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概要

ブラック企業とは従業員を人間扱いしない企業(およびその経営陣)に対して使用される蔑称。この「ブラック」とは労働基準法に違反した「違法」を意味する言葉。「法的にグレー」などの言葉と本来の用法は同じ。「違法ギリギリ」ではなく、「完全に真っ黒」という意味。
具体的にどんなことをやるかというと……

  • 365日24時間、死ぬまで働け
  • 労働三法なんて知ったこっちゃない。企業コンプライアンス?なにそれおいしいの?
  • 残業代?ねぇよんなもん。(サービス残業が横行している。または残業や割増賃金代の全額を支給しない)
  • 仕事のミスに罰金の請求をする。
  • 生産したり契約とって利益を生み出してないのに給料をもらおうなんて厚かましいよね。だから、研修や試用期間の教えてもらっている間に給料を払うのはおかしいよね。
  • 自爆営業。ノルマを達成できなかった従業員に自社製品を購入させる。
    • 仮にノルマを達成しても、一切の手当が出ない(ノルマ達成を当たり前と思い込む)。
    経費は飽くまで申請だから、義務じゃないぞ。正当な手続きでも、難癖つけて却下するか、会社の金庫から不当に金を持ち出すブラックリスト入りさせて問題社員に認定。
  • 帰宅時間は終電が当たり前。あ、終電過ぎても仕事終わるまで帰れると思うなよ? どうせ終電までに仕事が終わらないのなら、職場近くに部屋を借りなさい。
  • 社長や役員には絶対服従。そむけば虐待・鉄拳制裁。
  • 会社を辞めさせてもらえない。退職を申し出た従業員を「懲戒解雇だ」「賠償金を支払え」「無事に辞められると思うなよ」などと恫喝・脅迫。
    • いかなる理由でも、絶対に「会社都合」(の解雇)にしない。
  • 従業員に危険・違法・反社会的な仕事をさせる。地域の住民などから公害などの訴訟を起こされても、絶対に責任を認めない。

……などなど。

つまり、激務でありながら対価に見合わぬ薄給でやりがいもへったくれもなく法律無視の俺ルールが横行し、ただ馬車馬のように働かされ続け使えなくなったらポイ捨てするか、文字通り「死ぬまで働かせる」企業を指す。「もう回すべきでない、回らないと素直に認めたほうがいい仕事」を無理やり回している職場でもある。

社内ではしばしばセクハラが横行しており、中には従業員への「教育」などと称した体罰やいじめ公然と行われ、黙殺されている会社さえもある。

これらは主に外食業界やIT業界、不動産業界などに多く見られ、他にもパチンコ風俗店など、世間からはあまり良い目で見られない業種・職種に多く見られる傾向があるが、役所学校などの公務員や、老人ホーム病院などの福祉施設といった、社会的イメージの悪くない業種にもブラック企業並みに劣悪な労働条件の場所は多々存在する。

ブラック企業は本当の反社会的組織(ヤクザ・カルト宗教など)が営んでいる場合もある一方、有名企業でかつ有名商品を多数抱えている大企業であっても、中で働く、末端の従業員(正社員、アルバイト、パート)にとってはブラック企業として名を連ねていることもある。

ブラック企業か否かは、基本的に従業員と会社の2者間での話ではあるが、遵法意識に欠けたブラック企業はしばしば労働三法以外の法律も平然と無視するので、地域社会や顧客(消費者・エンドユーザーなど)とのトラブルや公害などの社会問題を起こすことも多い。
また、従業員への過酷な扱いが、結果としてプロジェクトの破綻や事故に結びつくこともままあるため、顧客への不利益にもなり、結果としてグループ会社や同業者全体の信用を落とすことにもなりうる。

社会問題としてのブラック企業

ブラック企業は自然発生的に誕生したというわけではなく、古くからの日本企業の体質と繋がっている。

かつての日本企業でも、中核的な業務を担う男性正社員には単身赴任や長時間労働のように企業の強大な指揮命令による重責が課されており、これが「企業戦士」たる中堅男性社員の過重な労働やそれによる過労死の発生をもたらしているとして問題視されることがあったのだが、年功序列の賃金(真面目に働いていれば毎年給料が上がっていく)、入社から定年退職するまでの長期雇用、企業福祉が保障されていたので、強大なムチとそれに見合った大きなアメのバランスが取れていたとも言える。

また、かつての日本企業では女性従業員には中核的な働きをさせず、主に男性従業員の補助としての業務を行わせるのが一般的であり、これには女性差別と言わざるを得ない側面があったとはいえ、女には大きなアメを与えないが、ムチも緩いというバランスがこれまた取れていたとも言える。

しかし、バブル期の頃から日本社会においても規制緩和女性の社会進出が叫ばれて雇用側に一方的に有利な規制改革が進められ、バブル崩壊後からはリストラやアウトソーシングで人減らしが進められる中、従来の日本企業の多くが若手の男女従業員に対し、「女性並みの不安定な身分と給与(僅かなアメ)で、男性並みに働かせる(強大なムチ)」という体質へと変化していった。

程度の甚だしいブラック企業はアメすら用意せず、ムチばかり振るい続けて労働者を使い潰すため、心身を壊す労働者が激増している。
また、プライベートな時間が満足に確保できないために、若者が結婚相手を探すことができなくなったり、既婚者であってもパートナーや子どもとの関係が崩れ、家庭崩壊が起こるケースも珍しくない。
こうした事態が続けば、日本経済のみならず、ただでさえ深刻化している少子化問題やが一気に加速化するなどの二次被害が生じかねず、日本経済のみならず日本社会全体に対する大きな脅威・課題となっている。

ブルーカラーとブラック企業

過去は過酷な労働環境と言うと、過去に「3K」(汚い・危険・きつい)と呼ばれたブルーカラー(建設業や農林業)や工員……というイメージが強かったが、現在の日本でブラック企業と呼ばれるのはホワイトカラーや接客業がほとんど。ブルーカラー職種の職場環境が改善された主な理由は過酷な職場環境により過去に続発した労働災害で規制が強化されたためである。そのほかにな長年の人手不足も関係している。

もちろん、労働安全衛生規制を無視・隠蔽する企業も全くないわけではなく、日本でありがちな多重下請け構造の底辺では労働環境の劣悪化が起こりやすい。また、職場環境の安全・衛生や給与面は良くても、派遣労働者を大量に雇っては使い捨てるような工場も存在するため、ブルーカラーがブラック企業と無縁なわけでもない。

見分け方

最良の策は就職を検討している会社の先輩にどのような状況なのかを聞くことだが、それは実際のところ難しいので、以下のポイントに注意して見分ける。

  • 募集人数(やたらと多い場合は離職率が高い可能性があるので要注意。年度末の引っ越しやイベント補助のように、一時的な人手不足を補うよう、あらかじめ雇用の期間を明示した仕事は除く)
  • 説明会の段取の良し悪し(段取が悪い場合は要注意。企業側が「説明会の開催自体をドタキャン」「直前になって日時の変更を求めてくる」「そもそも資料の送付だけで済まそうとする」などの場合はかなり怪しい。仮にブラック企業でなかった場合でも、突然の倒産や経営者の逝去など、悪い兆候であるケースが多い)
  • 説明会やパンフレットで「やりがい」「社会貢献」を強くアピールする(他にアピールできる魅力が無い事を意味する。労働条件が悪い会社の典型)
  • 説明会で採用担当者もしくは社長の経歴を偉業のように自慢する(宗教じみた崇拝を強要する社風である可能性が高い)
  • 面接の担当者の服装と態度(服装が悪かったり、面接者を見下すなど態度が悪い場合は要注意。中でも圧迫面接を行う企業は、よほどの自信がない限り辞退したほうが無難)
  • 初任給が同業界の平均より異常に高い(残業、休日出勤などの手当を「法令で認められる限界」まで加算した合計額を示しており、基本給と手当の内訳を説明していない)
  • 内定から入社までの期間に、特定書物の読書や感想文の提出などの課題が課せられる(入社日までは社員ではないため、会社の課題を遂行する義務はない)
  • 幹部の平均年齢が低い(離職率が高い可能性あり)
  • 求人広告が年がら年中掲載されている
  • 募集資格が学歴不問、未経験者歓迎
  • 事務職など内勤職を募集しているのに募集資格に要普通自動車免許とある会社(近隣に公共交通機関がなく、クルマがなければ通勤もできない田舎にある職場なら仕方ないが)
  • 深夜まで社内のあちこちに明かりが灯っているのが外から見てもわかる(夜勤を伴う警備員や、当直の制度がある企業ならば仕方ないが、そうでない場合、深夜まで至るサービス残業の巣窟になっている可能性が大)
  • 社内に社長や役員の私物が多く、しかも乱雑に散らばっている(公私混同の疑いあり)
  • 社内がタバコ臭く、社員がどこででも喫煙している(非喫煙者や健康被害への考慮がなされていない可能性あり。とりわけ、嫌煙者には地獄が待っている)
  • インターネット上で検索してヒットしない時は「(社名) 評判」である程度の情報は取得できる。情報がない会社については基本的に避ける。

注意

単純に「給料が安くて、働くのがキツい=ブラック企業」とは言いきれない。単に「適性のない仕事なので苦痛」(営業向きなのにエンジニアをやらされているとか)なのかもしれないし、「職場の人間関係が悪い」(上司や同僚の性格に問題がある)だけかもしれないし、残業や休日出勤などの必要な手当が全額支給されれば、必ずしもブラックとも言いきれない。
例えば普段手取りが多いけどボーナスが低い! ブラックだ! というケースは求人票を見てみよう。ボーナスというのは基本給をベースに計算されるためである。

例えブラックでなくとも、仕事というものはどんな職種であっても程度の差はあれキツいもの
そこは世に出て社会人として、自覚(あるいは覚悟)しておこう。基本的に、「違法や脱法行為が日常的に行われているかどうか」や、「残業・休日出勤の手当を全額支給しているか」が、ブラックかどうかの判断する、ひとつの基準になるといえる。

かと言って、給料を適正に払いさえすれば、過度な労働はブラックではない、と言う訳でもない。長い目で見た場合、仮にいくら高給が保証されていようが、過酷な労働で心身を壊してしまっては取り返しがつかない。負担が少なくリカバリも容易な短期労働ならばともかく、長期的な労働を望むのであれば、こうした企業は避けたほうが賢明。

心や身体が壊れてしまっては、自分の楽しみのために金を使うこともできないのだから…。
心身が磨耗し、退職した後の金銭の使い道が治療費や最悪葬式代と言う何のための稼ぎだったのかと言う事態も冗談ではないのである。

ではサービス残業が常態化している会社はどうだろう。賃金の不払いは違法なのでサービス残業を強いる会社はブラック企業だ……と言いたいところだが、残業代を払わない・あるいは一定額しか払わない会社は日本においては残念ながら「ごく普通」だ(むしろ、やってない会社のほうが珍しい。日本はここ数十年間そういう状態だ)。
サービス残業はまだしも、求人票にみなし残業代含むと書いてあるのを見落とすケースもあるのでちゃんと求人票は見ること。

在職中に残業時間の記録をとっておいて、退職時に請求することを勧める。なお「36協定があるから、30時間以上残業したら残業代は出さない」などと言う会社もあるが、36協定は残業代支払いの責任を免除するためにあるのではなく、労働者を過重な残業から守るためにあるものであり、雇用主が残業代を支払わなくていい、という理由にはならない。
そもそも36協定(特別条項つき36協定)とは労働基準法で定められている法定残業時間を一時的に超過する場合、労働組合側と協議の上で取り決められる物である。

定時内ですら最低時給を下回るような極端な薄給(最低賃金法違反)の会社はまぎれもなくブラックなので近くの労働基準監督署に相談しよう。

もしも入った会社がブラック企業だったら…

できるだけ早く退職しよう。ブラック企業に関する相談を受付けている団体(労働組合など)があるので、電話などで事前にそこに相談するのを勧める。その際タイムカードがあればそれを用意しておくといい。とはいえ、そういう悪質な職場ではタイムカードですらあてにならないので、常に自分で出勤時間と退勤時間をメモしておくのもいい。日々の勤務・生活内容を記録して自分の職場のブラック度の客観視や後の告発に役立てられるようなノートなども発売されており、それをちゃんと書き残しておく方法もある。
常識的には退職をする際には1ヶ月くらい前に上司に相談することとされているが、ブラック企業の場合はその必要はない。上記のように退職を申し出た従業員を脅迫・恫喝する会社もあるので、そういった事態が予想される場合は、帰りがけに上司の机に退職届を置いておく、内容証明郵便で退職届を送り付けてそのまま出勤しないなどの方法もある。仮に無断欠勤になってもいい。
退職を認めない会社にあれこれとパワハラや嫌がらせを仕掛けられ、心身の健康を損ねるよりはマシだ。

また、こうした企業を退職する場合、退職金はもちろん、それまでの給料の支払いも望めないケースも少なくないが、よほどの額でない限りは必要経費と割り切ろう。給料日に受け取れるだけ受け取った直後に上記のような退職届の提出方法を実行して、金銭的損害を最小限に抑えるテもある。
もちろん、あえて裁判沙汰などにして徹底的に戦う選択もあるが、時間も費用もかかるうえに確実に勝てる保証も無いため、よほどの恨みや未払いの賃金が溜まっていない限り、さっさと忘れて次の職を探したほうが建設的ではある。
許せない気持ちはわかるが、自分ひとりがいくら頑張ったところで、その企業に一泡吹かせることなど到底不可能だ
それこそ、死人が出るぐらいの重大事にならない限り、この国は絶対に動かない
繰り返しになるが、とっとと忘れて次を探そう。
ブラック企業をやめた後で、良い職場に拾われたり、家業跡取りや年老いた親の介護に立候補したり、といった幸運があった人だっているのだから。

厳しい言い方になるが、さっさと辞めないと、ちゃんと労働三法などを守っている同業他社やその従業員の利益を不当に圧迫する行為に加担し、世の中に迷惑をかけることになる。
繰り返すが、早急に退職するのが善行であって同僚に迷惑がかかるからと働き続けるのはむしろ悪行だ。
人不足で業務崩壊し、この先そんなブラック事業者が淘汰されていく可能性だって十分ある。

どうか、過労死や自殺や事故、精神疾患に至る前に無断欠勤し、なおかつ職場からの電話を拒否してでも逃亡した方が、ブラック企業に対する最良の選択になる、ということを理解して欲しい。「逃げるは恥だが役に立つ」はドラマのタイトルだが、ブラック企業への対抗策にも、この言葉はそのまま当てはまる。
企業側も企業側で、何年もずっと同じような体たらくで会社を運営してきたのだから、社員が一人逃げて辞めたぐらいで何も感じやしないし、しつこく追ってくることもそうそう無い。もしどうしても逃げたくない事情があるのなら、労働組合を結成するか個人加盟できる合同労組に入るか弁護士等に直で相談するかして欲しい。

上記の記述は、今現在もブラック企業で心折れそうになりながらも真面目に頑張っている人にこそ心得て欲しい。
ブラック企業は真面目な人ほど辞めにくいし、企業側も情け容赦無くその真面目さにつけこんでくる。いじめや痴漢の被害者が、我慢すればするほどエスカレートしていくのと同じ構図だ。
真面目にやっているあなたが、そんな最低の場所で自分をすり減らしていくのは社会にとって大きな損害なのだと、どうか理解して欲しい。

フィクション上のブラック企業

フィクション上のブラック企業の場合、特にバトルものだと敵組織、悪の組織を兼業していることが多い。

主なブラック企業


当初はブラックだったがのちに改善されたと思われる


ブラック企業故に離反者が相次いだ末に崩壊


ブラックだが離反者がいない

  • 真島建設龍が如くシリーズ)→社長がワンマンなんてレベルじゃないが誰も辞めてない。面倒見のいいところもあるからか、ただ恐いだけかは不明。


作中でブラックという設定だがブラックの要素がない・薄い

  • シャレコーベリース社逆転イッパツマン)→タイムリース社と比べるとなんとなくひどいように見えるが、多少業績が悪くても給料は支払われていたし、一応の福利厚生は存在していたし、役員レベルの管理職には部下を守る気概があった。
  • 地獄巡システムエンジニアリング小林さんちのメイドラゴン)→デスマーチで有名だが四六時中というわけではなく、定時帰宅も結構見られる。休日の融通も効く。単身者が親縁でもない被扶養者を3抱えても平気な報酬額。


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ブラック上司
笑顔の絶えない職場……対義語

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