概要
イナバウアーとは、足を前後に開き、前に出した方の脚の膝を曲げて、両足のつま先を180度開いて真横に滑る技。
スケーティングフィールド上を滑走するときの姿勢の1つで、「スパイラル」(片脚を高く上げてもう一方の脚だけで滑る)や「スプレッドイーグル」(両脚を開き、爪先を180度開いた状態で横に滑る)などと並んでフィールド上の移動技として用いられている。
呼称は1950年代に活躍した旧西ドイツの女性フィギュアスケート選手、イナ・バウアーに由来する。
2006年のトリノオリンピックで金メダルを獲得した荒川静香が、これを得意技としたことで、日本では非常に有名な技名となっている。
荒川はトリノ五輪において日本人選手唯一となる金メダルを獲得し、日本中を沸かせたことから、この「イナバウアー」は大流行し、2006年の流行語大賞にも選ばれた。
技名が有名になったそのせいで起きた誤用・勘違い
上記のトリノオリンピックのとき荒川は、イナバウアーで滑ると同時に「大きく体をエビ反りにする」という彼女独自の技を披露し、その柔軟性とバランス感覚の高さを世界に知らしめた。
この演技が日本のお茶の間にも連日報道されまくったため、フィギュアスケートに関心の薄かった多くの日本人に「イナバウアーとはエビ反りになって滑るテクニックだ」という誤解を植え付けることにもなってしまった。
イナバウアーとは決して、のけぞって滑る技ではない。
上記のように真横に滑るための足のポジショニングである。
pixivでも、人物がただのけぞっているだけのイラストに「イナバウアー」タグが付けられているが、本来は誤用であることは知っておく必要がある。
※「イナバウアー」の誤用例
なお、荒川の見せた上半身を反らせるイナバウアーは「レイバック・イナバウアー」と呼ばれることがある(他に「サーキュラー・イナバウアー」と呼ばれることもある)。
また2014年のソチオリンピックで金メダルを獲得した羽生結弦も、荒川式「レイバック・イナバウアー」をフリースケーティングの演技構成内にほぼ毎回入れているが、これは先輩の荒川に対するリスペクトとのことである。
関連タグ
稲葉りんね:作中でイナバウアーを使用している。