天笠黄雅(借金ストーリーランド)
あまがさおうが
極道組織・蛇ノ目組若頭、蛇ノ目組内蛇道会組長。
自他共に認める経済ヤクザで、闇金「レインファイナンス」を経営するほか土地開発、公共事業、カジノ産業などローリスクハイリターンなものをシノギとしている。
しかし、マムシから莫大な上納金を要求されることもあり、やむを得ず薬物の売買にも手を出しているが、これがきっかけで半グレ組織『サソリ』と完全に敵対し、大規模な抗争へと発展していく事になる。
特にサメジマとは上納金工面のために仕入れた200kgのシャブをお釈迦にされた事もあり因縁浅からぬ関係である。
性格
普段は上司は勿論、部下やカタギ相手にも敬語で接して慇懃かつ紳士的に振る舞っているが、その本性は冷酷かつ残忍で某宇宙の帝王を思わせる生粋の極道。
上司であるマムシには表向きこそ忠実に従っているが、内心では彼を「サイコ野郎」と呼んで嫌悪しており、いずれは蛇ノ目組に取って代わろうと下剋上を目論んでいる。
一方で、養父の「組員は家族だ」という教えから、部下の事は大事にしているようで、構成員の羽生がミスを犯して損害を出した際は叱責しつつもマムシに落とし前として指四本を切り落とされた際は羽生の指を結合治療を受けるよう取り計らい、過剰制裁を行ったマムシに「組員は使い捨ての兵隊じゃねぇんだよ」と内心怒りを露わにしているなど、根本的には仲間思いであり、決して無情な人間というわけでもない。
闇金ではあるが、個人的に気に入った相手や付き合いの長い相手には普通の金利で貸付を行う事もあるなど、決して誰彼構わず破滅させているという訳ではなく、理由無くカタギに手を出すような真似はしない。
ただしその反面、自分を裏切った者に対してはヤクザらしく拷問などの苛烈な制裁を辞さない。
マックスという名の麻薬探知犬を飼っており、非常に可愛がっている愛犬家で、例え相談役の万場でもわずかな揶揄さえ許さない。
ちなみに現在飼っている犬のマックスは二代目で、子供の頃に飼っていた犬から名前を受け継いだ模様。
基本的に指示役なので、直接戦闘に参加する事は少ないが、サメジマとタイマンで戦った際は時間稼ぎ目的かつ防御に徹していたとはいえサメジマとまともに渡り合うなど、腕っぷしもかなりのもの。
決め台詞は「毒を以て毒を制す。あなたの毒より、私の毒が強かった。それだけです」。
元は不動産屋を営む成金の父と、病弱だが心優しい母・雅の一人息子として生まれ、裕福な家庭で育つが、父は妻をモラハラ等で苦しめており、会社が倒産すると同時に妻子を捨てて離婚。
それから暫く貧しい生活を強いられるが母が天笠組組長の天笠弘雄と再婚した事で生活環境は改善し、養父である弘雄からも深い愛情を受けると同時にヤクザの在り方を学ぶ。
大学卒業後は弘雄の伝手もあり銀行員として働いていたが、ある時に弘雄が銃撃される事件が発生。
先代からの親戚筋である蛇ノ目組によって襲撃犯が捕らえられ、この時にマムシと出会い、襲撃犯の正体は実父である事を伝えられる。
実父と相対した際は命乞いする実父に対し、「俺の体にはテメェと同じ復讐に狂う薄汚ねぇ血も流れてる」と返して実父を抹殺。
しかし、実はこの時、実父は蛇ノ目と敵対する大規模な極道組織・羆組系列の下っ端構成員となっており、報復から弘雄や組員達を守る事を条件に蛇ノ目組に加わる事になった。
なお、弘雄は運良く一命を取り留め、現在は引退して田舎で隠居している。
弘雄からは「お前の好きなように生きれば良い」と柵に捉われない生き方を望まれていたが、黄雅本人は結果的にマムシの部下として良いように扱われる今の自分の在り方に対し、「好きに生きるのは難しい」と自嘲気味に呟いている。
事の発端はサメジマと懇意にしているラーメン屋店主の元藪蛇組組長・喜多野に対し、シマの譲渡か蛇ノ目組としてヤクザに復帰するかを迫るが喜多野は首を縦に振らず、配下の組の者が喜多野を殺害した事によりサメジマから恨みを買い、喜多野殺害の主犯と実行犯をサメジマに始末される。
その後、部下の羽生が借金を取り立てた際に債務者が自殺し、その債務者がクズリの運営する夜職の女だった為、調査を依頼されたサメジマによって羽生が拷問にかけられ、債務者名簿を奪われてしまう。
この失態の責で多額の上納金をマムシから要求され、その工面として大規模な薬物売買を画策。
200kgのシャブを仕入れ、シャブの顧客の水産会社社長・海老沼から奪った水産加工場を利用した密輸で一攫千金を目論むが、海老沼がシャブ漬けにした女の身内がサメジマに敵討ちを依頼した事で事態は急変。
100kgのシャブを粉塵爆発ので海老沼ごと燃やされてしまう。
この損失によってマムシから破門の宣告を受け、詫び金5000万を要求される。
この報復としてマリカを人質にサメジマを拉致し、拷問にかける。
更に身代金をせしめた上でサメジマを始末しようとする。
身代金5000万は手に入れたものの、救援に駆け付けたサメジマの邪悪時代の仲間の妨害によりサメジマを取り逃してしまった。
200kgのシャブの内、半分はサメジマに燃やされたものの、残り半分は何者かに盗まれており、その犯人がマッコウである事を特定。
これにより破門の件は処分保留となる。
その後シャチがマッコウを始末し、100kgの内10kgを確保。
残り90kgのシャブを手に入れるべくサソリとの全面抗争に発展。
抗争の際はサメジマと戦うが、クズリが仕掛けていた罠によりサメジマ共々始末されかけるも、サメジマに助けられる。
その際に互いに腹の内を明かし合い、サメジマにシャチとの決着をつけるよう促す。
なお、その際の会話によれば喜多野殺害は決して本意ではなかったらしく、「喜多野が組を畳んだ事で泣きを見た者は何人もいたからケジメを付けなければならなかった」、「天笠黄雅個人としては生き残る道を提示したつもり」と語っている。
上司であるマムシを毛嫌いする天笠だが、奇しくも『ヤクザの養父を強く慕っている』『毒親を自らの手で抹殺した』という点はマムシと共通している。
それ故かマムシからは初対面時に「自分と似ている」と称されている。