概要
本作の主人公の1人。後述する「闇バイト編」では中心人物の1人としてユキノとニコイチで登場することが多い。薄い金髪のロングヘアーが特徴の女子。名字は「日暮」や「中村」など、話によって異なる。職業はOLやキャバ嬢、下火アイドル、怠惰な女子大生、フリーター、ニートなど。極まれに主婦の回もある。
第4話『消費者金融の支払いから逃げ続けた女子が贈る人生』で初登場。
雲野キョウコに負けず劣らずのグータラ&ドクズぶりで、金銭感覚に無頓着で危機管理も全く持ち合わせていない。話しによってはキョウコ同様、ギャンブル中毒や「ホス狂」になったり、ブランド物などをリボ払いで借金を重ねたりもする。
破滅オチとしては、「浪費癖が災いして将来的に売春ホームレスとなる」、「親が死んだことを隠して年金を不正受給した末に逮捕」、「相手を騙して借金を背負わせた結果、その相手に殺害される」、「ギャンブル中毒により破滅」、「負債回収893に攫われて、人身売買として海外バイヤーに売られる」などがある。
「闇バイト編」では、ユキノの後輩にして彼女の理解者としてシリーズのレギュラーキャラクターとなった。
本作の人気キャラクターの1人でもあり、商品化された際には「抱き枕カバー」にもなっている。
闇バイト編
25歳の元OLのフリーターという設定で登場。ユキノ同様、ヘヴィースモーカー。趣味はパチスロだが、物語が進むにつれてやらなくなる。借金1000万円の債務者。葛飾区新小岩在住(闇バイト・サクラ編より)。自動車普通免許所持者。
本編の人物像は、良く言えば「ユキノとキョウコの中間」、悪く言えば「ユキノにもキョウコにも成り得る危うい存在」として描かれている。
エイジという結婚を控えた彼氏がいたが、借金の保証人になったのを前後して裏切られてしまう。
その後は借金返済のためにピンク店で働き(後に禁止行為がバレて解雇)、先輩のユキノと知り合い、ユキノが紹介したあらゆる闇バイトに手を出して大金を手にすることになるが、同時に危機に陥ることもしばしばある。
しかし、危機に陥るたびにユキノ、もしくはユキノとつながりがある黒川やサメジマたちに救出されるなど、キョウコ同様「強運(凶運)・悪運」の持ち主でもある。
借金を背負わされたとはいえ、「楽して大金を得られる仕事はないのか?」という怠惰な考え方は他のオムニバス作品およびキョウコの基本的な人物像と大差はないが、「ベトナム編」で一歩も後を引かずにギャンブルで勝ち続けて最大な悪者・ギバに勝利を収めて後日談で「普通の人」に戻ったキョウコとは違い、闇バイトで危機に陥って「もうやめよう」と言いながら、ユキノに仕事をまた斡旋してもらおうと懇願するなど、闇バイトの魅力に味を次第に占めていく危うさを持つようになる。
当初はユキノに言われるがままに闇バイトに臨んでいたが、後述するような次第に「ユキノ以上におそろしい子」になってしまう。
本人曰く「低学歴」とのことで、地頭は悪く、疑うことを知らないドジっ娘。当初はユキノやキョウコほど「女子のカン」は鋭くはなく、それがエイジに騙される原因の一つにもなっていた。また、治験バイトの2回目では規約事項に目を通しても頭に入らず読み飛ばしてしまい、禁止事項である喫煙を犯してしまったため違約金を支払わされる破目に遭い、3回目の治験バイトで骨折を余儀なくされるというイタイ目に遭ったことも。
ユキノに紹介された治験バイトや特殊清掃などを経験して、キョウコ並みの免疫力やユキノ並みの才覚を次第に身に付けるようになる。また、宝石強盗の闇バイトでは運び屋役を担当することになるが、実行の前日にエイジと再会する。彼から、サクラバイトでマリカがレイプされそうになった際、助けた覆面男の片割れは自分であることを言われ、「自分はユキノに騙されて借金を背負わされた」などの嘘で騙されそうになるも、ユキノから「エイジの正体は結婚詐欺師で、わたし(ユキノ)は結婚詐欺に加担していないわよ」と真相を聞かされ、「復讐するなら手を貸すわよ」と言われてエイジへの復讐を決意し、エイジを土壇場で屠った。その代償として退路を断つことになり、裏世界の闇バイトを家業にし、ユキノのパートナーになる道を選んだ。
エイジへの復讐の後もドジな面は散見される。だがその一方でクズリの写真を撮ることに成功し「わたしの手の届くところまで来ているわね」とユキノを狂喜させたり、ホス狂の女子を担当するホストから借金のキリトリ依頼を請け負った際、目的が同じサメジマから「その女子の債券はワシが買い取る」と提案され、彼から肩代わりされた「借金の金」のキリトリに成功するという快挙をなすなど、成長の兆しを見せている。
だが、狂気も同時に孕みつつあり、自分の身(及びユキノ)を守るために他人を躊躇なく売ったり、「歌舞伎町闇金争奪編」でユキノを助けるためにチンピラを車で轢き飛ばしたりするなど、ユキノから「(悪い意味で)あなたも成長したわね、マリカちゃん」と冷や汗をかかせるほどにまで裏世界における才覚を昇華させるほどだが、マリカ本人は嫌々言っている。
道具屋を始めたユキノから通帳を作る目的で「奴隷」の根津ミノルのお守りを担当することになった際、蛇ノ目組のヤクザ・マムシの一件で拷問を受けそうになり、「トバシ携帯10台」の注文を強要された後、ユキノが大損害を被ったことで彼女に「穴埋めをしてもらうわよ」ととばっちりを受けたことも(これは不測の事態であり、マリカの責任とは言い難い)。その後、ユキノからフィリピン刑務所から出所したハルカの元に行き、クズリの情報を入手するように言われ、先述の「穴埋め」のとばっちりと同時に「ヤバくなったら逃げていいわよ」という言葉の通りにハルカの元へ赴く。そこでハルカから「ユキノには恨みを持っているのよ」事実を知り、ユキノの性格にも思うところがあったためなのか、ハルカにユキノに対する本音を言ってしまったことも。その後、ギバによって始末されたはずのマムシと出会い、彼からユキノのアジトを言うように強要され、ユキノを守るために止むを得ずハルカをユキノと偽って売ってしまい、マリカの虚言を信じたマムシはハルカをユキノと勘違いし、そのことでユキノを憎んでいるハルカがマムシに「はぁ?ユキノ?不愉快な人違いをするんじゃねえよ!気持ち悪りィツラしやがって、このバケモンが!」「だから、アタシはユキノじゃねえって言っただろ!言葉も通じねえのか?イカれサイコ野郎!」と暴言を吐きまくった。
マムシに対するハルカの暴言がトリガーとなってしまい、「五月蠅い、てめえの声は癪に障る!てめえを今すぐ斬り捨てなきゃあ気がすまねえ!」とマムシはハルカの首を仕込み杖で容赦なく斬り撥ね上げた。マムシの気まぐれでマリカはなんとか命拾いしたものの、結局クズリの情報は聞き出せなかった。しかし、ユキノからは何も咎められなかった。
余談
名前の由来
先述の通り、短編では苗字が「日暮」や「中村」と異なることが多いが、「日暮」という苗字の由来は「その日暮らし」だと思われる。「マリカ」という名前も、「まあいいか(ま、いっか)」が訛ったものではないかと仮説を立てれば、「その日暮らし(で)まあいいか」→「日暮マリカ」となる。
キョウコ・ユキノ・マリカのコントラスト
紙一重の存在として描かれているキョウコやユキノに比べると一歩劣る感はあるものの、裏社会で生きる上で自然に彼女らに匹敵する以上の才覚と感性を身に付けていく。
項目\キャラクター | キョウコ | ユキノ | マリカ |
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年齢 | 32歳 | 不明 | 25歳 |
一人称 | わたし | わたし | わたし |
二人称 | アンタ | あなた | あなた |
三人称 |
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プライベイトでの口調 | 中性口調メイン(女性語もごく稀に使用) | 女性語メイン | 女性語・ギャル語メイン |
髪型 | 寒色系のショートヘアー | 暖色系のロングヘアー | 中間色系のロングヘアー |
喫煙 | ノースモーカー | ヘヴィースモーカー | ヘヴィースモーカー |
性格 | 情熱的 | 冷徹 | 軽率と慎重の二面性を持つ |
女子像 | ガサツでズボラ、良くも悪くも如何にも現代女子らしく、性別の差異を感じさせないカジュアルな風貌と所作 | 物腰が柔らかく、貞操観念も高い貞淑でクールビューティな女子 | 現代のギャルに近い出で立ち。キョウコ同様、ズボラな面もあるが、ユキノのように貞操観念も高い |
容姿 | ガサツな面が目立つが、ベトナムの少年に「キレイと評される」ほどの美人。 | 美人だが、特殊詐欺の闇バイト初日で失敗してソファーに飛び込む程度のドジっ娘な一面も | 可愛さの目立つ美人だが、ドジな面も散見される |
体系 | スレンダー寄りの巨乳 | 巨乳 | 巨乳(おそらくユキノ以上) |
パートナー | 特にいない | マリカ | エイジ→ユキノ |
人脈 | 友人のみだが、ベトナムにおいては短期間でギバの奴隷を懐柔している | 裏社会で生きることを余儀なくされたことから、長い年月をかけて利用できる人材を確保している | 当初はエイジとマリカの友人だけだったが、エイジの裏切りを機にユキノとの出会いを得て自分なりに人脈を作っていく |
交渉力 | 当初は皆無に等しかったが、闇金から金を借りたのを機に自然と磨かれていった | 裏社会の住人故に、交渉テクニックはかなりのもの | ユキノほどではないが交渉力は高い |
自頭 | 良い | 良い | 悪い |
勝負 | 矢面に立って、体を張って勝利する | 他人を影で扇動して勝利を収める(全ての話ではないが) | キョウコのように体を張って勝利することもあれば、ユキノのように影で扇動して勝利を収めることもある |
運 | 強運にして凶運の持ち主 | 或る意味キョウコ以上の強運の持ち主だが、その分諸刃の剣 | キョウコと同等 |
カン | 鋭い | 鋭い | 鈍い→鋭い |
戦法 | パワー感が目立つ(テクニック寄り) | テクニック感が目立つ(パワー寄り) | パワー感・テクニック感共に目立つ |
精神 | 危機に陥っても前のめりで立ち向かう | 本当の危機に直面すると脆くなってしまう(例:クズリの指示で雇った闇バイトの男たちに指定された道具を用意するも、私情が絡んで必要最低限な道具しか用意しなかったことが仇となり、父が殺され、雇った男たちも殺されてしまった。父の死をニュースで知った際には感情を抑えきれず、精神が錯乱してしまった) | 本当の危機に陥ると手も足も出なくなるが(マムシとの関りで)、有事の際には躊躇なく他人を売ったり、他人を刺したりするなど手段を選ばない |
出自 | 天涯孤独 | 一家離散 | 不明(低学歴と語られたのみ) |
人生 | ギャンブルを楽しむために生きている | 復讐のために生きている | 闇バイトを楽しむ、ユキノを支えるために生きている |
借金 | 自ら作った借金を自らの手で返そうとする | 他人(父)の借金を他人を利用して稼いて返そうとする | 他人(エイジ)の借金を自らの手で返そうとする |
怨(宿)敵 | ギバ | クズリ | エイジ |
宿敵との決着 | ギバに勝利 | (現時点で)クズリに勝利しておらず、未だに冷戦状態 | エイジに勝利(殺害) |
後日談 | 「普通の人」に戻る | クズリに勝利していないため、現状維持 | エイジ殺害の代償として裏社会でユキノのパートナーとして生きる |
などなど、キョウコ・ユキノとは一歩引いた目線で描かれているキャラクターと言える。