通俗用語のカルト
宗教的崇拝。転じて、ある集団が示す熱烈な支持(goo辞書より)
「崇拝」、「礼拝」を意味するラテン語 Cultus から派生した言葉
元来は「儀礼・祭祀」などの宗教的活動を意味しており否定的・批判的なニュアンスは無かった。
1990年代前半までの日本では、特定のニッチジャンルに対して、あまりにも造詣が深すぎるオタクを指して使う言葉だったが(テレビ番組『カルトQ』など)、1995年にオウム真理教が起こした一連の事件以降は社会常識から外れた異常な崇敬を是とする危険な団体を指す言葉となった。→カルト宗教
現在の使われ方
もともと上述の通り、本来は否定的な意味合いの無い言葉であったが、現在では宗教に限らず、極端な思想に凝り固まったり、リーダーなどを過度に崇拝する団体を指す用法が定着している。
これはインターネットの発展によって一般人と殺人や詐欺などといった犯罪との距離が縮んだ事や、匿名によって本音を包み隠さず言えてしまう環境が定着した事が大きく影響している。
同時に近年はネットを使って誰でも起業出来るようになったために、自分勝手な儲け主義に走った結果「反社会的思想の実業家インフルエンサーの利害関係になる形で崇拝する」人間が増えた影響も無視できない。
特に2022年は未だに続くCOVID-19をめぐる各々の思想過激派の対立に加え、主に悪徳YouTuberや統一教会問題など芸能人や政治家、テレビ局、中央省庁を巻き込んだ様々なカルトが問題となったため、新語・流行語大賞でもノミネートから芸能界関係の大半が意図的に排除されるといった対応がなされたほどだった。これは上述のオウム真理教を絶賛していた人間の中には数多くの芸能人もいた事も関係しているかもしれない。
省庁内からも大量の狂信者を抱えるとある悪徳高級官僚の天下り先企業が美少女絵柄を餌にコミックマーケットに出展しているという現状もあるため、カルトに加担させるカモとしてオタクが狙われやすい対象となっているのは残念ながら事実である。
定義が曖昧なため、カルトのレッテルを貼る等の混乱が見られたり、派生的な用法が多岐にわたって使用されており、境界線があいまいな言葉である。
ただ、上記の例からもわかるように、カルトはその集団だけにとどまらず周囲にも危害を加え、人間社会全体に暗い影を落としかねない存在なのは事実である。
カルトと「論破」
カルトについて、「教義の矛盾をついて論破してやろう」などと考えてはならない。
そう簡単に論破できるほど彼らは甘くない。かつてオウム真理教に帰依して事件を起こし、有罪判決を受けた者の中には一流大学の法学部や理系の学部の出身者がゴロゴロいたし、中にはオウム真理教に取り込まれた友人を助けようとして逆に自分がオウム真理教に取り込まれ、サリンを撒いて死刑になった人さえ居るのだ。
それに、例え論破できたところでその宗教の活動は止まらないし、何万人もの信者に目をつけられてしまう。
カルトに対しての最大の対策は、論破ではなく近づかないことである。
知人がカルトにはまったら
現在のところ、一度カルトに帰依してしまった人物を、外部からの働きかけで目覚めさせることは非常に難しく、これさえやればよい、と言う方法はない。
下手に説得や論破をしようとすれば、かえって「自分のことを認めてくれない」と孤独感を味わった信者が教団に取り込まれるのを助けてしまったり、逆に働きかけた側がカルトに取り込まれることもある。
「自分だけで何とかしようとせずに、カルト関係での実績が有る弁護士などの専門家を頼る」ことこそが最も有効な対策である。
とは言え、専門家であっても脱カルトに成功するとは限らず、また5年10年と言った長期戦が必要になる場合もあり、個人で担える負担を超えてしまうケースも少なくない。
最終的にはカルトにはまった友人・知人・家族と縁を切るという選択肢も考えなければならない。それは当然の自己防衛であり、罪悪感を持つ必要はないのである。
『カルト』という名前の人物・キャラクター
架空のキャラクター
- 漫画『幽遊白書』に登場する、妖怪3人娘(小兎・樹里・瑠架)によるユニット
- 漫画『HUNTER×HUNTER』の登場人物。キルアの弟(?)→カルト=ゾルディック
- ソーシャルゲーム『夢王国と眠れる100人の王子様』の登場キャラクター。
- LSRPG『メルクストーリア』(メルスト)の登場人物。
実在する人物名
『カルト』という名前の作品
- カルト(映画)
- フジテレビが1991年から1993年にかけて放映したクイズ番組『カルトQ』。造詣の深いオタクを指して「カルト」と称し、フジ深夜黄金時代のひとつとしてカルト的人気を集めた。この番組では、絶対に「オタク」「マニア」の言葉を避けており(代用として使われたのが「フリーク」)、いろいろあった当時の時代を感じさせる。