概要
正式には「「現代用語の基礎知識」選 ユーキャン新語・流行語大賞」と言い、その年一年間で流行した言葉や新たに出来た語を選び、関係者を表彰するというもの。
毎年、12月に行われ、第一回は1984年だった。
年末の風物詩の1つであり、何かと注目されることが多い。その一方で、「流行語大賞に選ばれた人や商品は、次の年の今頃にはもう流行が去っている」「一発屋の象徴」と言われることも多く、現に流行語大賞に選ばれた後、いつの間にか表舞台から消えていた商品や芸人は多い。
まず『現代用語の基礎知識』収録の用語をベースに、自由国民社および大賞事務局がノミネート語を選出。11月にノミネートされた30の言葉が発表される。
選考委員会によってトップ10、年間大賞語が選ばれ「大賞」および「トップ10」が12月に発表される。
先述の通り「新語・流行語大賞」であり公式サイトでの定義は「広く大衆の目・口・耳をにぎわせた新語・流行語」となっているのでなので、多くの人が耳にしたことさえあれば必ずしも流行語である必要はない。しかしこの定義に当てはまっていない例も多い。
またどれだけ多くの人が耳にしている言葉でも既に前年から流行している言葉などはノミネートから除外される。(2024年は「闇バイト」等がノミネートから除外。)
マスメディアが大々的に取り上げるため誤解されがちだが、実際は7名の選考委員が独断で選定している賞に過ぎない点に留意する必要がある。
選出の傾向
- 「発表会に受賞者が出席できるかどうか」が大賞を決定する最重要要件となっていることが流行の度合いが低い言葉を大賞に選んでしまう原因となるという問題がしばしば指摘されている。事実、「当日登壇者が用意しにくい語」よりも、世間の広まり方では一段落ちてもより容易かつ確実に「登壇者を用意できる語」の方が大賞に選ばれる傾向にある。そのためネガティブな言葉は大賞に選ばれる可能性が低い。ただし授賞式でネガティブな言葉に対して「おめでとうございます」と言うことはさすがにできないのである程度偏ってしまうのはやむを得ない。
- 「流行などしていない」「そんな言葉初めて聞いた」など選考結果に不満や批判の声が上がる結果となることも少なくない。客観的な指標で決めているわけでもなく、選考委員は各方面で活躍されている方々ではあるが、流行語を審査するという主旨では適任と言い難いメンバーだけで決めてしまうのも問題と言える。選考委員が受賞に値する(悪い言い方をすれば「受賞させたい」)と判断すれば選ばれる可能性もある。
選考委員
※2021年時点
受賞語
2023年
大賞:「アレ(A.R.E)」
新しい学校のリーダーズ/首振りダンス、OSO18/アーバンベア、蛙化現象、生成AI、地球沸騰化、ペッパーミル・パフォーマンス、見る将、闇バイト、4年ぶり/声出し応援、スエコザサ
2022年
大賞:「村神様」
キーウ、きつねダンス、国葬儀、知らんけど、スマホショルダー、Yakult1000、宗教2世、てまえどり、悪い円安
2021年
大賞:「リアル二刀流/ショータイム」
うっせぇわ、親ガチャ、ゴン攻め/ビッタビタ、ジェンダー平等、人流、スギムライジング、Z世代、ぼったくり男爵、黙食
2020年
大賞:「3密」
愛の不時着、あつ森、アベノマスク、アマビエ、オンライン○○、鬼滅の刃、GoToキャンペーン、ソロキャンプ、フワちゃん
2019年
大賞:「ONE TEAM」
計画運休、軽減税率、スマイリングシンデレラ/しぶこ、タピる、#KuToo、◯◯ペイ、免許返納、闇営業、令和
2018年
大賞:「そだねー」
eスポーツ、(大迫)半端ないって、おっさんずラブ、ご飯論法、災害級の暑さ、スーパーボランティア、奈良判定、ボーっと生きてんじゃねーよ!、#MeToo
2017年
35億、Jアラート、睡眠負債、ひふみん、フェイクニュース、プレミアムフライデー、魔の2回生、○○ファースト
2016年
大賞:「神ってる」
聖地巡礼、トランプ現象、ゲス不倫、マイナス金利、盛り土、保育園落ちた日本死ね、ポケモンGO、(僕の)アモーレ、PPAP、復興城主
2015年
一億総活躍社会、エンブレム(2020年東京五輪のエンブレム)、五郎丸、ドローン、SEALDs、「アベ政治を許さない」、「安心して下さい、穿いてますよ」、「まいにち、修造!」
2014年
ありのままで(アナと雪の女王)、カープ女子、壁ドン、危険ドラッグ、ごきげんよう、マタハラ、妖怪ウォッチ、レジェンド
2013年
大賞:「今でしょ!」「お・も・て・な・し」「じぇじぇじぇ」「倍返し」
アベノミクス、ご当地キャラ、特定秘密保護法、PM2.5、ブラック企業、ヘイトスピーチ
2012年
大賞:「ワイルドだろぉ」
iPS細胞、維新、LCC、終活、第3極、近いうちに…、手ぶらで帰らせるわけにはいかない、東京ソラマチ、爆弾低気圧
2011年
大賞:「なでしこジャパン」
絆、スマホ、どじょう内閣、どや顔、帰宅難民、こだまでしょうか、3.11、風評被害、ラブ注入
2010年
大賞:「ゲゲゲの」
いい質問ですねぇ、イクメン、AKB48、女子会、脱小沢、食べるラー油、ととのいました、~なう、無縁社会、何か持っていると言われ続けてきました。今日何を持っているのか確信しました…それは仲間です。
2009年
大賞:「政権交代」
こども店長、事業仕分け、新型インフルエンザ、草食男子、脱官僚、派遣切り、ファストファッション、ぼやき、歴女
以下大賞のみ記載
2008年
「アラフォー」
2007年
2006年
「イナバウアー」
2005年
「小泉劇場」
2004年
「チョー気持ちいい」
2003年
2002年
2001年
「小泉語録」(聖域なき改革、骨太の方針、ワイドショー内閣、などを纏めて)
2000年
「おっは~」「IT革命」「田村でも金、谷でも金」(特別賞)
その他過去に選ばれたことがある主な流行語
ちびまる子ちゃん現象(1990年流行語・金賞)
イチロー(1994年・年間大賞)
もののけ姫(1997年・トップテン)
たまごっち(1997年・トップテン)
ショムニ(1998年・トップテン)
だんご3兄弟(1999年・トップテン)
たらこ・たらこ・たらこ(2006年・トップテン)
あなたとは違うんです(2008年・トップテン)
問題点
指摘される問題点としては、選出された単語に偏りが大きい点にある。前述のように選考委員はリベラル(特に自民党など保守や右翼に反感を持つ)である事や野球に好意的なためかノミネートされる単語はリベラル寄りの言葉か野球関係であることが多い。
政治面
2009年には、選考委員で漫画家のやくみつるは「ご存命なら“ゴックンしてない”を(候補に)ねじ込みたかった。 残念です」と、故・中川昭一元財務相の釈明の言葉を推すつもりだった事を明かしている。この事からも分かるように、選考委員が推したい単語を選ぶにすぎない賞では?という指摘が近年は多くなった。
他には、2014年の「集団的自衛権」や2013年の「アホノミクス」、2015年の「アベ政治を許さない」、2016年の「保育園落ちた日本死ね」が挙げられる。この内「集団的自衛権」は受賞者なしにも拘らず大賞に選定された事や、「保育園落ちた日本死ね」については単に一個人がブログで書いた言葉に過ぎず新語や流行語に当たらない点、死ねという侮辱的な意味合いが極めて強い単語を選定した点が批判された。なお、受賞者にはブログの筆者ではなく、国会で取り上げた事を理由に民進党の山尾志桜里衆院議員(当時)が出席した。
また「アホノミクス」と「アベ政治を許さない」については、単に選考委員が安倍晋三首相(当時)に反感を持っていたから選定しただけではという声があった。一方で、安倍首相が進めた経済対策であるアベノミクスや安保関連法案が多くの論議を呼んでいた点はあるため、これに関連した単語を選ぶ事自体は妥当という見方もある。
なお、2001年の受賞が小泉政権の語録で無双していたように、一貫して反自民寄りの賞だったというわけではない。
むしろ、その後同政権が郵政民営化を筆頭に負の遺産を数多残した事から現在のようなリベラル寄りの選考になったのは「受賞そのものが自民党のプロパガンダ同然に扱われてしまったことへの反省・カウンター」とも取ることが出来る。現に反自民寄りに傾いたのは2006年に小泉純一郎議員が首相を辞任してからの出来事である。
審査員の趣向
選考委員が知らない単語は例え世間的に流行していても選ばれない場合もあり、2014年には大ヒットした映画「アナと雪の女王」を見た選考委員が誰もいなかったため、「ありのままで」は大賞から外されたとやくみつるが週刊朝日の座談会で明かしている。
野球面
2015年の大賞に「トリプルスリー」、2016年の大賞に「神ってる」を選出したが、どちらも世間どころか野球界ですら流行ったとは言い難いという指摘があった。ただし、野球は日本で人気が高い事や、選手が活躍したのは事実であるため、政治的な単語に比べれば批判は少ない。
関連タグ
現代用語の基礎知識 - 運営母体
鳥越俊太郎 - 過去の選考委員
ネット流行語大賞(ガジェット通信)、ネット流行語100:もう一つの流行語大賞。主催は異なり前者と後者すらほぼ別物の賞と化している。前者は2023年に関して言えば上半期に実施、後者は例年通りであれば年末に発表と思われるだろう。
今年の漢字:同じく年末の風物詩。