったはいいものの、天笠からは当然激怒され、運悪く居合わせたマムシに、親指を除いた左手の指全てをケジメとして切り落とされてしまう(天笠の計らいで接合手術は受けており、以降は指の付け根に縫合痕が残っている)。
当初は苗字のみだったが、2024年9月30日配信の動画にてフルネームが判明した。
万場の行うグロテスクな拷問には苦手意識を見せるが、いざと言う時や本気でキレた際は自らの手で相手の拷問・惨殺も躊躇わない残忍さを見せる。
銃の才能があるようで、引退した元殺し屋曰く「シャブをやめれば良い殺し屋になれる」らしい。
土生姫香(はぶ ひめか。以下ヒメカ)という彼女がいたが、彼女が悪質なスカウトによってシャブ中にされた際は彼女の身を案じ、売人達に手を回して彼女がシャブを止められるように手を回した上で一度破局するが、後にラウンジ嬢として再出発していた彼女と再会し、悪質なオーナーの毒牙にかかりそうになったのを救った事を機に縒りを戻す。
ヒメカに手を出した悪質スカウトやオーナーに対しては自ら手を下し、ヒメカとの復縁を機に自分もシャブを止める事を考え始めているなど、彼女の事はとても大切に想っている。ただ、その関係は万場曰く「中坊の恋愛」で、羽生自身は恋愛に関しては非常に初心であることも発覚しているものの、ヒメカに危害を加えた者には薬が無くても凶暴化する一面を見せており、その点は万場を驚かせている。なお、ヒメカには「よーちゃん」と呼ばれている。
最近登場した決め台詞は、「俺を殺る気にさせたテメェが悪いんだからな!」。
網目緋色(あみめ ひいろ)
元は蛇ノ目組のシマ付近でぼったくりバーを経営していた半グレ。
荒鷲組の鳶口からノウハウを授けられ、借金苦のキャバ嬢やラウンジ嬢に客を連れてこさせて荒稼ぎしていたが、蛇ノ目組がケツモチしている店の嬢も関与していたことからシマ荒らしとして目をつけられる。
蛇ノ目組有数の武闘派二人を撃退するほどの喧嘩の強さを誇るも万場には敵わず、粛清されかけたものの鳶口が介入してきたため、名目上蛇ノ目組の子分になることで助けられる(その実態は鳶口への意趣返し)。この万場の計らいで彼に心酔して本当の子分にしてくれと懇願し、結果、蛇道会の幹部候補見習いとして天笠の下に迎え入れられる。
万場は天笠から「(網目の)面倒はもちろん万場さんが見てくれるんですよね?」と言われて羽生に押し付けようとしたが、「責任は自分で取りましょうね?」と押し切られてしまう。
当初は万場が普段からよく相手にするヤクザを嘗めた半グレのように描写されていたが、万場に倒された際も自分の事は二の次に嬢やスタッフ達を見逃して欲しいと懇願するなど、仲間の為に命を張る男気の持ち主で、その点は腕っぷしも含めて万場達からも「良い拾い物をした」と高く評価されている。
蛇ノ目組加入後は羽生とコンビで行動する事が多く、上述の腕っ節の強さと半グレ時代の人脈で組に貢献している。
青野大将(あおの たいしょう)
サメジマを倒してのし上がろうとしていた構成員。
サメジマの舎弟であるカジキ、マグロを人質におびき寄せ、集団で袋叩きにする目論見だったが、その人質にする予定だったカジキ、マグロに部下ごと返り討ちにされてしまった。
蝙美翔紀(へんみ しょうき)
新参の構成員。
自己中心的かつ身勝手な性格で、金も女も好き放題に出来ると考えてヤクザになったが、規律や仁義などのルールを理解しておらず、事務所の金やシャブを盗んだり、組がケツモチしてる店からカツアゲするなど、コソ泥のような悪事を働いては兄貴分である万場や羽生から殴られ、特に万場からは毎回ボコボコにされていた為、不満と逆恨みを募らせていた。
そこに目を付けた荒鷲組の鳶口に唆され、同系列のヤクザ幹部の葬儀中に万場を銃で襲撃するが、百戦錬磨の万場には到底通用せず、逃走を図るも捕らえられる。
結局は鳶口にも見捨てられ、凄惨な拷問を受けた末に死亡した。
四出(しで)
表向きはペットの葬儀屋を経営するインテリ風の男。フルネームは(現時点では)不明
厳密には構成員ではなく、蛇ノ目組お抱えの死体処理業者で、特に万場と懇意にしている。
葬儀屋の前は食肉専門業者に勤めていたらしく、解体を得意としており、それは生きた人間であっても例外ではない。なお、食肉専門業者時代は手作りベーコンが好評だった(本人談)。
本人曰く解体は『趣味のようなもの』らしい。